2012.12.13 (税務関連)中小企業の会計に関する指針(平成24年版)公開草案が公表

日本税理士会連合会日本公認会計士協会日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成検討委員会」は、「中小企業の会計に関する指針」についての平成24年改正に係る見直しを行っています。今般の改正では、会計処理のあり方自体の変更はなく、「非上場会社の会計基準に関する懇談会報告書」及び「中小企業の会計に関する研究会中間報告書」の提言内容を踏まえて、平易な表現に改める等経営者にとって利用しやすいものとすることを目的として見直しを行っております。

■主な改正内容等

◎本指針の記載範囲及び適用に当たっての留意事項

本指針の各論において記載の会計処理の中には、重要性の乏しいものについて、簡便な方法によることが認められているものがある(※2)。重要性が乏しいかどうかについては、金額的な面と質的な面の双方を考慮して判断することとなるが、具体的な判断基準は、企業の個々の状況によって異なり得ると考えられる。

(※2)重要性が乏しいもの以外に、退職給付債務の計算方法等、中小企業の特性を考慮した簡便的な方法が認められている場合もある。

◎金銭債権

金銭債権とは、金銭の給付を目的とする債権をいい、これには、預金、受取手形売掛金、貸付金等が含まれる。デリバティブ取引がある場合、その正味の債権は、時価を貸借対照表価額とし、評価差額は、当期の損益として処理する。

金銭債権について取立不能のおそれがある場合には、金銭債権の属する科目ごとに、取立不能見込額を控除する形式で計上しなければならない。

◎貸倒引当金

法人税法上の基準による貸倒引当金の算定方法について、平成23年税制改正平成23年12月改正)前の法人税法に規定する繰入限度額を当期の貸倒引当金繰入額とすることに改正。

棚卸資産の簿価切下時の下落割合については、棚卸資産の種類や市場の状況等の特性を勘案し、個別に判断すべきことを明記(具体的数値は示さず)。

◎固定資産

有形固定資産の減価償却累計額は、原則として有形固定資産の各項目ごとに控除形式で表示する。ただし、有形固定資産全体から一括して控除形式で表示する方法、又は有形固定資産の各項目から直接控除して注記する方法によることもできる。

無形固定資産の減価償却累計額は、無形固定資産の各項目から直接控除した残高で表示する。

圧縮記帳

固定資産の圧縮記帳の会計処理は、原則として、国庫補助金や保険金等を損益計算上、収益として計上する。その場合、その他利益剰余金の区分において圧縮額から繰延税金負債を控除した純額を圧縮積立金として計上する。減価償却資産については、その耐用年数にわたり、減価償却に対応して 、また、非減価償却資産については、譲渡時に圧縮積立金を取崩す。

税効果会計

一時差異(会計上の簿価と税務上の簿価との差額)が生じた際に、将来その一時差異が解消されるときに純利益が増加する場合には繰延税金資産を、純利益が減少する場合には繰延税金負債を計上する。なお、一時差異に重要性がない場合には繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができる。

◎リース取引

所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。ただし、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。この場合は、未経過リース料を注記する。リース料支払時には、元本と支払利息の支払いに区分する。

◎外貨建取引等

外貨建金銭債権債務(外貨預金を含む。)については、決算時の為替相場による円換算額を付す。ただし、長期のもの(1年超のもの)について重要性がない場合には、取得時の為替相場による円換算額を付すことができる。

参照ホームページ[企業会計基準委員会] https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/domestic/sme17/