今後の配偶者手当の在り方について

配偶者手当は、高度経済成長期に日本的雇用慣行と相まって定着してきた制度ですが、女性の就業が進むなど社会の実情が大きく変化している中、税制・社会保障制度とともに、年収を一定額以下に抑えるために就労時間を調整するといった就業調整の要因となっています。厚労省は、検討会を設置してその在り方などについて検討し、報告書を公表しました。

■女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会報告書の概要

労働力人口が減少していくことが予想され、働く意欲のあるすべての人がその能力を十分に発揮できる社会の形成が必要となっている中、パートタイム労働で働く配偶者の就業調整につながる配偶者手当(配偶者の収入要件がある配偶者手当)については、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれています。

◎「配偶者手当」とは

民間企業において、配偶者がいる従業員に対して支給される手当のことを「配偶者手当」といいます。実際の手当の名称は、企業によって「家族手当」「扶養手当」などさまざまです。

平成27年職種別民間給与実態調査によると、家族手当制度がある事業所は76.5%、そのうち、配偶者に家族手当を支給する事業場は90.3%(全体の69.0%)といった結果が出ています。

◎就業調整の実態とその影響

有配偶女性パートタイム労働者21.0%は、税制、社会保障制度、配偶者の勤務先で支給される「配偶者手当」

などを意識し、その年収を一定額以下に抑えるために就労時間を調整する「就業調整」を行っています。

「就業調整」は、結果としてパートタイム労働をしている女性の能力発揮の妨げとなるとともに、他の労働者の負担増などの影響を生じさせていると考えられます。

<就業調整の理由>

有配偶女性パートタイム労働者のうち、就業調整をしている人が就業調整をする理由には、以下のようなものがあります。(厚生労働省平成23年パートタイム労働者総合実態調査」より)

roumu04-01(3)

<就業調整の影響>

就業調整が行われていることにより、以下の例のようにさまざまな影響が生じています。

・パート労働者を多く雇用する企業では、繁忙期である年末の人材確保に苦慮している

・正社員など、同じ職場の労働者の負担が増えている

・パートタイム労働者全体の賃金相場の上昇に、抑制的に機能する可能性がある

・女性がその持てる能力を十分に発揮できない要因の1つとなっている

・日本経済全体にとっても、人的資源を十分に活用できていない状況をもたらす

◎配偶者の働き方に中立的な制度に向けて

今後労働力人口が減少していくことが予想され、働く意欲のあるすべての人がその能力を十分に発揮できる社会の形成が必要となっています。

パートタイム労働で働く配偶者の就業調整につながる配偶者手当(配偶者の収入要件がある配偶者手当)につい ては、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれます。

なお、「配偶者手当」を含めた賃金制度の円滑な見直しに当たっては、労働契約法の規定等の関係法令や判例も踏まえた対応が必要となります。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123736.html