民間企業の障害者雇用率を段階的に引き上げ

厚生労働省労働政策審議会は、諮問を受けていた民間企業の障害者雇用率を2.3%(当分の間2.2%、3年を経過する日より前に2.3%、但し、現行は2.0%)とすることなどを盛り込んだ「障害者雇用率について(案)」について、「おおむね妥当」とした同審議会障害者雇用分科会の報告を了承し答申しました。

■障害者雇用率について(案)の諮問及び答申概要
民間企業の障害者雇用率の引き上げは、平成30年4月から、精神障害者の雇用が義務化され、障害者雇用率の算定式に精神障害者を追加することとなること等を踏まえたものです。今回の答申を受け、厚生労働省は、今後、この答申を踏まえた対応を行うとしています。

◎改正のポイント
(1)障害者雇用率について
・民間企業について、2.3%(当分の間2.2%、3年を経過する日より前に2.3%) ・国及び地方公共団体並びに特殊法人について、2.6%(当分の間2.5%、3年を経過する日より前に2.6%) ・都道府県等の教育委員会について、2.5%(当分の間2.4%、3年を経過する日より前に2.5%)

(2)施行期日
平成30年4月1日から施行

◎現行の障害者雇用率
<民間企業>
・一般の民間企業:法定雇用率⇒2.0%
特殊法人等:法定雇用率⇒2.3%

<国及び地方公共団体
・国、地方公共団体:法定雇用率⇒2.3%
都道府県等の教育委員会:法定雇用率⇒2.2% 
 
(2)特殊法人、国及び地方公共団体における障害者雇用率
一般の民間企業の障害者雇用率を下回らない率をもって定めることとされている。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]
<http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000166129.html




平成28年の男性の育休取得者割合が前年から0.51ポイント上昇

厚生労働省は、「平成28年度雇用均等基本調査(速報版)」の結果を取りまとめ、公表しています。「雇用均等基本調査」は、男女の雇用均等問題に関わる雇用管理の実態把握を目的に毎年実施されています。今回の速報版では、育児休業取得者割合に関する調査項目について取りまとめられています。なお、その他の項目を加えた確報版は、7月末ごろに発表される予定です。

平成28年度雇用均等基本調査(速報版)概要
◎調査の時期
平成28年10月1日現在の状況について、平成28年10月1日から10月31日までの間に実施

◎調査対象数
6,092事業所(有効回答数:4,213事業所、有効回答率:69.2%)

◎調査事項(事業所調査)
(1)育児休業制度の内容及び利用状況
(2)育児休業以外の育児参加のための事業所独自の休暇制度の内容及び利用状況
(3)介護休業制度に関する事項
(4)育児・介護休業取得中の労働条件等の取扱い
(5)育児のための所定労働時間の短縮措置等の状況
(6)育児や介護を行う労働者のための時間外労働・深夜業の制限の制度の内容
(7)短時間正社員制度の有無及び利用状況

育児休業取得者割合
(1)女性
平成26年10月1日から平成27年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性のうち、平成28年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合は、81.8%と前回調査(平成27年度調査81.5%)より0.3 ポイント上昇。

(2)男性
平成26年10月1日から平成27年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、平成28年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合は、3.16%で前回調査(同2.65%)より0.51ポイント上昇した。
詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-28.html




民法の一部を改正する法律案が成立

 

現行民法は、明治29(1894)年の制定以来、全般的な見直しが行われてきませんでした。この間、社会・経済が大きく変化し、取引形態も多様化・複雑化していることを踏まえ、数年間に及び民法の見直し作業が行われ、改正法案が第189回通常国会(平成27年)へ提出され継続審議されてきましたが、5月26日、第193回通常国会で可決成立しました。

■改正法の概要
◎定型約款について
定型約款とは、「定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいうものとすること」と規定され、今回の改正で初めて一定の要件のもとで法的拘束力が認められることとなりました。

消滅時効
(1)原則
消滅時効の期間が、現行法は大雑把に言えば民事10年、商事5年というようなイメージですが、改正法案では、
一 債権の消滅時効における原則的な時効期間と起算点
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅するものとすること。
1 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
2 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

二 定期金の債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅するものとすること。
1 債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使することができることを知った時から10年間行使しないとき。
2 1に規定する各債権を行使することができる時から20年間行使しないとき。

現行法では、例えば、医師の診療費は3年で消滅時効にかかり(民法170条)、弁護士報酬は2年で消滅時効にかかる(民法)という規定がありますが、改正法案ではこれらの職業別短期消滅時効制度は一切廃止となりました。

(2)不法行為による損害賠償請求権の消滅時効
不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効については、基本的には現行法(20年間)どおりなのですが、改正法案では人の生命身体の侵害による損害賠償請求権については、より長い消滅時効期間(例えば、被害者が損害及び加害者を知った時から5年間)になっています。
特に、交通事故(人身事故)案件などについて適用されることになります。

(3)時効の完成猶予と更新
現行法では「時効の中断」という制度があり、時効の進行を止めて、振り出しに戻してしまうというものですが、「中断」という言葉が分かりにくいと言われてきたことから、改正法案では「時効の完成猶予」と「時効の更新」という表現が用いられています。

◎法定利率
法定利率について、現行法は、民事は年5%、商事は年6%となっています。改正法案では、一律に年3%に変更となっています(商法514条は削除)。しかも、3年ごとに1%刻みで見直すとなっていますので、変動利率となります。

また、交通事故の損害賠償などで被害者側の賠償額を減額する要素である中間利息控除の利率についても議論があり、改正法案では「将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをするものとすること」とし、法定利率と同じ(年3%・変動制)になりました。利率が低い方が被害者有利となりますので、これが適用されれば今よりも賠償額が増えることになります。

債務不履行
中間試案では、「債務の本旨」という言葉を使うと債務不履行の態様を限定する趣旨だと誤読されるとして、あえて削除していたのですが、「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができるものとすること。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでないものとすること」という形で規定されました。

◎危険負担
契約目的物が帰責性なしに滅失等した場合のリスクを誰が負担するかという問題である危険負担の問題については、現行法の規定が合理的ではないと批判が強かったことから、現行民法534条及び535条は削除されました。

ただし、危険負担に関する規定が消えたわけではなく、「売買」のパートにおいて「目的物の滅失又は損傷に関する危険の移転」という規定が定められています。そこでは、売主が買主に目的物を引き渡した時以後にその目的物が売主の帰責性なく滅失・損傷したときは、買主は契約の解除等をできないし、代金の支払いを拒むこともできない旨を規定しています。

なお、中間試案では、現行民法536条1項に該当する規定も削除となっていましたが、法曹界から矛盾点を指摘されたことから、「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができるものとすること」と規定されました。

◎施行日
公布の日から3年以内の政令で定める日

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[衆議院]
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/menu.htm

 

 

6月は外国人労働者問題啓発月間!

 


厚生労働省は、毎年6月を「外国人労働者問題啓発月間」と定めています。外国人労働者の就労状況が雇用管理上の改善する必要が存すること、また、いわゆる高度外国人材の就業促進について、企業側の受け入れ環境が整っていないなどの理由で不十分な状況であると指摘されていることから、当該月間で事業主や国民を対象に集中的な周知・啓発活動が行われます。
■平成29年度外国人労働者問題啓発月間実施要領1.実施期間
平成29年6月1日(木)から6月30日(金)までの1月間

2.標語
「外国人雇用はルールを守って適正に~外国人が能力を発揮できる適切な人事管理と就労環境を!~」

3.実施事項
厚生労働省・労働局が実施する月間の活動

ア.広報活動の実施
労働局、監督署及び安定所は、適宜広報資料を作成し地方公共団体等の広報誌の活用及び報道機関への協力依頼等による広報活動を行う。

イ.ポスターの掲示・パンフレットの配布
労働局、監督署及び安定所は、施設内にポスターを掲示するとともに、事業主団体、関係機関等に対してその掲示の協力を求める。また、パンフレットを施設内に配置し、事業主を中心に配布する。

ウ.事業主団体等を通じた周知、啓発及び協力要請
労働局、監督署及び安定所は、事業主団体等を通じた積極的な周知、啓発及び協力要請を幹部自らが率先して行う。特に、外国人雇用状況届出について、事業主が法令遵守の観点から厳格に履行するよう、事業主団体等に協力を要請する。また、不法就労の防止に関しては、地方入国管理局及び都道府県警察との連携を図りつつ、事業主団体等に対し説明及び協力要請を行う。

エ.各種会合における事業主等に対する周知・啓発等の実施
労働局及び安定所は、本月間中に開催する外国人雇用管理セミナーを、留学生を始めとする専門的・技術的分野の外国人の就業促進、又は外国人指針に基づく適正な雇用管理について周知・啓発を行う機会として積極的に活用する。

オ.個々の事業主等に対する周知、啓発及び指導
外国人労働者が多い都道府県の監督署及び安定所では、安易な解雇等の予防や適正な労働条件及び安全衛生の確保、雇用管理の改善等を目的として、事業所を訪問し指導・監督を行う。特に、安定所では、事業所訪問による外国人指針に基づく雇用管理改善指導等を集中的に行う。なお、事業所訪問の対象の選定に当たっては、地域の状況も踏まえつつ、外国人の就労が多い又は増加が見込まれる分野等の指導の必要性が高い事業所、日系人等の定住外国人を中心に外国人労働者が就労することが多い派遣元事業所及び請負事業所、及び下記カの技能実習の受入事業所を中心に行う。

カ.技能実習生受入れ事業主等への周知、啓発及び指導
労働局、監督署及び安定所は、技能実習制度に基づいて技能実習生を受け入れている事業主、事業主団体又は監理団体に対し、技能実習生についても、外国人雇用の基本ルールの遵守が求められることや、労働基準法最低賃金法等の労働関係法令が適用されることについて、関係機関と連携を図りつつ、あらゆる機会を通じて周知、啓発及び指導を行う。

法務省入国管理局作成の不法就労防止に係るリーフレットの配布を通じ、実習先から失踪した技能実習生が実習先以外で就労する場合を含め、入国管理局から認められた範囲を超えて就労する等の不法就労活動をさせた事業主は、出入国管理及び難民認定法に違反することについても周知、啓発を行う。

また、不適切な解雇等の予防に係る周知、啓発及び指導を行うほか、安定所では、関係機関の協力等により、外国人雇用状況届出を提出していない事業主を把握した場合には、厳格に指導を行う。

キ.外国人雇用サービスセンター及び留学生コーナーの活用について
東京・愛知・大阪に設置している外国人雇用サービスセンター及び一部の新卒応援ハローワーク内に設置している留学生コーナーにおいて、それぞれの専門性を活かして留学生の就職支援を行っていることについて、広く周知を行う。

ク.「外国人労働者向け相談ダイヤル」等の活用について
外国人労働者向け相談ダイヤル」において、外国人労働者の方からの労働条件等の相談に対し、法令の説明や各関係機関の紹介等を行っていることについて、広く周知を行う。

詳しくは下記参照先をご覧ください。


参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000165355.html

 

「特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)」が創設

 

特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)は、学校等の既卒者や中退者の応募機会の拡大および採用・定着を図ることを目的としたもので、既卒者等が応募可能な新卒求人の申込みまたは募集を行い、既卒者等を新規学卒枠で初めて採用後、一定期間定着させた事業主に対して支給されるものです。

特定求職者雇用開発助成金の概要
当該助成金は、平成31年3月31日までに募集等を行い、平成31年4月30日までに対象者を雇入れた事業主が対象となっています。

◎主な支給要件

既卒者等コース】
(1)既卒者・中退者が応募可能な新卒求人(※1)の申込みまたは募集を行い、当該求人・募集に応募した既卒者・中退者の通常の労働者(※2)として雇用したこと(少なくとも卒業または中退後3年以内の者が応募可能であることが必要)

(2)これまで既卒者等を新卒枠で雇い入れたことがないこと

【高校中退者コース】
(1)高校中退者が応募可能な高卒求人の申込みまたは募集を行い、当該求人・募集に応募した高校中退者を通常の労働者として雇用したこと(少なくとも中退後3年以内の者が応募可であることが必要)

(2)これまで高校中退者を高卒枠で雇い入れたことがないこと

※1 新卒求人とは、学校(小学校及び幼稚園を除く。)等に、卒業または修了することが見込まれる者(学校卒業見込者等)であることを条件とした求人をいいます。なお、高校中退者が応募可能な高卒求人は除く。

※2 通常の労働者とは、直接雇用であり、期間の定めがなく、社内の他の雇用形態の労働者(役員を除く)に比べて高い責任を負いながら業務に従事する労働者をいう。

助成金の支給額
対象者を雇い入れて一定の要件を満たした場合に、企業区分、対象者及び定着期間に応じ各コース1名を上限として、下表の支給額を支給。

詳しくは下記参照先をご覧ください。


参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158397.html

 

日本とルクセンブルクの社会保障協定の発効について

 

5月15日、ルクセンブルクにおいて、「社会保障に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定」(日本・ルクセンブルク社会保障協定:2014年10月10日署名)の効力発生のための外交上の公文の交換が行われました。これにより、本協定は、本年8月1日に効力を生ずることになります。

社会保障に関する日本とルクセンブルクとの協定概要
国際間の人的移動に伴い、外国に派遣される日本人及び外国から日本に派遣される外国人について、次のような問題が生じています。

(1)二重加入
相手国に派遣され就労している人については、派遣中でも自国の年金制度に継続して加入している場合が多く、自国の公的年金制度と相手国の公的年金制度に対して二重に保険料を支払うことを余儀なくされていること。

(2)年金受給資格の問題
日本の公的年金制度に限らず、外国の公的年金制度についても老齢年金の受給資格のひとつとして一定期間の制度への加入を要求している場合がありますが、相手国に短期間派遣され、その期間だけ相手国の公的年金制度に加入したとしても老齢年金の受給資格要件としての一定の加入年数を満たすことができない場合が多いため、相手国で負担した保険料が掛け捨てになること。

上記の問題を解決するために、以下の2つを主な内容とした社会保障協定を締結しています。

(1)適用調整
相手国への派遣の期間が5年を超えない見込みの場合には、当該期間中は相手国の法令の適用を免除し自国の法令のみを適用し、5年を超える見込みの場合には、相手国の法令のみを適用する。

(2)保険期間の通算
両国間の年金制度への加入期間を通算して、年金を受給するために最低必要とされる期間以上であれば、それぞれの国の制度への加入期間に応じた年金がそれぞれの国の制度から受けられるようにする。

日本・ルクセンブルク社会保障協定は、これらの問題を解決することを目的としており、この協定が効力を生ずれば、派遣期間が5年以内の一時派遣被用者等は、原則として、派遣元国の年金制度にのみ加入することとなります。また、両国での保険期間を通算してそれぞれの国における年金の受給権を確立できることとなります。

【参考】在ルクセンブルク邦人数(永住者除く):581名(うち民間企業関係者186名)、平成27年10月時点。

本協定は、既に発効済みのドイツ、英国、韓国、米国、ベルギー、フランス、カナダ、豪州、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー及びインドに続く、わが国にとって17番目の社会保障協定となります。

詳しくは下記参照先をご覧ください。


参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000164472.html

 

データ利活用促進に向けた企業における管理・契約等の実態調査について

 

データの収集・活用や関連技術の開発は、企業の競争力の源泉であり、その重要性がますます高まっていると指摘されていますが、経済産業省は、データ利活用促進に向け、企業における管理・契約等の実態調査を実施し、この程、その結果を公表しました。

■データ利活用促進に向けた企業における管理・契約等の実態調査の概要

◎調査内容
【アンケート調査】
・送付先:東証一部上場企業 2019社
・回答企業:304社(15.1%)
・実施期間:2016年10月17日~11月11日
・調査内容:事業内容、事業におけるデータ利活用の状況(現状・望ましい姿)、データ利活用を今後推進していく上での課題や制約、データ利活用をしていく上での政策的な課題・要請 ほか

【ヒアリング調査】
・対象企業:31社
・調査内容 :アンケートの調査内容の具体的な事例、ニーズ ほか

◎主な調査結果(アンケート調査結果)
(1)企業間におけるデータのやりとりの実態(現状/望ましい姿)
ア.社外からのデータ取得について
・現状では、社外からのデータ取得を行っている企業⇒42.7%(122社)
・将来的に、社外からのデータ取得を行うことが望ましいと考える企業⇒61.5%(176社

イ.社外へのデータ提供について
・現状では、全部/一部を提供している企業⇒24.0%(69社)
・将来的に、全部/一部を提供することが望ましいと考える企業⇒32.3%(93社)

(2)不正利用への対策として実施すべき法整備
・損害賠償基準の明確化を求める企業⇒69.1%(197社)
・罰金・懲役等といった罰則強化を求める企業⇒66.0%(186社)
・差止請求による被害の最小化⇒60.0%(171社)
・データを不正取得したとしても個人・企業にアプローチできないようにする制度を求める企業⇒44.9%(128社)
(※)第三者による不正利用に対しては、厳罰化や損害賠償などによる抑止力を高めることと共に、自社や顧客に対する被害の拡大を止めるため差止めなどを求める声が多い。

(3)データ利活用を推進していく上での課題・政策要請<制度関連の回答>
・基本的にはデータは顧客に帰属するものと考えるが、一方で当社が時間・労力を費やして取得・蓄積・分析しているため、一部は当社に帰属し、他社が不正に取得・利用した際に差し止め請求ができるよう、法的な整備をして欲しい。(製造業)

・当社としても苦労して機器を開発・製造し、取得・蓄積・分析したデータは、著作権や営業秘密に該当するほど重要であると認識している。

・ローデータを保護することは難しいかもしれないが、当社で分析したデータについては他社が不正利用した場合に差し止め請求ができるような法的な裏付けが欲しい。

・利害調整(権利、紛争の事後解決等)の機能を果たすルールがあれば企業はデータ利活用に取り組みやすくなり、その拠り所となる法律が必要である。

・日本ではデータ利活用の相場感(データの利用範囲等)が形成されていないため、データ利活用に積極的ではないと思われる。ただし、相場感を形成するには一定のルールが必要と考える。

・わが国でデータ利活用を推進する上では、当社のような機器メーカが苦労して蓄積したデータについて営業秘密や(著作性はないが)知財としての保護と、不正利用時に賠償・差し止めを可能とする法的な整備が必要である。(製造業)

・営業秘密は個別企業ごとに秘密保持契約を結ぶが、限られた業種内で多数の企業と秘密保持契約を結ぶと実質的には秘密は守られなくなる可能性がある。

【参考】
類型1:顧客による自社商品の利用を通じて発生したデータを、自社で取得して利活用
<データ利活用の構造>
・顧客が自社商品(機械・機器、アプリケーション等)を利用することに伴い発生したデータを取得・蓄積し、分析結果を商品の改良や新商品開発に活用する。
・データの分析結果を活用して改良された商品や開発した新商品は、パッケージ化されたものとして顧客へ提供される。蓄積・分析過程において顧客へ個別にはデータ共有・還元は行わない。
<契約・管理の実態>
・パッケージ化した商品を顧客に提供し、データ利活用に際してはプライバシーポリシーや約款・規約で顧客から同意を得る。
<課題・制約>
・個人顧客からデータを取得する事業を展開している企業では、個人情報漏えい発生のレピュテーションリスクが懸念され、データ利活用推進における制約として捉えている。

類型2:複数企業等がデータを持ち寄りビッグデータ化し、各社での利用やオープンデータとして公開
<データ利活用の構造>
・複数企業等が、各社で取得した特定のデータを持ち寄り、データベースを構築し、参加者間で共有する。
・データベースから、各社が自社商品の改良・新商品開発にと必要な項目を抽出して利用する。データベースそのものをオープンデータとして公開する場合もある。
・各社が提供するデータは、各社の営業秘密に該当しない情報に限定。提供するデータは、業界における安全基準となるベンチマークデータなど、非競争領域のものであり共有・利活用することにより参加者の互いの利益となるデータ。

<契約・管理の実態>
・データ発生元(各社の顧客)からのデータの取得の際の契約と、取得したデータを企業間で共有する際の契約との2つが存在。

<課題・制約>
・広範囲でのデータ共有を実現する上でコンソーシアム形成が考えられるが、一企業での推進は困難であり、政策的な方針提示や関係省庁・外郭団体等による主導が必要。

類型3:特定のデータを大量に蓄積し、他業種の企業も含めた他社に提供
<データ利活用の構造>
・顧客が自社商品(機械・機器、アプリケーション等)を利用することに伴い発生したデータを大量に取得・蓄積し、分析・匿名加工したデータを、各データを必要とするデータ利用企業に対して提供する。
・データ利用企業への提供に際しては、有償/無償での提供がある。
・また、データ提供を受けた事業者が、さらにデータに加工(整理・抽出など)を施し、第三者へ提供することもある。

<契約・管理の実態>
・データ発生元(各社の顧客)からのデータの取得の際の契約と、取得したデータを企業間で共有する際の契約との2つが存在。

<課題・制約>
・自社が蓄積・匿名加工したデータベースが第三者に不正利用された場合の法的な整備が必要と思料される。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[経済産業省]

http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170420003/20170420003.html