2014.08月分アーカイブ |労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策について|「多様な正社員」の円滑な導入・運用のための提言|平成26年度の地域別最低賃金額の改定目安について|働きながら妊娠・出産・育児をされる方へ|8月1日から高年齢雇用継続給付等の支給限度額が変更!|マイナンバー法の省令が公布|改正パートタイム労働法に係わる省令について|休眠会社に対しみなし解散の公告が行われます

2014.08.21

労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策について

 平成26年1月~6月の労働災害発生状況(速報値)は、死亡者数は対前年比19.4%(71人)の増加、休業4日以上の死傷者数は対前年比3.6%(1,625人)の増加となったことから、厚労省は、この程、労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策を実施することを公表しました。

■緊急対策実施の概要

労働災害発生状況のポイント:平成26年1月~6月(速報値)

(1)死亡者数

・全産業における死亡者数は437人で前年同期に比べ71人、19.4%と大幅に増加。

・業種別で見ると、建設業(159人)、第三次産業(92人)、製造業(82人)、陸上 貨物運送事業(55人)の順で災害が多発。

(2)死傷者数

・全産業における死傷者数(休業4日以上)は47,288人で前年同期に比べ1,625人、3.6%増加。

・業種別で見ると、第三次産業(19,966人)、製造業(11,111人)、建設業(6,922人)、陸上貨物運送事業(5,889人)の順で災害が多発。

(3)業種ごとの労働災害発生状況

・製造業:機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」の死傷災害が大幅に増加(対前年同 期比5.4%増)

・建設業:屋根、足場、はしご・脚立などからの「墜落・転落」と建設機械などに「はさまれ・巻き込まれ」災害などによる死亡者が大幅増加(同28.2%増)

・陸上貨物運送事業:荷積み、荷下ろし時のトラックからの墜落をはじめとした「墜落・転落」の死傷 災害の増加(同5.6%増)

第三次産業(小売業、社会福祉施設、飲食店):転倒や無理な動作による腰痛などが多発

(4)増加要因

2月、3月の災害増加が顕著であることから、大雪の影響による交通労働災害や転倒災害の増加、消費税増税前の駆け込み需要に伴う生産活動や物流量の増加が大きな要因と考えられる。

◎具体的な取組

1.業界団体などに対する労働災害防止に向けた緊急要請

(1)産業界全体に対する企業の安全衛生活動の総点検の要請

労働災害防止団体、関係事業者団体、労働組合など(約250団体)に対して、以下の事項を厚生労働省労働基準局安全衛生部長名で要請。

ア) 経営トップの参加の下に職場の安全パトロールを実施するなど、職場内における安全衛生活動の総点検を実施すること

イ)安全管理者などを選任する必要がない事業場(第三次産業のほとんどの業種が該当)においても、安全の担当者(安全推進者)を配置するなど、事業場の安全管理体制を充実すること

ウ)雇入れ時教育を徹底するなど、効果的な安全衛生教育を実施すること

(2)労働災害が増加傾向にある業種に対する具体的な取組の要請

特に労働災害が増加している業種(製造業、建設業、陸上貨物運送事業、小売 業、社会福祉施設、飲食店)ごとに、以下の取組を確実に実施するよう要請。

・製造業:

製造業の中でも災害件数が多い食料品製造業を対象として、食品加工用機械による「はさまれ・巻き込まれ」、「切れ・こすれ」などの災害防止のための事業者自身による点検や対策ならびに新規雇入れ時教育の徹底及び暑熱時期の熱中症予防対策の徹底

・建設業:

「墜落・転落」と「はさまれ・巻き込まれ」による災害防止のための点検・対策の実施及び暑熱時期の熱中症予防対策の徹底

・陸上貨物運送事業:

災害が最も多いトラックからの「墜落」に的を絞り、業界団体の連携による トラックドライバーなどに対する周知啓発活動の展開及び平成25年3月に策定した「荷役作業の安全対策ガイドライン」の周知状況と取組実施状況(特に荷主との連絡調整などの状況など)についての事業者自身による点検や対策の実施

第三次産業(小売業、社会福祉施設、飲食店):

危険に対する「気づき」を促し、安全意識を高めるため、各職場における安全活動の活性化[危険予知(KY)活動、職場内の危険マップ作り]の促進と、「安全推進者(=安全の担当者)」の配置及び社会福祉施設に対する腰痛予防対策の周知・啓発

2.都道府県労働局、労働基準監督署による指導

都道府県労働局、労働基準監督署において、労働災害防止団体などと連携した安全パトロールを実施。また、上記1(2)で事業場が自ら実施した安全点検の結果などを踏まえ、集団指導、個別指導による改善指導などを実施。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000053429.html

2014.08.21

「多様な正社員」の円滑な導入・運用のための提言

 平成25年6月に閣議決定された「日本再興戦略」などを踏まえ、有識者懇談会において「多様な正社員」の雇用管理をめぐる課題について検討されてきましたが、この程、企業における多様な正社員の円滑な導入、運用のための労使の効果的な取組をまとめた提言が公表されました。

有識者懇談会の提言概要

1.多様な正社員の効果的な活用が期待できるケース

(1)勤務地限定正社員の活用が期待できるケース

・育児や介護の事情で転勤が難しい者などについて、就業機会の付与と継続を可能とする。

・有期契約労働者の多い業種において、改正労働契約法に基づく有期契約労働者からの無期転換の受皿として活用できる。

(2)職務限定正社員の活用が期待できるケース

・金融、ITなどで特定の職能について高度専門的なキャリア形成が必要な職務において、プロフェッショナルとしてキャリア展開していく働き方として活用できる。

・高度な専門性を伴わない職務に限定する場合、職務の範囲に一定の幅を持たせた方が円滑な事業運営に資する。

(3)勤務時間限定正社員の活用が期待できるケース

・育児や介護の事情で長時間労働が難しい者などについて、就業機会の付与と継続を可能とする。

・労働者がキャリア・アップに必要な能力を習得する際に、自己啓発のための時間を確保できる働き方として活用できる。

2.労働者に対する限定の内容の明示

・労働契約法第4条の書面による労働契約の内容の確認の対象としては、職務や勤務地の限定も含まれる。

3.事業所閉鎖や職務の廃止などへの対応

(1)整理解雇

・勤務地や職務が限定されていても、事業所閉鎖や職務廃止の際に直ちに解雇が有効となるわけではなく、整理解雇法理(4要件・4要素)を否定する裁判例はない。

・解雇の有効性は、人事権の行使や労働者の期待に応じて判断される傾向がある。

(2)能力不足解雇

・多様な正社員についても、能力不足を理由に直ちに解雇することが認められるわけではなく、高度な専門性を伴わない職務限定では、改善の機会を付与するための警告に加え、教育訓練、配置転換、降格などが求められる傾向がみられる。

4.転換制度

非正規雇用の労働者から多様な正社員への転換>

非正規雇用の労働者の希望に応じて、雇用の安定を図りつつ勤続に応じた職業能力開発の機会や処遇が得られるよう、多様な正社員への転換制度(社内のルール)を設けることが望ましい。

<いわゆる正社員と多様な正社員の間の転換>

・労働者のワーク・ライフ・バランスの実現などのため、いわゆる正社員から多様な正社員へ転換できることが望ましい。他方、キャリア形成への影響やモチベーション維持のため、いわゆる正社員への再転換ができることが望ましい。

・労働契約法第3条第3項の「仕事と生活の調和への配慮」に、多様な正社員への転換制度も含まれる。

5.均衡処遇

・多様な正社員といわゆる正社員との双方に不公平感を与えず、また、モチベーションを維持するため、多様な正社員といわゆる正社員の間の処遇の均衡を図ることが望ましい。

・労働契約法第3条第2項の「就業の実態に応じた均衡の配慮」には、多様な正社員といわゆる正社員 との間の均衡処遇も含まれる。

6.いわゆる正社員の働き方の見直し

・多様な正社員の働き方を選びやすくするため、所定外労働、転勤や配置転換の必要性や期間などの見直しなど、いわゆる正社員の働き方を見直すことが望ましい。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000052513.html

2014.08.11

平成26年度の地域別最低賃金額の改定目安について

  中央最低賃金審議会で、平成26年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられ、その内容が公表されました。

それによりますと、目安はAランク19円、Bランク15円、Cランク14円、Dランク13円で全国加重平均が16円となっています。

■答申のポイント

(1)各都道府県のランクの目安については、以下の表のとおりとなります。

ランクごとの引上げ額は、Aランク19円、Bランク15円、Cランク14円、Dランク13円

(昨年は、Aランク19円、Bランク12円、C・Dランク10円)。

ランク 都 道 府 県
A 千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
B 茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島
C 北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡
D 青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

(2)生活保護水準(※注)と最低賃金との乖離額については、以下の図表のとおりであり、今後の最低賃金生活保護水準の比較についても、引き続き比較時点における最新のデータに基づいて行うことが適当。

※注平成20年度の答申の公益委員見解に基づき、対象地域の生活扶助基準(1類費+2類費+期末一時扶助費)の人口加重平均に住宅扶助の実績値を加えた額

最低賃金額が生活保護水準を下回っている地域の乖離額

都道府県 平成24年度データに

基づく乖離額

(A)

平成25年度地域別

最低賃金引上げ額

(B)

残された乖離額

(C)

(=A-B)

北海道 26円 15円 11円
宮城 12円 11円 1円
東京 20円 19円 1円
兵庫 13円 12円 1円
広島 18円 14円 4円

今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。

なお、今年度の目安が示した引上げ額の全国加重平均は16円(昨年度は14円) となり、目安額どおりに最低賃金が決定されれば、生活保護水準と最低賃金との乖離額は全都道府県で解消 される見込みです。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000052740.html

2014.08.11

働きながら妊娠・出産・育児をされる方へ

 男女雇用機会均等法は、妊娠・出産・産休・育休などを理由とする解雇、不利益な異動、減給、降格などの不利益な取扱いを禁止しています。厚生労働省では、先頃、働きながら妊娠・出産・育児をする女性労働者保護の観点から「職場でつらい思い、していませんか?」と題したリーフレットを作成して啓発運動を進めています。

■妊娠・出産・育児をしながら働く女性のための制度

◎産前休業の原則

出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、請求すれば取得できます。

◎産後休業の原則

出産の翌日から8週間は、就業できません。産後6週間を過ぎた後、本人が請求し、医師が認めた場合は就業できます。

◎育児休業の原則

1歳に満たない子どもを養育する男女労働者は、会社に申し出ることにより、子どもが1歳になるまでの間で希望する期間、育児のために休業できます。

<育児休業を取得できる人の範囲>

1.期間の定めのある労働契約で働く方は、申出時点において以下の 要件を満たすことが必要です。

(1)同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている

(2)子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる

(3)子どもの2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了し ており、かつ、契約が更新されないことが明らかでない

2.以下の要件に該当する場合は、育児休業を取得できません。

(対象外とする労使協定がある場合に限る)

(1)雇用された期間が1年未満

(2)1年以内に雇用関係が終了する

(3)週の所定労働日数が2日以下

3.日々雇用される方は育児休業を取得できません。

◎妊娠・出産・育児をしながら働く女性のための制度概要

厚生労働省が公表したリーフレット「職場でつらい思い、していませんか?」からご覧ください。

URL:http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/turai_omoi.pdf

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/index.html

2014.08.11

8月1日から高年齢雇用継続給付等の支給限度額が変更!

 毎月勤労統計の平均定期給与額の増減をもとに、毎年8月1日に行われる賃金日額の変更に伴い、高年齢雇用継続給付、育児休業給付及び介護休業給付の支給限度額も変更となりました。

■支給限度額の変更概要

◎高年齢雇用継続給付(平成26年8月以後の支給対象期間から変更)

・支給限度額:341,542円 ⇒ 340,761円

支給対象月に支払いを受けた賃金の額が支給限度額(340,761円)以上であるときには、高年齢雇用継続給付は支給されません。

また、支給対象月に支払いを受けた賃金額と高年齢雇用継続給付として算定された額の合計が支給限度額を超えるときは、340,761円-(支給対象月に支払われた賃金額)が支給額となります。

・最低限度額:1,848円 ⇒ 1,840円

高年齢雇用継続給付として算定された額がこの額を超えない場合は、支給されません。

・60歳到達時等の賃金月額

上限額:448,200円 ⇒ 447,300円

下限額: 69,300円 ⇒  69,000円

60歳到達時の賃金が上限額以上(下限額未満)の方については、賃金日額ではなく、上限額(下限額)を用いて支給額を算定します。

◎育児休業給付(初日が平成26 年8月1日以後である支給対象期間から変更)

支給限度額:上限額(支給率67%)286,023円 ⇒ 285,420円

上限額(支給率50%)213,450円 ⇒ 213,000円

注1:育児休業基本給付金は、育児休業を開始した日の前日を離職日とみなして算定される賃金日額に30を乗じて得た額(賃金月額)に当分の間は50%、休業日数が通算して180日に達する日までの間67%、181日目以降は50%の給付率に相当する額が、原則として支給額となります。

注2:賃金月額の上限額は、30歳以上45歳未満の賃金日額上限額(14,200円)×30と決められています。

◎介護休業給付(初日が平成26 年8月1日以後である支給対象期間から変更)

支給限度額:上限額 170,760円 ⇒ 170,400円

注1:介護休業給付金は、介護休業を開始した日の前日を離職日とみなして算定される賃金日額に30を乗じて得た額(賃金月額)の40%に相当する額が、原則として支給対象となります。

注2:賃金月額の上限額は、30歳以上45歳未満の賃金日額上限額(14,200円)×30と決められています。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000051316.pdf

2014.08.04

マイナンバー法の省令が公布

  行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会の実現を目指す社会基盤としてのマイナンバー制度は、平成28年1月から運用が開始されます。本制度の稼働へ向けて準備が進められていますが、この程、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則が公布されました。

■施行規則公布後のマイナンバー取り扱いに係るFAQについて

下記は、社会保障・税番号制度サイトで公表されているFAQの一部を抜粋して紹介しています。今般、施行規則が公布されたことにより当該FAQも更新されています。

民間事業者もマイナンバー(個人番号)を取り扱うのですか?
民間事業者でも、従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得し、給与所得の源泉徴収票社会保険の被保険者資格取得届などに記載して、行政機関などに提出する必要があります。また、証券会社や保険会社が作成する支払調書、原稿料の支払調書などにもマイナンバーを記載する必要があります。

マイナンバー(個人番号)を記載する必要のある帳票(調書・届出書類)は、いつ頃決まりますか?
社会保障国税地方税、防災の各事務に係る関係省令によって、詳細が規定されます。

国税に関する財務省令は平成26年7月、それ以外の関係省令も平成26年秋頃までに公布される見込みです。

マイナンバー(個人番号)を使って、従業員や顧客の情報を管理することはできますか?
マイナンバーは、法律や条例で定められた社会保障、税、災害対策の手続き以外で利用することはできません。これらの手続きに必要な場合を除き、民間事業者が従業員や顧客などにマイナンバーの提供を求めたり、マイナンバーを含む個人情報を収集し、保管したりすることもできません。

法律や条例で定められた手続き以外の事務でも、個人番号カードを身分証明書として顧客の本人確認を行うことができますが、その場合は、個人番号カードの裏面に記載されたマイナンバーを書き写したり、コピーを取ったりすることはできません。

従業員などのマイナンバー(個人番号)は、いつまでに取得する必要がありますか?
マイナンバーを記載した法定調書などを行政機関などに提出する時までに取得すればよく、必ずしも平成28年1月のマイナンバーの利用開始に合わせて取得する必要はありません。

例えば、給与所得の源泉徴収票であれば、平成28年1月の給与支払いから適用され、中途退職者を除き、平成29年1月末までに提出する源泉徴収票からマイナンバーを記載する必要があります。

従業員や金融機関の顧客などからマイナンバー(個人番号)を取得する際は、どのような手続きが必要ですか?
マイナンバーを取得する際は、本人に利用目的を明示するとともに、他人へのなりすましを防止するために厳格な本人確認を行ってください。

従業員などのマイナンバー(個人番号)を取得する際は、利用目的を明示しなければならないのですか。番号法のどこに規定されていますか?
番号法に特段の規定がない限り、マイナンバーを含む特定個人情報にも個人情報保護法が適用されるので、同法第18条に基づき、マイナンバーを取得するときは、利用目的を本人に通知又は公表しなければなりません。なお、複数の利用目的をまとめて明示することは可能ですが、利用目的を後から追加することはできません。

源泉徴収のために取得した従業員のマイナンバー(個人番号)を社会保険の手続で利用するなど、ある個人番号関係事務のために取得した特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)を別の個人番号関係事務に利用することはできますか?
マイナンバーを含む特定個人情報については、番号法第29条第3項により読み替えられた個人情報保護法第16条が適用されるため、本人の同意の有無にかかわらず、利用目的の達成に必要な範囲を超えて利用することはできません。

このため、源泉徴収のために取得したマイナンバーは源泉徴収に関する事務に必要な限度でのみ利用が可能です。なお、従業員からマイナンバーを取得する際に、源泉徴収や健康保険の手続きなど、マイナンバーを利用する事務・利用目的を包括的に明示して取得し、利用することは差し支えありません。

従業員などのマイナンバー(個人番号)を取得するときは、どのように本人確認を行えばよいのでしょうか。また、対面以外の方法(郵送、オンライン、電話)でマイナンバーを取得する場合はどのように本人確認を行えばよいのでしょうか。
マイナンバーを取得する際は、正しい番号であることの確認(番号確認)と現に手続きを行っている者が番号の正しい持ち主であることの確認(身元確認)が必要であり、原則として、

(1)個人番号カード(番号確認と身元確認)

(2)通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)

(3)個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など(身元確認)

のいずれかの方法で確認する必要があります。

ただし、これらの方法が困難な場合は、過去に本人確認を行って作成したファイルで番号確認を行うことなども認められます。また、雇用関係にあることなどから本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用事務実施者が認めるときは身元確認を不要とすることも認められます。

また、対面だけでなく、郵送、オンライン、電話によりマイナンバーを取得する場合にも、同様に番号確認と身元確認が必要となります。

番号法と個人情報保護法は、どのような関係になるのですか?
特定個人情報も個人情報の一部なので、原則として個人情報保護法が適用されます。

さらに特定個人情報は、マイナンバーによって名寄せなどが行われるリスクがあることから、個人情報保護法よりも厳しい保護措置を番号法で上乗せしています。

また、番号法の保護措置は、個人情報保護法が適用されない小規模な事業者にも適用されます。

他人のマイナンバー(個人番号)を収集してはいけないのですか?
社会保障、税、災害対策の手続きに必要な場合など、番号法第19条で定められている場合を除き、他人(自己と同一の世帯に属さない者)のマイナンバーの提供を求めたり、他人(同左)のマイナンバーを含む特定個人情報を収集し、保管したりすることは、本人の同意があっても、禁止されています。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[内閣官房]

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/index.html

2014.08.04

改正パートタイム労働法に係わる省令について

  本年4月に成立した改正パートタイム労働法を受け、関連する省令及び指針案が労働政策審議会から答申され、厚労省では省令等の作業を進めてきました。そして、7月24日、通勤手当を一律に均衡確保の努力義務の対象とすること等を盛り込んだ省令及び告示が公布されました。

■改正パートタイム労働法のポイント

1.正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大

正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者については、これまで、(1) 職務内容が正社員と同一、(2) 人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一、(3) 無期労働契約を締結しているパートタイム労働者であることとされていました。

改正後は、(1)、(2) に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止されます。

2.「短時間労働者の待遇の原則」の新設

事業主が、雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとする、広く全ての短時間労働者を対象とした待遇の原則の規定が創設されます。

改正後は、パートタイム労働者の待遇に関するこうした一般的な考え方も念頭に、パートタイム労働者の雇用管理の改善を図っていくこととなります。

3.パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設

事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければならないこととなります。

4.パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務の新設

事業主は、パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととなります。

5.施行日

平成27年4月1日

厚生労働省令及び告示ついて

労働政策審議会から答申された省令・告示案要綱案に基づき、厚労省は、7月24日付官報で改正省令及び改正告示を公布しました。

◎短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令

(平成26年7月24日厚生労働省令第八十五号)

・短時間労働者に対して明示しなければならない労働条件に関する事項に「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」が追加されました。

通勤手当のうち「職務の内容に密接に関連して支払われるもの」については、均衡確保の努力義務の対象となる賃金に含まれるものとされました。

◎事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針の一部改正

(平成26年7月24日厚生労働省告示第293号)

・事業主は、短時間労働者が、待遇の決定に当たって考慮した事項の説明を求めたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないこと。また、短時間労働者が、不利益な取扱いをおそれて、当該説明を求めることができないことがないようにすること。

・短時間労働者が、親族の葬儀等のために勤務しなかったことを理由として解雇等が行われることは適当でないものであること。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1o.html

2014.08.04

休眠会社に対しみなし解散の公告が行われます

  法務省は、全国の法務局において、平成26年度に休眠会社・休眠一般法人の整理作業を行う旨、公表しています。 休眠会社又は休眠一般法人について、法務大臣による公告及び登記所からの通知を行い、公告から2か月以内に 事業を廃止していない旨の届出又は役員変更等の登記をしない場合には、みなし解散の登記が行われます。

◎休眠会社・休眠一般法人とは

(1)最後の登記から12年を経過している株式会社(会社法第472条の休眠会社。特例有限会社は含まれません。)

(2)最後の登記から5年を経過している一般社団法人又は一般財団法人(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条又は第203条の休眠一般社団法人又は休眠一般財団法人で、公益社団法人又は公益財団法人を含みます。併せて「休眠一般法人」といいます。)をいいます。

12年以内又は5年以内に登記事項証明書や代表者の届出印の印鑑証明書の交付を受けていたかどうかは、当該みなし解散手続きには関係しません。

平成26年11月17日(月)の時点で(1)又は(2)に該当する会社等は、平成27年1月19日(月)までに「まだ事業を廃止していない」旨の届出又は登記(役員変更等の登記)の申請をしない限り、解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をしますので、注意が必要です。

法務大臣による公告と登記所からの通知について

平成26年11月17日(月)付けで、法務大臣による官報公告(休眠会社又は休眠一般法人は、2か月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出がなく、登記もされないときは、解散したものとみなされる旨の公告)が行われます。

また、対象となる休眠会社・休眠一般法人に対しては、管轄の登記所から、法務大臣による公告が行われた旨の通知が発送されます。

登記所からの通知が何らかの理由で届かない場合であっても、平成27年1月19日(月)まで(公告から2か月以内)に「まだ事業を廃止していない」旨の届出又は役員変更等の登記をしない場合には、みなし解散の登記をする手続が進められますので、注意が必要です。

◎「まだ事業を廃止していない」旨の届出について

まだ事業を廃止していない休眠会社又は休眠一般法人は、平成27年1月19日(月)までに「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要があります。届出は、登記所からの通知書を利用して、所定の事項を記載し、登記所に郵送又は持参する必要があります。

通知書を利用しない場合には、書面に次の事項を記載し、登記所に提出済みの代表者印を押印して、提出する必要があります。なお、代理人によって届出をするときは、委任状を添付する必要があります。

(1)商号、本店並びに代表者の氏名及び住所⇒休眠会社の場合

名称、主たる事務所並びに代表者の氏名及び住所⇒休眠一般法人の場合

(2)代理人によって届出をするときは、その氏名及び住所

(3)まだ事業を廃止していない旨

(4)届出の年月日

(5)登記所の表示⇒本店又は主たる事務所の管轄登記所

◎みなし解散の登記について

平成27年1月19日(月)までに「まだ事業を廃止していない」旨の届出がなく、役員変更等の登記も申請されなかった休眠会社又は休眠一般法人については、平成27年1月20日(火)付けで解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします。

なお、みなし解散の登記後3年以内に限り、

(1)解散したものとみなされた株式会社は、株主総会の特別決議によって、株式会社を継続

(2)解散したものとみなされた一般社団法人又は一般財団法人は、社員総会の特別決議又は評議員会の特別決議によって、法人を継続することができます。

継続の決議をしたときは、2週間以内に継続の登記の申請をする必要があります。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[法務省]

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00082.html