下請取引に関連する運用基準及び振興基準等の見直し

  公正取引委員会は、下請法等の一層の運用強化に向けた取組みを進めるため、親事業者による違反行為の未然防止や事業者からの下請法違反行為に係る情報提供に資するため「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」の改正を行いました。また、中小企業庁では、「下請中小企業振興法」に基づく「振興基準」の改正、下請代金の支払手段についての通達の見直しを行っています。

■下請法に関する運用基準の見直し
公正取引委員会による勧告・指導の中で、繰り返し見受けられる行為、事業者が問題ないと認識しやすい行為、さらに、関係省庁のヒアリングで得られた問題行為が75事例追加されました。

◎追加された主な違反事例
<減額>
コンビニエンスストア本部である親事業者は、消費者に販売する食料品の製造を下請業者に委託しているところ、店舗において値引きセールを実施することを理由に、下請代金から一定額を差し引いて支払った。

<買いたたき>
親事業者は、下請事業者に製造を委託している部品について、量産が終了し、補給品としてわずかに発注するだけで発注数量が現状大幅に減少しているにもかかわらず、単価を見直すことなく、一方的に量産時の大量発注を前提とした単価により通常の対価を下回る下請代金の額を定めた。

<不当な経済上の利益の提供要請>
親事業者は、量産終了から一定期間が経過した下請事業者が所有する金型、木型等の型について、機械部品の製造を委託している下請事業者から破棄の申請を受けたところ、「自社だけで判断することは困難」などの理由で長期にわたり明確な返答を行わず、保管・メンテナンスに要する費用を考慮せず、無償で金型、木型等の型を保管させた。

■下請企業振興の「基準」を改正
1.親事業者と下請事業者は共存共栄で
親事業者は、生産性向上に努力する下請事業者への訪問や面談を欠かさずに行うこと、また、研究会の開催や協力体制の確保、設計段階からサプライチェーン全体が連携して対応することも重要であること。

2.一方的な原価低減要請は止めよう
親事業者は、原価低減要請をするとき、経済合理性や十分な協議を欠いた要請はしない。
<減価逓減要請の望ましくない事例>
・原価低減目標の数値のみを提示する
・原価低減要請に応じることを発注継続の前提とする
・文書や記録を残さない(口頭で削減幅を示唆)

3.対価には、労務費が上昇した影響を反映しよう
親事業者は、取引対価の見直しや要請があった場合、人手不足や最低賃金の引き上げなどによる労務費の上昇について、その影響を反映するよう協議する。

4.金型・木型の保管コストは親事業者が負担を
・金型、木型などの型の保管に関して、双方が十分に協議し、方法や費用負担を明確に定める。
・親事業者の事情によって下請事業者にその保管を求めている場合には、親事業者が費用を負担する。

5.支払は現金で!手形の場合は親事業者が割引料の負担を!
・下請代金の支払いは可能な限り現金で!
・手形やファクタリングなどによる場合は、割引料を下請事業者に負担させることがないようにする。
手形サイトは120日(繊維業においては90日)を超えてはならないことは当然として、将来的に60日以内とするよう努める。
※親事業者のうち、大企業から率先して取り組んでもらうよう、政府が数年間かけて改善状況を調査する。

6.業界で自主行動計画を作り、親事業者は積極的に協力を
業種別下請ガイドラインサプライチェーン全体の取引適正化に向けた自主行動計画を振興基準に位置付け。
・親事業者、下請事業者ともに下請ガイドラインを守る。親事業者は下請ガイドラインの内容に即して、マニュアルや社内ルースを整備し、自社の調達において徹底させる。
・業界団体等は、サプライチェーン全体の取引適正化を図るため、自主的な行動計画を策定する。


詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[公正取引委員会]
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/dec/161214_1.html