「民泊サービス」のあり方に関する検討会の最終報告書

厚生労働省及び観光庁は、この程「民泊サービス」のあり方について最終報告書を取りまとめ公表しました。最終報告書においては、これまでの現行制度の枠組みの中での民泊への対応や今後のホテル・旅館に対する規制等の見直しにも言及した上で、民泊のあり方について基本的な考え方に従った制度設計が示されています。

■最終報告書の概要

Ⅰ.検討に当たっての基本的な視点と主な論点等

検討会では、以下の3点を「基本的な視点」として掲げ検討。

(1)衛生管理面、テロ等悪用防止の観点から宿泊者の把握を含む管理機能が確保され、安全性が確保されること。

(2)地域住民とのトラブル防止、宿泊者とのトラブル防止に留意すべきこと。

(3)観光立国を推進するため、急増する訪日外国人観光客の宿泊需要や、空きキャパシティの有効活用等地域活性化などの要請に応えること。

その上で、検討に当たっては、旅館・ホテルとの競争条件、地域ごとの宿泊需給の状況、規制内容や方法に対応した自治体の体制等に留意しつつ、民泊の必要性・位置付け、民泊と旅館業法等関連法令との関係、仲介事業者の位置付け・役割、仲介事業者と旅行業法との関係等を論点として検討。

Ⅱ.これまでの対応策-現行制度の枠組みの中での対応-

・本来必要な旅館業法の許可を得ていない違法な民泊が広がっているため、この状況に早急に対応する必要がある。

・旅館業法施行令が改正され、簡易宿所営業の客室延床面積の基準について、33㎡以上とされていたところ、宿泊者数を10人未満とする場合には、宿泊者数に応じた面積基準(3.3㎡×宿泊者数以上)とするよう緩和された(本年4月1日施行)。

厚生労働省の通知が改正され、簡易宿所営業において宿泊者数を10人未満とする場合には、宿泊者の本人確認や緊急時の対応体制など一定の管理体制が確保されることを条件として、玄関帳場の設置を要しないこととされた(本年4月1日施行)。

・民泊を行う場合においても、反復継続して、宿泊料とみなすことができる対価を得て人を宿泊させる場合には、原則として、旅館業法の許可を取得することが必要であることや上記の簡易宿所営業における基準緩和措置の内容を分かりやすく取りまとめたQ&Aが厚生労働省において作成され、本年4月1日に各自治体に通知されるとともに、厚生労働省のホームページに掲載。

[Q&A]http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000111008.html

厚生労働省観光庁連名で、海外の民泊仲介サイトの運営事業者に対し、文書により、民泊サービスの適正な実施を図る観点から、民泊を反復・継続して有償で行う場合には原則として旅館業法の許可が必要であることの周知、簡易宿所の営業許可基準の緩和措置を踏まえた許可取得についての登録ホスト等への呼びかけなどが要請。

Ⅲ.民泊の制度設計のあり方について

・民泊について、急増する訪日外国人観光客の宿泊需要に対応するための宿泊施設の供給という観点、地域の人口減少や都市の空洞化により増加している空き家の有効活用といった地域活性化の観点、日本の暮らしや文化を体験したいといった多様な宿泊ニーズに対応した宿泊サービスの提供という観点など様々な観点から、その必要性(ニーズ)を指摘。

・民泊に対するこうした様々なニーズに応えつつ、宿泊者の安全性の確保、近隣住民とのトラブル防止などが適切に図られるよう、旅館業法等の現行制度における規制のあり方を見直しつつ、仲介事業者等に対する規制を含めた制度体系を構築すべきこと。

・適切な規制の下でニーズに応えた民泊を推進することができるよう、以下の枠組みにより、類型別に規制体系を構築することとし、早急に法整備に取り組むべきである。

(1)制度目的

民泊の健全な普及、多様化する宿泊ニーズや逼迫する宿泊需給への対応、空き家の有効活用など

(2)制度の対象とする民泊の位置付け

住宅を活用した宿泊サービスの提供と位置付け、住宅を1日単位で利用者に利用させるもので、「一定の要件」の範囲内で、有償かつ反復継続するものとする。「一定の要件」を超えて実施されるものは、新たな制度枠組みの対象外であり、旅館業法に基づく営業許可が必要である。

(3)制度枠組みの基本的な考え方

「家主居住型」と「家主不在型」に区別した上で、住宅提供者、管理者、仲介事業者に対する適切な規制を課し、適正な管理や安全面・衛生面を確保しつつ、行政が、住宅を提供して実施する民泊を把握できる仕組みを構築する。

(4)法体系

この枠組みで提供されるものは住宅を活用した宿泊サービスであり、ホテル・旅館を対象とする既存の旅館業法とは別の法制度として整備することが適当である。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000128272.html