「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定

 厚生労働省から、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定したとの公表がありました。このガイドラインの改定により、副業・兼業の場合における労働時間管理及び健康管理についてルールが明確化されます。
労働時間管理については、労働者からの自己申告に基づいて、企業が本業と副業の労働時間を通算して管理することを原則としていますが、新たに、企業の負担に配慮した管理モデル(簡便な労働時間管理の方法)が示されています。

<管理モデルの枠組み>
 管理モデルは、副業・兼業の開始前に、当該副業・兼業を行う労働者と時間的に先に労働契約を締結していた使用者(以下「使用者A」という。)の事業場における法定外労働時間と、時間的に後から労働契約を締結した使用者(以下「使用者B」という。)の事業場における労働時間(所定労働時間及び所定外労働時間)を合計した時間数が単月100時間未満、複数月平均80時間以内となる範囲内において、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定し、各々の使用者がそれぞれその範囲内で労働させることとするものであること。

 また、使用者Aは自らの事業場における法定外労働時間の労働について、使用者Bは自らの事業場における労働時間の労働について、それぞれ自らの事業場における36協定の延長時間の範囲内とし、割増賃金を支払うこととするものであること。

 これにより、使用者A及び使用者Bは、副業・兼業の開始後においては、それぞれあらかじめ設定した労働時間の範囲内で労働させる限り、他の使用者の事業場における実労働時間の把握を要することなく労基法を遵守することが可能となるものであること。


<管理モデルの実施>
a 導入手順
 副業・兼業に関する企業の事例において、労務管理上の便宜や労働者の健康確保等のため、副業・兼業の開始前に、あらかじめ使用者が他の使用者の事業場における労働時間や通算した労働時間について上限を設定し、労働者にその範囲内で副業・兼業を行うことを求めている事例がみられる。

 管理モデルについても、一般的には、副業・兼業を行おうとする労働者に対して使用者Aが管理モデルにより副業・兼業を行うことを求め、労働者及び労働者を通じて使用者Bがこれに応じることによって導入されることが想定される。

b 労働時間の上限の設定
 使用者Aの事業場における1か月の法定外労働時間と使用者Bの事業場における1か月の労働時間とを合計した時間数が単月 100 時間未満、複数月平均 80 時間以内となる範囲内において、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定する。

 月の労働時間の起算日が、使用者Aの事業場と使用者Bの事業場とで異なる場合には、各々の使用者は、各々の事業場の労働時間制度における起算日を基に、そこから起算した1か月における労働時間の上限をそれぞれ設定することとして差し支えない。

c 時間外労働の割増賃金の取扱い
 使用者Aは自らの事業場における法定外労働時間の労働について、使用者Bは自らの事業場における労働時間の労働について、それぞれ割増賃金を支払う。

 使用者Aが、法定外労働時間に加え、所定外労働時間についても割増賃金を支払うこととしている場合には、使用者Aは、自らの事業場における所定外労働時間の労働について割増賃金を支払うこととなる。

 時間外労働の割増賃金の率は、自らの事業場における就業規則等で定められた率(2割5分以上の率。ただし、使用者Aの事業場における法定外労働時間の上限に使用者Bの事業場における労働時間を通算して、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分が1か月について60時間を超えた場合には、その超えた時間の労働のうち自らの事業場において労働させた時間については、5割以上の率。)とする。

<その他>
a 管理モデルの導入の際の労働時間の上限の設定において、使用者Aの事業場における1か月の法定外労働時間と使用者Bの事業場における1か月の労働時間とを合計した時間数を、80時間を超えるものとした場合には、翌月以降において複数月平均80時間未満となるように労働時間の上限の設定を調整する必要が生じ得る。

 このため、労働時間の申告等や通算管理における労使双方の手続上の負担を軽減し、労基法に定める最低労働条件が遵守されやすくするという管理モデルの趣旨に鑑み、そのような労働時間を調整する必要が生じないように、各々の使用者と労働者との合意により労働時間の上限を設定することが望ましい。

b 管理モデルの導入後に、使用者Aにおいて導入時に設定した労働時間の上限を変更する必要が生じた場合には、あらかじめ労働者を通じて使用者Bに通知し、必要に応じて使用者Bにおいて設定した労働時間の上限を変更し、これを変更することは可能である。なお、変更を円滑に行うことができるよう、あらかじめ、変更があり得る旨を留保しておくことが望ましい。

c 労働者が事業主を異にする3以上の事業場で労働する場合についても、使用者Aの事業場における法定外労働時間、使用者Bの事業場における労働時間、更に時間的に後から労働契約を締結した使用者C等の事業場における労働時間について、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定し、各々の使用者がそれぞれその範囲内で労働させ、使用者Aは自らの事業場における法定外労働時間の労働について、使用者B及び使用者C等は自らの事業場における労働時間の労働について、それぞれ割増賃金を支払うことにより、管理モデルの導入が可能である。

d 管理モデルを導入した使用者が、あらかじめ設定した労働時間の範囲を逸脱して労働させたことによって、時間外労働の上限規制を超える等の労基法に抵触した状態が発生した場合には、当該逸脱して労働させた使用者が、労働時間通算に関する法違反を問われ得ることとなる。


同省では、企業も労働者も健康を確保しながら安心して副業・兼業を行うことができるよう、このガイドラインの周知を図っていくということです。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html

 

 

○お知らせ○

雇用調整助成金(判定基礎期間の初日が令和2年1月24日から6月30日までのもの)

の申請期限が令和2年9月30日までに延長されました。

申請がまだの方、申請代行先をお探しの方がいらっしゃいましたら、

お気軽に当法人までご連絡ください。迅速に対応いたします。

 

 

40県で最低賃金を引き上げ、答申での全国加重平均額は902円

 厚生労働省は、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が、本日までに答申した令和2年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」という。)を取りまとめました。改定額及び発効予定年月日は下記のとおりです。
 これは、7月22日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「令和2年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)」などを参考として、各地方最低賃金審議会で調査・審議した結果を取りまとめたものです。
 答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月上旬までの間に順次発効される予定です。

【令和2年度 地方最低賃金審議会の答申のポイント】
最低賃金の引上げを行ったのは40県で、1円~3円の引上げ
(引上げ額が1円は17県、2円は14県、3円は9県)
・改定後の全国加重平均額は902円(昨年度901円)
・最高額(1,013円)と最低額(792円)の金額差は、221円(昨年度は223円)
・最高額に対する最低額の比率は、78.2%(昨年度は78.0%)
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詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13061.html

 

○お知らせ○

雇用調整助成金(判定基礎期間の初日が令和2年1月24日から6月30日までのもの)

の申請期限が令和2年9月30日までに延長されました。

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労災保険の精神障害の認定基準にパワーハラスメントを明示

 厚生労働省では、労働者に発病した精神障害が業務上災害として労災認定できるかを判断するために、「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定めています。

認定基準では、発病前のおおむね6か月間に起きた業務による出来事について、強い心理的負荷が認められる場合に、認定要件の一つを満たすとなっています。

令和2年6月から改正労働施策総合推進法が施行され、パワーハラスメントの定義が法律上規定されたこと等を踏まえ、この認定基準の「業務による心理的負荷評価表」にパワーハラスメントを明示することとされました。
f:id:koyama-sharoushi:20200901083214j:plainパワーハラスメントの定義
職場におけるパワーハラスメントとは、職場において行われる以下の3つの要素を全て満たす言動とされます。
① 優越的な関係を背景とした言動であって、② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③ 就業環境が害されるもの
   

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/000661301.pdf

 

 

○お知らせ○

雇用調整助成金(判定基礎期間の初日が令和2年1月24日から6月30日までのもの)

の申請期限が令和2年9月30日までに延長されました。

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雇用調整助成金の支給申請期限が延長されました

雇用調整助成金及び緊急雇用安定助成金の支給申請について、

令和2年1月24日(※)から6月30日までに判定基礎期間の初がある休業等

については、令和2年9月30日まで申請ができるようになりました。

(※)緊急雇用安定助成金については、令和2年4月1日

 

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000662501.pdf

 

雇用調整助成金は「新型コロナウィルス感染症の影響」により、

「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、

従業員の雇用維持を図るために「労使間の協定」に基づき「休業」 を実施し、

従業員に対し「休業手当」を支給した事業主※が支給対象となります

(※休業を行ったが、給与を減額せずに通常通りの給与を支払った場合も含まれます)

 

「新型コロナウィルス感染症の影響」により休業を行い、

従業員の方に休業手当を支給された事業主のみなさま、

申請期限のご確認はよろしいでしょうか。

 

判定基礎期間の初日が令和2年1月24日から6月30日までの申請期限は、

令和2年9月30日までに延長されました。

期限に間に合わない為に申請を断念された方がいらっしゃいましたら、

再度ご検討されてはいかがでしょうか。

 

申請がまだの方、申請代行先をお探しの方がいらっしゃいましたら、

お気軽に当法人までご連絡ください。迅速に対応いたします。

職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリストが改定

 厚生労働省は、労使団体や業種別事業主団体などの経済団体に対し、改訂された「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」などを活用して職場における感染予防、健康管理の強化を図ることを、傘下団体などに向け周知するよう、再度協力を依頼しています。令和2年4月17日、5月14日に引き続き3回目となる協力依頼となりますが、今回は、新型コロナウイルス感染症対策分科会での提案を踏まえたものとなります。
 新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は全国的に増加傾向にあり、一部地域では感染拡大のスピードが増しているため、新型コロナウイルス感染症対策分科会において、新規感染者数を減少させるための迅速な対応として、事業者に対して、①集団感染(クラスター)の早期封じ込め、②基本的な感染予防の徹底が提案されています。

労務管理の基本的姿勢
 参考資料1の基本的対処方針の三の(3)の4)「職場への出勤等」及び6)「緊急事態宣言解除後の都道府県における取組等」の内容に基づき、職場における感染防止対策に取り組むこと。
 その際、労働者の理解や協力を得つつ、事業者が主体となり、これらの取組を実施していただくに当たって、特に、以下の(1)から(5)にご留意いただきたいこと。
 なお、新型コロナウイルス感染症への対応策については、新たな知見が得られるたびに充実しているところであるので、逐次厚生労働省ホームページの「新型コロナウイルス感染症について」を確認いただきたいこと。

(1)職場における感染防止の進め方
 職場における新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大を防止するためには、事業者、労働者それぞれが、職場内外での感染防止行動の徹底について正しい知識を持って、職場や職務の実態に即した対策に取り組んでいただくことが必要であること。

 このため、事業者においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に積極的に取り組む方針を定め、全ての労働者に伝えていただくとともに、労働者も取組の趣旨を踏まえて感染拡大防止に向けた一人一人の行動変容を心がけていただくことが重要であること。

 具体的には、①労働衛生管理体制の再確認、②換気の徹底等の作業環境管理、③職場の実態に応じた作業管理、④手洗いの励行など感染予防に関する基本的な知識も含めた労働衛生教育、⑤日々の体調管理等も含めた健康管理に留意して取組を実施いただきたいこと。

(2)テレワーク支援措置の活用
 テレワークについては、助成金やテレワーク相談センターにおける相談支援、労働時間管理の留意点等をまとめたガイドラインの作成等を行っており、こうした施策も活用いただきながら、取組を進めていただきたいこと。

(3)感染拡大を予防する新しい生活様式の定着
 今後、持続的な対策が必要になると見込まれることを踏まえ、全ての住民、事業者において、感染拡大を予防する新しい生活様式を定着させる必要があることに鑑み、新しい生活様式の趣旨や必要性について、専門家会議で示された参考資料2の「新しい生活様式(生活スタイル)の実践例」等を活用して労働者に周知を行っていただきたいこと。

 また、接触確認アプリ(COCOA)は、利用者が増加することで感染拡大防止につながることが期待されることから、別添1の「新型コロナウイルス接触確認アプリ」等を活用して労働者に周知を行うとともに、インストールを勧奨していただきたいこと。

(4)雇用調整助成金等を活用した休業の実施
 感染拡大を防ぐため、労働者を休業させるときには、労使がよく話し合って労働者の不利益の回避に努めていただきたいこと。なお、緊急事態宣言や要請などがある場合でも、一律に労働基準法第26条の休業手当の支払義務がなくなるものではないことにご留意いただきたいこと。

 また、同法に基づく休業手当の支払の要否にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業者が、労働者を休業させ、事業主がその分の休業手当を支払った場合、雇用調整助成金の対象になり得ることも踏まえ、労使が協力して、労働者を安心して休ませることができる体制を整えていただきたいこと。

 雇用調整助成金については、緊急対応期間(令和2年4月1日~9月30日)において助成額の上限を引き上げ、解雇等を行わない企業に対して助成率を引き上げるとともに、雇用保険被保険者でない非正規雇用労働者も対象とする等の拡充を行っており、その活用を通じて休業を検討いただきたいこと。

 さらに、事務処理や資金繰りの面から、雇用調整助成金を活用して休業手当を支払えない中小企業の労働者の生活の安定のため、雇用保険被保険者でない非正規雇用労働者も含め、労働者本人が申請できる新型コロナウイルス感染症対応休業支援金制度を創設し、令和2年7月10日から受付を開始している。休業中の休業手当が支払われていない労働者にはその申請を検討いただくとともに、その申請書類には事業主が記載する部分もあることから、事業主においては適切に対応いただきたいこと。

(5)子どもの世話や家族の介護が必要な労働者のための有給の休暇制度の導入
 新型コロナウイルス感染症の影響により、子どもの世話や、家族の介護を行う必要が生じた労働者が、仕事と家庭を両立し、必要な場合に安心して休むことができるよう、労働基準法上の年次有給休暇とは別に、有給の休暇制度を導入していただきたいこと。
 有給の休暇制度の導入にあたっては、小学校等が臨時休業した場合等に子の保護者である労働者に有給の休暇を取得させた事業主への助成制度(※1)や、家族の介護が必要な労働者に有給の休暇を取得させた事業主への助成制度(※2)を創設しており、こうした施策を積極的に活用していただきたいこと。

※1 小学校休業等対応助成金
小学校等の臨時休業等に伴い、子どもの世話を行うため仕事を休まざるを得ない保護者を支援し、子どもたちの健康、安全を確保するための対策として、正規・非正規を問わず、有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主に対して、休暇中に支払った賃金相当額(※)を支給する制度。既に年次有給休暇や欠勤などで対応した場合に、事後的に特別休暇に振り替えた場合も支給対象。(参考資料3)
※1日当たり8,330円(4月1日以降に取得した休暇については15,000円)が支給上限。

※2 両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)の新型コロナウイルス感染症対応特例
新型コロナウイルス感染症への対応として法定の介護休業とは別に介護のための有給の休暇(所定労働日で20日以上)を設け、仕事と介護の両立支援制度の内容を含めて社内に周知し、当該休暇を合計5日以上労働者に取得させた中小企業事業主に助成をする制度。既に年次有給休暇や欠勤などで対応した場合に、事後的に特別休暇に振り替えた場合も支給対象。(参考資料4)


2 職場における感染予防対策の徹底について
 職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、多くの関係団体では、業種ごとの感染拡大予防ガイドラインを作成し、その周知等に取り組んで来られたところであるが、新型コロナウイルス感染症対策分科会における提案を踏まえ、新規感染者数を減少させるための迅速な対応として、集団感染の早期封じ込めや基本的な感染予防対策の徹底に取り組む必要がある。

 このため、今般、集団感染発生事業場における要因分析等を踏まえて、別添2の「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」の改訂を行ったところであり、これを活用して職場の状況を確認していただくとともに、独立行政法人労働者健康安全機構がホームページで公表している動画教材「職場における新型コロナウイルス感染症予防対策を推進するためのポイント」を参照していただく等により、職場の実態に即した、実行可能な感染拡大防止対策を検討いただきたいこと。

 職場での感染防止対策については、別添3の「新型コロナウイルス職場における「4つ」の対策ポイント」等を活用して労働者に周知を行っていただきたいこと。感染防止対策を講じる際に、例えば、消毒液を確保できない場合に家庭用塩素系漂白剤等を希釈して使用することなど、代替の対策を講じることについても検討いただきたいこと。

 また、感染防止対策の検討に当たって、職場に、労働安全衛生法により、安全衛生委員会、衛生委員会、産業医、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が設置・選任されている場合、こうした衛生管理の知見を持つ労使関係者により構成する組織の有効活用を図るとともに、労働衛生の担当者に対策の検討や実施への関与を求めていただきたいこと。

 なお、産業医や産業保健スタッフの主な役割については、一般社団法人日本渡航医学会及び公益社団法人日本産業衛生学会が公表した「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」(令和2年5月11日発行。令和2年6月3日改訂)において、次のとおり示されているので一つの参考としていただきたいこと。

・ 医学情報の収集と職場への情報提供
・ 職場における感染予防対策に関する医学的妥当性の検討と助言
・ 職場における感染予防対策及び管理方法に関する教育・訓練の検討と調整
・ 従業員の健康状態にあわせた配慮の検討と実施
・ 事業場に感染者(疑い例含む)が出た場合の対応
・ 職場における従業員のメンタルヘルスへの配慮
・ 職場における段階的な措置の解除に関する医学的妥当性の検討と助言
・ 職場における中・長期的な対策に関する医学的妥当性の検討と助言

 併せて、労働安全衛生法により、安全衛生委員会、衛生委員会、産業医、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が設置・選任されていない事業場については、独立行政法人労働者健康安全機構の産業保健総合支援センターにおいて、メールや電話による相談の受付、各種情報の提供等を行っているので、その活用について検討していただきたいこと。
 このほか、マスクで口が覆われることにより、のどの渇きを感じにくくなることがあるため、のどの渇きに関する自覚症状の有無にかかわらず、労働者に水分・塩分を摂取するよう周知し、徹底を求める等、熱中症防止対策についても着実に実施いただきたいこと。その際、「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」の実施事項を参考にしていただきたいこと。


3 配慮が必要な労働者等への対応について
 新型コロナウイルスに感染した場合、数日から14日程度の潜伏期間を経て発症するため、発症初期の症状は、発熱、咳など普通の風邪と見分けが付かない。このため、発熱、咳などの風邪症状がみられる労働者については、新型コロナウイルスに感染している可能性を考慮した労務管理を行っていただきたく、具体的には、下に掲げる対応が考えられること。

 また、高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全、慢性呼吸器疾患、高血圧、がんなど)を有する者などの重症化リスク因子を持つ労働者及び妊娠している労働者に対しては、本人の申出及び産業医等の意見を踏まえ、テレワークや時差出勤などの感染予防のための就業上の配慮を行っていただきたいこと。特に、妊娠中の女性労働者が、母子保健法の保健指導又は健康診査に基づき、その作業等における新型コロナウイルス感染症に感染するおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、医師又は助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合には、事業主は、この指導に基づき、作業の制限、出勤の制限(テレワーク又は休業をいう。)等の措置を講じる必要があることに留意いただきたいこと。

 この措置により休業が必要な女性労働者に有給の休暇を取得させた事業主への助成制度を創設しているので、積極的にご活用いただきたいこと。なお、テレワークを行う場合は、メンタルヘルスの問題が顕在化しやすいという指摘があることにも留意いただきたいこと。

・発熱、咳などの風邪症状がみられる労働者への出勤免除の実施やテレワークの指示を行うとともに、その間の外出自粛を勧奨すること。
・労働者を休業させる場合、休業中の賃金の取扱いについては、労使で十分に話し合い、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えること。
・風邪の症状が出現した労働者が医療機関を受診するため等やむを得ず外出する場合でも、公共交通機関の利用は極力控えるよう注意喚起すること。
・「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安(具体的な目安は以下を参照)」を労働者に周知・徹底し、これに該当する場合には、帰国者・接触者相談センターに電話で相談し、同センターから帰国者・接触者外来の受診を指示された場合には、その指示に従うよう促すこと。

新型コロナウイルス感染症についての相談の目安」(厚生労働省ホームページより抜粋)
○ 少なくとも以下のいずれかに該当する場合には、すぐに御相談ください。(これらに該当しない場合の相談も可能です。)
☆ 息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある場合
☆ 重症化しやすい方(※)で、発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状がある場合
(※)高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)等の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤抗がん剤等を用いている方
☆ 上記以外の方で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合
(症状が4日以上続く場合は必ずご相談ください。症状には個人差がありますので、強い症状と思う場合にはすぐに相談してください。解熱剤などを飲み続けなければならない方も同様です。)
○ 相談は、帰国者・接触者相談センター(地域により名称が異なることがあります。)の他、地域によっては、医師会や診療所等で相談を受け付けている場合もあるので、ご活用ください。

(妊婦の方へ)
妊婦の方については、念のため、重症化しやすい方と同様に、早めに帰国者・接触者相談センター等に御相談ください。
新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金
妊娠中の女性労働者の母性健康管理を適切に図るための母性健康管理措置により、休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給(年次有給休暇で支払われる賃金相当額の6割以上)の休暇制度の整備と社内への周知を行い、当該休暇を合計5日以上労働者に取得させた事業主に対し助成。(参考資料5)
※ 令和2年9月30日までに有給の休暇制度の整備・社内周知を行った場合は、令和3年1月31日までに取得した休暇も対象。既に欠勤などで対応した場合に、事後的に特別休暇に振り替えた場合も支給対象。


新型コロナウイルス感染症の陽性者等が発生した場合の対応について
(1)衛生上の職場の対応ルールについて
 事業者においては、職場に新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者(以下「陽性者等」という。)が発生した場合に備え、以下の項目を盛り込んだ対応ルールを作成し、労働者に周知いただきたいこと。この際、企業における具体的な取組事例を取りまとめた参考資料6の「新型コロナウイルス感染症の陽性者等が発生した場合の衛生上の対応ルール(例)」を適宜参考にしていただきたいこと。

 また、新型コロナウイルス感染症の陽性者について、労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告の提出に留意いただき、同報告書を作成する際には参考資料7のリーフレットを適宜参考にしていただきたいこと。

 なお、新型コロナウイルス感染症患者については、医療保健関係者による健康状態の確認を経て、入院・宿泊療養・自宅療養を終えるものであるため、療養終了後に勤務等を再開するに当たって、労働者本人や人事労務担当者等から医療機関や保健所への各種証明の請求についてはお控えいただきたいこと。

・ 労働者が陽性者等であると判明した場合の事業者への報告に関すること(報告先の部署・担当者、報告のあった情報を取り扱う担当者の範囲(※)等)
(※)「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成30年9月7日付け労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針公示第1号)に留意。

・ 労働者が陽性者等であると判明した場合の保健所との連携に関すること(保健所と連携する部署・担当者、保健所と連携して対応する際の陽性者と接触した労働者の対応等)
・ 職場の消毒等が必要になった場合の対応に関すること
・ 陽性者が陰性になった後、職場復帰する場合の対応に関すること(PCR検査の結果や各種証明書は不要である等)
・ 労働者が陽性者等になったことをもって、解雇その他の不利益な取扱いや差別等を受けることはないこと
・ その他必要に応じ、休業や賃金の取扱いなどに関すること等

(2)労災補償について
 労働者が業務に起因して新型コロナウイルスに感染したものと認められる場合には、労災保険給付の対象となること。
 これまで労働基準監督署においては、新型コロナウイルス感染症に係る労災請求に対して、多くの労災認定を行っており、先般、厚生労働省ホームページにおいて、別添4のとおり、職種別の労災認定事例を公表したところである。医療従事者はもとより、飲食店店員、小売店販売員やタクシー乗務員等、多様な職種の労働者の労災認定を行っているので、参考にしていただきながら、業務に起因して感染したと思われる労働者から積極的に労災請求がなされるよう労災請求を勧奨していただきたいこと。
 なお、労働者が新型コロナウイルスに感染した場合の労災補償に係るQ&Aについては、厚生労働省ホームページに掲載しているので、確認していただきたいこと。


新型コロナウイルス感染症に対する正しい情報の収集等
 事業者においては、国、地方自治体、公益性の高い学術学会等がホームページ等を通じて提供している最新の情報を収集し、必要に応じ感染拡大を防止するための知識・知見等を労働者に周知いただきたいこと。
 その際、新型コロナウイルス感染症に関することも含めた職場のメンタルヘルス不調、過重労働による健康相談等についてメールや電話による相談を受け付ける「こころの耳」や精神保健福祉センター等のメンタルヘルスに関する相談窓口を労働者に周知いただきたいこと。また、DVや児童虐待に関する相談などの窓口についても、必要に応じ、労働者に周知いただきたいこと。
 なお、新型コロナウイルス感染症に関する個別の労働紛争があった場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーにおいて相談を受け付けていることも、併せて周知いただきたいこと。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000657471.pdf

雇用調整助成金の支給申請期限が迫っています

8/1に厚生労働省より、最新版の「雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金)FAQ」が公表されています。
雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省


また、雇用調整助成金の申請期限は
「支給対象期間」の最終日の翌日から起算して2か月以内ですが、
判定基礎期間の初日が1/24~5/31までの申請期限は、
特例により令和2年8月31日までとなっています。


雇用調整助成金は「新型コロナウイルス感染症の影響」により、
「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、
従業員の雇用維持を図るために「労使間の協定」に基づき「休業」 を実施し、
従業員に対し「休業手当」を支給した事業主※が支給対象となります。
(※休業を行ったが、給与を減額せずに通常通りの給与を支払った場合も含まれます)


新型コロナウイルス感染症の影響」により休業を行い、
従業員の方に休業手当を支給された事業主のみなさま、
申請期限のご確認はよろしいでしょうか。


判定基礎期間の初日が1/24~5/31までの申請期限は、
令和2年8月31日までとなっています。


申請がまだの方、申請代行先をお探しの方がいらっしゃいましたら、
お気軽に当法人までご連絡ください。

日本年金機構に提出する社会保険の書類の押印又は署名の省略を可能に


 厚生労働省から、通達「新型コロナウイルス感染症の感染防止等の観点からの適用事業所が書面で提出する届出等における押印及び署名の取扱いについて(令和2年7月17日年管発0717第1号・年国発0717第1号)」が公表されました(令和2年7月21日公表)。この通達は、厚生労働省の年金局から日本年金機構に宛てて発出されたものです。

 これにより、「適用事業所が機構に書面で提出する届出等においては、事業主の押印又は署名を必要としているところであるが、当分の間、事業主の押印又は署名がなくても、そのことのみをもって不備返戻を行わず、処理を行って差し支えない」という方針が示されています。

 なお、特に慎重に本人確認を行う必要があると考えられる一定の届書等については、できる限り押印又は署名をお願いするとしていますが、これらについても、「他の方法により本人確認が可能な場合には押印及び署名を不要とするなど、柔軟に対応するように」としています。
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詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200721T0020.pdf