労働時間評価の過労死ラインとは

「高速道路を管理運営する会社が、平成27年2月に自殺した男性社員に違法な長時間労働をさせていたとして、所轄の労働基準監督署が、同社と役員ら7人を労働基準法違反の疑いで書類送検していたことが遺族の代理人弁護士への取材でわかった。」という報道がありました(送検は6月23日付)。

代理人弁護士によれば、男性は平成26年10月、職場を異動し、経験がなかった道路補修工事の施工管理を担当。遺族側が勤務記録などを調べた結果、時間外労働は同12月までに毎月150時間以上に達していたそうです。夜間工事の監督業務のため、未明に退勤して8分後に出勤した記録もあったということです。

■過労死ラインとは?
このような、過労死に関するニュースが取り上げられることが増えましたが、過労死と労働時間の関係について一般的に次の条件を満たすと、過労死との関連性が強いとされます。

1ヶ月の残業時間(時間外労働)が100時間
もしくは2~6ヶ月の月平均残業時間が80時間


この時間を、「過労死ライン」とも言い、過労死の原因でもある、脳疾患・心疾患、または、精神障害を発症する可能性が高まるとされる基準があります。

これは、労災保険の業務災害の認定基準の一つである『脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準』における過重負荷の有無の判断の一つです。具体的には、次のように規定されています。

<労働時間の評価の目安>
疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、その時間が長いほど、業務の過重性が増すところであり、具体的には、発症日を起点とした1か月単位の連続した期間をみて、

1.発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること

2.発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断する。 〈補足〉ここでいう時間外労働時間数は、1週間当たり40時間を超えて労働した時間数である。

上記の2.の部分が「過労死ライン」ということです。

なお、このラインを超えない場合でも、上記1.に書かれているとおり、「おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できる」とされています。

業務の過重姓の具体的な評価に当たっては、疲労の蓄積の観点から、労働時間の他、

1:不規則な勤務
2:拘束時間の長い勤務
3:出張の多い業務
4:交代制勤務・深夜勤務
5:作業環境(温度環境・騒音・時差)
6:精神的緊張を伴う業務

の、負荷要因について十分に検討することとなっています。

参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000166799.html