【NEW】経産省が「多様で柔軟な働き方」に関する3研究会報告書を公表


   2016年4月に取りまとめられた政府の「新産業構造ビジョン」において、従来の働き方にとらわれない「柔軟な働き方」が検討項目の1つとなっており、経産省では、「兼業・副業」、「雇用関係によらない働き方」及び「生産性の向上により人手不足に対応する働き方」の3つのテーマについての研究会を設置し、それぞれ政策の方向性を検討し、この程、研究会の報告書が公表されました。

■3研究会の報告書概要

Ⅰ.兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会
イノベーションの促進、人材確保、人材育成、創業の促進等様々な効果に繋がりうる、兼業・副業の促進を目的とする
1.兼業・副業の実態把握
・働き手:副業希望者(約368万人(5.7%))、副業者(約234万人(3.6%))
・企業側:兼業・副業を容認・推進している企業は、全体の約22.9%(リクルートキャリアの最新調査結果)

2.兼業・副業に関するメリット・デメリットの整理
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◎今後の政策の方向性
1.ベストプラクティスの発信・表彰の実施
兼業・副業を通じた創業等の担い手及び兼業・副業を促進する事業者の事例等の情報発信、表彰の実施

2.地方におけるリーディングケースの創出
兼業・副業を試行する企業の働き手を支援するパイロット事業を創設(地方を中心に10件程度)

3.制度的課題の打破と実務的な環境整備
モデル就業規則の改正や制度的課題の解決等の方向性を提言、相談体制の充実を検討

Ⅱ.雇用関係によらない働き方に関する研究会
フリーランス・アライアンスといった「雇用関係によらない働き方」を働き方の選択肢として確立させるため、働き手に対するアンケート結果を踏まえながら、現状と課題を整理
1.雇用関係によらない働き方における実態(働き手4,000人へのアンケート)
・最も多い年収層は300~399万円で、全体の約18%(世帯の主たる生計者)、週平均32.4時間労働
・現状の働き方に「満足」「やや満足」が半数、「やや不満」「不満」は2割
⇒【満足の理由】自分のやりたい仕事(約60%)、【不満な理由】収入(昇給なし・不安定)(約80%)

2.雇用関係によらない働き方における課題
(1)教育訓練・スキル形成(約半数がセミナー・講座等を受講せず。企業と働き手のスキルニーズにギャップ。)
(2)働く環境(休業時等のセーフティネットの不足、報酬の額・支払い遅延の問題等)
(3)企業の取組み(企業における認知度や社内体制が不十分、マッチングや取引環境が未整備)

◎今後の政策の方向性
1.働き手が安定した生計が立てられる教育訓練・人材育成システムの構築
企業に所属せずともスキル形成が可能となるよう、中小企業施策等と連携した支援策を検討

2.働く環境(社会システム)の改善
働き手のセーフティネットの在り方を検討。報酬の額・支払いの適切化、担保策を検討

3.企業(発注者)と働き手における取引環境の改善
発注企業側の認知度向上、業務切り出し体制や発注スキルの向上、仲介事業者(プラットフォーマー)のマッチング機能改善・運用ルール整備の慫慂、下請法等遵守すべき法制度の周知徹底等

Ⅲ.中小企業・小規模事業者の人手不足への対応研究会
◎100を超える好事例から人手不足対応の3つのステップを抽出し、ガイドラインとしてとりまとめ
1.人手不足対応への基本的な考え方 ~人手不足を成長のチャンスに~
(1)多様な働き手の立場にたった職場環境整備による人材確保
(2)ITやロボット等の設備導入や業務改善による生産性向上

2.人手不足対応に取り組むための3つのステップ(→ガイドライン)
ステップ1:人手不足の背景にある経営課題や事業戦略を再確認し、業務を見つめ直す(業務の細分化等)
ステップ2:業務について、求人像を見つめ直し(拡げる等)、生産性向上を検討(省力化等)
ステップ3:働き手の立場にたって、職場環境(時短勤務、在宅勤務等)や自社PR・採用手段を改善

◎今後の政策の方向性
1.ガイドラインの普及
(1)厚労省の女性や高齢者の活躍推進に係る啓発事業等との連携や(2)中小企業3団体、労働局と連携し、全国でセミナーを展開、(3)中小企業大学校で人手不足対応に関する研修を充実

2.相談対制の強化
よろず支援拠点に人手不足対応アドバイザー(仮称)を配置

3.関連施策の活用を促進
3つのステップについて、関係省庁の関連施策の活用を促進(例えば、ガイドラインの3つのステップに沿った取組を行う中小企業が参加するマッチングイベントを実施)


詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[経済産業省]
http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170314006/20170314006.html