日本年金機構より標準報酬月額の特例改定についてQ&Aが公表

 新型コロナウイルス感染症の影響により休業した社員で、休業により報酬が著しく下がった方については、事業主からの届出により、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、特例により翌月から改定することが可能となっています。この特例(標準報酬月額の特例改定)について、この度、日本年金機構からQ&Aが公表されました。

Q&Aの数は全部で64個あります。そのうちのいくつかをご紹介します。

Q1 新型コロナウイルス感染症の影響による休業に伴い報酬が急減した者についての厚生年金保険及び健康保険の標準報酬月額の保険者算定の特例(以下「特例改定」という。)とは、どのような措置ですか。

A1 今般の新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言に伴う自粛要請等を契機として、休業に伴い所得が急減する被保険者が相当数生じている等の状況があり、また、新たに新型コロナウイルス感染症対応休業支援金が創設されるなど、休業をさせられた労働者のうち、休業中に賃金を受けることができなかったものに対する特例の措置が講じられることとされている等の特別の状況にかんがみ、休業があった方について、通常の随時改定の規定によって算定する額によらず、定時決定までの間について、より速やかに、現状に適合した形で、標準報酬月額を改定できるようにするための臨時特例措置となります。
具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響による休業により報酬が著しく低下した方について、一定の要件に該当する場合には、報酬が著しく低下した月の翌月から標準報酬月額を改定することができます。(通常より2か月早く改定。)
なお、対象となる期間は、定時決定(9月分保険料)までが対象となることから、令和2年4月(緊急事態宣言が発せられた月)から7月の間に支払われた報酬に著しい低下があった場合(報酬が支払われない場合を含む。)に、その翌月の5月~8月の標準報酬月額及び保険料が特例の対象となります。


Q2 特例改定は、どのような要件に該当した者が対象になりますか。

A2 次のいずれにも該当する健康保険・厚生年金保険被保険者及び厚生年金保険70歳以上被用者が、本特例改定の対象となります。(急減月又は改定月が資格喪失した月に該当する方は対象に含まれません。)
①事業主が新型コロナウイルス感染症の影響により休業させたことにより、報酬が著しく低下した月(急減月)が生じた方であること
②急減月に支払われた報酬の総額に該当する標準報酬月額が、既に設定されている標準報酬月額に比べて、2等級以上(※)低下している方であること
③本特例改定による改定を行うことについて、本人が書面で同意している方であること

なお、通常の随時改定の場合とは異なり、急減月に固定的賃金(日給等の単価)の変動があったか否かは問いません。また、給与計算の基礎日数(17日以上)についても、事業主からの休業命令や自宅待機指示などがあり、その間、使用関係が継続していれば、賃金の支払状況にかかわらず、休業した日を報酬支払の基礎となった日数として取り扱って差し支えありません。

※2等級以上低下した者には、次の場合も含みます。
・健康保険第50級又は厚生年金保険第31級の標準報酬月額にある者の報酬月額(健康保険にあっては報酬月額が141万5,000円以上、厚生年金保険にあっては報酬月額が63万5,000円以上である場合に限る。)が降給したことにより、その算定月額が健康保険第49級又は厚生年金保険第30級以下の標準報酬月額に該当することとなった場合。
・第2級の標準報酬月額にある者の報酬月額が降給したことにより、その算定月額が健康保険にあっては5万3,000円未満、厚生年金保険にあっては8万3,000円未満となった場合。
・また、例えば、急減月に、報酬が何ら支払われていない者については、第1級の標準報酬月額として取り扱うこととなります。


Q3 急減月とはどのような月ですか。

A3 急減月とは、令和2年4月から7月までの間の1か月であって、休業により報酬が著しく低下した月として事業主が届け出た月を指します。


Q4 新型コロナウイルス感染症の影響により休業があった者が対象とされていますが、「休業があった者」とは、どのような場合をいうのでしょうか。

A4 休業とは、労働者が事業所において、労働契約、就業規則労働協約等で定められた所定労働日に労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、当該所定労働日の全1日にわたり労働することができない状態又は当該所定労働日の労働時間内において1時間以上労働することができない状態をいいます。
このため、事業主からの休業命令や自宅待機指示などにより休業状態にあった方(1か月のうちに1時間でも休業のあった方が、本特例改定における「休業があった者」となります。
また、日給や時間給の方が、事業主からの命令や指示等により、通常の勤務やシフトによる日数や時間を短縮し、短時間休業が行われることとなった場合も、本特例改定における「休業があった者」として差し支えありません。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 日本年金機構 ]
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/0625.files/QA.pdf