監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度)

厚生労働省は、平成30年度に時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない企業に対して、労働基準法違反で是正指導した結果を取りまとめ公表しています。全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成30年4月から平成31年3月までの期間に不払だった割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものです。

監督指導の対象となった企業では、タイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか定期的に確認するなど、賃金不払残業の解消のために様々な取組が行われています。
厚生労働省では、引き続き、賃金不払残業の解消に向け、監督指導を徹底していくとしています。

【平成30年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果のポイント】
(1)是正企業数1,768企業(前年度比102企業の減)
うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、228企業(前年度比34企業の減)
(2)対象労働者数11万8,837人(同89,398人の減)
(3)支払われた割増賃金合計額125億6,381万円(同320億7,814万円の減)
(4)支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり711万円、労働者1人当たり11万円


 100万円以上の割増賃金の遡及支払状況(平成30年度分)

【出典:厚生労働省 100万円以上の割増賃金の遡及支払状況(平成30年度分)】



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06128.html

令和元年度の最低賃金は全国加重平均で27円の引上げを提示

令和元年(2019年)7月31日に開催された「第54回中央最低賃金審議会」で、令和元年度の地域別最低賃金額改定の目安について、答申の取りまとめが行われ、その内容が厚生労働省から公表されました。今年度の目安で示された引上げ額は、最高28円(Aランク)~最低26円(Dランク)、全国加重平均では「27円」(昨年度は26円)となっており、これは昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となります。

最低賃金制度と地域別最低賃金額の改定に係る目安制度の概要】
(1)最低賃金制度とは
最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度である。仮に最低賃金額より低い賃金を労使合意の上で定めても、それは法律により無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされる。

(2)最低賃金の種類
最低賃金には、産業に関わりなく地域内のすべての労働者に適用される都道府県別の「地域別最低賃金」と、例えば電気機械器具製造業、自動車小売業など特定の産業に働く労働者に適用される「特定最低賃金」の二種類が設定されている。

(3)最低賃金の決定と最低賃金審議会
最低賃金は、最低賃金審議会において、賃金の実態調査結果など各種統計資料を十分参考にしながら審議が行われ、
 ①労働者の生計費
 ②労働者の賃金
 ③通常の事業の賃金支払能力
の3要素を考慮して決定又は改定されることとなっており、①を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとされている。最低賃金審議会は、厚生労働省中央最低賃金審議会が、都道府県労働局に地方最低賃金審議会が置かれており、地域別最低賃金は、各地方最低賃金審議会の審議を経て、都道府県労働局長が決定又は改定することとなっている。

(4)地域別最低賃金額改定に係る目安制度の概要
昭和53年から、地域別最低賃金の全国的整合性を図るため、中央最低賃金審議会が、毎年、地域別最低賃金額改定の「目安」を作成し、地方最低賃金審議会へ提示している。また、目安は、地方最低賃金審議会の審議の参考として示すものであって、これを拘束するものでないこととされている。なお、地域別最低賃金額の表示については、従来、日額・時間額併用方式となっていたが、平成14年度以降時間額単独方式に移行されており、目安についても、平成14年度以降時間額で示すこととなっている。

【答申のポイント】
(ランク(注)ごとの目安)
都道府県の引上げ額の目安については、 Aランク28円、Bランク27円、Cランク26円、Dランク26円 (昨年度はAランク27円、Bランク26円、Cランク25円、Dランク23円)。
注.都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて、引上げ額の目安を提示している。現在、Aランクで6都府県、Bランクで11府県、Cランクで14道県、Dランクで16県となっている。(参考参照)

(参考)各都道府県に適用される目安のランク

ランク 都 道 府 県
埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島
北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡
青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄


また、全都道府県で20円を超える目安額となっており、引上げ率に換算すると3.09%(昨年度は3.07%)となっています。この答申は、「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会」において4回にわたる審議を重ねて取りまとめられた「目安に関する公益委員見解」等を、地方最低賃金審議会に示すものです。

今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。
なお、目安どおりに改定されると、地域別最低賃金の全国加重平均は、単純計算で901円(現行は874円)となります。また、最も高い東京都は1,013円(現行は985円)、それに次ぐ神奈川県は1,011円(現行は983円)となり、初めて1,000円を超える地域が誕生することになります。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06020.html

カムバック支援助成金(両立支援助成金-再雇用者評価処遇コース)を案内


厚生労働省から、両立支援助成金-再雇用者評価処遇コースを、「カムバック支援助成金」として案内するリーフレットが公表されています。この助成金は、妊娠、出産、育児、介護または配偶者の転勤等(配偶者の転居を伴う転職を含む。)を理由とした退職者について、適切に評価され、配置・処遇される再雇用制度を導入し、希望する者を再雇用した事業主を助成するものです。
 支給額は、再雇用人数が1人目の場合、中小企業は38万円【48万円】、大企業は28.5万円【36万円】、2~5人目の場合、中小企業は28.5万円【36万円】、大企業は19万円【24万円】(【】内は生産性要件を満たした場合の金額)となっており、1事業主あたり5人まで支給されます。

【支給額】
<>内は生産性要件を満たした場合の額です。生産性要件については厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137393.html)をご参照ください。
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*1事業主あたり5人まで支給。
*期間の定めのない雇用契約締結後、上記額を継続雇用6か月後、継続雇用1年後の2回に分けて半額ずつ支給します。
(同一対象労働者について)

【支給要件
対象となる労働者に対して以下の取組を講じた場合に支給となります。

■妊娠、出産、育児、介護または配偶者の転勤等(配偶者の転居を伴う転職も含む)を理由とした退職者について、退職前の勤務実績等を評価し、処遇の決定に反映させることを明記した再雇用制度を導入すること。
※過去に再雇用制度を設けている場合であっても、要件に沿った制度内容に改正すれば対象となりますが、改正日以降の再雇用について対象となります。

■上記制度に基づき、離職後1年以上経過している対象者を再雇用し、無期雇用者として6ヶ月以上継続雇用し、支給申請日においても雇用していること。
※当初、有期契約労働者として再雇用した場合も、無期雇用契約を締結後、6ヶ月以上継続して雇用すれば対象となります。

(対象となる労働者)
・退職時または退職後に、退職理由と再雇用の希望を申し出ていたことが書面で確認できること。

・支給対象事業主または関連事業主の事業所を退職した日の前日において、当該事業主等の雇用保険被保険者として継続して雇用されていた期間が1年以上あること。
※関連事業主とは、人事、雇用管理等の状況から見て支給対象事業主と密接な関係にある事業主をいいます。

・退職後、再雇用に係る採用日の前日までに、支給対象事業主または関連事業主と雇用、請負、委任の関係もしくは出向、派遣、請負、委任の関係により当該事業主等の事業所において就労していないこと。

・再雇用日において、退職の日の翌日から起算して1年以上が経過していること。
※下記以外にも要件がありますので、詳細は厚労省HPにある「支給申請の手引き2019」をご参照ください。

【手続き・支給の流れ】
 f:id:koyama-sharoushi:20190805200333p:plain
同省では、「ご活用ください!」として、次のリーフレットを紹介しています。
<カムバック支援助成金のご案内>
https://www.mhlw.go.jp/content/000529414.pdf

なお、両立支援助成金の全体を案内するリーフレットなどについても、2019年7月作成のものが公表されています。
<両立支援等助成金のご案内(リーフレット)>
https://www.mhlw.go.jp/content/000526013.pdf

<両立支援等助成金支給申請の手引き(パンフレット)>
https://www.mhlw.go.jp/content/000532830.pdf


詳しい支給の要件や手続、生産性要件等、その他、ご不明点については
厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html)を参照いただくか、申請する管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へお問い合わせください。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
https://www.mhlw.go.jp/content/000529414.pdf

令和元年度経済財政白書を公表

内閣府から、令和元年(2019年)7月23日にとりまとめられた「令和元年度経済財政白書(令和元年度年次経済財政報告)」が公表されました。白書では、多くの企業において、女性、高齢者、外国人、障害者等の多様な人材の活躍が進んでいるが、その背景には深刻な人手不足があるとしています。それとともに、新しい発想や専門的知識を持った人材等が求められているとしています。そして、多様な人材の増加は、生産性の向上、人手不足の解消等の効果が期待できるが、多様な人材の活躍に向けた取組とセットで行うことが非常に重要であり、多様な人材はいるが、それに対応した取組を行っていない企業では、多様な人材がいない企業よりも生産性が低くなる可能性があると指摘しています。
 企業が多様な人材を採用することは、そのために複雑化する労務管理に、どのように対応していくのかが課題となります。今年度の白書では、人手不足や労働市場の多様化についても大きく取り上げられています。

■第1章 日本経済の現状と課題
・日本経済は、内需を中心に緩やかな回復が続いているが、中国経済の減速などから輸出や生産活動の一部に弱さがみられることに留意が必要。

・輸出の減少は、世界的な情報関連財需要の一服や中国経済の減速などにより、中国向け輸出が2018年以降低下していることが主な要因。それに伴い生産も一部で弱含んでいる。世界の半導体出荷は2019年は減少が見込まれており、情報関連財需要の調整は当面続く見込み。

中国経済減速の影響は、海外向け出荷比率の高い生産用機械、電子部品・デバイスなどの生産に現れている。

・設備投資の緩やかな増加傾向の背景として、高水準の企業収益、人手不足感の高まりなどがある。

・ただし、輸出の減少は、製造業を中心に設備投資を下押しするため、海外経済の動向には注意が必要。

・生産年齢人口が減少する中、女性や高齢者の活躍推進により就業者数は増加を続けており、実質総雇用者所得も増加を続けている。こうしたことを背景に、消費は持ち直しを続けている。ただし、若年層で消費性向が低下しているなど、雇用・所得環境全体の改善に比べると消費の伸びは緩やかにとどまっている。

・消費を持続的に増加させるためには、現在だけでなく将来を含めた雇用・所得環境の安定が重要。また若年層の消費喚起には、教育費の負担軽減、労働時間の短縮も効果が見込まれる。

・若者を中心に完全自動運転搭載車の購入意欲は高く、また働く女性を中心に家事代行ロボットの購入意欲は高い。Society5.0に向けた取組みを一層強化することで、消費を刺激する効果が期待される。

・キャッシュレス化は消費者の利便性を高め、事業者の生産性向上に資する。半数近くの者でキャッシュレス決済の利用頻度が高い。現在キャッシュレス決済を利用していない層にもキャッシュレス化のメリットについて周知を図ることが重要

・企業の人手不足の状況を年齢別にみると、若年層ほど人手不足感が高い。売上が伸びている企業、離職率が高い企業ほど人手不足感が高くなっているほか、賃金水準が低い企業ほど人手不足感が高い。

・人手不足への対応として、採用増や待遇改善による従業員確保が主であり、省力化投資を行う企業の割合は2割程度と限定的。人手不足感がある企業は労働生産性が低く、資本装備率も低い。労働生産性を上昇させることにより、人手不足を緩和するとともに、賃金上昇にもつなげることが重要。

・AI等の活用が進んでいる企業ほど柔軟な働き方が進んでいる。労働生産性への影響が大きいRPAを始めSociety5.0に向けた取組を強化し、省力化投資や柔軟な働き方を積極的に進めることが重要。

基礎的財政収支の対GDP比は、歳入の増加などにより赤字幅が縮小している。

・消費税率引き上げの経済への影響は、幼児教育の無償化等の措置により2兆円程度に抑えられる一方、消費税率引き上げに対応した新たな対策として2.3兆円程度を措置している。

・先進国では、労働市場の改善にもかかわらず物価が上がりにくくなっており、世界経済の一部に弱さがみられる中で、金融緩和が継続されている。

■第2章 労働市場の多様化とその課題
・多様な人材が働ける環境を整備することは、雇用者の観点からは、働く意欲のある女性や高齢者の活躍を促すとともに、価値観の多様化に対応するために重要。

・多くの企業において、女性、高齢者、外国人、障害者等の多様な人材の活躍が進んでいる。多様な人材の活躍が進む背景として、企業側の観点からは、人手不足が深刻になっているとともに、新しい発想や専門的知識を持った人材等が求められていることがあるが、労務管理の複雑化などに対する懸念もみられる。

・企業による多様な人材の活躍を推進するためには、柔軟な働き方やワーク・ライフ・バランスの改善等の働き方を変革すること、長期雇用と年功序列等を特徴とする日本的な雇用慣行を見直すこと、職場において管理職が適切にマネジメントを行うこと等が特に重要である。

・多様な人材がいる職場で働く際に雇用者が必要と思う制度として、柔軟に働ける制度、仕事範囲の明確化等を求める声が多く、企業側でも必要と考えられる改革とおおむね一致。

・多様な人材の活躍には、新卒の通年採用の導入等、企業における採用制度の見直しも求められる。

・65歳以上の雇用者の活躍については、定年年齢や継続雇用制度のあり方についての見直しが必要。特に、賃金の大幅低下や長い労働時間は高齢者の就業に対する意欲を大きく低下させる可能性が高い。

・企業側としても、高い専門性を持つ者、健康で働く意欲が高い者等は65歳以降も雇用したいと考えている。また、必要な取組として、柔軟な働き方、職務の明確化、キャリアモデルの再構築等を挙げる企業が多い。

・多様な人材の増加は、生産性の向上、人手不足の解消等の効果が期待できる。ただし、多様な人材の活躍に向けた取組とセットで行うことが非常に重要であり、多様な人材はいるが、それに対応した取組を行っていない企業は、多様な人材がいない企業よりも生産性が低くなる可能性。

・高齢者の増加については、他の世代から人手不足の緩和や助言が得られるといった評価する声がある一方、賃金や昇進に影響があるとの指摘もある。ただし、分析結果をみると、高齢層の増加が若年層の賃金や雇用(採用)を抑制するとの関係性は確認されない。

・全体として雇用者が伸びる中で外国人労働者も増加している。


■第3章 グローバル化が進む中での日本経済の課題
・日本の経常収支は黒字で推移してきたが、その内訳は大きく変化し、貿易黒字が大幅に減少する一方、海外からの投資収益など所得収支の黒字が着実に増加。こうした中、日本は、機械など複雑度の高い製品に競争力を有してきたほか、国際的な技術取引やインバウンドの増加など、サービス貿易でも競争力を向上。

・さらに、日本企業の海外展開が進む中で、海外企業の買収を含む対外直接投資が増加。財やサービスの貿易面に加え、海外拠点や買収先企業からの投資収益等を通じても、世界で稼ぐ力を高めている。

・世界貿易量は、関税の低下をはじめとする貿易の自由化や、グローバル・バリュー・チェーン(GVC)の進展とともに、2000年代まで急速に拡大。ただし、近年では、2017年に伸びが高まった後、2018年に入ってからは、中国経済の緩やかな減速や世界経済を巡る不確実性の高まりなどから、世界貿易の伸びが鈍化。

・アジアでは、中国が部品等を輸入・加工して完成品を生産するサプライチェーンが構築されており、過去20年で急速に拡大。こうした中、日本の生産は、情報関連財を中心に、中国の最終需要に大きく依存しており、今後の米中間の通商問題や中国経済の動向には留意が必要。

・米中間の通商問題によるアジアの日系現地企業への影響について、中国では中国国内向け販売比率が高く、輸出先も日本向けが過半。中国と密接な関係のある地域ではマイナスの影響が指摘されており、通商問題の動向には不透明感が高いことから、引き続き注意が必要。

・英国はEUとの間で緊密なサプライチェーンを構築。英国のEU離脱に対し、日系現地企業では、一部に具体的な取組を行う企業もみられるが、多くの企業では不確実性の高さから対応があまり進んでいない状況。

アメリカ・メキシコ・カナダの新たな協定(USMCA)について、自動車など一部ではマイナスの影響を懸念。

グローバル化の恩恵として、輸出や対外直接投資などを行う企業は少数だが、そうでない企業と比べて、生産性や雇用者数、賃金の水準が平均的に高い。また、輸出を開始することや、海外企業との共同研究・人材交流等を行うことで、企業の生産性が向上する可能性がある。

・他方で、貿易を行うことで産業内での技能労働への需要が高まることで、高い技能を持つ労働者と技能の低い労働者の賃金格差につながる可能性もある。グローバル化した経済で競争力を保ちつつ、格差拡大への対処として、教育訓練の強化や雇用の流動性の確保、セーフティネットの整備を行うことも重要。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je19/index_pdf.html

令和元年度「全国労働衛生週間」を10月に実施

厚生労働省から、令和元年度「全国労働衛生週間」の案内がありました。今年のスローガンは、「健康づくりは人づくりみんなでつくる健康職場」です。実施期間は、10月1日(土)から7日(金)までです。全国労働衛生週間は、昭和25年から毎年実施されているもので、今年で70回目になります。毎年10月1日から7日までを本週間、9月1日から30日までを準備期間とし、各職場で職場巡視やスローガン掲示、労働衛生に関する講習会・見学会の開催など、さまざまな取組みが展開されます。

 労働衛生分野では、過重労働等により労働者の命が失われることや健康障害、職場における労働者のメンタルヘルス不調、病気を抱えた労働者に対する治療と仕事の両立支援、化学物質による重篤な健康障害などが重要な課題となっています。
 このような状況を踏まえて、改正労働安全衛生法平成31年4月1日施行)に基づく、労働時間の状況の把握や長時間労働者に対する医師の面接指導等の実施の徹底、病気を抱えた労働者の治療と仕事の両立支援を社会的にサポートする仕組みの整備、化学物質対策については、ラベル表示・安全データシート(SDS)の交付・入手の徹底に取り組むこととしています。

■主唱者(厚生労働省中央労働災害防止協会)、協賛者の実施事項
(1)労働衛生広報資料等の作成、配布を行う。
(2)雑誌等を通じて広報を行う。
(3)労働衛生講習会、事業者間で意見交換・好事例の情報交換を行うワークショップ等を開催する。
(4)事業場の実施事項について指導援助する。
(5)その他「全国労働衛生週間」にふさわしい行事等を行う。

■各事業場の実施事項(一部抜粋)
 労働衛生水準のより一層の向上及び労働衛生意識の高揚を図るとともに、自主的な労働衛生管理活動の定着を目指して、各事業場においては、事業者及び労働者が連携・協力しつつ、次の事項を実施する。
(1)全国労働衛生週間中に実施する事項
 ア 事業者又は総括安全衛生管理者による職場巡視
 イ 労働衛生旗の掲揚及びスローガン等の掲示
 ウ 労働衛生に関する優良職場、功績者等の表彰
 エ 有害物の漏えい事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害を想定した実地訓練等の実施
 オ 労働衛生に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の掲示、その他労働衛生の意識高揚のための行事等の実施

(2)準備期間中に実施する事項
 下記の事項について、日常の労働衛生活動の総点検を行う。
 重点事項
(ア)過重労働による健康障害防止のための総合対策の推進
 a時間外・休日労働の削減、年次有給休暇の取得促進及び労働時間等の設定の改善による仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進
 b事業者による仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進や過重労働対策を積極的に推進する旨の表明
 c改正労働安全衛生法平成31年4月1日施行)に基づく、労働時間の状況の把握や長時間労働者に対する医師の面接指導等の実施の徹底
 d健康診断の適切な実施、異常所見者の業務内容に関する医師への適切な情報提供、医師からの意見聴取及び事後措置の徹底
 e小規模事業場における産業保健総合支援センターの地域窓口の活用

(イ)労働者の心の健康の保持増進のための指針等に基づくメンタルヘルス対策の推進
 a事業者によるメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明
 b衛生委員会等における調査審議を踏まえた「心の健康づくり計画」の策定、実施状況の評価及び改善
 c4つのメンタルヘルスケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)の推進に関する教育研修・情報提供
 d労働者が産業医や産業保健スタッフに直接相談できる仕組みなど、労働者が安心して健康相談を受けられる環境整備
 eストレスチェック制度の適切な実施、ストレスチェック結果の集団分析及びこれを活用した職場環境改善の取組
 f職場環境等の評価と改善等を通じたメンタルヘルス不調の予防から早期発見・早期対応、職場復帰における支援までの総合的な取組の実施
 g自殺予防週間(9月10日~9月16日)等をとらえた職場におけるメンタルヘルス対策への積極的な取組の実施
 h産業保健総合支援センターにおけるメンタルヘルス対策に関する支援の活用



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05680.html

大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策を策定

厚生労働省は、本日、中小企業庁公正取引委員会とともに、『大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策』(しわ寄せ防止総合対策)を策定・公表しています。
 厚労省・中企庁・公取委では、令和2年4月からの中小企業への時間外労働の上限規制の適用に向け、緊密な連携を図りながら以下の取組を実施していきます。

○「働き方改革の推進」と「取引適正化」は車の両輪であり、大企業等の働き方改革による下請等中小事業者への「しわ寄せ」の防止は、親事業者と下請等中小事業者の双方が生産性の向上・成長と分配の好循環を実現する上で共通の課題
○このため、厚生労働省公正取引委員会中小企業庁が一層の連携を図り、「働き方改革の推進」と「取引適正化」を一体的に推進するため「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者へのしわ寄せ防止のための総合対策」を策定

<「しわ寄せ防止総合対策」の4つの柱>
1関係法令等の周知広報
都道府県労働局・労働基準監督署が、あらゆる機会を通じて、労働時間等設定改善法に加え、下請中小企業振興法に基づく「振興基準」等についてもリーフレット等を活用して周知
・「しわ寄せ防止キャンペーン月間」の設定による経営トップセミナーの開催等の集中的な取組
○上限規制適用による中小企業への「しわ寄せ」防止に向けた社会的機運の醸成を図るため、11月を「しわ寄せ防止キャンペーン月間」(※)と位置づけ、集中的な取組を実施
※11月は「下請取引適正化推進月間」でもある。

<主な実施事項>
「しわ寄せ」防止に向けた大企業・中小企業経営トップセミナーの開催

〇大企業・中小企業の経営トップに対して、①行ってはいけない短納期発注等の行為(=「しわ寄せ」行為)、②「しわ寄せ」改善事例(好事例)の周知等を行う。

厚労省、労働局及び労基署において、上限規制の適用を受ける大企業等に対して、企業訪問による「しわ寄せ」防止に向けた働きかけ等を集中的に実施
厚労省幹部は、大企業等を訪問し、経営トップに対して要請書を渡すなどにより、「しわ寄せ」防止に向けた働きかけを行う。
〇労働局幹部は、管内の大企業等を訪問し、経営トップに対して要請書を渡すなどにより、「しわ寄せ」防止に向けた働きかけを行うとともに、職員は、管内の大企業等を訪問し、「しわ寄せ」防止に向けたリーフレット等を用いて助言等を行う。
〇労基署においては、監督指導及び労働時間・相談支援班が実施する訪問支援の機会を活用し、「しわ寄せ」防止に向けた周知を行う。
・地域の労使の代表が参加した協議会等における課題の共有と地域での取組の推進

2労働局・労基署等の窓口等における「しわ寄せ」情報の提供
・労働局・労基署・働き方改革推進支援センターの窓口や監督指導・個別訪問において、下請等中小事業者から、大企業・親事業者の働き方改革による「しわ寄せ」に関する相談情報が寄せられた場合には、リーフレット等を活用して「振興基準」等の説明を行うとともに、相談情報を地方経済産業局に情報提供する

3労働局・労基署による「しわ寄せ」防止に向けた要請等・通報
・労働局においては、管内の大企業等に対して、個別に訪ね、リーフレット等を用いて労働時間等設定改善法第2条第4項の取引上必要な配慮をするよう努めなければならないとする規定に関する要請等を重点的に実施する。
・下請等中小事業者に対する監督指導において、労働基準法第24条、第32条違反等の労働基準関係法令違反が認められ、その背景に親事業者による下請法等違反行為の存在が疑われる場合には、公取委・中企庁に通報する

公取委・中企庁による指導及び不当な行為事例の周知・広報
・大企業等の働き方改革に伴う下請等中小事業者へのコスト負担を伴わない短納期発注等の下請法等違反の疑いのある「しわ寄せ」事案の情報に接した場合、公取委・中企庁は下請法等に基づき、厳正に対応する。
・「しわ寄せ」に関して実際に行った指導事例や不当な行為の事例(べからず集)について、働き方改革に関する政府広報HPや業所管省庁を通じて、業界団体・個別企業へ広く周知・広報を行う



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05446.html

「いじめ・嫌がらせ」に関する民事上の個別労働紛争の相談件数が過去最高

厚生労働省は、このたび、「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」をまとめ、公表しています。「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度で、「総合労働相談※1」、労働局長による「助言・指導※2」、紛争調整委員会による「あっせん※3」の3つの方法があります。厚生労働省では、今回の施行状況を受けて、総合労働相談コーナーに寄せられる労働相談への適切な対応に努めるとともに、助言・指導及びあっせんの運用を的確に行うなど、引き続き、個別労働紛争の未然防止と迅速な解決に向けて取り組んでいくとしています。
 

【ポイント】
1総合労働相談件数、助言・指導申出の件数、あっせん申請の件数いずれも前年度より増加。
総合労働相談件数は111万7,983件で、11年連続で100万件を超え、高止まり
・総合労働相談件数 111万7,983件(前年度比1.2% 増)
 →うち民事上の個別労働紛争※4相談件数26万6,535件( 同 5.3% 増)
・助言・指導申出件数 9,835件( 同 7.1% 増)
・あっせん申請件数 5,201件( 同 3.6% 増)

2民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全てで、「いじめ・嫌がらせ」が過去最高
・民事上の個別労働紛争の相談件数では、82,797件(同14.9%増)で過去最高。
・助言・指導の申出では、2,599件(同15.6%増)で過去最高。
・あっせんの申請では、1,808件(同18.2%増)で過去最高。
f:id:koyama-sharoushi:20190806163625p:plain 【出典:平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況より】
※1「総合労働相談」:都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など380か所(平成31年4月1日現在)に、あらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナーを設置し、専門の相談員が対応。なお、平成28年度から、都道府県労働局の組織見直しにより「雇用環境・均等(部)室」が設置され、これまで「雇用均等室」で対応していた男女雇用機会均等法等に関しても一体的に労働相談として対応することになったため、それらの相談件数も計上されている。

※2「助言・指導」:民事上の個別労働紛争について、都道府県労働局長が、紛争当事者に対して解決の方向を示すことにより、紛争当事者の自主的な解決を促進する制度。助言は、当事者の話し合いを促進するよう口頭又は文書で行うものであり、指導は、当事者のいずれかに問題がある場合に問題点を指摘し、解決の方向性を文書で示すもの。

※3「あっせん」:都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会のあっせん委員(弁護士や大学教授など労働問題の専門家)が紛争当事者の間に入って話し合いを促進することにより、紛争の解決を図る制度。

※4「民事上の個別労働紛争」:労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働基準法等の違反に係るものを除く)。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000213219_00001.html