2013.07.23 「生涯現役社会」実現へ向け報告書が公表されました|事業承継税制の制度改正について|小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部が改正

「生涯現役社会」実現へ向け報告書が公表されました

  厚生労働省の「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」は、地域における中高年齢者の就労をめぐる現状と課題を整理し、企業を退職した高年齢者が「居場所」と「出番」を得られ、地域社会に貢献できるような就労を支援するための施策の方向性についての報告書を取りまとめ公表しました。

■報告書の概要

【基本的考え方】

◎人生100年時代を見据え、働く意欲のある高齢者が培った能力や経験を活かし、生涯現役で活躍し続けられる社会環境を整えていくことが必要である。

とりわけ65歳を迎えた団塊の世代労働市場からの引退過程に入り、サラリーマン層の多くが地域に活動の場を移しつつある中、これらの人が活躍できる環境の整備が喫緊の課題である。

高齢者が生きがいを持って社会参加することは、健康維持、介護予防となることが期待され、社会保障負担の軽減にもつながると考えられる。

◎高齢化に加え、少子化核家族化が進む中で、これまで家族が担ってきた子育て、高齢者に対する生活支援、介護などを社会全体で支援していく必要性が高まってきている。そのような分野で経験豊富な高齢者が現役世代の補助的な役割を担い、社会の支え手として活躍してもらうことが望まれる。

【現状と課題】

(1)就業構造の変化と65歳以降の就業率の低下

(2)地方の高齢化と今後の都市近郊での急速な高齢化

(3)地域での高齢者の就業・社会参加機会

(4)核家族化と地域社会の支え手の必要性

【生涯現役社会の実現に向けた就労・社会のあり方についての提言】

◎高齢期の就労・社会参加に向けた意識改革

退職後に活躍の場を見つけるためには、企業で働いていた時の仕事に対する考え方や職業能力に関する自己評価を地域の支え手となるという尺度から見直すことが必要。そのため、企業が行う、生涯を通じたキャリア構築を促す取組、定年退職予定者などに対する意識の見直しやキャリア再構築を後押しする取組、企業に勤めている間に地域の他企業におけるインターンシップの実施、柏市における産学官が連携した高齢者の就労に関する総合的な取組等が有用である。

◎プラットフォーム・コーディネーター設置の推進モデル事業

シルバー人材センター、社会福祉協議会地域包括支援センターNPO等の各機関の連携強化を行うため、情報を共有する。

プラットフォームを作るとともに、地域のニーズを発掘、創造し、意欲のある高齢者を見出し、これらをマッチングさせていくコーディネーターを活用することが重要。こうした取組が全国に普及するように、いくつかの地域でモデル的な取組が必要。

◎シルバー人材センター等の活性化

シルバー人材センター、社会福祉協議会地域包括支援センターについて、それぞれの機能強化を行うとともに、連携を強化することが必要。

◎専門的な知識や技術、経験を他の企業で活かす仕組みのあり方

地域の経済団体、地域密着型金融機関等の協力を得ながら、高齢者の持つ専門的知識や技術を活用できる地域の企業を掘り起こし、マッチングを行うことが必要。

◎企業における高齢者の活用のあり方

人事管理等に対応する人材や人事管理手法の情報が不足している企業もあることから、そのような企業に対する情報提供が必要。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034ttj.html

2013.07.23

事業承継税制の制度改正について

  平成25年度税制改正において事業承継税制(非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予制度)の適用要件等が見直されることになり、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則(平成21年経済産業省令第22号)等の一部改正省令が平成25年7月1日に公布されました。これにより、事業承継税制が使いやすくなることが見込まれます。

税制改正のポイント

事業承継税制とは、中小企業の後継者の方が、現経営者から会社の株式を承継する際の、相続税・贈与税の軽減(相続:80%分、贈与:100%分)制度です。

(1)事前確認の廃止~手続の簡素化

現在:制度利用の前に、経済産業大臣の「事前確認」を受ける必要あり。

⇒平成25年4月~:事前確認を受けていなくても制度利用が可能に(手続の負担が軽減!)

(2)親族外承継の対象化~親族に限らず適任者を後継者に

現在:後継者は、現経営者の親族に限定。

⇒平成27年1月~:親族外承継を対象化(後継者の引受け手が拡大!)

(3)雇用8割維持要件の緩和~毎年の景気変動に配慮

現在:雇用の8割以上を「5年間毎年」維持。

⇒平成27年1月~※:雇用の8割以上を「5年間平均」で評価。

※既に事業承継税制を利用されている方も適用可能。

(4)納税猶予打ち切りリスクの緩和

~利子税負担を軽減

現在:要件を満たせず納税猶予打ち切りの際は、納税猶予額に加え利子税の支払いが必要。

⇒平成26年1月~※:利子税率の引下げ(現行2.1%→0.9%)。

⇒平成27年1月~※:承継5年超で、5年間の利子税を免除。

~事業の再出発に配慮

現在:相続・贈与から5年後以降は、後継者の死亡又は会社倒産により納税免除。

⇒平成27年1月~※民事再生、会社更生、中小企業再生支援協議会での事業再生の際にも、納税猶予額を再計算し、一部免除。

※既に事業承継税制を利用されている方も適用可能。

(5)役員退任要件の緩和~現経営者の信用力を活用

現在:現経営者は、贈与時に役員を退任。

⇒平成27年1月~※:贈与時の役員退任要件を代表者退任要件に。(有給役員として残留可)

※既に事業承継税制を利用されている方も適用可能。

(6)債務控除方式の変更~債務の相続があっても株式の納税猶予をフル活用できるように

現在:猶予税額の計算で現経営者の個人債務・葬式費用を株式から控除するため、猶予税額が少なく算出。

⇒平成27年1月~:現経営者の個人債務・葬式費用を株式以外の相続財産から控除。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[中小企業庁]

http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2013/130705shokei_manual.htm

2013.07.23

小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部が改正

 中小企業の約9割を占める小規模企業は、経営資源の確保が特に困難であることが多く、近年、企業数・雇用者数ともに他の規模の企業と比べても減少していると指摘されてきました。他方、小規模企業は地域経済の安定とわが国経済社会の発展に寄与するという観点から重要な意義を有しているため、その事業活動の活性化を図ることが急務となっています。

■改正小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法の概要

小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法の一部改正法(小規模企業活性化法)は、平成25年6月17日に可決・成立し、平成25年6月21日に法律第57号として公布されました。

1.法律の目的

わが国に存在する420万の中小企業のうち、約9 割、366 万に及ぶ小規模企業は、地域の経済や雇用を支える存在として重要な役割を果たすとともに、その成長によって日本経済全体を発展させる重要な意義を有しています。しかし、小規模企業は、資金や人材等の経営資源の確保が特に困難であることが多いこと等を背景に、近年、企業数・雇用者数ともに他の規模の企業と比べても減少しています。このような状況を踏まえ、小規模企業に焦点を当てた中小企業政策の再構築を図り、小規模企業の意義を踏まえつつその事業活動の活性化を推進することとしています。

2.改正の概要

(1)中小企業基本法の改正

小規模企業の事業活動の活性化を図る観点から、「基本理念」と「施策の方針」を明確化するとともに、海外展開の推進等、中小企業施策として今日的に重要な事項を新たに規定する。

(2)中小企業信用保険法、小規模企業共済法、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の改正

小規模企業の多様性に着目し、特定の業種について小規模企業者の範囲の変更を政令で行うことができるよう規定する。

(3)中小企業信用保険法の改正

資金調達の円滑化を図るため、信用保証の対象に電子記録債権を活用した資金調達(電子記録債権の割引等)を追加する。

(4)中小企業支援法の改正

ITを活用して、専門家やビジネスパートナーの紹介等を行う者を国が認定し、(独)中小企業基盤整備機構の協力等の支援措置を講じる。

(5)下請中小企業振興法の改正

下請中小企業が連携して、自立的に取引先を開拓する計画を国が認定し、中小企業信用保険法の特例等の支援措置を講じる。

(6)株式会社日本政策金融公庫法及び沖縄振興開発金融公庫法の改正

事業再生促進のため、(株)日本政策金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫の業務に、債務の株式化業務(DES)を追加する。

(7)小規模企業者等設備導入資金助成法の廃止

小規模企業に対する金融措置の抜本強化に伴い、小規模企業者等設備導入資金助成制度を廃止する。

3.施行期日

(1) 2.(1)~(6)関係:平成25年6月21日の公布日から3ヶ月以内の政令で定める日

(2) 2.(7)関係:平成27年3月31日

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[経済産業省]

http://www.meti.go.jp/press/2013/04/20130416001/20130416001.html