通勤災害保護制度の対象となる介護の対象家族の範囲が緩和!

通勤災害は、労災保険が本来対応すべき業務上災害ではないので、その認定には厳しい要件が課されています。しかし近年、就労形態の多様化や高齢化に伴う介護問題に対応するための改正が行われ、通勤として保護される例外の範囲が広がってきており、今般、通勤災害保護制度の対象となる介護の対象家族の範囲について「同居、かつ、扶養」の要件が撤廃されました。

労災保険法の通勤災害保護制度の改正概要

労災保険法では、労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡については、通勤災害として保険給付の対象としているが、労働者が移動の経路を逸脱・中断した場合においては、当該逸脱・中断の間及び合理的な経路に復帰後の移動は原則として通勤には含まれない。

ただし、逸脱・中断が「日常生活上必要な行為」に該当する場合には、合理的な経路に復帰後の移動は通勤に含まれる(その場合であっても、逸脱・中断の間は通勤に含まれない。)。

労災保険法施行規則では、「日常生活上必要な行為」について、一定の家族の介護を認めており、当該家族は育児・介護休業法の対象家族と同じ範囲で規定している。

今般、育児・介護休業法の改正に伴い、介護等の対象家族が拡大されたことを踏まえ、「日常生活上必要な行為」に該当する介護の対象家族の範囲も同様に取り扱われることとなり、「同居、かつ、扶養」の要件が撤廃されました。

中断とは、通勤を中断して通勤と関係のない行為を行うことをいい、逸脱とは、通勤の途上で通勤とは関係のない目的のために合理的な経路をそれることをいいます。

通勤経路の途中で、経路の近くにある公衆トイレを使用したり、短時間休憩したりする程度は、「通勤に通常随伴する行為」であって中断・逸脱にはあたりません。しかし、通勤途中で映画館による、買い物をする、レストランで飲食するなどの行為は、中断・逸脱となります。

労働者が通勤の経路を途中で中断または逸脱した場合、原則としてそれ以後は、本来の経路に復帰しても通勤とは認められません。ただし、中断・逸脱が「日常生活上必要な行為」を「やむをえない事由により行うための最小限度のものである場合」、合理的な経路に戻った後の移動は再び通勤として保護されます。

「日常生活上必要な行為」の具体的内容としては、日用品の購入、選挙権の行使、病院での診察、親族の介護などが定められています(労災保険法施行規則第8条)。親族の介護は、少子高齢化に伴う家族介護の問題に対応するために、平成20年の施行規則改正で追加されました。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000144638.html