長時間労働の医師面接実施状況や職場のストレス状況等調査結果

厚生労働省は、今月12日、「平成28年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果を取りまとめ、公表しました。
平成28年の調査では、事業所が行っている労働災害防止活動及び安全衛生教育の実施状況等の実態並びにそこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス、受動喫煙等の実態について調査が行われました(常用労働者を10人以上の9,564事業所及び労働者10,109人の有効回答を取りまとめ)。

【事業所調査】
安全衛生教育に関する事項
雇入れ時教育について、正社員の対象者がいる事業所の割合は78.8%であり、このうち実施している事業所の割合は68.4%[平成27 年調査66.1%]となっています。
正社員以外の労働者(派遣労働者を除く)の対象者がいる事業所の割合は64.6%であり、このうち実施している事業所の割合は61.3%[同55.8%]となっています。
派遣労働者に対する雇入れ又は受入れ時教育の対象者がいる事業所の割合は11.9%であり、このうち実施している事業所の割合は60.0%[同60.2%]となっています。

メンタルヘルス対策に関する事項
(1)メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は退職した労働者の状況
過去1年間(平成27年11月1日から平成28年10月31日までの期間。以下同じ。)にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者(受け入れている派遣労働者を除く。以下、本項では同じ。)の割合は0.4%[平成27年調査0.4%]、退職した労働者の割合は0.2%[同0.2%]となっています。
産業別にみると、連続1か月以上休業した労働者は「情報通信業」が1.2%と最も高く、退職した労働者は「医療、福祉」が0.4%と最も高くなっています。

(2)メンタルヘルス対策への取組状況
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は56.6%[平成27年調査59.7%]となっています。
取組内容(複数回答)をみると、「労働者のストレスの状況などについて調査票を用いて調査(ストレスチェック)」が62.3%[同22.4%]と最も多く、次いで「メンタルヘルス対策に関する労働者への教育研修・情報提供」が38.2%[同42.0%]、「メンタルヘルス対策に関する事業所内での相談体制の整備」が35.5%[同44.4%]となっています。
その一方で、「地域産業保健センターの活用」(4.0%)、「産業保健総合支援センターの活用」(2.8%)など、専門機関を活用するケースは少ないという結果が明らかにされています。

長時間労働の労働者への医師による面接指導について、産業医の選任義務がない常時50人未満規模の事業場では実施割合が低いという結果も出ていますが、その実施割合の引き上げを含め、地域産業保健センターなどの活用が期待されます。

【労働者調査】
仕事や職業生活における不安やストレスに関する事項
仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスについて相談できる人の有無等
現在の自分の仕事や職業生活での不安、悩み、ストレス(以下、「不安、悩み、ストレス」をまとめて「ストレス」という。)について相談できる人がいる労働者の割合は91.1%[平成27年調査84.6%]となっています。
相談できる相手(複数回答)をみると、「家族・友人」が84.8%[同83.1%]と最も多く、次いで「上司・同僚」が76.0%[同77.9%]となっています。
また、「ストレスを相談できる人がいる」とした労働者のうち、実際に相談した労働者の割合は85.0%[同78.1%]となっています。
実際に相談した相手(複数回答)をみると、「家族・友人」が81.3%[同77.7%]と最も多く、次いで「上司・同僚」が71.3%[同73.2%]となっています。

約6割の労働者が、強い不安、悩み、ストレスを抱えているという結果ですが、実際に強い不安、悩み、ストレスがある時、人に相談することにより、実に9割以上の人が解消するか、もしくは解消しなくても、気が楽になったと回答しています。
相談相手としては、「家族・友人」(81.3%)、「上司・同僚」(71.3%)などが多く、その一方、「産業医」(1.9%)、「産業医以外の医師」(1.8%)、「保健師・看護師」「カウンセラー」(ともに1.3%)など、専門家に相談する人は少数という結果になっています。

参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h28-46-50b.html