貸切バス事業者への行政処分等の基準が厳しくなります

2016年1月の軽井沢スキーバス事故を受けて設置された「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」において、総合的な対策が取りまとめられました。これを受け、国土交通省は、本格的なスキーシーズンを迎える前に、悲惨な事故を二度と起こさないために、貸切バス事業に関する監査基本方針と行政処分基準の改正を行いました。

■貸切バス事業者への監査基本方針と行政処分基準に関係する通達改正の概要

◎監査関係

1.運行中の車両について、街頭監査で違反があり、その場で是正できない場合、「輸送の安全確保命令」が発動され、是正するまでの間、違反した車両が使用できなくなります。また、指摘された違反をもとに、30日以内に事業者に対する監査を行い、法令違反の有無を確認します。

2.一般監査で以下の緊急を要する重大な法令違反が確認された場合は、「輸送の安全確保命令」が発動され、是正できるまでの間、違反事項と関係する全ての車両が使用できなくなります。この場合、30日間の事業停止の処分を受けることとなり、それでもなお、是正されない場合は、許可取消となります。

(1)運行管理者が全く不在(選任なし)の場合

(2)整備管理者が全く不在(選任なし)の場合であって、定期点検整備を全く実施していない場合

(3)全ての運転者が健康診断を受診していない場合

(4)運転者に対して指導監督及び特別な指導を全く実施していない場合

3.一般監査で「2.」以外の違反が確認された場合は、30日以内に是正状況を確認する監査を実施。

行政処分関係

1.監査(1回目)で指摘した違反(軽重にかかわらず)が、確認監査(2回目)で一部でも改善が確認できない場合、「輸送の安全確保命令」が発動され、命令後に監査(3回目)で改善が確認(30日以内)できた場合は、3日間の事業停止、確認できない場合は、許可取消。

2.処分により使用を停止させる車両数の割合が、営業所の保有車両数の8割になります。

(例)保有車両数5両、処分100日車の場合⇒4両を25日間停止

なお、現行では全国統一的な方針を示しておらず、例えば、中部運輸局では、1両を100日間停止としています。稼働率(約50%)と比べると処分の実効性が乏しい点を考慮。

3.輸送の安全に係る違反の処分量定を引き上(主なもの)

(1)乗務時間等告示違反(運転者の過労運転)

(現行)未遵守16件以上20日車 ⇒ (改正)40日車

(2)健康診断の未受診

【未受診者数】

(現行)半数以上10日車 ⇒ (改正)3名以上40日車

(3)適性診断の未受診

【受診なし2名以上】(現行)10日車 ⇒ (改正)40日車

(4)運転者への特別な指導・監督違反(運転者への教育関係)

【大部分不適切】(現行)10日車 ⇒(改正)40日車

(5)飲酒運転防止に係る指導監督義務違反

(アルコール検知器の不適切な使用)(新設)60日車

(6)点呼の実施義務違反

(現行)未実施19件以下警告 ⇒ (改正) 未実施40日車

(7)運賃料金届出違反

(現行)20日車 ⇒(改正)60日車

(8)各種記録類の改ざん・不実記載

(現行)30日車 ⇒(改正)60日車

(9)輸送の安全確保命令等各種の命令違反

(現行)60日車 ⇒ (改正) 許可取消

◎運行管理者に対する行政処分関係

1.繰り返し法令違反を是正しない事業者が許可取消となった場合、勤務する運行管理者全員に対し、資格者証の返納命令。

2.重大事故等を引き起こし監査を実施した結果、運行の安全確保に関わる量定が120日車以上となった場合、違反に関わった運行管理者全員の資格者証の返納命令。

3.運行管理者が飲酒運転又は薬物運転した場合、自家用車の運転でも資格者証の返納命令。

◎施行日平成28年12月1日

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[国土交通省]

http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000273.html