【NEW】「過労死等ゼロ」緊急対策について

長時間労働の是正や過重労働による健康障害防止対策が喫緊の課題となっているところ、昨年末、厚生労働省長時間労働削減推進本部において「過労死等ゼロ」緊急対策が決定されました。それによりますと、違法な長時間労働等を複数の事業場で行うなどの企業に対する全社的な是正指導や是正指導段階での企業名公表制度の強化等が図られました。

■「過労死等ゼロ」緊急対策の概要
1.違法な長時間労働を許さない取組の強化
(1)新ガイドラインによる労働時間の適正把握の徹底
・労働者の「実労働時間」と「自己申告した労働時間」に乖離がある場合、使用者は実態調査を行うこと。
・「使用者の明示又は黙示の指示により自己啓発等の学習や研修受講をしていた時間」は労働時間として取り扱わなければならないこと等を明確化する。(平成29年から実施)

(2)長時間労働等に係る企業本社に対する指導
・違法な長時間労働等を複数の事業場で行うなどの企業に対して、全社的な是正指導を行なう。
・企業幹部に対し、長時間労働削減や健康管理、メンタルヘルス対策(パワハラ防止対策を含む)について指導し、その改善状況について全社的な立ち入り調査により確認する。(平成29年から実施)。

(3)是正指導段階での企業名公表制度の強化
・これまでの月100時間超を月80時間超に拡大
・過労死等・過労自殺等で労災支給決定した場合も対象
  →これらが2事業場に認められた場合に、企業本社の指導を実施し、是正されない場合に公表
・月100時間超と過労死・過労自殺が2事業場に認められた場合などにも企業名を公表

(4)36協定未締結事業場に対する監督指導の徹底
最低賃金の履行確保を重点とする監督等の機会に、36協定未締結事業場に対する指導を徹底する。(平成28年度第4四半期に実施)

2.メンタルヘルスパワハラ防止対策のための取組の強化
(1)メンタルヘルス対策に係る企業本社に対する特別指導
複数の精神障害の労災認定があった場合には、企業本社に対して、パワハラ防止も含め個別指導を行う。特に過労自殺(未遂含む)を含む事案については、新たに改善計画を策定させ、1年間の継続的な指導を行う。(平成29年度から実施)

(2)パワハラ防止に向けた周知啓発の徹底
メンタルヘルス対策に係る企業や事業場への個別指導等の際に、「パワハラ対策導入マニュアル」等を活用し、パワハラ対策の必要性、予防・解決のために必要な取組等も含め指導を行う。(平成29年度から実施)

(3)ハイリスクな方を見逃さない取組の徹底
長時間労働者に関する情報等の産業医への提供を義務付ける。(平成29年度から実施)
・過重労働等の問題のある事業場については、長時間労働者全員への医師による緊急の面接(問診)等の実施を都道府県労働局長が指示できる制度を整備する。(平成29年度から実施)

3.社会全体で過労死等ゼロを目指す取組の強化
(1)事業主団体に対する労働時間の適正把握等について緊急要請
・36協定未締結など違法な残業の防止、労働時間の適正な把握等
・企業・業界団体におけるメンタルヘルス対策、パワハラ防止対策等の取組による「心の健康づくり」の推進
長時間労働の背景になっている取引慣行(短納期発注、発注内容の頻繁な変更等)の是正

(2)労働者に対する相談窓口の充実
労働者から長時間労働等の問題について、夜間・休日に相談を受け付ける「労働条件相談ほっとライン」の開設日を増加し、毎日開設するなど相談窓口を充実させる。(平成29年度から実施)

(3)労働基準法等の法令違反で公表した事案のホームページへの掲載(平成29年から実施)


詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html