「雇用保険法等の一部を改正する法律案」国会に提出

 令和2年の通常国会における重要法案の一つである「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が、令和2年2月4日、当該国会に提出されました。高齢者の就業機会の確保、複数就業者等のセーフティネットの整備、失業者、育児休業者等への給付等を安定的に行うための基盤整備等、などを盛り込んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律案」ですが、スムーズに成立するのか、動向に注目が集まっています。

法案の概要は、次のとおりです。

改正の趣旨
○高齢者、複数就業者等に対応したセーフティネットの整備、就業機会の確保等を図るため、雇用保険法、高年齢者雇用安定法、労災保険法等において必要な措置を講ずる。
○失業者、育児休業者等への給付等を行う基盤となる雇用保険制度の安定的な運営等を図るため、育児休業給付の区分経理等の財政運営の見直しを行う。併せて、現下の雇用情勢等に鑑み、2年間に限った保険料率及び国庫負担の暫定的な引下げ等の措置を講ずる。

改正の概要
1.高齢者の就業機会の確保及び就業の促進(高年齢者雇用安定法、雇用保険法
 ①65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置(定年引上げ、継続雇用制度の導入、定年廃止、労使で同意した上での雇用以外の措置(継続的に業務委託契約する制度、社会貢献活動に継続的に従事できる制度)の導入のいずれか)を講ずることを企業の努力義務にするなど、70歳までの就業を支援する。【令和3年4月施行】
 ②雇用保険制度において、65歳までの雇用確保措置の進展等を踏まえて高年齢雇用継続給付を令和7年度から縮小するとともに、65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置の導入等に対する支援を雇用安定事業に位置付ける。【令和7年4月施行・令和3年4月施行】

2.複数就業者等に関するセーフティネットの整備等労災保険法、雇用保険法、労働保険徴収法、労働施策総合推進法)
 ①複数就業者の労災保険給付について、複数就業先の賃金に基づく給付基礎日額の算定や給付の対象範囲の拡充等の見直しを行う。【公布後6月を超えない範囲で政令で定める日】
 ②複数の事業主に雇用される65歳以上の労働者について、雇用保険を適用する。【令和4年1月施行】
 ③勤務日数が少ない者でも適切に雇用保険の給付を受けられるよう、被保険者期間の算入に当たり、日数だけでなく労働時間による基準も補完的に設定する。【令和2年8月施行】
 ④大企業に対し、中途採用比率の公表を義務付ける。【令和3年4月施行】

3.失業者、育児休業者等への給付等を安定的に行うための基盤整備等雇用保険法、労働保険徴収法、特別会計法、労災保険法)
 ①育児休業給付について、失業等給付から独立させ、子を養育するために休業した労働者の生活及び雇用の安定を図るための給付と位置付ける。【令和2年4月施行】
 ②上記①を踏まえ、雇用保険について、以下の措置を講ずる。【令和2年4月施行】
  ア:育児休業給付の保険料率(1,000分の4)を設定するとともに、経理を明確化し、育児休業給付資金を創設する。
  イ:失業等給付に係る保険料率を財政状況に応じて変更できる弾力条項について、より景気の動向に応じて判定できるよう算定方法を見直す。
 ③上記②の整備を行った上で、2年間(令和2~3年度)に限り、雇用保険の保険料率及び国庫負担の引下げ措置を講ずる。【令和2年4月施行】
 ④雇用保険二事業に係る保険料率を財政状況に応じて1,000分の0.5引き下げる弾力条項について、更に1,000分の0.5引き下げられるようにする。【令和3年4月施行】
 ⑤保険給付に係る法令上の給付額に変更が生じた場合の受給者の遺族に対する給付には、消滅時効を援用しないこととする。【令和2年4月施行】

改正項目が多岐に渡りますが、最も注目されているのは、70歳までの就業機会の確保(改正の概要の1.①の「65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置」)です。
努力義務規定ですが、令和3年4月からの施行が予定されています。
令和2年4月からの施行が予定されているものもありますので、全体像を確認することをお勧めします。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/000591659.pdf

雇用保険の各種助成金等、令和2年度分に係る制度の見直しや新設等について意見募集

 

 

 「雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」について、令和2年1月28日から、パブリックコメントによる意見募集が開始されました。この改正案は、雇用保険の各種助成金等について、令和2年度分に係る制度の見直しや新設等を行おうとするものです。意見募集の締切日は、令和2年2月26日となっています。

 見直しや新設の対象となるのは、次の助成金等とされています(令和2年4月1日施行予定)。

1.雇用保険法施行規則の一部改正関係
 1.65歳超雇用推進助成金
 2.特定求職者雇用開発助成金
 3.中途採用等支援助成金
 4.地域雇用開発助成金
 5.両立支援等助成金
 6.人材確保等支援助成金
 7.キャリアアップ助成金
 8.障害者雇用安定助成金
 9.人材開発支援助成金
 10.認定訓練助成事業費補助金
 11.不安定就労者再チャレンジ支援事業
 12.短期資格等習得コース事業
 13.雇用調整助成金


2.建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部改正関係
 1.人材確保等支援助成金(再掲)
 2.人材開発支援助成金(再掲)


<見直しの例>
●65歳超雇用推進助成金
高年齢者評価制度等雇用管理改善コースの改正概要

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中途採用等支援助成金
中途採用拡大コース奨励金について、
・支給対象事業主について、中途採用計画期間前3年間の中途採用率に係る要件を「50%未満」から「60%未満」に緩和
中途採用率の向上度合いに応じた助成額とするとともに、これまで中途採用を行ったことのない事業所の事業主に対する上乗せ助成を創設
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●両立支援等助成金
育児休業等支援コース助成金について、
・小学校就学前の子について時間単位での利用が可能な有給の子の看護休暇制度を導入し、労働者が取得した実績のある中小企業事業主に対する助成金の支給要件について、取得時間数を「20 時間以上」から「10 時間以上」に緩和

 






詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 電子政府の総合窓口(e-Gov) ]
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495190379&Mode=0

週10~20時間未満で働く障害者を雇用する事業主への給付金


 令和2年4月1日施行の障害者雇用促進法等の改正により、特に短い時間であれば働くことができる障害者である労働者を雇用する事業主に対する支援として、新たに「特例給付金」が支給されることになりました。これを周知するためのリーフレットが、厚生労働省及び独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構から公表されています。

■週10~20時間未満で働く障害者を雇用する事業主の皆様への給付金のご案内

1.支給対象となる障害者(以下「対象障害者」という。)
次のいずれも満たす障害者
障害者手帳等を保持する障害者(注1)
・1年を超えて雇用される障害者(見込みを含む)
・週所定労働時間が10時間以上20時間未満の障害者(注2)

2.支給額(注3)
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  3.申請から支給までの流れ
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4.申請書の提出先
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)

5.申請書の提出方法
「機構のHPから電子申請」(注8)又は「機構都道府県支部へ郵送又は持参」

注1「障害者手帳等を保持する障害者」とは、次の手帳等を保持する障害者です。
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注2・週所定労働時間が10時間以上20時間未満であっても、実労働時間が10時間未満であった障害者は対象障害者に含みません。
・週所定労働時間が20時間以上であったが、実労働時間が10時間以上20時間未満であった障害者は対象障害者に含みます(なお、当該障害者は障害者雇用納付金の申告申請において雇用障害者としてはカウントできません。)。

注3 「100人超事業主において納付金の未納付がある事業主」「申請書に記載のあった障害者に対する適切な雇用管理の措置を欠いたことによる労働関係法令の違反により送検処分をされた事業主」には特例給付金を支給しません。

注4 「週所定労働時間20時間以上の労働者」は1年を超えて雇用される(見込みを含む) 労働者に限ります。そのうち、週所定労働時間が30時間以上の労働者は1人を1人として、同20時間以上30時間未満の労働者については1人を0.5人としてカウントします。
月の初日(賃金締切日とすることも可)に在籍するこれらカウント後の労働者が100人を超える月が申請対象期間の1年間に5か月以上ある場合は「100人超事業主」(障害者雇用納付金の申告義務のある事業主)に、5か月未満の場合は「100人以下事業主」(障害者雇用納付金の申告義務のない事業主)に該当します。

注5 「週所定労働時間20時間以上の障害者」とは「週所定労働時間20時間以上の労働者」のうちの障害者のことです。障害者としてのカウントは次のとおりです。
 f:id:koyama-sharoushi:20200203192548j:plain※週所定労働時間20時間以上30時間未満の精神障害者において特例措置に該当する場合は1人を通常0.5人のところ1人とカウントします。
注意:特例給付金の対象障害者は、重度の身体・知的障害者であっても実人数でカウントします。

注6 申請対象期間の初年度は令和2年度(申請は令和3年度。ただし、令和2年度に事業を廃止等した場合は注7のとおり)となります。

注7・申請期間経過後に申請しても支給できません。
・100人超事業主においては納付金の申告と同時に申請することとなります。
・100人以下事業主のうち報奨金を申請する事業主は当該申請と同時に申請することとなります。
・年度の中途に事業を廃止等した場合は、事業を廃止等した日から45日以内に申請してください。

注8 令和2年度の中途に廃止等した場合、電子申請は利用できません。機構都道府県支部へ郵送又は持参により申請書をご提出ください。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構]
http://www.jeed.or.jp/disability/koyounoufu/q2k4vk000002sf8g-att/q2k4vk000002sh50.pdf

「業務改善助成金」を拡充

 業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されるものです。

・令和2年1月6日より、新規に追加されるコース(25円コース、60円コース、90円コース)の受付を開始しました。
 助成上限額や助成率など詳細は制度概要やリーフレットをご覧ください。
・あわせて、現行のコース(30円コース)の助成対象事業場について、事業場規模を30人以下から100人以下に拡大しました。
 現行のコースの申請期限は令和2年1月31日までです。
・新規に追加されるコースについては、申請期限の延長を予定しています。
 ※新規に追加されるコースの交付決定は、令和元年度補正予算成立が条件となります。
 ※本助成金は予算の範囲内で交付するため、申請期間内に募集を終了する場合があります。

■制度概要
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成します。

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(※1)ここでいう「生産性」とは、企業の決算書類から算出した、労働者1人当たりの付加価値をいいます。助成金の支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性を比較し、伸び率が一定水準を超えている場合等に、加算して支給されます。
(※2)850円未満コースの対象は、地域別最低賃金850円未満の、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、奈良、和歌山、鳥取、島根、岡山、山口、徳島、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の32県のうち、事業場内最低賃金850円未満の事業場に限ります。(令和元年12月現在)

(※3)30円コースは令和2年度より、1人引き上げる場合の助成上限額が30万円に変更となる予定です。
(※4)60円コース、90円コースは、令和2年度より全国47都道府県に拡大(850円以上の地域は3/4助成)する予定です。
(※5)(※3)及び(※4)は、令和2年度予算の成立が前提のため、今後、変更される可能性がありますのでご注意ください。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000579504.pdf

パワハラ防止措置等の実施義務、大企業では令和2年6月1日施行

2019年12月4日の官報に、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和元年政令第174号)」が公布されました。なお、パワハラ防止対策の法制化を含む女性活躍推進法等改正法の施行期日(案)をまとめた第22回労働政策審議会雇用環境・均等分科会の参考資料の赤字の部分と青字の部分が確定しました。参考までに紹介させていただきます。
オレンジ字の部分(中小企業への猶予が終わる時期)は、今回の官報では確定していません。
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改正の趣旨
女性をはじめとする多様な労働者が活躍できる就業環境を整備するため、女性の職業生活における活躍の推進に関する一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大、情報公表の強化、パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務等の新設、セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化等の措置を講ずる。

改正の概要
1.女性活躍の推進【女性活躍推進法】
(1)一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大
  一般事業主行動計画の策定義務の対象を、常用労働者301人以上から101人以上の事業主に拡大する。

(2)女性の職業生活における活躍に関する情報公表の強化及びその履行確保
  情報公表義務の対象を101人以上の事業主に拡大する。また、301人以上の事業主については、現在1項目以上の公表を求めている情報公表項目を「①職業生活に関する機会の提供に関する実績」、「②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」に関する項目に区分し、各区分から1項目以上公表することとする。
あわせて、情報公表に関する勧告に従わなかった場合に企業名公表ができることとする。

(3)女性活躍に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度(プラチナえるぼし(仮称))の創設

2.ハラスメント対策の強化
(1)国の施策に「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決の促進」(ハラスメント対策)を明記【労働施策総合推進法】

(2)パワーハラスメント防止対策の法制化【労働施策総合推進法】
①事業主に対して、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務(相談体制の整備等)を新設
 あわせて、措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備

パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による調停の対象とするとともに、措置義務等について履行確保のための規定を整備

(3)セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化【男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法】
セクシュアルハラスメント等に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務の明確化

②労働者が事業主にセクシュアルハラスメント等の相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益取扱いを禁止
パワーハラスメント及びいわゆるマタニティハラスメントについても同様の規定を整備




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

労基署への安全衛生関係の報告書類がネット上で作成可能に

 


 厚生労働省から、「労働基準監督署への報告書類(安全衛生関係)は、12月2日からインターネット上で作成できるようになります」という案内が公表されています。同省では、令和元年12月2日から「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」が開始されています。本サービスは、労働基準監督署へ提出する労働安全衛生関係法令の届出等におけるはじめての取組みです。

このサービスは、事業者が労働安全衛生法関係の届出・申請等の帳票を作成・印刷する際に、
(1)誤入力・未入力に対するエラーメッセージの表示
(2)書類の添付漏れに対する注意喚起
(3)過去の保存データを用いた入力の簡素化

等を行うもので、事業者(帳票作成者)の利便性の向上を図ることなどを目的として開発されたウェブサービスとなっており、事前申請や登録は不要です。

対象となる帳票は次のとおりです。
●総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告
●定期健康診断結果報告書
心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書
●労働者死傷病報告(休業4日以上)

ただし、本サービスは申請や届出をオンライン化するものではありません。作成した帳票は、必ず印刷のうえ、所轄の労働基準監督署への提出が必要になります。また本サービスで入力された情報は、インターネット上には保存されません。次回以降に活用される場合は、ご自身のパソコンに保存する必要があります。
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・入力項目の説明を確認しながら入力できます
・未入力・誤入力があると、エラーメッセージが表示されます。誤りなどを修正してから印刷が可能になります。
・提出時は帳票だけでなく、添付書類の確認も必要です。
 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告を印刷する時は、添付書類チェックリストでのご確認をお願いします。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/

「残業規制の悩み解決」中小企業向けのハンドブックが公表

 厚生労働省から、「時間外労働の上限規制"お悩み解決"ハンドブック」が公表されています。「時間外労働の上限規制"お悩み解決"ハンドブック」は、中小企業の事業主の皆様に向けて、令和2年(2020年)4月からスタートする時間外労働の上限規制に対応するため取組を中心に、「働き方改革」の秘訣がまとめられています。
具体的には、労働時間の短縮に効果的と思われる労働時間制度(各種の変形労働時間制など)、時間外労働を短くするために利用できる助成金、マネできる他社の成功事例などが紹介されています。
なお、そのハンドブックで紹介されている時間外労働等改善助成金については、次のように、交付申請期限が延長されています。

・時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)
 当初予定は令和元年11月29日〔ハンドブックに記載〕→「令和2年1月8日」
・時間外労働等改善助成金(団体推進コース)
 当初予定は令和元年10月31日〔ハンドブックに記載〕→「令和元年11月29日」

■「働き方改革」の基本的な考え方
働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「働き手のニーズの多様化」などの課題に対応するためには、投資やイノベーションによる生産性の向上や、就業機会の拡大、意欲・能力を存分に発揮できる環境をつくることが不可欠です。
働く方の置かれた事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人一人ひとりが、より良い将来の展望を持てるようにすることを目指します。

■中小企業・小規模事業者の働き方改革
働き方改革」は、日本国内雇用の約7割を担う中小企業・小規模事業者において、着実に実施することが必要です。魅力ある職場とすることで、人手不足の解消にもつながります。職場環境の改善などの「魅力ある職場づくり」が人手不足解消につながることから、人手不足感が強い中小企業・小規模事業者においては、生産性の向上に加え「働き方改革」による魅力ある職場づくりが重要です。

改革に取り組むに当たっては、「意識の共有がされやすい」など、中小企業・小規模事業者だからこその強みもあります。「魅力ある職場づくり」→「人材の確保」→「業績の向上」→「利益増」・「従業員への還元」の好循環をつくるため、「働き方改革」を進めてより魅力ある職場をつくりましょう。

■時間外労働の上限規制って何?ウチの会社も見直す必要がある?
労働者が法律の上限を超える時間(※)働く場合には、あらかじめ「時間外・休日労働に関する協定(36協定)」が必要です。
2020年4月から、36協定で定めることができる時間外労働時間に制限(時間外労働の上限規制)ができます。
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時間外労働の上限規制の具体的な内容
 f:id:koyama-sharoushi:20191203175614j:plain◆以下の事業・業務は、2024年3月31日まで上限規制の適用が猶予されます。
・建設事業・自動車運転の業務
・医師
・鹿児島・沖縄砂糖製造業(複数月平均80時間以内、月100時間未満のみが猶予の対象となります。)
◆新技術・新商品などの研究開発業務については、上限規制の適用が除外されています。

〇36協定の締結に当たって注意すべき4つのポイント
Point1
・「1日」「1か月」「1年」のそれぞれの時間外労働の限度を定める必要があります。
Point2
・1年の上限について算定するために、協定期間の「起算日」を定める必要があります。
Point3
・36協定では「1日」「1か月」「1年」の時間外労働の上限時間を定めます。この上限時間内で労働をさせた場合であっても、実際の時間外労働と休日労働の合計が、月100時間以上または2〜6か月平均80時間超となった場合には、法違反となります。
・このため、時間外労働と休日労働の合計を月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内とすることを、協定で定める必要があります。36協定届の新しい様式では、この点について労使で合意したことを確認するためのチェックボックスが設けられています。
Point4
・限度時間(月45時間・年360時間)を超える時間外労働を行わせることができるのは、通常予見することのできない業務量の大幅な増加など、臨時的な特別の事情がある場合に限ります。

★臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合の事由については、できる限り具体的に定めなければなりません。「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」など、恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは認められません。
(臨時的に必要がある場合の例)
・予算、決算業務・ボーナス商戦に伴う業務の繁忙・納期のひっ迫・大規模なクレームへの対応・機械のトラブルへの対応

過半数代表者の選任
・36協定の締結を行う労働者の代表は、労働者(パートやアルバイトなども含む)の過半数で組織する労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する方(過半数代表者)が行う必要があります。
過半数代表者の選任に当たっては、以下の点に留意する必要があります。
管理監督者でないこと
・36協定を締結する人を選出することを明らかにした上で、投票・挙手などの方法で選出する
・使用者の意向に基づいて選出された人でないこと(※)
(※)会社による指名や、社員親睦会の代表が自動的に選出されることなどは不適切な選出となります。
・使用者は過半数代表者が協定締結に関する事務を円滑に遂行できるよう、必要な配慮(※)を行わなければなりません。
(※)事務機器(イントラネットや社内メールも含む)や事務スペースの提供など




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/000567480.pdf