2015.9月分アーカイブ |個人情報保護法等の改正について|企業に女性の登用を促す女性活躍推進法が成立|改正労働者派遣法が成立|人口減少下での安定成長を目指した雇用政策研究報告書について|職場におけるメンタルヘルス対策等の健康づくりについて|中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部改正|都道府県の地域別最低賃金改定額の答申について

2015.09.20

個人情報保護法等の改正について

個人情報の保護を図りつつ、パーソナルデータの利活用を促進することによる、新産業・新サービスの創出と国民の安全・安心の向上の実現及びマイナンバーの利用事務拡充のために、預金等に係る債権の額の把握に関する事務を個人番号利用事務に追加する等の改正を柱とする個人情報保護法等の改正が行われました。

個人情報保護法等の改正概要

個人情報保護法

個人情報の保護と有用性の確保に関する制度改正

個人情報の取扱いの監視監督権限を有する第三者機関として、これまでの特定個人情報保護委員会を改組して個人情報保護委員会を設置

★番号利用法

マイナンバーの利用の推進に係る制度改正

金融分野、医療等分野等における利用範囲の拡充

⇒預貯金口座への付番、特定健診・保健指導に関する事務における利用、予防接種に関する事務における接種履歴の連携等

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[内閣官房]

http://www.cas.go.jp/jp/houan/189.html

2015.09.20

企業に女性の登用を促す女性活躍推進法が成立

女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用が行われること、また、職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備により、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にすること等を主な柱とした「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が成立しました。

■女性活躍推進法の概要

平成28年4月1日から、労働者301人以上の企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが新たに義務づけられることとなります。労働者には、パートや契約社員であっても、1年以上継続して雇用されているなど、事実上期間の定めなく雇用されている労働者も含まれます。また、300人以下の企業は努力義務となっています。

◎女性活躍推進に関する認定取得

行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況等が優良な企業は、都道府県労働局への申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができます。

・認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品などに付することができます。

・認定基準、認定マークについて、10月頃公表される予定です。

◎施行期日等

・事業主行動計画の策定については、平成28年4月1日施行

・本法律は、10年間の時限立法。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

2015.09.20

改正労働者派遣法が成立

平成24年改正時の附帯決議等を踏まえ、派遣労働者の一層の雇用の安定、保護等を図るため、一部の業務を除き、現在は最長で3年までとなっている派遣期間の制限を撤廃する一方、1人の派遣労働者が同じ部署で働ける期間を3年に制限するなどとした、改正労働者派遣法が第189回通常国会で成立しました。

■改正労働者派法の概要

1.派遣事業の健全化

特定労働者派遣事業(届出制)と一般労働者派遣事業(許可制)の区別を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制とする。

2.派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ

派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップ、雇用継続を推進するため、以下の措置を講ずる。

ア.派遣労働者に対する計画的な教育訓練や、希望者へのキャリア・コンサルティングを派遣元に義務付け。

イ.派遣期間終了時の派遣労働者の雇用安定措置※(雇用を継続するための措置)を派遣元に義務付け。

(3年経過時は義務、1年以上3年未満は努力義務)

上記ア及びイについて、派遣元の義務規定への違反に対しては、許可の取消も含め厳しく指導。

※(a)派遣先への直接雇用の依頼(b)新たな派遣先の提供(c)派遣元での無期雇用(d)その他安定した雇用の継続を図るために必要な措置

3.労働者派遣の位置付けの明確化

厚生労働大臣は労働者派遣法の運用に当たり、派遣就業が臨時的・一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮する。

4.より分かりやすい派遣期間規制への見直し

現行制度では、専門業務等のいわゆる「26業務」には期間制限がかからず、その他の業務には最長3年の期間制限がかかるが、分かりやすい制度とするため、これを廃止し、新たに以下の制度を設ける。

ア.事業所単位の期間制限

派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受入れは3年を上限とする。

それを超えて受け入れるためには過半数労働組合等からの意見聴取が必要。

意見があった場合には対応方針等の説明義務を課す。

イ.個人単位の期間制限

派遣先の同一の組織単位(課)における同一の派遣労働者の受入れは3年を上限とする。

5.派遣労働者の均衡待遇の強化

派遣元と派遣先双方において、派遣労働者と派遣先の労働者の均衡待遇確保のための措置を強化する。

6.検討規定

施行3年後の見直し検討に加え、

ア.正社員と派遣労働者の数の動向等を踏まえ、能力の有効発揮と雇用安定に資する雇用慣行が損なわれるおそれがある場合は速やかに検討を行う。

イ.均等・均衡待遇の確保の在り方を検討するため調査研究その他の必要な措置を講ずる。

7.施行期日

平成27年9月30日

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/189.html

2015.09.10

人口減少下での安定成長を目指した雇用政策研究報告書について

厚生労働省の雇用政策研究会は、この程、「雇用政策研究会報告書(中間とりまとめ)」を公表しました。本報告書は、わが国の人口減少下における雇用政策上の課題のうち「人的資本の質の向上」、「全員参加の社会にふさわしい働き方の構築」、「人手不足産業」及び「地域の雇用機会の確保」等について検討を重ね、まとめられたものです。

■雇用政策研究報告者のポイント

◎わが国を取り巻く現状・課題

・人口減少局面における労働力供給制約の中で、安定的な成長、そして国民生活の物心両面での向上を実現するためには、個々の労働の質を高めることが必須。

・様々な分野や地域における構造的な「人材不足」が成長のボトルネックとならないよう、積極的な雇用政策を行うことが求められている。

◎今後の施策の方向性

1.人的資本のポテンシャルの最大発揮

労働の質を高めるためには、個々の労働者の生涯を通じた能力開発とともに、労働者がその能力を最大限に発揮できる環境の整備が重要である。景気の回復基調の中で人手不足感の強まっている現在は、特に後者の雇用管理・処遇改善を進める好機。

【必要な政策】

<幼児期から高齢期までの生涯を通じた能力開発>

・就学前、学校教育段階の学びによる基礎能力の向上

・若年期から中高年期に至るまでの主体的なキャリア形成を含めた能力開発と節目ごとにおけるキャリアコンサルティングの実施

(ジョブカードも活用し推進)

・正社員以外の者などへのキャリアアップ支援、正社員化の推進

<個々の能力が最大限発揮される環境整備(⇒良質な雇用の実現)>

・外部労働市場におけるマッチング機能強化などによる人材の最適配置

長時間労働の抑制と「多様で柔軟な働き方」の推進

・働きやすい職場環境づくり(公正な処遇、安全衛生管理、ハラスメント対策)

2.産業・地域の課題に対する積極的な雇用政策

(1)人材不足分野における対策

「建設業」「運輸・郵便業」「医療・福祉」などにおいては、パートタイム労働者のみならず、正社員等の不足感が強まっている。こうした分野における人材確保対策は、単にこれらの分野の産業施策にとどまらず、社会インフラの維持や安定した経済成長のためにも重要。

【必要な政策】

・労働条件や労働環境などの改善のための、行政と業界団体などとの連携

・人材不足を好機と捉え、省力化の取組を通じた技術革新

・個別分野(介護・保育・看護・建設・運輸など)の状況に応じた人材確保、労働環境改善、定着促進などの支援

(2)地域雇用対策

政府全体で地方創生に向けた対策に取り組んでいる中、地域雇用対策については、これまでの「地域間の雇用機会の格差対策」という観点にとどまらず、「人口減少対策」を念頭において実施する必要があり、「人の生活を支える」という視点が重要。

【必要な政策】

・若年層(進学・就職)、働き盛りの層、シニア層など、それぞれの年齢層に合わせた都市圏から地方への人材還流施策と人材育成施

・今年度に創設された「地方における企業拠点の強化を促進する税制措置」の活用、地域における「働き方改革」の推進などによる良質な雇用 の創出

・国、地方自治体および民間企業やNPOなど地域の関係者の連携

・人口構造や産業集積状況などの地域特性に応じた施策の推進

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000095624.html

2015.09.10

職場におけるメンタルヘルス対策等の健康づくりについて

労働安全衛生法の改正による平成27年12月から施行のストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげる取組となっています。

■ストレスチェック制度の概要

平成26年6月25日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度が創設されました。

◎ストレスチェックとは?

「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。

労働者が50人以上いる事業所では、本年12月から毎年1回、この検査を全ての労働者(※注)に対して実施することが義務化されました。なお、50人未満の事業所は、当分の間努力義務となります。

(※注)契約期間が1年未満の労働者や労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外です。

◎何のために行うのか?

労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。

◎いつまでに何をやればいいのか?

ストレスチェック制度(準備から事後措置まで)は、以下の手順で進めていきます。平成27年12月1日から

平成28年11月30日までの間に、全ての労働者に対して1 回目のストレスチェックを実施しなければなりません。

※ストレスチェックと面接指導の実施状況は、毎年、労働基準監督署に所定の様式で報告する必要があります。

◎報告書のポイント

1.ストレスチェックの実施について

・ストレスチェックの実施者となれる者は、医師、保健師のほか、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士とする。

・ストレスチェックの調査票は、「仕事のストレス要因」、「心身のストレス反応」及び「周囲のサポート」の3領域を全て含むものとする。具体的な項目数や内容は、事業者自ら選定可能だが、国が推奨する調査票は「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」とする。

2.集団分析の努力義務化

・職場の一定規模の集団(部、課など)ごとのストレス状況を分析し、その結果を踏まえて職場環境を改善することを努力義務とする。

3.労働者に対する不利益取扱いの防止について

・ストレスチェックを受けない者、事業者への結果提供に同意しない者、面接指導を申し出ない者に対する不利益取扱いや、面接指導の結果を理由とした解雇、雇止め、退職勧奨、不当な配転・職位変更等を禁止する。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/

2015.09.01

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部改正

中小企業における経営の承継をより円滑化するため、後継者が贈与を受けた株式等を関係者の合意により遺留分の算定の対象から除外等する制度において、後継者の範囲を拡大するとともに、小規模企業共済制度において親族が事業を承継した場合に共済金の支給額を引き上げる等の措置が講じられます。

■中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律の概要

Ⅰ.中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の一部改正

1.遺留分特例制度の親族外への拡充

(1)旧代表者の推定相続人及び後継者は、その全員の合意をもって、書面により、後継者が当該旧代表者からの贈与等により取得した特例中小企業者の株式等の全部又は一部について、その価額を遺留分算定のための財産の価額に算入しない旨等の定めをすることができる。

(2)(1)の合意をする際に、併せて、その全員の合意をもって、書面により、後継者が当該旧代表者からの贈与等により取得した株式等以外の財産の全部又は一部について、その価額を遺留分算定のための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができる。

(3)推定相続人と後継者との間の衡平を図るための措置等に関する定めをする場合には、書面によってしなければならず、また、この合意として、後継者以外の推定相続人が旧代表者からの贈与等により取得した財産の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができる。

2.指導及び助言

独立行政法人中小企業基盤整備機構は、中小企業者の経営の承継の円滑化を図るため、旧代表者、後継者その他その経営に従事する者に対して、その経営の承継の円滑化に関し必要な助言を行う。

Ⅱ.小規模企業共済法の一部改正

1.共済事由の引上げ

(1)個人たる小規模企業者としての地位において締結した共済契約に係る共済契約者が、その配偶者又は子に対し事業の全部を譲り渡したときの共済事由を引き上げる。

(2)会社等の役員たる小規模企業者としての地位において締結した共済契約に係る共済契約者にあっては、65歳以上でその会社等の役員でなくなったときの共済事由を引き上げる。

2.小規模企業共済制度の利便性の向上

(1)共済契約の申込みに際して添えなければならない申込金を廃止する。

(2)共済契約者からの掛金月額の減少の要件を廃止する。

(3)分割払の方法による共済金の支給月数を変更する。

(4)共済金の支給を受けるべき遺族を追加する。

(5)その他、契約の解除の例外の追加及び掛金納付月額の通算に係る措置を講ずる。

Ⅲ.独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部改正

中小企業者の経営の承継の円滑化に関し必要な助言を行う業務を追加する等の措置を講ずる。

Ⅳ.施行期日

この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[参議院]

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/189/meisai/m18903189061.htm

2015.09.01

都道府県の地域別最低賃金改定額の答申について

平成27年度の地域別最低賃金は、中央最低賃金審議会(厚生労働大臣の諮問機関)が7月29日に示した答申「平成27年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考とし、地方最低賃金審議会において、地域別最低賃金改定額の調査・審議が行われ、この程答申されました。

■平成27年度地域別最低賃金額答申概要

都道府県労働局に設置されているすべての地方最低賃金審議会は、8月24日までに、平成27年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)を答申しました。

答申された改定額は、各都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経て正式に決定され、10月1日から10月下旬までに順次発効される予定です。

【平成27年度地域別最低賃金額答申状況のポイント】

・改定額の全国加重平均額は798 円(昨年度780 円、18 円の引上げ)。

・全国加重平均額18 円の引上げは、最低賃金額が時給のみで示されるようになった平成14 年度以降、最大の引上げ(昨年度は16 円)。

・最高額(東京都907 円)と最低額(鳥取県等4県693 円)の比率は、76.4%(昨年度は76.2%。なお、この比率が改善したのは平成15 年度以来)。

【平成27年度 地域別最低賃金額答申状況】単位:円

※1 括弧書きは、平成26年度地域別最低賃金額。

※2 「発効予定年月日」欄の日付は異議審がない場合の最短のもの。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000095389.html