「職業紹介等に関する制度の改正」についての建議

 

 

 

労働政策審議会の職業安定分科会労働力需給制度部会は、昨年3月から職業紹介等に関する制度の改正について議論を重ね、昨年末に建議を行いました。これを踏まえ、厚生労働省は、平成29年通常国会への法案提出に向けて準備を開始しました。

 

■「職業紹介等に関する制度の改正」についての建議概要

◎基本的考え方

(1)社会経済の変化に伴い、職業紹介事業や募集情報等提供事業等、求職者や求人者が利用する事業の多様化が進む中、求職者等が不利益を被るなどの不適切な事案に対して的確に対応していくことはもとより、求職と求人のより適切かつ円滑なマッチングを進めていくことも求められている。

 

(2)労働市場において労働力の需給調整に関わる事業については、その役割に応じて、適格性が確保され、責任が果たされる必要がある。このため、まずは、求職者保護を基本としつつ、求職者が各々の能力に適合した職業に就くことができるよう、これらの事業の適正な運営を確保するための取組を強化していくことが喫緊の課題である。また、求職者及び求人者の利便性を向上させる必要もある。

 

◎具体的措置

1.職業紹介事業

(1)欠格事由

労働者派遣事業の許可に係る欠格事由と同様に、職業紹介事業の許可に係る欠格事由について、労働・社会保険関係法令違反で罰金刑に処された者、職業紹介事業の許可を取り消された者の役員であった者、職業紹介事業の許可取消しに係る処分逃れをした者及び暴力団員等を追加することが適当である。

(2)職業紹介責任者

職業紹介事業者が選任する職業紹介責任者について、他の従業員に対する職業紹介の適正な遂行に必要な教育(労働関係法令等)も行わせることが適当である。

(3)求人及び求職の申込みの受理

公共職業安定所、職業紹介事業者等が求人の申込みを受理しないことができる場合として、求人者が労働関係法令違反で処分・公表等の措置が講じられた場合や暴力団員、役員に暴力団員がいる法人、暴力団員がその事業活動を支配する者等に該当する場合等を追加することが適当である。

(4)職業紹介事業者に関する情報提供

職業紹介事業者は、業務に係る実績(職業紹介により就職した者の数及び就職した者(期間の定めのない労働契約を締結した者に限る。)のうち、6か月以内に離職した者(解雇により離職した者を除く。)の数又はこれと同等と認められる数)及び手数料に関する事項について、インターネットにより情報提供しなければならないものとすることが適当である。

(5)職業紹介事業者間の業務提携等

職業紹介事業者間の業務提携について、提携先の職業紹介事業者に求職又は求人を提供しようとする場合、求職者又は求人者に対して、提携先に関する情報を提示した上で、提携先への求職等の提供について同意を得る必要を前提に、職業紹介事業者と複数の職業紹介事業者との間の業務提携が可能である旨を明確化することが適当である。

(6)就職した労働者の早期離職等への対応

就職した労働者の早期離職や当該労働者を紹介した職業紹介事業者による再度の職業紹介等への対応として、職業紹介事業者は、その紹介で就職した者(期間の定めのない労働契約を締結した者に限る。)について、2年間、転職の勧奨を行ってはならないこと等、職業安定法に基づく指針に規定することが適当である。

(7)求人者に対する指導

求人者を、職業安定法に基づく指針、指導及び助言、申告、報告徴収及び検査、勧告及び公表の対象とすることが適当である。

 

2.募集情報等提供事業

(1)募集情報等提供と職業紹介との区分基準

募集情報等提供事業について、現在、局長通達で示している、民間企業が行うインターネットによる募集情報等提供と職業紹介との区分に関する基準の内容のうち、基本的な考え方を職業安定法に基づく指針に規定することが適当である。

(2)募集情報等提供事業を行う者に係る規定の整備

募集情報等提供事業を行う者及び労働者の募集を行う者は、業務運営に当たって、労働者の適切な職業選択に資するよう、必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすることが適当である。

(3)募集情報等提供事業を行う者に係る指針

募集情報等提供事業を行う者が講ずべき具体的な措置として、職業安定法に基づく指針に規定することが適当である。

 

3.委託募集

(1)委託募集の許可制等

労働者の募集を委託する者に係る許可制(報酬の認可制を含む。)及び届出制並びに被用者又は募集受託者への報酬供与の禁止の在り方について、現行制度の運用状況をみつつ、引き続き検討することが適当である。あわせて、合同募集や採用業務等の委託に関して、委託募集や職業紹介に係る制度に則して適正に対応することが適当である。

(2)募集受託者による労働条件等の明示

募集受託者は、労働条件等の明示に当たっては、その的確な表示に努めなければならないものとすることが適当である。

 

4.労働者供給事業

(1)労働者供給事業者に対する指導

労働者供給事業について、事業運営に関して継続的に確認すべき事項として、職業安定法に基づく指針に規定することが適当である。また、当該指針について、指導監督による履行確保を図りつつ、その施行状況を注視することが適当である。

(2)労働者供給を受けようとする者に対する指導

労働者供給を受けようとする者を、職業安定法に基づく指針、指導及び助言、申告、報告徴収及び検査、勧告及び公表の対象とすることが適当である。

 

5.労働条件等の明示、指導監督等

(1)労働条件等の明示

求人者、労働者の募集を行う者及び労働者供給を受けようとする者は、労働契約の締結に際して提示しようとする労働条件等(職業安定法第5条の3第3項の書面等による明示が必要な事項に限る。)が、当該労働契約の相手方となろうとする者が認識できるよう書面等で明示しなければならないものとすることが適当である。

(2)指導監督

職業紹介事業者、労働者供給事業者等について、法令に違反する行為があった場合には、厳正に行政処分等を行うことが適当である。

(3)罰則

虚偽の条件を呈示して、公共職業安定所、職業紹介事業者等に求人の申込みを行った者について、罰則の対象とすることが適当である。

 

 

詳しくは下記参照先をご覧ください。

 

 

 

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000145621.html