経済団体に対し、職場での新型コロナウイルス感染症への感染予防と健康管理の強化などを依頼

 厚生労働省は、緊急事態宣言の発出を受け、労使団体や業種別事業主団体などの経済団体に対し、職場での新型コロナウイルス感染症への感染予防と健康管理の強化などを傘下団体・企業に周知するよう、改めて依頼しました。

 今回で7回目となる協力依頼は、感染防止のため事業場で特に留意すべき「取組の5つのポイント」の実践例の拡充などを行い、職場における具体的な感染予防の取り組みにつなげてもらうよう、事業主に働きかけることを目的としています。
*これまで令和2年4月17日、5月14日、8月7日、11月27日、令和3年1月8日、2月12日に実施

 厚生労働省では、感染防止の取り組みについて事業主に働きかけるとともに、都道府県労働局に設置した相談コーナーにおいて、引き続き、事業主や労働者からの相談などへの対応を行っていきます。併せて、各事業などを所管する省庁などに対し、上記の趣旨を周知するよう、協力を依頼しました。

■職場における新型コロナウイルス感染症対策を実施するため、「取組の5つのポイント」の実施状況を確認しましょう
【取組の5つのポイント】
・テレワーク・時差出勤等を推進しています。
・体調がすぐれない人が気兼ねなく休めるルールを定め、実行できる雰囲気を作っています。
・職員間の距離確保、定期的な換気、仕切り、マスク徹底など、密にならない工夫を行っています。
・休憩所、更衣室などの“場の切り替わり”や、飲食の場など「感染リスクが高まる『5つの場面』」での対策・呼びかけを行っています。
・手洗いや手指消毒、咳エチケット、複数人が触る箇所の消毒など、感染防止のための基本的な対策を行っています。

■1 労務管理の基本的姿勢
 基本的対処方針の三の(3)「まん延防止」の4)「職場への出勤等」、8)「重点措置区域における取組等」、9)「緊急事態措置区域及び重点措置区域以外の都道府県における取組等」及び12)「クラスター対策の強化」の内容に基づき、職場における感染防止対策に取り組んでいただきたいこと。

新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針】
新型コロナウイルス感染症対策の実施に関する重要事項
(3)まん延防止
4)職場への出勤等
①政府及び特定都道府県は、事業者に対して、以下の取組を行うよう働きかけを行うものとする。
・職場への出勤について、人の流れを抑制する観点から、在宅勤務(テレワーク)活用や大型連休中の休暇取得の促進等により、出勤者数の7割削減を目指すこと。
・20時以降の不要不急の外出自粛を徹底することを踏まえ、事業の継続に必要な場合を除き、20時以降の勤務を抑制すること。
・職場に出勤する場合でも、時差出勤、自転車通勤等の人との接触を低減する取組を強力に推進すること。
・職場においては、感染防止のための取組(手洗いや手指消毒、咳エチケット、職員同士の距離確保、事業場の換気励行、複数人が触る箇所の消毒、発熱等の症状が見られる従業員の出勤自粛、出張による従業員の移動を減らすためのテレビ会議の活用等)や「三つの密」や「感染リスクが高まる「5つの場面」」等を避ける行動を徹底するよう促すこと。特に職場での「居場所の切り替わり」(休憩室、更衣室、喫煙室等)に注意するよう周知すること。さらに、職場や店舗等に関して、業種別ガイドライン等を実践するよう働きかけること。
・別添に例示する国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者及びこれらの業務を支援する事業者においては、「三つの密」を避けるために必要な対策を含め、十分な感染防止策を講じつつ、事業の特性を踏まえ、業務を継続すること。
②政府及び地方公共団体は、在宅勤務(テレワーク)、ローテーション勤務、時差出勤、自転車通勤等、人との接触を低減する取組を自ら進めるとともに、事業者に対して必要な支援等を行う。
③政府は、上記①に示された感染防止のための取組等を働きかけるため、特に留意すべき事項を提示し、事業者自らが当該事項の遵守状況を確認するよう促す。また、遵守している事業者に、対策実施を宣言させるなど、感染防止のための取組が勧奨されるよう促す。

8)重点措置区域における取組等
①重点措置区域である都道府県においては、「緊急事態宣言解除後の対応」を踏まえるとともに、まん延防止等重点措置が、地域の感染状況に応じて、期間・区域、業態を絞った措置を機動的に実施できる仕組みであり、発生の動向等を踏まえた集中的な対策により、地域的に感染を抑え込み、都道府県全域への感染拡大、更には全国的かつ急速なまん延を防ぐ趣旨で創設されたものであることを踏まえ、感染リスクが高く感染拡大の主な起点となっている場面に効果的な対策を徹底するため、後述9)に掲げる基本的な感染防止策等に加え、以下の取組を行うものとする。
(略)

9)緊急事態措置区域及び重点措置区域以外の都道府県における取組等
(職場への出勤等)
・事業者に対して、在宅勤務(テレワーク)、時差出勤、自転車通勤等、人との接触を低減する取組を働きかけること。
・事業者に対して、職場における、感染防止のための取組(手洗いや手指消毒、咳エチケット、職員同士の距離確保、事業場の換気励行、複数人が触る箇所の消毒、発熱等の症状が見られる従業員の出勤自粛、出張による従業員の移動を減らすためのテレビ会議の活用等)や「三つの密」や「感染リスクが高まる「5つの場面」」等を避ける行動を徹底するよう促すこと。特に職場での「居場所の切り替わり」(休憩室、更衣室、喫煙室等)に注意するよう周知すること。さらに、職場や店舗等に関して、業種別ガイドライン等を実践するよう働きかけること。その際には、特に留意すべき事項の確認を促し、遵守している事業者には対策実施を宣言させる等、感染防止のための取組を強く勧奨すること。

12)クラスター対策の強化
⑤政府及び都道府県等は、クラスター対策を強化する観点から、以下の取組を行う。
・「三つの密」等濃厚接触が生じやすい環境にある職場でクラスターが発生した場合には、幅広く検査を実施する。また、あらかじめ、事業者に対し、職場でのクラスター対策の徹底を呼びかけるとともに、上記の検査について労働者への受検勧奨の実施等を促すこと。

また、職場において特に留意すべき「取組の5つのポイント」の取組状況を確認していただき、未実施の事項がある場合には、「職場における感染防止対策の実践例」を参考に職場での対応を検討し、実施していただきたいこと。
その際、労働者の理解や協力を得つつ、事業者が主体となり、これらの取組を実施していただくに当たって、特に、以下の(1)から(6)にご留意いただきたいこと。
なお、新型コロナウイルス感染症への対応策については、新たな知見が得られるたびに充実しているところであるので、逐次厚生労働省ホームページの「新型コロナウイルス感染症について」を確認いただきたいこと。

(1)職場における感染防止の進め方
 職場における新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大を防止するためには、事業者、労働者それぞれが、職場内外での感染防止行動の徹底について正しい知識を持って、職場や職務の実態に即した対策に取り組んでいただくことが必要であること。
 このため、事業者においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に積極的に取り組む方針を定め、全ての労働者に伝えていただくとともに、労働者も取組の趣旨を踏まえて感染拡大防止に向けた一人一人の行動変容を心がけていただくことが重要であること。

 具体的には、①労働衛生管理体制の再確認、②換気の徹底等の作業環境管理、③職場の実態に応じた作業管理、④手洗いの励行など感染予防に関する基本的な知識も含めた労働衛生教育、⑤日々の体調管理等も含めた健康管理に留意して取組を実施いただきたいこと。

 職場における感染防止を検討する際に疑問点等が生じた場合には、都道府県労働局に設置された「職場における新型コロナウイルス感染拡大防止対策相談コーナー」を積極的に活用していただきたいこと。

(2)テレワークの積極的な活用
 厚生労働省では、テレワークについて、テレワーク相談センターにおける相談支援等を行っている。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、関係省庁と連携し、テレワークや時差出勤の一層の活用のため、テレワークの導入にあたって必要なポイント等をわかりやすくまとめたリーフレットも作成し、周知を行っている。さらに、使用者が適切に労務管理を行うとともに、労働者も安心して働くことのできる良質なテレワークの導入・実施を進めていくことができるよう、本年3月に労務管理の留意点等をまとめたテレワークガイドラインの改定を行っている。

 こうした施策も活用いただきながら、職場や通勤での感染防止のため、正規雇用労働者・非正規雇用労働者の双方に対し、テレワークを積極的に進めていただきたいこと。

(3)電子申請の活用等について
 窓口の混雑による感染拡大防止の観点から、郵送や電子申請を積極的に活用していただきたいこと。

(4)感染リスクが高まる「5つの場面」の周知等
 新型コロナウイルス感染症の伝播は、主にクラスターを介して拡大することから、クラスター連鎖をしっかり抑えることが必須である。このため、新型コロナウイルス感染症対策分科会がクラスター分析を踏まえて取りまとめた、大人数や長時間におよぶ飲食などの「感染リスクが高まる『5つの場面』」について労働者に周知を行っていただきたいこと。
 特に職場での「居場所の切り替わり」(休憩室、更衣室、喫煙室等)に注意するよう周知を行っていただきたいこと。また、狭い空間での共同生活は、長時間にわたり閉鎖空間が共有されるため、感染リスクが高まる。このため寄宿舎や社員寮等の労働者が集団で生活する場でも、三つの密(密集、密接、密閉)の回避をはじめとする基本的な感染防止対策を実施するよう、労働者に周知啓発を行っていただきたいこと。
 併せて、新しい生活様式の定着に向けて、参考資料5の「新しい生活様式(生活スタイル)の実践例」等を活用して、引き続き、労働者に周知を行っていただきたいこと。
 接触確認アプリ(COCOA)について、の「新型コロナウイルス接触確認アプリ」等を活用して、インストールを勧奨していただきたいこと。
 このほか、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室では、一部地域において感染源の探知・早期の対応・再拡大防止を目的とする「新型コロナウイルスモニタリング検査」を実施しているところであり、対象地域の事業主におかれては検査への参加を検討していただきたいこと。

(5)雇用調整助成金等を活用した休業の実施
 感染拡大を防ぐため、労働者を休業させるときには、労使がよく話し合って労働者の不利益の回避に努めていただきたいこと。なお、緊急事態宣言や要請などがある場合でも、一律に労働基準法第26条の休業手当の支払義務がなくなるものではないことにご留意いただきつつ、労使が協力して、労働者が安心して休業できる体制を整えていただきたいこと。
 また、同法に基づく休業手当の支払の要否にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業者が、労働者を休業させ、事業主がその分の休業手当を支払った場合、雇用調整助成金の対象になり得ること。
なお、雇用調整助成金については、企業規模を問わず、緊急対応期間において助成額の上限を引き上げ、解雇等を行わない企業に対して助成率を引き上げるとともに、雇用保険被保険者でない非正規雇用労働者も対象とする等の拡充を行っており、雇用調整助成金の効果的な活用をお願いしたいこと。
 また、事務処理や資金繰りの面から雇用調整助成金を活用した休業手当の支払いが困難な中小企業の労働者のために創設した、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、大企業のシフト制労働者等も対象に加えた。休業手当が支払われていない労働者にはその申請を検討いただくとともに、その申請書類には事業主が記載する部分もあることから、事業主においては適切に対応いただきたいこと。また、日々雇用、登録型派遣、いわゆるシフト制の労働者などについて、過去6ヶ月間、同じ事業所で、継続して一定の頻度で就労していた実績があり、事業主側も新型コロナウイルス感染症がなければ同様の勤務を続けさせる意向があったと確認できるなどの場合には、休業支援金の対象となり得る旨のリーフレットを公表しているところであり、事業主におかれては、対象となり得る労働者への周知を含め、適切にご協力いただきたいこと。

(6)子どもの世話や家族の介護が必要な労働者のための有給の休暇制度の導入
 新型コロナウイルス感染症によって小学校等が臨時休業等になり、それに伴って子どもの世話のために労働者が休業する場合について、当該子どもの世話をする労働者のために有給休暇制度及び両立支援制度を整備し、有給休暇の利用者が出た事業主に対する助成制度(※1)を活用いただきたいこと。
 また、家族の介護が必要な労働者に有給の休暇を取得させた事業主に対する助成制度(※2)を活用していただきたいこと。

※1両立支援等助成金育児休業等支援コース)の新型コロナウイルス感染症対応特例
小学校等が臨時休業等になり、それに伴い、子どもの世話を行う必要がある労働者が、特別有給休暇(賃金全額支給)を取得できる制度の規定化及び小学校等が臨時休業等した場合でも勤務できる両立支援制度の仕組みを社内周知し、当該有給の休暇を4時間以上労働者に取得させた事業主に対して、対象労働者1人あたり5万円を支給する制度。既に年次有給休暇や欠勤などで対応した場合に、事後的に特別休暇に振り替えた場合も支給対象。なお、小学校休業等対応助成金については昨年度限りで終了。
(注)1事業主につき10人まで(上限50万円)

※2両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)の新型コロナウイルス感染症対応特例
新型コロナウイルス感染症への対応として法定の介護休業とは別に介護のための有給の休暇(所定労働日で20日以上)を設け、仕事と介護の両立支援制度の内容を含めて社内に周知し、当該休暇を合計5日以上労働者に取得させた中小企業事業主に助成をする制度。既に年次有給休暇や欠勤などで対応した場合に、事後的に特別休暇に振り替えた場合も支給対象。


■2 職場における感染予防対策の徹底について
 職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、多くの関係団体では、業種ごとの感染拡大予防ガイドラインを作成し、その周知等に取り組んで来られたところであるが、引き続き、職場での感染防止策の確実な実践に取り組む必要がある。
 具体的には、「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」を活用して職場の状況を確認していただくとともに、独立行政法人労働者健康安全機構がホームページで公表している動画教材「職場における新型コロナウイルス感染症予防対策を推進するためのポイント」を参照していただく等により、職場の実態に即した、実行可能な感染拡大防止対策を検討いただき、取組内容を高齢者や基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧症、心血管疾患、肥満(BMI30以上)など)を有する者などの重症化リスク因子を有する者をはじめ、すべての労働者に共有していただきたいこと。
 また、外国人労働者の皆さんが安心して働くためには、職場における新型コロナウイルス感染症の感染防止対策の内容を正しく理解することが重要であり、外国人労働者を雇用する事業者においては、外国人労働者一人ひとりの状況に応じた配慮をしていただきたいこと。
外国人労働者新型コロナウイルス感染症の感染防止に係る教育等を行う際には、リーフレットに記載の「職場内外における感染拡大防止のポイント」や10カ国語に翻訳(やさしい日本語版も作成)した「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」等を活用する等していただきたいこと。
 感染防止対策の検討に当たって、職場に、労働安全衛生法により、安全衛生委員会、衛生委員会、産業医、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が設置・選任されている場合、こうした衛生管理の知見を持つ労使関係者により構成する組織の有効活用を図るとともに、労働衛生の担当者に対策の検討や実施への関与を求めていただきたいこと。
なお、産業医や産業保健スタッフの主な役割については、一般社団法人日本渡航医学会及び公益社団法人日本産業衛生学会が公表した「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」(令和2年5月11日発行。令和2年12月15日最終改訂)に示されているので一つの参考としていただきたいこと。
 併せて、労働安全衛生法により、安全衛生委員会、衛生委員会、産業医、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が設置・選任されていない事業場については、独立行政法人労働者健康安全機構の産業保健総合支援センターにおいて、メールや電話による相談の受付、各種情報の提供等を行っているので、その活用について検討していただきたいこと。
また、「『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」、「熱中症予防に留意した「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法」、「冬場における『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」に、推奨される換気の方法等を取りまとめたので、参考にしていただきたいこと。
 このほか、マスクで口が覆われることにより、のどの渇きを感じにくくなることがあるため、のどの渇きに関する自覚症状の有無にかかわらず、労働者に水分・塩分を摂取するよう周知し、徹底を求める等、熱中症防止対策についても着実に実施いただきたいこと。その際、「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」の実施事項を参考にしていただきたいこと。


■3 配慮が必要な労働者等への対応について
 発熱、咳などの風邪の症状がみられる労働者については、新型コロナウイルスに感染している可能性を考慮した労務管理を行っていただきたく、具体的には、下に掲げる対応が考えられること。また、高齢者や基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧症、心血管疾患、肥満(BMI30以上)など)を有する者などの重症化リスク因子を持つ労働者及び妊娠している労働者に対しては、本人の申出及び産業医等の意見を踏まえ、テレワークや時差出勤などの感染予防のための就業上の配慮を行っていただきたいこと。特に、妊娠中の女性労働者が、母子保健法の保健指導又は健康診査に基づき、その作業等における新型コロナウイルス感染症に感染するおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、医師又は助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合には、事業主は、この指導に基づき、作業の制限、出勤の制限(テレワーク又は休業をいう。)等の措置を講じる必要があることに留意いただきたいこと。この措置により休業が必要な女性労働者に有給の休暇を取得させた事業主に対する助成制度については、有給休暇制度の整備及び労働者への周知の期限並びに休暇付与の期限を令和4年1月31日までとしており、引き続き積極的にご活用いただきたいこと。なお、テレワークを行う場合は、メンタルヘルスの問題が顕在化しやすいという指摘があることにも留意いただきたいこと。

・発熱、咳などの風邪症状がみられる労働者への出勤免除の実施やテレワークの指示を行うとともに、その間の外出自粛を勧奨すること。
・労働者を休業させる場合、休業中の賃金の取扱いについては、労使で十分に話し合った上で、有給の特別休暇制度を設けるなど、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えること。
・風邪の症状が出現した労働者が医療機関を受診するため等やむを得ず外出する場合でも、公共交通機関の利用は極力控えるよう注意喚起すること。
・発熱等の症状が生じた場合には、まずはかかりつけ医等の地域で身近な医療機関に電話で相談するよう促すこと。
・また、相談する医療機関に迷う場合には、地域ごとに設置されている受診・相談同センターに電話で相談し、その指示に従うよう促すこと。


■4 新型コロナウイルス感染症の陽性者等が発生した場合の対応について
(1)衛生上の職場の対応ルールについて
 事業者においては、職場に新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者(以下「陽性者等」という。)が発生した場合に備え、以下の項目を盛り込んだ対応ルールを作成し、労働者に周知いただきたいこと。この際、企業における具体的な取組事例を取りまとめた「新型コロナウイルスの陽性者等が発生した場合における衛生上の職場の対応ルール(例)」を適宜参考にしていただきたいこと。
 4月23日より、別添5のとおり、感染拡大を防止する観点から、いわゆる「三つの密」となりやすい環境や集団活動を行うなど濃厚接触が生じやすい環境にある職場におけるクラスター発生時の行政検査(PCR検査等)については、濃厚接触者に限らず、幅広い接触者を検査の対象者とすることとされたことにご留意いただき、保健所より検査対象者として受検指示があった場合には検査を受ける必要があることを労働者に周知するとともに、受検に関する勤務時間の調整等必要な配慮をしていただきたいこと。また、保健所から職場における検査対象者の決定について協力を求められた場合には、適切に対応していただきたいこと。
 また、新型コロナウイルスの陽性者について、労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告の提出に留意いただき、同報告書を作成する際にはリーフレットを適宜参考にしていただきたいこと。
 なお、新型コロナウイルス感染症患者については、医療保健関係者による健康状態の確認を経て、入院・宿泊療養・自宅療養を終えるものであるため、療養終了後に勤務等を再開するに当たって、労働者本人や人事労務担当者等から医療機関や保健所への各種証明の請求についてはお控えいただきたいこと。

・労働者が陽性者等であると判明した場合の事業者への報告に関すること(報告先の部署・担当者、報告のあった情報を取り扱う担当者の範囲(※)等)
(※)「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成30年9月7日付け労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針公示
第1号)に留意。
・労働者が陽性者等であると判明した場合の保健所との連携に関すること(保健所からPCR検査等を受けるよう指示された労働者に対する受検勧奨、保健所と連携する部署・担当者、保健所と連携して対応する際の陽性者と接触した労働者の対応等)
・職場の消毒等が必要になった場合の対応に関すること
・陽性者が陰性になった後、職場復帰する場合の対応に関すること(PCR検査の結果や各種証明書は不要である等)
・労働者が陽性者等になったことをもって、解雇その他の不利益な取扱いや差別等を受けることはないこと
・その他必要に応じ、休業や賃金の取扱いなどに関すること等

(2)労災補償について
 労働者が業務に起因して新型コロナウイルスに感染したものと認められる場合には、労災保険給付の対象となること。
 これまで労働基準監督署においては、新型コロナウイルス感染症に係る労災請求に対して、多くの労災認定を行っており、厚生労働省ホームページにおいて、職種別の労災認定事例を公表しているところである。医療従事者はもとより、飲食店員、販売店員やタクシー運転者等、多様な職種の労働者の労災認定を行っているので、参考にしていただきながら、業務に起因して感染したと思われる労働者から積極的に労災請求がなされるよう労災請求を勧奨していただきたいこと。
 なお、労働者が新型コロナウイルスに感染した場合の労災補償に係るQ&Aについては、厚生労働省ホームページに掲載しているので、確認していただきたいこと。


■5 新型コロナウイルス感染症に対する正しい情報の収集等
 事業者においては、国、地方自治体、公益性の高い学術学会等がホームページ等を通じて提供している最新の情報を収集し、必要に応じ感染拡大を防止するための知識・知見等を労働者に周知いただきたいこと。
 その際、新型コロナウイルス感染症に関することも含めた職場のメンタルヘルス不調、過重労働による健康相談等についてメール・電話・SNSによる相談を受け付ける「こころの耳」や精神保健福祉センター等のメンタルヘルスに関する相談窓口を労働者に周知いただきたいこと。また、DVや児童虐待に関する相談などの窓口についても、必要に応じ、労働者に周知いただきたいこと。
 また、厚生労働省ホームページにおいて、過去に新型コロナウイルスに感染したことを理由とした、人格を否定するような言動等は、職場におけるパワーハラスメントに該当する場合がある旨を掲載しているので、労働者に対し、言動に必要な注意を払うよう周知いただきたいこと。
なお、過去に新型コロナウイルス感染症に感染したことなどを理由とした個別の労働紛争(偏見・差別等に基づくいじめ・嫌がらせを含む)があった場合は、都道府県労働局等の総合労働相談コーナーにおいて相談を受け付けていることも、併せて周知いただきたいこと。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18234.html