災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準を一部改正

厚生労働省から、「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の一部改正について(最終改正:令和元年基発0607第1号)」および「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の解釈に当たっての留意点について(令和元年基監発0607第1号)」という通達が公表されました。

 労働基準法33条1項では、『災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合』には、行政官庁の許可を受けることを原則的な要件として、36協定の締結・届出をしなくても、時間外・休日労働が認められることになっています。

 この際の許可の基準は通達で定められていますが、その一部が改正されました。今回の改正は、「災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合」について、現代的な事象等を踏まえて解釈の明確化を図ったものです。

<災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の一部改正について(最終改正:令和元年基発0607第1号)>
 今回の改正は、労働基準法第33条第1項の「災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合」について、現代的な事象等を踏まえて解釈の明確化を図るものであること。また、旧許可基準及び関連通達で示している基本的な考え方に変更はないこと。

 第1項は、災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合の規定であるからその臨時の必要の限度において厳格に運用すべきものであって、その許可又は事後の承認は、概ね次の基準によって取り扱うこと。

(1)単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めないこと。

(2)地震津波、風水害、雪害、爆発、火災等の災害への対応(差し迫った恐れがある場合における事前の対応を含む。)、急病への対応その他の人命又は公益を保護するための必要は認めること。例えば、災害その他避けることのできない事由により被害を受けた電気、ガス、水道等のライフラインや安全な道路交通の早期復旧のための対応、大規模なリコール対応は含まれること。

(3)事業の運営を不可能ならしめるような突発的な機械・設備の故障の修理、保安やシステム障害の復旧は認めるが、通常予見される部分的な修理、定期的な保安は認めないこと。例えば、サーバーへの攻撃によるシステムダウンへの対応は含まれること。

(4)上記(2)及び(3)の基準については、他の事業場からの協力要請に応じる場合においても、人命又は公益の確保のために協力要請に応じる場合や協力要請に応じないことで事業運営が不可能となる場合には、認めること。


<災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の解釈に当たっての留意点について(令和元年基監発0607第1号)>
 労働基準法(昭和22年法律第49号)第33条第1項の運用については、令和元年6月7日付け基発0607第1号「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の一部改正について」により許可基準を改正したところであるが、当該通達により改正した許可基準(以下「新許可基準」という。)の解釈に当たっては下記に留意の上、適切な対応に遺憾なきを期されたい。

1:新許可基準による許可の対象には、災害その他避けることのできない事由に直接対応する場合に加えて、当該事由に対応するに当たり、必要不可欠に付随する業務を行う場合が含まれること。
具体的には、例えば、事業場の総務部門において、当該事由に対応する労働者の利用に供するための食事や寝具の準備をする場合や、当該事由の対応のために必要な事業場の体制の構築に対応する場合等が含まれること。

2:新許可基準(2)の「雪害」については、道路交通の確保等人命又は公益を保護するために除雪作業を行う臨時の必要がある場合が該当すること。
具体的には、例えば、安全で円滑な道路交通の確保ができないことにより通常の社会生活の停滞を招くおそれがあり、国や地方公共団体等からの要請やあらかじめ定められた条件を満たした場合に除雪を行うこととした契約等に基づき除雪作業を行う場合や、人命への危険がある場合に住宅等の除雪を行う場合のほか、降雪により交通等の社会生活への重大な影響が予測される状況において、予防的に対応する場合も含まれるものであること。

3:新許可基準(2)の「ライフライン」には、電話回線やインターネット回線等の通信手段が含まれること。

4:新許可基準に定めた事項はあくまでも例示であり、限定列挙ではなく、これら以外の事案についても「災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合」となることもあり得ること。
例えば、新許可基準(4)においては、「他の事業場からの協力要請に応じる場合」について規定しているところであるが、これは、国や地方公共団体からの要請が含まれないことを意味するものではない。
そのため、例えば、災害発生時において、国の依頼を受けて避難所避難者へ物資を緊急輸送する業務は対象となるものであること。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T190613K0010.pdf