「新型コロナウイルス感染症の影響による労働者の休業等について」リーフレットを更新

 厚生労働省から、「新型コロナウイルス感染症の影響による労働者の休業等について」として、助成金の内容などをまとめたリーフレットが公表されていますが、そのリーフレットが更新されています。リーフレットでは、「企業の皆さま、今回ご紹介する各種助成金制度等を是非活用いただき、新型コロナウイルスの影響を受ける労働者の皆様が休みやすい環境整備にご協力をお願いします。」として、次の助成金の内容を紹介しています。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金(新たな助成金制度の創設)
新型コロナウイルス感染症に関する対応として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子どもの保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規・非正規を問わず、労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金を創設しました。
年次有給休暇や欠勤、勤務時間短縮を、事後的に特別休暇に振り替えた場合でも対象になります。
(ただし、労働者本人に説明し、同意を得ていただくことが必要です。)

雇用調整助成金の特例措置の拡大
雇用調整助成金は、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度です。先行拡充した特例措置に加え、クーリング期間要件の撤廃、被保険者期間要件の撤廃を行います。また、助成対象となった事業主が感染拡大防止に資するために行う一部従業員の休業や一斉休業も対象となります。
加えて、他地域と比べて感染者が一定数以上かつ集中的に発生し、地方公共団体の長が住民・企業の活動自粛を要請する旨の宣言を発出している地域の事業主に対しては、さらなる特例措置を講じます。

■時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)の特例
新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークの新規導入や特別休暇の規定整備を行った、中小企業事業主を助成するために、要件を簡素化した特例コースを設けました。
(事業実施期間:令和2年2月17日~令和2年5月31日)

新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース
新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業事業主
(助成対象の取組)
・テレワーク用通信機器の導入・運用
就業規則・労使協定等の作成・変更等
※事業実施期間中にテレワークを実施した労働者が1人以上いること

●職場意識改善特例コース
新型コロナウイルス感染症対策として休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主
(助成対象の取組)
就業規則等の作成・変更・労務管理用機器等の購入・更新等
※事業実施期間中に新型コロナウイルスの対応として労働者が利用できる特別休暇の規定を整備すること

その他、労働相談の窓口などの関連情報が紹介されている他、令和2年3月24日時点の助成金の内容が体系的に整理されていますので、確認しておくことをお勧めいたします。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000612981.pdf

令和2年4月1日より現物給与価額(食事)が改正

 

 

 「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」の一部を改正する告示が公布され、令和2年4月1日から、「食事で支払われる報酬等」に係る現物給与の価額が改正されます。この改正について、日本年金機構からも公表がありました。標準報酬月額の決定・改定の際に、現物給与として処理している食事代がある企業では、必ずチェックしておく必要があります。

■現物給与について
 厚生年金保険及び健康保険の被保険者が、勤務する事業所より労働の対償として現物で支給されるものがある場合は、その現物を通貨に換算し報酬に合算のうえ、保険料額算定の基礎となる標準報酬月額を求めることになります。
現物で支給されるものが、食事や住宅である場合は、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」(厚生労働省告示)に定められた額に基づいて通貨に換算します。また、自社製品等その他のもので支給される場合は、原則として時価に換算します。

 なお、本社管理(本社と支店等が合わせて1つの適用事業所になっていること)の適用事業所における支店等に勤務する被保険者の現物給与は、平成25年4月1日以降、支店等が所在する都道府県の価額を適用します。
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 ※令和2年4月からの全国現物給与価額一覧表はこちら
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20150511.files/2020.pdf




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 日本年金機構 ]
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20150511.html

新型コロナに係る時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)の特例


 厚生労働省から、新型コロナウイルス感染症に係る時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)の特例について、公表されています。

 新型コロナウイルス感染症対策として、新たにテレワークを導入し、又は特別休暇の規定を整備した中小企業事業主を支援するため、既に今年度の申請の受付を終了していた時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)について、特例的なコースを新たに設け、速やかに申請受付を開始することにしたということです。

概要は次のとおりです。

○本年度の時間外労働等改善助成金(テレワークコース、職場意識改善コース)については、助成金の受付を既に終了している。
○他方で、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレワーク導入や特別休暇の規定整備は急務である。

このため、既存のコースの要件を簡素化した上で、時間外労働等改善助成金に特例的なコースを新たに設け、速やかに特例コースの申請受付を開始することとする。

○なお、令和2年2月17日以降に行った取組については、交付決定を行う前であっても、特例として助成の対象とすることとする。

支給額
・テレワークの特例コース→補助率は2分の1で、1企業当たりの上限額は100万円
・職場意識改善の特例コース→補助率は4分の3(事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は、5分の4)で、上限額は50万円

更なる詳細については、速やかに検討を進め、公表するとのことです。

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詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09904.html

年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案

 令和2年3月3日、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されました。この年金改正法案は、より多くの人が、より長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、在職中の年金受給の在り方の見直し、受給開始時期の選択肢の拡大、確定拠出年金の加入可能要件の見直し等の措置を講ずるためのものです。改正の概要で、全体像を把握しておくことをお勧めいたします。

■改正の概要

1.被用者保険の適用拡大厚生年金保険法、健康保険法、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成24年改正法)、国家公務員共済組合法地方公務員等共済組合法

① 短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件について、段階的に引き下げる(現行500人超→100人超→50人超)。
② 5人以上の個人事業所に係る適用業種に、弁護士、税理士等の資格を有する者が行う法律又は会計に係る業務を行う事業を追加する。
③ 厚生年金・健康保険の適用対象である国・自治体等で勤務する短時間労働者に対して、公務員共済の短期給付を適用する。

2.在職中の年金受給の在り方の見直し厚生年金保険法

① 高齢期の就労継続を早期に年金額に反映するため、在職中の老齢厚生年金受給者(65歳以上)の年金額を毎年定時に改定することとする。
② 60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲を拡大する(支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、現行の28万円から47万円(令和元年度額)に引き上げる。)。

3.受給開始時期の選択肢の拡大国民年金法、厚生年金保険法等】

現在60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を、60歳から75歳の間に拡大する。

4.確定拠出年金の加入可能要件の見直し等確定拠出年金法確定給付企業年金法独立行政法人農業者年金基金法等】

確定拠出年金の加入可能年齢を引き上げる(※)とともに、受給開始時期等の選択肢を拡大する。
※ 企業型DC:厚生年金被保険者のうち65歳未満→70歳未満 個人型DC(iDeCo):公的年金の被保険者のうち60歳未満→65歳未満
確定拠出年金における中小企業向け制度の対象範囲の拡大(100人以下→300人以下)、企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和など、制度面・手続面の改善を図る。

5.その他国民年金法、厚生年金保険法年金生活者支援給付金の支給に関する法律、児童扶養手当法等】

国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え
② 未婚のひとり親等を寡婦と同様に国民年金保険料の申請全額免除基準等に追加
③ 短期滞在の外国人に対する脱退一時金の支給上限年数を3年から5年に引上げ(具体の年数は政令で規定)
年金生活者支援給付金制度における所得・世帯情報の照会の対象者の見直し
児童扶養手当障害年金の併給調整の見直し 等

施行期日
令和4(2022)年4月1日(ただし、1①は令和4(2022)年10月1日・令和6(2024)年10月1日、1②・③は令和4(2022)年10月1日、4①は令和4(2022)年4月1日・同年5月1日等、4②は公布日から6月を超えない範囲で政令で定める日・令和4(2022)年10月1日等、5②・③は令和3(2021)年4月1日、5④は公布日、5⑤は令和3(2021)年3月1日 等)




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/000601827.pdf

企業向けの新型コロナウイルスに関するQ&Aなどを更新

厚生労働省から、新型コロナウイルスに関するQ&Aが公表されていますが、刻々と状況が変わっていることから、Q&Aも頻繁に更新されています。令和2年2月25日の時点(本記事執筆時点)での企業の方向けQ&Aのいくつかを抜粋してご紹介いたします。人事労務担当者の方は、休業手当の支給要件や、有給休暇の取り扱いについて、確認することをお勧めいたします。

問1 感染が疑われる方については、どのようにすればよいのでしょうか。

風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合、強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合には、最寄りの保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」にお問い合わせください。
また、高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤抗がん剤などを用いている方で、これらの状態が2日程度続く場合は、帰国者・接触者相談センターに相談してください。

「帰国者・接触者相談センター」でご相談の結果、新型コロナウイルス感染の疑いのある場合には、「帰国者・接触者外来」を設置している医療機関をご案内します。「帰国者・接触者相談センター」は、感染が疑われる方から電話での相談を受けて、必要に応じて、帰国者・接触者外来へ確実に受診していただけるよう調整します。受診を勧められた医療機関を受診し、複数の医療機関を受診することは控えてください。
なお、これらの症状が上記の期間に満たない場合には、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況であり、インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等にご相談ください。

「帰国者・接触者相談センター」はすべての都道府県で設置しています。
詳しくは以下のURLからご覧いただけます。下記のホームページをご覧いただき、お問い合わせください。
帰国者・接触者相談センターページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html
参考:新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

問2 労働安全衛生法第68条に基づく病者の就業禁止の措置を講ずる必要はありますか。

2月1日付けで、新型コロナウイルス感染症が指定感染症として定められたことにより、労働者が新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことができることとなります。
感染症法により就業制限を行う場合は、感染症法によることとして、労働安全衛生法第68条に基づく病者の就業禁止の措置の対象とはしませんが、感染症法の制限に従っていただく必要があります。


問3 新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。

新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、欠勤中の賃金の取り扱いについては、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えていただくようお願いします。
なお、賃金の支払いの必要性の有無などについては、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案するべきですが、法律上、労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要性の有無については、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するかどうかによって判断されます。
※なお、休業手当を支払う必要がないとされる場合においても、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。


問4 労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当はどのようにすべきですか。

新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。
なお、被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。
具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。
具体的な申請手続き等の詳細については、加入する保険者に確認ください。


問5 新型コロナウイルスへの感染が疑われる方について、休業手当の支払いは必要ですか

風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合、強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合には、最寄りの保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」にお問い合わせください。
また、高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤抗がん剤などを用いている方で、これらの状態が2日程度続く場合は、帰国者・接触者相談センターに相談してください。

「帰国者・接触者相談センター」でご相談の結果、新型コロナウイルス感染の疑いのある場合には、「帰国者・接触者外来」を設置している医療機関をご案内します。「帰国者・接触者相談センター」は、感染が疑われる方から電話での相談を受けて、必要に応じて、帰国者・接触者外来へ確実に受診していただけるよう調整します。受診を勧められた医療機関を受診し、複数の医療機関を受診することは控えてください。
なお、これらの症状が上記の期間に満たない場合には、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況であり、インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等にご相談ください。

「帰国者・接触者相談センター」はすべての都道府県で設置しています。
「帰国者・接触者相談センター」の結果を踏まえても、職務の継続が可能である方について、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。


問6 労働者が発熱などの症状があるため自主的に休んでいます。休業手当の支払いは必要ですか。

新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱っていただき、病気休暇制度を活用することなどが考えられます。
一方、例えば熱が37.5度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。


問7 新型コロナウイルスに感染している疑いのある労働者について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取り扱いは、労働基準法上問題はありませんか。病気休暇を取得したこととする場合はどのようになりますか。

年次有給休暇は、原則として労働者の請求する時季に与えなければならないものなので、使用者が一方的に取得させることはできません。事業場で任意に設けられた病気休暇により対応する場合は、事業場の就業規則などの規定に照らし適切に取り扱ってください。


問8 新型コロナウイルスの感染の防止や感染者の看護等のために労働者が働く場合、労働基準法第33条第1項の「災害その他避けることができない事由によって、臨時の必要がある場合」に該当するでしょうか。

ご質問については、新型コロナウイルスに関連した感染症への対策状況、当該労働の緊急性・必要性などを勘案して個別具体的に判断することになりますが、今回の新型コロナウイルスが指定感染症に定められており、一般に急病への対応は、人命・公益の保護の観点から急務と考えられるので、労働基準法第33条第1項の要件に該当し得るものと考えられます。
ただし、労働基準法第33条第1項に基づく時間外・休日労働はあくまで必要な限度の範囲内に限り認められるものですので、過重労働による健康障害を防止するため、実際の時間外労働時間を月45時間以内にするなどしていただくことが重要です。また、やむを得ず月に80時間を超える時間外・休日労働を行わせたことにより疲労の蓄積の認められる労働者に対しては、医師による面接指導などを実施し、適切な事後措置を講じる必要があります。

(参考)時間外・休日労働とは?
労働基準法32条においては、1日8時間、1週40時間の法定労働時間が定められており、これを超えて労働させる場合や、労働基準法第35条により毎週少なくとも1日又は4週間を通じ4日以上与えることとされている休日に労働させる場合は、労使協定(いわゆる36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出ていただくことが必要です。
しかし、災害その他避けることのできない事由により臨時に時間外・休日労働をさせる必要がある場合においても、例外なく、36協定の締結・届出を条件とすることは実際的ではないことから、そのような場合には、36協定によるほか、労働基準法第33条第1項により、使用者は、労働基準監督署長の許可(事態が急迫している場合は事後の届出)により、必要な限度の範囲内に限り時間外・休日労働をさせることができるとされています。労働基準法第33条第1項は、災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合の規定ですので、厳格に運用すべきものです。
なお、労働基準法第33条第1項による場合であっても、時間外労働・休日労働や深夜労働についての割増賃金の支払は必要です。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例

 今般の新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、日中間の人の往来が急減したことにより、事業活動が急激に縮小する事業所が生じ、雇用への悪影響が見込まれます。このため、厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症に伴う日中間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、前年度又は直近1年間の中国(人)関係の売上高等が総売上高等の一定割合(10%)以上である事業主について、下記のとおり雇用調整助成金の特例を適用します。

1 要件緩和等
(1) 生産指標の確認対象期間を3か月から1か月に短縮します。
現行、販売量、売上高等の事業活動を示す生産指標の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ10%以上減少している事業所であることを必要としていますが、この比較期間を最近1か月とします。

(2)最近3か月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象とします。
現行、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ5%以上を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上)増加していないことを必要としていますが、これを撤廃します。

(3)事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とします。
現行、生産指標等を前年同期と比較するため、事業所設置後1年未満の事業主は対象となっていませんが、本特例においては、新型コロナウイルス感染症を受けて中国湖北省への渡航中止勧告が出された令和2年1月24日時点において事業所設置後1年未満の事業主についても、助成対象とします。
その場合、中国(人)関係の売上高等の総売上高等に占める割合は、事業所設置から初回の計画届前月までの売上高等により確認し、(1)の生産指標は、令和元年12月と初回の計画届前月の指標とを比較することとします。

2 計画届の事後提出を可能とします。
現行、休業等に係る計画届は事前の提出が必要ですが、令和2年1月24日以降に初回の休業等がある計画届に関し、令和2年3月31日までに提出があれば、休業等の前に届け出られたものとします。

3 特例対象期間
令和2年1月24日から令和2年7月23日の間に開始した休業等が対象となります。

【参考資料】
リーフレット新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例を実施します。
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09477.html

また、同省から、「新型コロナウイルス感染症関連特別融資」についても案内がありました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食店営業、喫茶店営業及び旅館業の営業において資金繰りが懸念されることに鑑み、株式会社日本政策金融公庫におけるセーフティネット貸付に加え、令和2年2月21日より、「衛生環境激変対策特別貸付制度」を実施するというものです。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09477.html

「雇用保険法等の一部を改正する法律案」国会に提出

 令和2年の通常国会における重要法案の一つである「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が、令和2年2月4日、当該国会に提出されました。高齢者の就業機会の確保、複数就業者等のセーフティネットの整備、失業者、育児休業者等への給付等を安定的に行うための基盤整備等、などを盛り込んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律案」ですが、スムーズに成立するのか、動向に注目が集まっています。

法案の概要は、次のとおりです。

改正の趣旨
○高齢者、複数就業者等に対応したセーフティネットの整備、就業機会の確保等を図るため、雇用保険法、高年齢者雇用安定法、労災保険法等において必要な措置を講ずる。
○失業者、育児休業者等への給付等を行う基盤となる雇用保険制度の安定的な運営等を図るため、育児休業給付の区分経理等の財政運営の見直しを行う。併せて、現下の雇用情勢等に鑑み、2年間に限った保険料率及び国庫負担の暫定的な引下げ等の措置を講ずる。

改正の概要
1.高齢者の就業機会の確保及び就業の促進(高年齢者雇用安定法、雇用保険法
 ①65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置(定年引上げ、継続雇用制度の導入、定年廃止、労使で同意した上での雇用以外の措置(継続的に業務委託契約する制度、社会貢献活動に継続的に従事できる制度)の導入のいずれか)を講ずることを企業の努力義務にするなど、70歳までの就業を支援する。【令和3年4月施行】
 ②雇用保険制度において、65歳までの雇用確保措置の進展等を踏まえて高年齢雇用継続給付を令和7年度から縮小するとともに、65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置の導入等に対する支援を雇用安定事業に位置付ける。【令和7年4月施行・令和3年4月施行】

2.複数就業者等に関するセーフティネットの整備等労災保険法、雇用保険法、労働保険徴収法、労働施策総合推進法)
 ①複数就業者の労災保険給付について、複数就業先の賃金に基づく給付基礎日額の算定や給付の対象範囲の拡充等の見直しを行う。【公布後6月を超えない範囲で政令で定める日】
 ②複数の事業主に雇用される65歳以上の労働者について、雇用保険を適用する。【令和4年1月施行】
 ③勤務日数が少ない者でも適切に雇用保険の給付を受けられるよう、被保険者期間の算入に当たり、日数だけでなく労働時間による基準も補完的に設定する。【令和2年8月施行】
 ④大企業に対し、中途採用比率の公表を義務付ける。【令和3年4月施行】

3.失業者、育児休業者等への給付等を安定的に行うための基盤整備等雇用保険法、労働保険徴収法、特別会計法、労災保険法)
 ①育児休業給付について、失業等給付から独立させ、子を養育するために休業した労働者の生活及び雇用の安定を図るための給付と位置付ける。【令和2年4月施行】
 ②上記①を踏まえ、雇用保険について、以下の措置を講ずる。【令和2年4月施行】
  ア:育児休業給付の保険料率(1,000分の4)を設定するとともに、経理を明確化し、育児休業給付資金を創設する。
  イ:失業等給付に係る保険料率を財政状況に応じて変更できる弾力条項について、より景気の動向に応じて判定できるよう算定方法を見直す。
 ③上記②の整備を行った上で、2年間(令和2~3年度)に限り、雇用保険の保険料率及び国庫負担の引下げ措置を講ずる。【令和2年4月施行】
 ④雇用保険二事業に係る保険料率を財政状況に応じて1,000分の0.5引き下げる弾力条項について、更に1,000分の0.5引き下げられるようにする。【令和3年4月施行】
 ⑤保険給付に係る法令上の給付額に変更が生じた場合の受給者の遺族に対する給付には、消滅時効を援用しないこととする。【令和2年4月施行】

改正項目が多岐に渡りますが、最も注目されているのは、70歳までの就業機会の確保(改正の概要の1.①の「65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置」)です。
努力義務規定ですが、令和3年4月からの施行が予定されています。
令和2年4月からの施行が予定されているものもありますので、全体像を確認することをお勧めします。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/000591659.pdf