改正女性活躍推進法の施行に向けた主な検討事項を整理

厚生労働省から、令和元年(2019年)9月4日開催の「第17回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」の資料が公表されました。今回の主な議題は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律の施行」についてです。その施行に向けた主な検討事項を取りまとめた資料が公表されています。

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年6月5日に公布)」による改正事項は多岐にわたりますが、その資料では、一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大、女性活躍に関する情報公表の強化、プラチナえるぼし(仮称)の創設などの施行に向けた主な検討事項(省令などをどのように定めるか)が整理されています。

■労働者が101人以上の事業主(施行:公布後3年以内の政令で定める日)
一般事業主行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍に関する情報公表の義務の対象が、常時雇用する労働者が301人以上から101人以上の事業主に拡大されます。
(※)労働者には、パートや契約社員であっても、1年以上継続して雇用されているなど、事実上期間の定めなく雇用されている労働者も含まれます。
(※)今回新たに義務対象となる、常時雇用する労働者が101人以上300人以下の事業主については、厚生労働省令で定める項目から任意の1項目以上を情報公表することが求められます。


■労働者が301人以上の事業主(施行公布後1年以内の政令で定める日)
常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、情報公表項目について、
①職業生活に関する機会の提供に関する実績、
②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績
の各区分から1項目以上公表する必要があります。
(※)現行は下記の14項目から任意の1項目以上を公表することとなっています。
(※)行動計画の数値目標の設定についても厚生労働省令により同様の対応を予定しています。


<各区分の情報公表項目のイメージ>※詳細については、省令において示される予定です。
①職業生活に関する機会の提供
・採用した労働者に占める女性労働者の割合
・男女別の採用における競争倍率
・労働者に占める女性労働者の割合
・管理職に占める女性労働者の割合
・係長級にある者に占める女性労働者の割合
・役員に占める女性の割合
・男女別の職種又は雇用形態の転換実績
・男女別の再雇用又は中途採用の実績

②職業生活と家庭生活との両立
・男女の平均継続勤務年数の差異
・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
・男女別の育児休業取得率
・労働者の一月当たりの平均残業時間
・雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間
・有給休暇取得率

■女性活躍に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度(プラチナえるぼし(仮称))を創設します
(施行:公布後1年以内の政令で定める日)
女性の活躍推進に関する状況等が優良な事業主の方への認定(えるぼし認定)よりも水準の高い「プラチナえるぼし(仮称)」認定を創設します。
なお、取得企業は、行動計画の策定義務が免除されます。
(※)認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品などに付することができます。
(※)認定基準の詳細については、厚生労働省令において示される予定です。


<現行の女性活躍推進法に基づき実施すべき取組>
①一般事業主行動計画の策定・届出
<ステップ1>自社の女性の活躍に関する状況の把握、課題分析
①採用した労働者に占める女性労働者の割合、②男女の平均継続勤務年数の差異、③労働時間の状況、④管理職に占める女性労働者の割合等を把握し、課題分析を行ってください。

<ステップ2>一般事業主行動計画の策定、社内周知、外部公表
ステップ1を踏まえて、(a)計画期間、(b)数値目標、(c)取組内容、(d)取組の実施時期、を盛り込んだ一般事業主行動計画を策定し、労働者に周知・外部へ公表してください。

<ステップ3>一般事業主行動計画を策定した旨の届出
一般事業主行動計画を策定した旨を都道府県労働局へ届け出てください。

<ステップ4>取組の実施、効果の測定
定期的に、数値目標の達成状況や、一般事業主行動計画に基づく取組の実施状況を点検・評価してください。

②女性の活躍に関する情報公表
自社の女性の活躍に関する状況について公表する情報を選択し、求職者が簡単に閲覧できるように公表してください。

あわせて、「令和2年度予算概算要求(雇用環境・均等局関係)」についても、主要事項が紹介されています。