2015.10月分アーカイブ |長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果が公表|一定の危険有害性化学物質取扱いに係るリスクアセスメント実施の義務化|11月は「下請取引適正化推進月間」です|改正中小企業退職金共済法の施行について|平成27年分年末調整のしかたについて|個人番号の記載を要しない法定調書類とは?|平成27年版労働経済白書が公表されました|10月は年次有給休暇取得促進期間!

2015.10.20

長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果が公表

厚生労働省は、平成27年4月から6月までに2,362事業場に対して実施した、長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署による監督指導の実施結果を取りまとめ、公表しています。この監督指導は、今年1月から労働基準監督署が実施しているもので、1か月当たり100時間を超える残業が行われたとされる事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があったすべての事業場が対象とされています。

労働基準監督署の監督指導結果概要

全国の労働基準監督署が、今年1月~6月までに監督指導した事業場の合計は、3,602事業場となっています。労働基準監督署は、是正・改善状況の確認を行い、是正が認められない場合は、書類送検も行われます。

◎平成27年4月から6月までに実施した監督指導結果のポイント

1.監督指導の実施事業場:2,362事業場

2.主な違反内容(1のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場)

(1)違法な時間外労働があったもの:1,479 事業場(62.6 %)

うち、時間外労働(※注1)の実績が最も長い労働者の時間数が1か月当たり100時間を超えるもの:921事業場(62.3%)

うち1か月当たり150時間を超えるもの⇒203事業場(13.7%)

うち1か月当たり200時間を超えるもの⇒35事業場(2.4%)

うち1か月当たり250時間を超えるもの⇒12事業場(0.8%)

(2)賃金不払残業があったもの:252事業場(10.7 %)

うち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が1か月当たり100時間を超えるもの:118事業場(46.8%)

(3)過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:406事業場(17.2 %)

3.主な健康障害防止に関する指導の状況(1のうち、健康障害防止のため指導票(※注2)を交付した事業場

(1)過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:1,932 事業場(81.7 %)

うち、時間外労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの:1,471事業場(62.3%)

(2)労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの:475 事業場(20.1%)

うち、時間外労働の最も長い労働者の時間数が1か月当たり100時間を超えるもの:159事業場(33.5%)

※注1:法定労働時間を超える労働のほか、法定休日における労働も含む。

※注2:脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100 時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があるため。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000098487.html

2015.10.20

一定の危険有害性化学物質取扱いに係るリスクアセスメント実施の義務化

労働安全衛生法が改正され、一定の危険有害性のある化学物質(640物質)を取り扱う事業者は、労働災害を防止するためにリスクアセスメントを実施することが義務づけられました。また、これらの化学物質譲渡提供時に容器などへのラベル表示も義務づけられました。当該改正法は、平成28年6月1日から施行されます。

リスクアセスメント 実施等の概要

リスクアセスメントとは?

化学物質やその製剤の持つ危険性や有害性を特定し、それによる労働者への危険または健康障害を生じるおそれの程度を見積もり、リスクの低減対策を検討することをいいます。

◎対象となる事業場は?

業種、事業場規模にかかわらず、対象となる化学物質の製造・取扱いを行うすべての事業場が対象となります。製造業、建設業だけでなく、清掃業、卸売・小売業、飲食店、医療・福祉業など、さまざまな業種で化学物質を含む製品が使われており、労働災害のリスクがあります。

リスクアセスメントの実施義務の対象物質

事業場で扱っている製品に対象物質が含まれているかどうか確認しましょう。対象は安全データシート(SDS)の交付義務の対象である640物質。

640物質の確認はコチラから⇒http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/GHS_MSD_FND.aspx

1.リスクアセスメントの実施時期

施行日(平成28年6月1日)以降、該当する場合に実施します。

≪法律上の実施義務≫

ア.対象物を原材料などとして新規に採用したり、変更したりするとき

イ.対象物を製造し、または取り扱う業務の作業の方法や作業手順を新規に採用したり変更したりするとき

ウ.前の2つに掲げるもののほか、対象物による危険性または有害性などについて変化が生じたり、生じるおそれがあったりするとき

※新たな危険有害性の情報が、SDSなどにより提供された場合など

≪指針による努力義務≫

ア.労働災害発生時

※過去のリスクアセスメント(RA)に問題があるとき

イ.過去のRA実施以降、機械設備などの経年劣化、労働者の知識経験などリスクの状況に変化があったとき

ウ.過去にRAを実施したことがないとき

※施行日前から取り扱っている物質を、施行日前と同様の作業方法で取り扱う場合で、過去にRAを実施したことがない、または実施結果が確認できない場合

2.リスクアセスメントの実施体制

リスクアセスメントとリスク低減措置を実施するための体制を整え、安全衛生委員会などの活用などを通じ、労働者を参画させます。

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※事業者は、上記のリスクアセスメントの実施に携わる人(外部の専門家を除く)に対し、必要な教育を実施するようにします。

3.リスクアセスメントの流れ

リスクアセスメントは以下のような手順で進めます。

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詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000094015.html

2015.10.20

11月は「下請取引適正化推進月間」です

中小企業庁及び公正取引委員会は、下請取引の適正化について、下請代金支払遅延等防止法の的確な運用と違反行為の未然防止、下請中小企業振興法に基づく振興基準の遵守を指導すること等を通じ、その推進を図ってきています。そして、昭和54年度から毎年11月を「下請取引適正化推進月間」とし、下請法の普及・啓発事業を集中的に行っています。

■下請取引適正化推進月間の概要

1.平成27年度「下請取引適正化推進月間」キャンペーン標語

「押しつけず 叩かず 決めよう 適正価格」

2.下請取引の適正化に係る要請

年末にかけての金融繁忙期において、下請事業者の資金繰り等が懸念されることから、下請法及び下請振興法の周知徹底を図るとともに、下請振興法に基づく振興基準を遵守し、下請事業者に対する配慮等を行うよう、経済産業大臣公正取引委員会委員長及び各事業所管大臣等の連名により、業界団体等に対し通達文書を発出する予定。

3.特別事情聴取等の実施を通じた下請法の厳格な運用

下請法の法令遵守の徹底を促すため、同法に基づく書面調査に対する回答がなく督促に応じない親事業者、過去に同様の改善指導を2回以上受けている親事業者の役員等を招致する特別事情聴取等を実施。

4.普及・啓発

(1)下請取引適正化推進講習会の開催

47都道府県(61会場)において、親事業者の下請取引担当者等を対象に、下請法及び下請振興法の趣旨・内容を周知徹底。

(2)下請取引適正化推進シンポジウム・セミナーの開催

コンプライアンス強化と企業間取引の適正化について親事業者の取組に焦点を当て、下請取引適正化推進シンポジウムを東京、大阪など全国5ヶ所で開催。また、親事業者の取引適正化の取組事例を紹介する下請取引適正化セミナーを全国3ヶ所で開催。

(3)適正取引推進講習会の開催

親事業者と下請事業者の適正な取引の推進を図るため、適正取引推進講習会を開催。11月には、全国紙において広告を掲載し、講習会の周知と参加促進に努める。

・下請代金法講習会の開催

・下請ガイドライン講習会の開催

・消費税転嫁対策特別措置法講習会の開催

(4)下請かけこみ寺の利用促進

「下請かけこみ寺」(全国48ヶ所に設置)において、下請事業者からの企業間取引に関する相談に対応するとともに、弁護士等による無料相談や裁判外紛争解決(ADR)を無料で行っています。11月には、下請かけこみ寺の一層の利用促進を図るため、全国紙及び地方紙(47都道府県)において広告を掲載。

(5)広報誌等への掲載・掲示

・ホームページ、メールマガジンを通じた広報

・ポスターを公正取引委員会経済産業省都道府県、中小企業関係団体、事業者団体等の施設に掲示

都道府県や中小企業関係団体、事業者団体等の機関誌を通じた広報

5.建設業における取引適正化の推進

国交省主催の「建設業取引適正化推進月間」事業(本年11月)と連携し、建設業の取引適正化を図るため、国交省が行う建設業法の講習会の周知に協力するとともに、国交省との合同立入検査による指導等を実施。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[経済産業省]

http://www.meti.go.jp/press/2015/09/20150924004/20150924004.html

2015.10.10

改正中小企業退職金共済法の施行について

  平成27年5月7日、「独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律」(平成27年法律第17号)が公布され、中小企業退職金共済法の一部改正が平成28年4月1日から施行されます。今回の改正では、中小企業退職金共済(中退共)制度と他制度とのポータビリティの拡大を図ることにより、加入者の利便性の向上等が盛り込まれています。

中小企業退職金共済法の一部改正の概要

1.「資産運用委員会」の設置

独立行政法人勤労者退職金共済機構の資産運用業務に関しては、「資産運用の基本方針」に基づき外部有識者で構成される委員会が設置され、助言・評価が行われていますが、資産運用業務に対するリスク管理機能等を強化するため、新たなガバナンス体制として、厚生労働大臣の任命する経済・金融の有識者等の委員5人以内から構成される「資産運用委員会」が設置され、資産運用の基本方針の検討や資産運用業務の評価等が行われることとなります。

※施行日:平成27年10月1日

2.中小企業者でなくなった場合、新たな資産移換先として確定拠出年金制度を追加

中退共制度は、共済契約者が中小企業者であることが必要ですが、事業の拡大等により中小企業者でなくなった場合、資産移換先として、確定給付企業年金(DB)制度又は特退金制度(※注1)を選択することができますが、新たに確定拠出年金(DC)制度が選択先として加わります。

※施行日:平成28年4月1日

3.事業所の間を移動した場合、通算の申出期間を3年以内に延長

被共済者が、転職等により中退共制度と中退共制度、特退共制度(※2)又は特退金制度(※1)(通算契約を締結している制度に限る。)の間を移動した場合、退職後2年以内に制度通算の申し出を行えば、退職金を通算することができますが、この申し出の期間が3年以内に延長されます。

※施行日:平成28年4月1日

4.特定退職金共済制度を廃止した団体からの資産移換

中小企業者が、雇用している従業員を特退金制度(※1)の被共済者として加入していて、当該特退金制度が廃止された場合、当該中小企業者が当該従業員を中退共制度の被共済者として加入する時、又は既に中退共制度に加入していた時に、当該特退金制度の廃止時に当該被共済者に分配される金額の範囲内の額を中退共制度に資産移換の申出をしたときは、当該金額を受け入れることができるようになります。

※施行日:平成28年4月1日

5.特定業種退職金共済制度との通算における全額移換の実施

中退共制度と特退共制度(※2)の間の通算においては、通算できる退職金額に上限があり、通算できない金額が生じた場合、差額給付金として被共済者へ支給されていましたが、その上限を撤廃し、全額移換が可能となります。

※施行日:平成28年4月1日

(※注1) 特退金制度とは、商工会、商工会議所、自治体など税務署長の承認を受けた団体が実施している特定退職金共済制度。

(※注2) 特退共制度とは、独立行政法人勤労者退職金共済機構が実施している特定業種(建設業・清酒製造業・林業)退職金共済制度。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000097111.html

2015.10.10

平成27年分年末調整のしかたについて

今年も年末調整を行う時期が近づいてきましたが、今年の年末調整を行うにあたって国税庁は、平成25年1月から復興特別所得税が創設されていることから年末調整の際に復興特別所得税の計算の漏れがないよう注意を呼び掛けています。

■平成27年分年末調整の注意点

1.復興特別所得税の計算

所得税源泉徴収義務者は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、源泉所得税の法定納期限までに、その復興特別所得税を源泉所得税と併せて国に納付しなければなりません。

(注)租税条約の規定により、所得税法及び租税特別措置法に規定する税率以下の限度税率が適用される場合には、復興特別所得税は課されません。

このため、年末調整において年税額を計算する際にも、復興特別所得税を含めた年税額(以下「年調年税額」といいます。)を算出する必要があります。

なお、毎月の給与や賞与については、税務署から配布している源泉徴収税額表に基づき、所得税及び復興特別所得税の合計額を源泉徴収することができます。

◎年調年税額の計算方法

年調年税額は、算出所得税額から(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額を控除した後の税額(年調所得税額)に102.1%を乗じて算出します(100円未満の端数は切り捨てます。)。

2.平成28 年から適用される主な改正事項

マイナンバー制度が導入され、平成27年10月から個人番号及び法人番号が通知され、平成28年1月から順次利用が開始されます。

(1)個人番号及び法人番号について

個人番号は12桁の番号で、住民票を有する国民全員に1人1つ指定され、市区町村役場から通知されます。また、住民票を有する中長期在留者や特別永住者等の外国籍の方にも同様に指定・通知されます。

法人番号は13桁の番号で、設立登記法人などの法人等に1法人1つ指定され、国税庁から通知されます。法人の支店・事業所等や個人事業者等には指定されません。

(2)源泉徴収事務での取扱い

イ.扶養控除等(異動)申告書への番号記載

給与の支払者は、平成28年1月以後(※注1)、給与所得者から給与所得者本人、控除対象配偶者及び控除対象扶養親族等の個人番号が記載された「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受ける必要があります。また、この申告書の提出を受けた給与の支払者は、その申告書に自身の個人番号又は法人番号を付記する必要があります(※注2)。

※注1:平成27年12月以前であっても、給与所得者等の個人番号が記載された「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受けても差し支えありません。

※注2:給与の支払者が法人の場合は、給与の支払者の法人番号をあらかじめ記載(印字)して、給与所得者に交付しても差し支えありません。

ロ.本人確認の実施

給与の支払者が給与所得者から個人番号の提供を受ける場合は、本人確認として、提供を受ける番号が正しいことの確認(番号確認)(※注1)と、番号の提供をする者が真にその番号の持ち主であることの確認(身元確認)(※注2)を行う必要があります。

なお、給与の支払者が本人確認を行う必要があるのは、個人番号の提供を行う給与所得者本人のみとなります(控除対象配偶者や控除対象扶養親族等の本人確認は、給与所得者が行うこととなります(※注3))。

※注1:番号確認については、上記書類等で確認するほか、一度本人確認を実施の上作成した特定個人情報ファイル(個人番号をその内容に含む個人情報データベース)を参照することにより確認することも認められています。

※注2:身元確認については、番号の提供をする者が従業員であり、採用時等に一度本人であることの確認を行っている場合には、本人を対面で確認することにより身元確認書類の提示を受けることは不要です。

※注3:扶養親族等の本人確認のうち、身元確認については、給与所得者がその扶養親族等を対面で確認することにより、身元確認書類の提示を受けることは不要です。

ハ.源泉徴収票への番号記載

平成27年10月2日に所得税法施行規則等の改正が行われ、平成28年1月以降も、給与などの支払いを受ける人に交付する源泉徴収票などへの個人番号の記載は行わないこととされました。ただし、税務署に提出する源泉徴収票などには個人番号の記載が必要となりますので注意してください。

個人情報の保護に関する法律第25条に基づき、本人から自身の個人番号を含む情報として源泉徴収票などの開示の求めがあった場合には、本人の個人番号を記載して開示することが可能です。

≪個人番号の記載が不要となる税務関係書類≫

(給与などの支払を受ける方に交付するものに限ります。)

・給与所得の源泉徴収票

・退職所得の源泉徴収票

公的年金等の源泉徴収票

・配当等とみなす金額に関する支払通知書

・オープン型証券投資信託収益の分配の支払通知書

・上場株式配当等の支払に関する通知書

・特定口座年間取引報告書

・未成年者口座年間取引報告書

・特定割引債の償還金の支払通知書

※未成年者口座年間取引報告書及び特定割引債の償還金の支払通知書は、平成28年1月施行予定

(3)個人番号を扱う際の留意点

イ.取得・利用・提供の制限

個人番号は、社会保障や税に関する手続など法令に定められた事務を処理する必要がある場合以外は、取得・利用・提供をすることはできません。

ロ.保管・廃棄

個人番号は、社会保障や税に関する手続など法令に定められた事務を処理するのに必要がある場合に限り、保管することができます。また、社会保障や税に関する手続に必要がなくなった場合で、所管法令において定められている保存期間を経過した場合は、個人番号をできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければなりません。

(注)扶養控除等(異動)申告書については、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存する必要がありますので、その間は個人番号を保管することができますが、当該期間経過後は、できるだけ速やかに個人番号を廃棄又は削除する必要があります。

ハ.安全管理措置の実施

個人番号を取り扱う源泉徴収義務者は、個人番号及び特定個人情報(個人番号をその内容に含む個人情報をいいます。)の漏えい、滅失又は毀損の防止その他適切な管理のために、必要かつ適切な安全管理措置を講ずる必要があります。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[国税庁]

http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2015/01.htm

2015.10.10

個人番号の記載を要しない法定調書類とは?

平成27年10月2日に所得税法施行規則等の改正が行われ、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行後の平成28年1月以降も、給与などの支払を受ける人に交付する源泉徴収票などへの個人番号の記載は行わないこととされました。

■個人番号の記載を要しない法定調書類

今般の改正で、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「マイナンバー法」という。)施行後の平成28年1月以降も、給与などの支払を受ける方に交付する源泉徴収票などへの個人番号の記載は行わないこととされました。

ただし、税務署に提出する源泉徴収票などには、個人番号の記載が必要ですので注意しましょう。

改正前は、支払を受ける人に対して交付する源泉徴収票などについて、本人等の個人番号を記載して交付しなければならないこととされていました。

≪個人番号の記載が不要となる税務関係書類≫

(給与などの支払を受ける人に交付するものに限ります。)

・給与所得の源泉徴収票

・退職所得の源泉徴収票

公的年金等の源泉徴収票

・配当等とみなす金額に関する支払通知書

・オープン型証券投資信託収益の分配の支払通知書

・上場株式配当等の支払に関する通知書

・特定口座年間取引報告書

・未成年者口座年間取引報告書

・特定割引債の償還金の支払通知書

※未成年者口座年間取引報告書及び特定割引債の償還金の支払通知書は、平成28年1月施行予定

個人情報の保護に関する法律第25条に基づき、本人から自身の個人番号を含む情報として源泉徴収票などの開示の求めがあった場合には、本人の個人番号を記載して開示することが可能です。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[国税庁]

http://www.nta.go.jp/mynumberinfo/pdf/mynumber_gensen.pdf

2015.10.01

平成27年版労働経済白書が公表されました

厚生労働省は、「平成27年版労働経済白書」を公表しました。平成27年版では、わが国の経済活力を維持・向上させていくためには、労働力の減少という経済の供給制約の克服と持続的な賃金の上昇を可能とするための取組が必要という観点から、経済再生に向けた課題、より効率的な働き方の実現、人口減少下における地域経済の在り方についての分析が行われています。

■平成27年版労働経済白書の概要

本白書で取り上げられている項目のうち、「効率的な働き方の実現に向けて」についての概要を紹介します。

ア.わが国の働き方の現状

労働者の総実労働時間はパートタイム労働者比率の上昇等により減少しているが、一般労働者の総実労働時間は大きく変化していない。

1週間の就業時間が60時間以上の労働者について、産業別にみると宿泊業、飲食サービス業、運輸業、郵便業、生活関連サービス業、娯楽業で割合が高い。また、年齢別にみると、男性で、1週間の就業時間が60時間以上である正規の職員・従業員の割合は、20歳台後半や30歳台で高い。

イ.労使双方からみる働き方の現状と課題~その1

労使双方への調査によると、所定外労働時間が発生する理由としては、労使ともに、業務の繁閑が激しい、突発的な業務が生じやすい、人手不足を挙げる割合が高い。

それらに加えて、労働者側は、「自分が納得できるまで仕上げたいから」とする割合が高い。一方、「残業手当や休日手当を稼ぎたいから」とする割合は低い。

企業側は、「顧客の都合上、所定外でないとできない仕事があるから」「仕事の進め方にムダがあるから」等に加え、「能力・技術不足で時間がかかってしまう従業員がいるから」とする割合が高い。

ウ.労使双方からみる働き方の現状と課題~その2

企業側の調査によると、人事評価や昇進・昇格において、労働時間が長いことを評価していないとする割合が高い。

効率的な働き方のツールとしてITの活用が考えられ、実際にITの活用により、総実労働時間数は減少したと回答する企業の割合は約2割となっている。

他律的な要因による長時間労働に対しては、需要の繁閑の分析による効率的な人員配置、外部から影響を受けにくいビジネスモデルの構築が、効率的な業務遂行に対しては、上司・部下とのコミュニケーション、ITの活用が重要である。

エ.働き方の改善による労働者、企業双方の好循環に向けて~その1

所定外労働が実際に短縮された企業が行っている取組としては、「実態の把握」「長時間労働者やその上司等に対する注意喚起や助言」「仕事の内容・分担の見直し」が多くなっている。

所定外労働時間を短縮している企業は、自社の労働生産性は同業他社に比べて高いと認識しており、労働者だけではなく、企業にとっても意義がある。企業へのヒアリングでも、労働時間の削減により疲労度の低減、モチベーションの向上や、自己研さん等の効果があげられていた。

オ.働き方の改善による労働者、企業双方の好循環に向けて~その2

労働時間を削減しつつ、生産活動を維持・向上していくためには、労働生産性の向上や労働投入の増加が必要である。

教育訓練に取り組んでいる企業は、自社の労働生産性が同業他社と比べて高いと認識し、売上高(過去3年間)が増加したとする割合が高い。

追加で就業を希望する者、勤務時間・休日などが希望と合わず失業している者などが、希望に応じて労働参加できるよう、ニーズに応じた多様な働き方を提供することが重要である。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000096944.html

2015.10.01

10月は年次有給休暇取得促進期間!

厚生労働省は、昨年度から年次有給休暇を取得しやすい環境整備を促進するため、10月を「年次有給休暇取得促進期間」としています。これは政府が2020 年までの目標値として年次有給休暇の取得率を70%とすることを掲げていますが、直近の取得率は48.8%(2013年)と近年50%を下回る水準で推移していることによるものです。

年次有給休暇取得促進の概要

◎なぜ年次有給休暇の取得率が低いの?

・ためらいを感じる・・・・・・24.8%

・ややためらいを感じる・・・・43.5%

・あまりためらいを感じない・・22.4%

・全くためらいを感じない・・・8.4%

◎ためらいを感じる理由とは?(複数回答)

・みんなに迷惑がかかると感じるから・・・74.2%

・後に多忙になるから・・・・・・・・・・44.3%

・職場の雰囲気で取得しづらいから・・・・30.7%

・上司がいい顔をしないから・・・・・・・15.3%

・昇格や査定に影響があるから・・・・・・9.9%

※資料出所:労働時間等の設定の改善を通じた「仕事と生活の調和」の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査(平成26年)

◇なぜ休暇の取得が必要なのでしょうか?

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現のためには、労働時間や休日数、年次有給休暇の取得状況など、従業員の健康と生活に配慮し、多様な働き方に対応したものへ改善することが重要。

計画的な年次有給休暇の取得により、「生産性の向上」、「企業イメージの向上」および「優秀な人材の確保」等が期待されること。

反対に、年次有給休暇をしっかり取得できないと、「労働者のストレス増加」、「職場の雰囲気の悪化」、「残業等のコスト増加」が見込まれること。

◇休暇取得に向けた環境づくりに取り組みましょう!

(1)年次有給休暇を取得しやすい環境整備

経営者の主導のもと、取得の呼びかけなどによる年次有給休暇を取得しやすい雰囲気づくりや、労使の年次有給休暇に対する意識改革をしましょう。

(2)労使の話し合いの機会をつくる

年次有給休暇の取得状況を確認するとともに、取得率向上に向けた具体的な方策を話し合いましょう。

★プラスワン休暇を実施

労使協調のもと、土日、祝日に年次有給休暇を組み合わせて、3日(2日)+1日以上の休暇を実施。

◇休暇の計画的な取得のために、事業場全体の年間計画に年次有給休暇を組み込みましょう!

年次有給休暇の「計画的付与制度」とは>

年次有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの日数については、 労使協定を結べば、計画的に年次有給休暇取得日を割り振ることができる制度です。この制度を導入している企業は、導入していない企業よりも年次有給休暇の平均取得率が8.1ポイント高いという調査結果もあります。この制度を導入することによって年次有給休暇が取りやすくなると考えられます。

(1)導入のメリット

事業主:労働管理がしやすく計画的な業務運営が可能。

従業員:ためらいを感じずに、年次有給休暇を取得可能。

(2)日数

付与日数から5日を除いた残りの日数を計画的付与の対象に可能。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000096980.html