改正労基法に関するQ&Aを公表

厚生労働省から「改正労働基準法に関するQ&A」が公表されています。このQ&Aは、2019年4月1日から順次施行される「働き方改革関連法による労働基準法の改正」について、素朴な疑問から、専門的で細かな内容まで、Q&A形式で重要事項がまとめられています。

取り上げられているのは、次の項目です。項目ごとにQ&Aに一部をご紹介します。

1 フレックスタイム制関係
(Q)フレックスタイム制のもとで休日労働を行った場合、割増賃金の支払いや時間外労働の上限規制との関係はどのようになりますか。

(A)フレックスタイム制のもとで休日労働を行った場合には、その休日労働の時間は清算期間における総労働時間や時間外労働とは別個のものとして取り扱われ、3割5分以上の割増賃金率で計算した賃金の支払いが必要です。なお、時間外労働の上限規制との関係については、時間外労働と休日労働を合計した時間に関して、①単月100時間未満、②複数月平均80時間以内の要件を満たさなければなりません。

2 時間外労働の上限規制関係
(Q)36協定の対象期間と有効期間の違いを教えてください。

(A)36協定における対象期間とは、法第36条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものであり、36協定においてその起算日を定めることによって期間が特定されます。これに対して、36協定の有効期間とは、当該協定が効力を有する期間をいうものであり、対象期間が1年間に限られることから、有効期間は最も短い場合でも原則として1年間となります。また、36協定について定期的に見直しを行う必要があると考えられることから、有効期間は1年間とすることが望ましいです。
※なお、36協定において1年間を超える有効期間を定めた場合の対象期間は、当該有効期間の範囲内において、当該36協定で定める対象期間の起算日から1年ごとに区分した各期間となります。

3 年次有給休暇関係
(Q)使用者による時季指定の対象となる「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」(法第39条第7項)には、法第39条第3項の比例付与の対象となる労働者であって、前年度繰越分の有給休暇と当年度付与分の有給休暇とを合算して初めて10労働日以上となる者も含まれますか。

(A)使用者による時季指定の対象となる「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」(法第39条第7項)は、基準日に付与される年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者が該当するものであり、法第39条第3項の比例付与の対象となる労働者であって、今年度の基準日に付与される年次有給休暇の日数が10労働日未満であるものについては、仮に、前年度繰越分の年次有給休暇も合算すれば10労働日以上となったとしても、「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」には含まれません。

4 労働条件の明示の方法関係
(Q)今回の改正により、電子メール等の送信により労働条件を明示することが可能となりますが、「電子メール等」には具体的にどのような方法が含まれますか。

(A)「電子メール等」とは、以下のものが含まれます。
①パソコン・携帯電話端末によるEメール、Yahoo!メールやGmailといったウェブメールサービス、②+メッセージ等のRCS(リッチ・コミュニケーション・サービス)や、SMS(ショート・メール・サービス)、③LINEやFacebook等のSNSメッセージ機能が含まれます。
なお、上記②のRCSやSMSについては、PDF等の添付ファイルを送付することができないこと、送信できる文字メッセージ数に制限等があり、また、前提である出力による書面作成が念頭に置かれていないサービスであるため、労働条件明示の手段としては例外的なものであり、原則として上記①や③による送信の方法とすることが望ましいです。
また、労働者が開設しているブログ、ホームページ等への書き込みや、SNSの労働者のマイページにコメントを書き込む行為等、特定の個人がその入力する情報を、電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、第三者が特定個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものについては、「電子メール等」には含まれません。

5 過半数代表者関係
(Q)労働者の過半数を代表する者が労使協定等に関する事務を円滑に遂行することができるようにするために、使用者に求められる「必要な配慮」(則第6条第4項)にはどのようなものが含まれますか。

(A)則第6条第4項の「必要な配慮」には、例えば、過半数代表者が労働者の意見集約等を行うに当たって必要となる事務機器(イントラネットや社内メールを含みます。)や事務スペースの提供を行うことが含まれます。

6 その他
(Q)労働者が海外企業に出向する場合や、出向先で役員となる場合の時間外労働の上限規制及び年次有給休暇の時季指定義務の考え方を教えてください。

(A)ご質問については、個別の事情に応じて判断されるものですが、一般的には、いずれの場合も出向先において法が適用されないため、出向している期間については、時間外労働の上限規制及び年次有給休暇の時季指定義務の対象とはなりません。また、労働者が海外企業に出向する場合や、出向先で役員となる場合は、年次有給休暇の時季指定義務については、出向前の期間(すなわち、法が適用される期間)において、労働者に5日の年次有給休暇を取得させる必要があります。(ただし、海外企業に在籍出向する場合においては、出向元、出向先、出向労働者三者間の取り決めにより、出向前の基準日から1年以内の期間において、出向の前後を通算して5日の年次有給休暇の時季指定を行うこととしても差し支えありません。)

これまでに、通達やパンフレットでも紹介されているQ&Aも含まれていますが、全体をとおして確認しておくことをお勧めいたします。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/000487097.pdf

中小企業・小規模事業者の最低賃金状況について

中小・小規模事業者が賃上げを行いやすい環境を作る等の観点から、平成30年11月13日、首相官邸において、「第6回下請等中小企業の取引条件改善に関するワーキンググループ及び第4回中小企業・小規模事業者の最低賃金引上げ力ワーキンググループ」の合同会合が開催されました。これらのワーキンググループは、必要な対策等について、省庁横断的に検討を行うために開催されているものです。厚生労働省からは、賃金構造基本統計調査の報告などが行われています。

■未満率上位3地域の最低賃金の状況
 神奈川が突出して高く、大阪、北海道も2%を超えています。なお、神奈川、大阪、北海道は平成27、28年の調査でも未満率※が全国上位です。
※「未満率」とは、最低賃金額を改正する前に、最低賃金額を下回っている労働者の割合を指します。
●神奈川県
・産業別 :①宿泊業、飲食サービス業、②卸売業、小売業、③製造業の未満率が高い。
・違反理由:「最賃額の不知」のほか、「売上減・コスト増による不払い」が、比較的多い。
大阪府
・産業別 :①卸売業、小売業、②宿泊業、飲食サービス業、③医療、福祉の未満率が高い。
・違反理由:「最賃額の不知」のほか、「売上減・コスト増による不払い」が、比較的多い。
●北海道
・産業別 :①卸売業、小売業、②宿泊業、飲食サービス業、③製造業の未満率が高い。
・違反理由:「賃金を時間額に換算していない」、「最賃額改定を知っていたが賃金改定していない」が多い。

【賃金構造基本統計調査(平成29年)による都道府県別の未満率】 最低賃金法第4条違反の具体事例
1.行政指導により速やかに法違反が是正される事例
(a). 飲食業(個人経営)
・違反理由:労使間で合意があれば約定賃金を最賃未満としてもよいと誤認
・対策  :労使合意があっても、最賃未満の就労は違法であることを教示
(b). 卸売業・小売業
・違反理由:通勤手当(※)を含めて計算した結果、最低賃金以上の支払をしていると誤認
通勤手当最低賃金の算定に含まれない
・対策  :最低賃金の算定基礎に含める手当や、計算方法を教示
(c). 製造業
・違反理由:障害者には最低賃金の適用がないと誤認
・対策  :障害者でも都道府県労働局長の許可(※)がなければ、最賃未満の就労は違法であることを教示
※障害により労働能力が著しく低い場合は、都道府県労働局長の許可により、最低賃金を減額して適用できる
(d). 製造業・卸売業・小売業
・違反理由:事業主が最低賃金は効力発生日の直後の賃金支払い期間から適用になると誤認
・対策  :最低賃金は効力発生日から適用になる旨を教示

2.行政指導による速やかな法違反の是正が困難な事例
(a). クリーニング業(個人経営)
・是正が困難な理由:経営難を理由に約定賃金を最低賃金額未満としていると同時に、時間外・休日労働の手当なども不払いとなっており、多額の不足額の支払に時間を要する
・対策      :不足額の支払に時間を要するため、支払計画を作成させるなどして、継続的に是正を求める
(b). 製造業
・是正が困難な理由:最低賃金法違反を指導後、事業主が行方不明となっている(連絡が取れない)
・対策      :事業主の所在が明らかになった場合、司法処分を含めた対応を検討

 中小企業・小規模事業者においては、依然として最賃制度や助成制度を知らない企業があるため、引き続き周知が必要である等、今後の課題も挙げられています。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 首相官邸 ]
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/torihiki_wg/dai6/gijisidai.html

平成30年「高年齢者の雇用状況」が公表されています

 厚生労働省では、高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計した、平成30年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)を取りまとめ公表しています。

 高年齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現に向け、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務付け、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めています。

 今回の集計結果は、この雇用状況を報告した従業員31人以上の企業156,989社の状況をまとめたものです。なお、この集計では、従業員31人~300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」としています。
 今後は、生涯現役で働くことのできる社会の実現に向けたさらなる取組を行うとともに、雇用確保措置を実施していない企業に対して、都道府県労働局、ハローワークによる計画的かつ重点的な個別指導を実施していきます。

【集計結果の主なポイント】

■65歳までの高年齢者雇用確保措置のある企業の状況

1 高年齢者雇用確保措置の実施状況
 65歳までの雇用確保措置のある企業は計156,607社、99.8%[0.1ポイント増加]

2 65歳定年企業の状況
 65歳定年企業は25,217社[1,382社増加]、16.1%[0.8ポイント増加]
 ・中小企業では23,685社[1,229社増加]、16.8%[0.7ポイント増加]
 ・大企業では1,532社[153社増加]、9.4%[0.9ポイント増加]

■66歳以上働ける企業の状況

1 66歳以上働ける制度のある企業の状況
 66歳以上働ける制度のある企業は43,259社、割合は27.6%
 ・中小企業では39,699社、28.2%、
 ・大企業では3,560社、21.8%

2 70歳以上働ける制度のある企業の状況
 70歳以上働ける制度のある企業は40,515社[5,239社増加]、割合は25.8%[3.2ポイント増加]
 ・中小企業では37,232社[4,453社増加]、26.5%[3.1ポイント増加]
 ・大企業では3,283社[786社増加]、20.1%[4.7ポイント増加]

3 定年制廃止企業の状況
 定年制の廃止企業は4,113社[49社増加]、割合は2.6%[変動なし]
 ・中小企業では4,032社[49社増加]、2.9%[0.1ポイント増加]
 ・大企業では81社[変動なし]、0.5%[変動なし]

<集計対象>
○全国の常時雇用する労働者が31人以上の企業156,989社



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000182200_00002.html

厚労省の賃上げ調査 賃上げを行った企業は89.7% 過去最高を更新

厚生労働省から、「平成30年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」が公表されました。「賃金引上げ等の実態に関する調査」は、全国の民間企業における賃金の改定額、改定率、改定方法などを明らかにすることを目的に、毎年8月に実施されるものです。

 「製造業」及び「卸売業,小売業」については常用労働者30人以上、その他の産業については常用労働者100人以上を雇用する企業から抽出して調査を行い、平成30年は、有効回答を得た企業(1779社)のうち、常用労働者100人以上の1,578社について集計したものです。

 調査結果(2018(平成30)年における状況)のポイントは次のとおりです。

●賃金の改定
・「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は89.7%(前年87.8%)で、前年より上昇(比較可能な1999年以降で最高)。

・1人平均賃金の改定額(予定を含む。)は5,675円(前年5,627円)で、前年より増加(これも比較可能な1999年以降で最高)。
改定率は2.0%で、前年と同水準。

(注)1人平均賃金とは、所定内賃金(諸手当等を含むが、時間外・休日手当や深夜手当等の割増手当、慶弔手当等の特別手当 を含まない)の1人当たりの平均額をいう。

定期昇給等の実施
・賃金改定が未定以外の企業(賃金の改定を実施し又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業)のうち、定期昇給を「行った・行う」企業割合は、管理職69.7%(前年69.0%)、一般職80.1%(同 77.5%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇。

定期昇給制度がある企業のうち、ベースアップを「行った・行う」企業割合は、管理職24.2%(前年22.9%)、一般職29.8%(同 26.8%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇。

●賃金カットの実施状況
 平成30年中に賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業における「賃金カットを実施し又は予定している企業」は6.1%(前年6.3%)となっている。これを賃金カットの対象者別にみると、「管理職のみ」は23.4%(同26.8%)、「一般職のみ」は28.1%(同24.4%)、「一般職一部」と「管理職一部」は46.3%(同47.9%)となっています。

●賃金の改定事情
 平成30年中に賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」の企業割合が50.4%(前年55.0%)と最も多く、次いで「労働力の確保・定着」が9.0%(同8.7%)、「雇用の維持」が7.0%(同3.9%)となっている。企業規模別にみると、すべての規模で「企業の業績」が最も多くなっている。

 統計上は、順調に賃上げが進んでいるようです。厚生労働省では、企業の業績が向上していることや労働力を確保したい狙いが背景にあると分析しています。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/18/dl/09.pdf

厚労省の賃上げ調査 賃上げを行った企業は89.7% 過去最高を更新

厚生労働省から、「平成30年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」が公表されました。「賃金引上げ等の実態に関する調査」は、全国の民間企業における賃金の改定額、改定率、改定方法などを明らかにすることを目的に、毎年8月に実施されるものです。

 「製造業」及び「卸売業,小売業」については常用労働者30人以上、その他の産業については常用労働者100人以上を雇用する企業から抽出して調査を行い、平成30年は、有効回答を得た企業(1779社)のうち、常用労働者100人以上の1,578社について集計したものです。

 調査結果(2018(平成30)年における状況)のポイントは次のとおりです。

●賃金の改定
・「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は89.7%(前年87.8%)で、前年より上昇(比較可能な1999年以降で最高)。

・1人平均賃金の改定額(予定を含む。)は5,675円(前年5,627円)で、前年より増加(これも比較可能な1999年以降で最高)。
改定率は2.0%で、前年と同水準。

(注)1人平均賃金とは、所定内賃金(諸手当等を含むが、時間外・休日手当や深夜手当等の割増手当、慶弔手当等の特別手当 を含まない)の1人当たりの平均額をいう。

定期昇給等の実施
・賃金改定が未定以外の企業(賃金の改定を実施し又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業)のうち、定期昇給を「行った・行う」企業割合は、管理職69.7%(前年69.0%)、一般職80.1%(同 77.5%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇。

定期昇給制度がある企業のうち、ベースアップを「行った・行う」企業割合は、管理職24.2%(前年22.9%)、一般職29.8%(同 26.8%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇。

●賃金カットの実施状況
 平成30年中に賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業における「賃金カットを実施し又は予定している企業」は6.1%(前年6.3%)となっている。これを賃金カットの対象者別にみると、「管理職のみ」は23.4%(同26.8%)、「一般職のみ」は28.1%(同24.4%)、「一般職一部」と「管理職一部」は46.3%(同47.9%)となっています。

●賃金の改定事情
 平成30年中に賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」の企業割合が50.4%(前年55.0%)と最も多く、次いで「労働力の確保・定着」が9.0%(同8.7%)、「雇用の維持」が7.0%(同3.9%)となっている。企業規模別にみると、すべての規模で「企業の業績」が最も多くなっている。

 統計上は、順調に賃上げが進んでいるようです。厚生労働省では、企業の業績が向上していることや労働力を確保したい狙いが背景にあると分析しています。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/18/dl/09.pdf

消費税10%への引き上げに伴う経過措置について

平成31年(2019年)10月1日から、消費税及び地方消費税

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の税率が8%から10%へ引き上げられることに伴い、国税庁は、経過措置の取扱いに関するQ&Aやリーフレット等を公表しています。経過措置とは、消費税の引き上げ後(10%)に提供された商品やサービス等であっても、一定の要件を満たせば引き上げ前(8%)の税率で計算できることです。

■消費税率等の引上げについて
 平成31年(2019年)10月1日(以下「31年施行日」といいます。)から、消費税及び地方消費税の税率が8%から10%へ引き上げられ、この税率引上げと同時に消費税の軽減税率制度が実施されます。

平成31年(2019年)10月1日前後の消費税率等の適用について
 31年施行日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等並びに31年施行日以後に国内において事業者が行う課税仕入れ及び保税地域から引き取られる課税貨物(以下「課税仕入れ等」といいます。)に係る消費税及び地方消費税については、経過措置が適用されるものを除き、10%(軽減対象資産の譲渡等については、8%)の税率(以下「新税率」といいます。)が適用され、平成26年4月1日から31年施行日の前日(平成31年(2019年)9月30日)までの間に国内において事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れ等に係る消費税及び地方消費税については、旧税率(8%)が適用されることとなります。
 したがって、31年施行日の前日までに締結した契約に基づき行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、31年施行日以後に行われるものは、経過措置が適用されるものを除き、当該資産の譲渡等及び課税仕入れ等について、新税率が適用されることとなります。
 
■経過措置の概要
 31年施行日以後に事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れであっても、経過措置が適用されるものについては、旧税率(8%)が適用されることとなります。
※経過措置について、詳しくお知りになりたい方は、「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」をご覧ください。

●「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【基本的な考え方編】」
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/02.pdf
●「平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【具体的事例編】」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/03.pdf

【経過措置が適用される取り引き】
経過措置が適用される取り引きは、以下10種類が掲げられています。
① 旅客運賃、映画・演劇・競馬場・競輪場・美術館・遊園地等への入場料金等
② 電気・ガス・水道・電話・灯油に係る料金等
③ 工事や製造、ソフトウェア等の請負契約
④ 資産の貸付け
⑤ 冠婚葬祭のための施設やサービスの提供
⑥ 予約販売に係る書籍等
⑦ 特定の新聞購読
⑧ 通信販売による取引
⑨ 有料老人ホームに関する介護サービスの提供
⑩ 家電リサイクルの再商品化に関する取引

① 旅客運賃等
 31年施行日以後に行う旅客運送の対価や映画・演劇を催す場所、競馬場、競輪場、美術館、遊園地等への入場料金等のうち、26年施行日(平成26年4月1日)から31年施行日の前日までの間に領収しているもの

② 電気料金等
 継続供給契約に基づき、31年施行日前から継続して供給している電気、ガス、水道、電話、灯油に係る料金等で、31年施行日から平成31年(2019年)10月31日までの間に料金の支払を受ける権利が確定するもの

③ 請負工事等
 26年指定日(平成25年10月1日)から31年指定日(平成31年(2019年)4月1日)の前日までの間に締結した工事(製造を含みます。)に係る請負契約(一定の要件に該当する測量、設計及びソフトウェアの開発等に係る請負契約を含みます。)に基づき、31年施行日以後に課税資産の譲渡等を行う場合における、当該課税資産の譲渡等

④ 資産の貸付け
 26年指定日から31年指定日の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、31年施行日前から同日以後引き続き貸付けを行っている場合(一定の要件に該当するものに限ります。)における、31年施行日以後に行う当該資産の貸付け

⑤ 指定役務の提供
 26年指定日から31年指定日の前日までの間に締結した役務の提供に係る契約で当該契約の性質上役務の提供の時期をあらかじめ定めることができないもので、当該役務の提供に先立って対価の全部又は一部が分割で支払われる契約(割賦販売法に規定する前払式特定取引に係る契約のうち、指定役務の提供※に係るものをいいます。)に基づき、31年施行日以後に当該役務の提供を行う場合において、当該役務の内容が一定の要件に該当する役務の提供
※「指定役務の提供」とは、冠婚葬祭のための施設の提供その他の便益の提供に係る役務の提供をいいます。
 
⑥ 予約販売に係る書籍等
 31年指定日前に締結した不特定多数の者に対する定期継続供給契約に基づき譲渡する書籍その他の物品に係る対価を31年施行日前に領収している場合で、その譲渡が31年施行日以後に行われるもの(軽減対象資産の譲渡等を除きます。)

⑦ 特定新聞
 不特定多数の者に週、月その他の一定の期間を周期として定期的に発行される新聞で、発行者が指定する発売日が31年施行日前であるもののうち、その譲渡が31年施行日以後に行われるもの(軽減対象資産の譲渡等を除きます。)

⑧ 通信販
 通信販売の方法により商品を販売する事業者が、31年指定日前にその販売価格等の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、31年施行日前に申込みを受け、提示した条件に従って31年施行日以後に行われる商品の販売(軽減対象資産の譲渡等を除きます。)

⑨ 有料老人ホーム
 26年指定日から31年指定日の前日までの間に締結した有料老人ホームに係る終身入居契約(入居期間中の介護料金が入居一時金として支払われるなど一定の要件を満たすものに限ります。)に基づき、31年施行日前から同日以後引き続き介護に係る役務の提供を行っている場合における、31年施行日以後に行われる当該入居一時金に対応する役務の提供

特定家庭用機器再商品化法家電リサイクル法)に規定する再商品化等
 家電リサイクル法に規定する製造業者等が、同法に規定する特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に係る対価を31年施行日前に領収している場合(同法の規定に基づき小売業者が領収している場合も含みます。)で、当該対価の領収に係る再商品化等が31年施行日以後に行われるもの

※上記以外にも、「リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例を受ける場合における税率等に関する経過措置」などの経過措置が設けられています。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 国税庁 ]
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/01.pdf

外国人材の受入れ拡大に関する改正法案を閣議決定

 政府は、平成30年11月2日の閣議で、外国人材の受入れ拡大に関する改正法案を決定しました。政府・与党は、来年(2019年)4月の新制度開始を目指し、現在開会中の臨時国会で成立させる構えです。
 これまで、外国人材の受入れは、医師や弁護士などの「高度な専門人材」に限って認めてきましたが、深刻な人手不足に対応するため、単純労働にも受入れ可能な新たな在留資格を設けようとするもので、実現すれば、大きな政策転換となります。

■新たな外国人材受入れのための在留資格の創設

在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設
(1) 特定技能1号:不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
(2) 特定技能2号:同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

2 受入れのプロセス等に関する規定の整備
(1) 分野横断的な方針を明らかにするための「基本方針」(閣議決定)に関する規定
(2) 受入れ分野ごとの方針を明らかにするための「分野別運用方針」に関する規定
(3) 具体的な分野名等を法務省令で定めるための規定
(4) 特定技能外国人が入国する際や受入れ機関等を変更する際に審査を経る旨の規定
(5) 受入れの一時停止が必要となった場合の規定

3 外国人に対する支援に関する規定の整備
(1) 受入れ機関に対し、支援計画を作成し、支援計画に基づいて、特定技能1号外国人に対する日常生活上、職業生活上又は社会生活上の支援を実施することを求める。
(2) 支援計画は、所要の基準に適合することを求める。

4 受入れ機関に関する規定の整備
(1) 特定技能外国人の報酬額が日本人と同等以上であることなどを確保するため、特定技能外国人と受入れ機関との間の雇用契約は、所要の基準に適合することを求める。
(2) ①雇用契約の適正な履行や②支援計画の適正な実施が確保されるための所要の基準に適合することを求める。

5 登録支援機関に関する規定の整備
(1) 受入れ機関は、特定技能1号外国人に対する支援を登録支援機関に委託すれば、4(2)②の基準に適合するものとみなされる。
(2) 委託を受けて特定技能1号外国人に対する支援を行う者は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることができる。
(3) その他登録に関する諸規定

6 届出、指導・助言、報告等に関する規定の整備
(1) 外国人、受入れ機関及び登録支援機関による出入国在留管理庁長官に対する届出規定
(2) 出入国在留管理庁長官による受入れ機関及び登録支援機関に対する指導・助言規定、報告徴収規定等
(3) 出入国在留管理庁長官による受入れ機関に対する改善命令規定

7 特定技能2号外国人の配偶者及び子に対し在留資格を付与することを可能とする規定の整備

8 その他関連する手続・罰則等の整備

(注)特定技能1号外国人:特定技能1号の在留資格を持つ外国人、特定技能2号外国人:特定技能2号の在留資格を持つ外国人、特定技能外国人:これらの外国人の総称

なお、改正法案は、出入国管理及び難民認定法法務省設置法の改正部分をまとめて、1本の法案としています。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 法務省 ]
http://www.moj.go.jp/content/001272390.pdf