デジタル・ガバメント閣僚会議「マイナンバーカードの健康保険証利用」の工程表などを公表

 


首相官邸で開催された「デジタル・ガバメント閣僚会議(第5回)」の資料が公表されました。今回の会議の議事は、「マイナンバーカードの普及等に向けた取組」などについてです。報道等では、「マイナポイント」について大きく取り上げられています。これは、消費増税後の景気下支え対策として、マイナンバーカード取得者を対象に、キャッシュレス決済のため事前入金すると、国費でポイントを上乗せするというものです。上乗せ率は今後、政府内で検討するとのことです。

マイナポイント(マイナンバーとは別のIDであるマイキーIDにより管理するポイント)を活用した消費活性化策は、消費税率引上げに伴う需要平準化が目的です。マイナンバーカードを取得しマイキーIDを設定した利用者が、「〇〇ペイ」等の民間のキャッシュレス決済手段で一定金額を前払いした場合、前払い分にプレミアム分(国が負担)を加えたポイントが付与されるものです。臨時・特例の措置で、本年10月開始のポイント還元事業終了後の来年7月から実施されます。ポイント利用は、店舗での買物のスマホによるQRコード決済やオンラインショップ等での利用が考えられています。

【仕組みのイメージ】

f:id:koyama-sharoushi:20190930140150p:plainまた、「マイナンバーカード交付枚数(想定)・マイナンバーカードの健康保険証としての医療機関等の利用環境整備に係る全体スケジュール」も示されています。マイナンバーカードを健康保険証の代わりに利用できるようになるのは、令和3年(2021年)3月末からですが、その時点でのマイナンバーカードの交付枚数は6千万~7千万枚と想定されています。
令和5年(2023年)3月末には、概ね全ての医療機関等でマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにし、その頃には、ほとんどの住民がマイナンバーカードを保有していることを目指しています。

■各保険者における被保険者のマイナンバーカード取得促進策等(総括)
1.マイナンバーカードの取得、移行スケジュール
○各保険者では、デジタル・ガバメント閣僚会議で示されるマイナンバーカードの交付スケジュールの想定のもと、令和4年度中にほとんどの被保険者がマイナンバーカードを取得することを想定して、被保険者のマイナンバーカードの取得と初回登録(保険証としての登録)の促進に取り組む。
○国家公務員及び地方公務員等(国家公務員共済組合・地方公務員共済組合)については、令和元年度内に、マイナンバーカードの一斉取得を推進する。
○移行スケジュールについては、今後の環境整備の進捗状況等を踏まえつつ、更なる具体化を含め、見直しを行う。

2.マイナンバーカードの取得促進等の具体的取組
○令和3年3月からマイナンバーカードを健康保険証として本格的に利用できるよう、各保険者において、健康保険証の発行時や更新時をはじめ、様々なチャネル(医療費通知や健診受診表の送付、機関誌等)を用いて、事業主、加入者等へのカードの取得と初回登録の促進を行う。
○保険者・事業主が主催するイベント(健診会場、健康づくりイベント)等において、マイナンバーカード取得に関するポスター・リーフレット等を活用した周知広報や、市区町村における出張申請サービスを活用した取得申請の支援に取り組む。
○国家公務員及び地方公務員等では、交付申請書の配布により、被保険者による取得申請を支援し、一斉取得に取り組む。
○市町村国保後期高齢者医療広域連合では、市町村のマイナンバー担当課との連携を強化し、健康診断等の会場、高齢者が集う場等を活用した周知広報や、未取得者へのカードの取得申請の支援に取り組む。

3.カード取得状況のフォローアップ
○各保険者において、保険者の規模や構成を踏まえ、被保険者のマイナンバーカードの取得と初回登録の進捗状況について定期的にアンケート調査等を行い、事業主等を通じた未取得者へのカード取得と初回登録の働きかけなど、フォローアップを行う。
○各保険者では、被保険者のカード取得状況をフォローアップした上で、他保険者等におけるベストプラクティス(出張申請サービスの活用、交付申請書の配布等)を活用するなど、必要な対策を講じる。
(※)初回登録の進捗は、支払基金に登録される各保険者別の初回登録の情報を、厚生労働省が定期的に把握し、各保険者に共有する方法を想定。

改正派遣法 新たな待遇決定方式の一つである「労使協定方式」についてQ&Aを公表

働き方改革関連法による改正派遣労働者法(2020年4月1日施行)により、次の①または②のいずれかの待遇決定方式により、派遣労働者の待遇を確保することが、派遣元事業主の義務とされました。
① 派遣先均等・均衡方式 → 派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保
② 労使協定方式 → 一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保
上記のうち、②の「労使協定方式」については、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」と同等以上であることが要件となっており、これまでに、当該賃金の水準に関する通達や各種資料が公表されています。

厚生労働省から、この労使協定方式に関するQ&Aが公表されており、実務上、担当者が疑問に思うような内容についての問が、計38個、答とともに紹介されています。そのうちのいくつかをご紹介いたします。

1.労使協定の締結
問1-1:労使協定は施行日(2020年4月1日)前に締結することは可能か。

答:働き方改革関連法(平成30年改正派遣法)の施行日前に、派遣元事業主が過半数労働組合又は過半数代表者との間で法第30条の4第1項の協定を締結することは可能である。
なお、当然のことながら、労働者派遣法第30条の4第1項の協定としての効力が発生するのは、施行日以降であることに留意すること。

問1-3:数か所の事業所を労使協定の一つの締結単位とすることは可能か。(例:関東地方に所在する事業所で労使協定を締結)

答:差し支えない。ただし、待遇を引き下げることなどを目的として、数か所の事業所を一つの締結単位とすることは、労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではなく、認められないことに留意すること。
また、この場合、比較対象となる一般賃金を算定する際の地域指数については、協定対象派遣労働者の派遣先の事業所その他派遣就業の場所の所在地を含む都道府県又は公共職業安定所管轄地域の指数を選択することに留意すること。
さらに、数か所の事業所を労使協定の一つの締結単位とする場合、派遣労働者が多数となり、派遣先の業種、派遣先地域も多岐にわたって賃金体系等が複雑となり、複数の事業所の派遣労働者全体の利益を適切に代表する過半数代表者を選出することが困難となる可能性があることから、数か所の事業所を労使協定の締結単位とする場合には、過半数代表者が民主的手続に基づいて選出されるよう、特に留意する必要がある。仮に過半数代表者を適切に選出していないと認められた場合には労使協定方式が適用されず、法第30条の3の規定に基づき、派遣先に雇用される通常の労働者との均等・均衡待遇を確保しなければならないことに留意すること。

問1-4:派遣労働者は各々異なる派遣先に派遣されており、労使協定を締結する過半数代表者の選出が困難であるが、どのように選出すればよいか。

答:例えば、派遣労働者の賃金明細を交付する際や派遣元事業主が派遣先を巡回する際に、労使協定の意義や趣旨を改めて周知するとともに、立候補の呼びかけや投票用紙の配付をしたり、社内のイントラネットやメールにより立候補の呼びかけや投票を行わせることが考えられる。
なお、派遣元事業主は、過半数代表者が労使協定の事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない(労働者派遣法施行規則第25条の6第3項)。この「必要な配慮」には、例えば、過半数代表者が労働者の意見集約等を行うに当たって必要となる事務機器(イントラネットや社内メールを含む。)や事務スペースの提供を行うことが含まれるものである。
また、労働基準法36条に基づく時間外・休日労働に関する協定の締結や、同法89条に基づく就業規則の作成又は変更を行う場合にも、(過半数労働組合が存在しない場合は)当然に過半数代表者の選出が必要である。

2.基本給・賞与・手当等
問2-3:賃金に含まれない「時間外、休日及び深夜の労働に係る手当等」の「等」とは何を指すのか。

答:「等」には、宿日直手当(本来の職務外としての宿日直勤務に対して支給される給与)及び交替手当(臨時に交替制勤務の早番あるいは後番に対して支給される交替勤務給など、労働時間の位置により支給される給与)が含まれる。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
"> "https://www.mhlw.go.jp/content/000538206.pdf">

軽減税率対策補助金の手続要件を変更(経産省)

令和元年(2019年)10月の消費税軽減税率制度の実施に向けて、中小企業庁は、軽減税率に対応するレジの導入等を補助金(軽減税率対策補助金)により支援してきましたが、中小事業者による対応レジの導入を幅広く促進するため、その補助金の手続要件を変更するとの公表がありました。

 軽減税率対策補助金は、2019年9月30日までに軽減税率対応レジの設置・支払いが完了したものを補助対象としていました。今回の変更は、2019年9月30日までにレジの導入・改修に関する「契約等の手続きが完了」していることをこの補助金の対象要件とするように、各種規定類を改めるものです。
 これにより、2019年9月30日以降に設置・支払いが行われるものも補助対象になるとのことです。

1.現行制度における補助対象期間について
 軽減税率対策補助金は、2016年3月29日~2019年9月30日までに軽減税率対応レジの設置・支払いが完了したものを本補助金の補助対象としています。

 一方、レジの売買契約から支払い完了まで通常、数週間程度を要することから、現行の要件では、9月中に設置できるレジも補助の対象外になるおそれがあります。また、8月後半以降の売買契約が補助金の対象とならない可能性を考慮し、レジメーカー・販売店が受注を抑制せざるを得ない状況にあります。

 こうしたことに対応するため、軽減税率制度の円滑な実施を図り、中小事業者による対応レジの導入を幅広く促進する観点から、現行制度における上記補助対象期間に関する取扱いについて、以下2.及び3.のとおり手続き要件を変更するとともに、レジメーカー・販売店に対して要請を行います。


2.手続要件の変更について
 本補助金の公募要領において軽減税率対応レジの「設置・支払いの期限」を提示することに変えて、軽減税率制度が始まる今年10月1日の直前(9月30日)までにレジの導入・改修に関する「契約等の手続きが完了」していることを、本補助金の対象要件とするように各種規定類を改めることとします。

 これにより、9月30日以降に設置・支払いが行われるものも本補助金の対象となります。
なお、補助金の申請はレジの設置・支払い後になるため(事後申請)、12月16日の補助金申請期限までに設置・支払いを完了する必要があります。


3.レジメーカー・販売店への要請
(1)在庫余力のある対応レジの導入促進
 低価格帯の対応レジ(レジ1台と付属機器の合計額が3万円未満)の在庫余力があるメーカーについては、当該レジの導入費用は8割(5分の4)が補助されることを周知すること等により、対象事業者に対して、在庫余力のある対応レジの導入促進を徹底すること。

(2)対象事業者が必要とする対応レジを最適に供給するための取組
 9月30日までに対象事業者が必要とする適切な機能を備えた対応レジの導入を実現するため、特定の事業者への供給の集中を避ける等により、必要な事業者への納入を行うこと。

(3)早期納入の追求、納入見通しの報告
 対象事業者との売買契約締結後、速やかに対応レジを納入すること。また、売買契約の締結状況及び10月1日以降となる納入台数・納入時期の見通し等の必要な事項を経済産業省に報告すること。(報告方法については別途通知を行う。)

(4)対象事業者が現在使用するレジの応急設定変更
 軽減税率制度の開始までに希望する対応レジの納入が間に合わない対象事業者に対し、現在、当該事業者が使用しているレジの設定変更により、軽減税率制度に対応することが可能か確認を行い、対応可能な場合は設定変更を行うこと。当該事業者が、自社が取り扱う製品以外を使用していた場合、販売元のレジメーカー・販売店に確認するよう、対象事業者を促すこと。

(5)対応レジを必要としない対応方法の周知
 主な顧客が一般消費者であり、区分記載請求書の発行を求める顧客が少ない事業者に対し、レシートへの追記や市販の領収書を用いた対応方法について周知すること。

(6)対象事業者が希望する対応レジを納入するまでの実機による対応
 軽減税率制度の実施までに希望する対応レジの納入が間に合わない対象事業者に対し、対応レジを納入するまでの間、本補助金を活用し、例えば、レジのレンタル事業者と連携することも含めて、供給余力がある対応レジを代替機として利用可能とする、供給制約の少ないモバイルPOSレジを紹介するなど、対象事業者が一時的に利用可能な代替手段を提供すること。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
"> "https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190828004/20190828004.html">

10月から「地方税共通納税システム」がスタートします

2019年10月1日から、複数の自治体への納税が一度の手続きで済むようになる「地方税共通納税システム」がスタートします。地方税共通納税システムとは、全ての都道府県、市区町村へ、自宅や職場のパソコンから電子納税ができる仕組みのことです。現在の納税手続きの多くは、地方公共団体が送付した納付書に基づき、金融機関等の窓口を通じて行われており、手続きが煩雑で、納税者、地方公共団体それぞれに事務負担が大きいとされています。

<参考>現在の納税手続き
 現在の納税手続きの多くは、地方公共団体が送付した納付書に基づき、金融機関等の窓口を通じて行われており、手続きが煩雑であり、納税者、地方公共団体それぞれに事務負担が大きい。
 f:id:koyama-sharoushi:20190930124056p:plain
■現在の手続きにおける課題
【納税者】
・納付書の形式が地方公共団体毎に異なる。
・取扱い金融機関が地方公共団体毎に異なる。
・身近に取扱い金融機関がない場合がある。
・取扱い時間が限定的である。
・窓口が混雑することがある。

地方公共団体
・領収済通知書(済通)の管理が煩雑である。
・判読不明な手書き納付書がくる。
・指定様式以外の領収済通知書(済通)が届く場合がある。

<参考>地方税共通納税システムでの納税手続き
 納税者は、地方税共通納税システムを用いれば、複数団体の地方税の一括納税が可能となる。地方公共団体は、領収済通知書(済通)の代わりに納付情報を電子データで受け取ることができる。

 既存の電子納税は一部の団体のみが対応しており、それぞれに電子納税する必要がありましたが、共通納税システムは、
1)全地方公共団体へ電子納付が可能
2)電子申告と合わせて申告から納税まで一連の手順で行えるようになる
3)複数の地方公共団体への一括納付により、納付事務の負担が軽減される
4)ダイレクト納付が可能
5)地方公共団体が指定する金融機関以外からも納付が可能

などの特徴があります。

 共通納税システムで取り扱う税目は、稼働当初においては現行のeLTAX電子納税の取扱税目を対象とし、将来的には、賦課税目等の追加も検討するとのことです。稼働当初は、電子申告データと連動し納付する税目として、法人都道府県民税、法人事業税、地方法人特別税、法人市町村民税、事業所税、個人住民税(退職所得に係る納入申告)があり、本税以外の延滞金、各種加算金、督促手数料の支払もできるとしています。

 また、納税者が納付金額を直接入力し納付する税目として、個人住民税(特別徴収分、延滞金等含む)、法人都道府県民税の見込納付及びみなし納付、法人事業税の見込納付及びみなし納付、地方法人特別税の見込納付及びみなし納付、法人市町村民税の見込納付及びみなし納付が取り扱われます。特に個人住民税は、企業が複数の地方公共団体に毎月納付する必要があるため、同システムによる納付事務の効率化が期待できます。

 使用可能な収納チャネル(収納手段)は、稼働当初は現行のeLTAX電子納税で導入済の情報リンク方式(インターネットバンキング)に加え、納税者の利便性向上が期待されるダイレクト方式を導入。将来的には、クレジット収納やコンビニ納付などの収納チャネルの追加も検討されます。ダイレクト方式を利用すれば、国税(e-Tax)では導入済みである、税理士が代理申告の手続きの中で納付手続きも可能となります。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
"> "https://www.eltax.jp/www/contents/1553671583266/simple/IHP4-gaiyou20190401.pdf">

「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方」検討会が報告書を公表

厚生労働省の「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」は、「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する報告書」をとりまとめ、公表しました。この検討会は、未来投資戦略2018で「副業・兼業を通じたキャリア形成を促進するため、実効性のある労働時間管理等の在り方について、労働者の健康確保等にも配慮しつつ、労働政策審議会等において検討を進め、速やかに結論を得る。」とされたことなどを踏まえて設置されたものです。
これまでに9回にわたり検討が重ねられてきましたが、その検討の結果が報告書としてとりまとめられました。報告書では、主に、労働者の健康管理、時間外労働の上限規制、割増賃金という観点から、今後の方向性として考えられる選択肢の例示が整理されています。

1.健康管理について
労働安全衛生法では、複数の事業者間の労働時間を通算することとされていないが、副業・兼業を行う労働者の健康確保の観点から、新たに、労働者の自己申告を前提に、各事業者が通算した労働時間の状況(例:月の総労働時間)を把握することも考えられる。(ただし、副業・兼業は労働者のプライバシーに配慮する必要があること、事業者を跨がることから、労働者自身による健康管理も重要になると考えられる。)

・健康確保措置に係る制度の見直しの方向性としては、例えば、以下のようなことが考えられる。

1-1 事業者は、副業・兼業をしている労働者について、自己申告により把握し、通算した労働時間の状況などを勘案し、当該労働者との面談、労働時間の短縮その他の健康を確保するための措置を講ずるように配慮しなければならないこととすること。(公法上の責務)

1-2 事業者は、副業・兼業をしている労働者の自己申告により把握し、通算した労働時間の状況について、休憩時間を除き一週間当たり四十時間を超えている時間が一月当たり八十時間を超えている場合は、労働時間の短縮措置等を講ずるほか、自らの事業場における措置のみで対応が困難な場合は、当該労働者に対して、副業・兼業先との相談その他の適切な措置を求めることを義務付けること。また、当該労働者の申出を前提に医師の面接指導その他の適切な措置も講ずること。

2 通算した労働時間の状況の把握はせず、労働者が副業・兼業を行っている旨の自己申告を行った場合に、長時間労働による医師の面接指導、ストレスチェック制度等の現行の健康確保措置の枠組みの中に何らかの形で組み込むこと。
※なお、労働時間の上限規制や割増賃金などにおける選択肢により、健康管理の在り方も変わりうることに留意。


2.時間外労働の上限規制について
・通算を行うために、複数の事業場の労働時間を日々厳密に管理することは、企業にとって、実施することが非常に困難な場合が多い。この結果として、
1 違法状態が放置され労働基準法に対する信頼性が損なわれかねないこと、
2 労働者が保護されない事態になりかねないこと等
を踏まえ、制度の見直しの方向性としては、例えば、以下のようなことが考えられる。

1 労働者の自己申告を前提に、通算して管理することが容易となる方法を設けること。(例:日々ではなく、月単位などの長い期間で、副業・兼業の上限時間を設定し、各事業主の下での労働時間をあらかじめ設定した時間内で収めること。)

2 事業主ごとに上限規制を適用するとともに、適切な健康確保措置を講ずることとすること。
※その他、労働者自身が月の総労働時間をカウントし、上限時間に近くなったときに各事業主に申告すること等も考えられる。


3.割増賃金について
・日々、他の事業主の下での労働時間を把握することは、企業にとって、実施することが非常に困難であって、結果として、
1 違法状態が放置され労働基準法に対する信頼性が損なわれかねないこと、
2 別の事業主の下で働く場合に、労働時間を通算して割増賃金の支払い義務があることが、時間外労働の抑制機能を果たしていない面もあること等
を踏まえ、例えば、以下のような制度の見直しが考えられる。

1 労働者の自己申告を前提に、通算して割増賃金を支払いやすく、かつ時間外労働の抑制効果も期待できる方法を設けること。(例:使用者の予見可能性のある他の事業主の下での週や月単位などの所定労働時間のみ通算して割増賃金の支払いを義務付けること)

2 各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務付けること。
※その他、割増賃金の支払いについて、日々計算するのではなく、計算・申告を簡易化すること等も考えられる。

厚生労働省は、この報告書を踏まえ、今後、労働政策審議会において引き続き検討を行うこととしています。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
"> "https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000536310.pdf">

「中小企業における消費税の価格転嫁等に関する実態調査」結果

日本商工会議所が8月5日に発表した調査結果では、消費税率を引き上げる際に導入される軽減税率制度を巡り、企業の準備が遅れていることが明らかになりました。対応するレジへの改修について4割が着手していないことが判明しており、他の調査でも、軽減税率に未対応の企業が半数程度に上るというデータが公表されています。このまま10月に入れば現場の混乱は必至で、全国で同時多発的に混乱が生じる可能性が高まり、景気の足を引っ張る事態が懸念されています。
 
<調査概要>
・調査対象:各地商工会議所管内の会員企業
・回答事業者数:3,305件/3,771件(回収率87.6%)
・調査期間:2019年5月7日(火)~6月7日(金)
・調査方法:経営指導員等によるヒアリング調査
※各データは端数処理(四捨五入)の関係で、合計値が100%とならない場合がある。

【調査結果のポイント】
1.消費税率引上げ後の価格転嫁・価格設定について
・約7割の事業者が「転嫁できる」見込み。前回(2018年7月)調査時と比較すると、「転嫁できる」と見込む事業者の割合が4.3ポイント向上。
・売上高別では、BtoB事業者はいずれも7割超が「転嫁できる」としているものの、BtoC事業者では「1千万円以下の事業者」で約6割と、小規模な事業者は価格転嫁が難しい傾向。
 

2.軽減税率制度について
・「自社商品が軽減税率に該当するかの確認」について対応済み/対応中と回答した事業者(軽減税率対策に着手している事業者)は約8割を占めている。(図2-1)
・軽減税率対象品目を扱う事業者における「請求書・領収書等の区分記載対応(BtoB事業者)」、「レジの複数税率対応(BtoC事業者)」については、対応済み/対応中と回答した事業者は、いずれも約6割を占めている(図2-2、2-3)。うち、売上高別で見ると、小規模な事業者ほど「未着手」の割合が増加。売上高5千万円以下の事業者では、4割超が「未着手」となっている(図2-4、2-5)。
(※)「未着手」には、軽減税率対策が必要ない事業者(店内飲食のみでテイクアウトを実施していない等)が含まれているf:id:koyama-sharoushi:20190902183704p:plain
 出典:日本商工会議所「中小企業における消費税の価格転嫁等に関する実態調査」調査結果より】

【軽減税率制度への取り組みに未着手の事業者の声】・増税するかはっきりしてから対応予定(大阪府製造業)・昔からの税理士にすべて任せている(埼玉県飲食業)・現在、レジは使っていない。領収書等もすべて手書きで対応しており、今後もレジの導入予定はない(埼玉県飲食業)・店内飲食のみで、テイクアウトは実施していないので対応不要と考えている(群馬県飲食業)

3.軽減税率導入後の価格表示について
・軽減税率導入後の価格表示は、「総額表示」を選択する事業者が約15%減少。
・テイクアウト・イートインが発生するBtoC事業者においては「総額表示」、「外税表示」のいずれも多様な表示方法等が検討されている。
f:id:koyama-sharoushi:20190902183734p:plain

 【出典:日本商工会議所「中小企業における消費税の価格転嫁等に関する実態調査」調査結果より】

4.経理事務負担の状況について
・「売上高1千万円以下の事業者(≒免税事業者)」では約3割が経理事務を「すべて社内で対応」しており、税理士等外部専門家の関与がない。
・「売上高1千万円以下の事業者(≒免税事業者)」では約半数が手書きで帳簿等を作成している一方、市販の業務用ソフトウェアも同程度普及している。
・「売上高1千万円以下の事業者(≒免税事業者)」では9割超、「売上高1億円超の事業者」でも約3割は経理事務に1人で従事。

5.インボイス制度および免税事業者について
インボイス制度は課税事業者の約5割、免税事業者の約6割が「知らない」と回答。課税事業者のうち、それぞれ約1割が「免税事業者との取引は(一切または一部)行わない」、「経過措置の間は取引を行う予定」と回答。免税事業者のうちそれぞれ約1割が「課税事業者になる予定はない」、「廃業を検討する」と回答。

インボイス制度とは>
インボイス制度とは税金計算のベースとなる証票制度です。正式名称は「適格請求書等保存方式」で、適格請求書等の保存を仕入税額控除の要件とする制度です。
インボイス方式」は、課税事業者が発行するインボイスに記載された税額のみを控除することができる方式。
課税事業者は「インボイス」の発行が義務付けられており、また、自ら発行した「インボイス」の副本の保存が義務付けられている。
インボイス」に適用税率・税額の記載が義務付けられている。
免税事業者は「インボイス」を発行できない。したがって、免税事業者からの仕入れについて仕入税額控除ができない。
(注)「インボイス」とは、適用税率や税額など法定されている記載事項が記載された書類。欧州においては、免税事業者と区別するため、課税事業者に固有の番号を付与してその記載も義務付けているが、「インボイス」の様式まで特定されているものではない。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
"https://www.jcci.or.jp/news/jcci-news/2019/0805150000.html"

外国人技能実習生の実習実施者に対する平成30年の監督指導、送検等の状況を公表

厚生労働省は、全国の労働局や労働基準監督署が、平成30年に外国人技能実習生(以下「技能実習生」)の実習実施者(技能実習生が在籍している事業場。以下同じ。)に対して行った監督指導や送検等の状況について取りまとめ公表しています。

 外国人技能実習制度は、外国人が企業などでの実習を通して技術を習得し、母国の経済発展を担う人材となるよう育成することを目的としています。しかし、実習実施者においては、労使協定を超えた残業、割増賃金の不払い、危険や健康障害を防止する措置の未実施などの労働基準関係法令に違反する事例が依然として存在しています。
 こうした中、全国の労働局や労働基準監督署は、実習実施者に対し、監督指導を実施することで、技能実習生の適正な労働条件と安全衛生の確保に取り組んでいます。

平成30年の監督指導・送検の概要
■労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施した7,334事業場(実習実施者)のうち5,160事業場(70.4%)。
<注>違反は実習実施者に認められたものであり、日本人労働者に関する違反も含まれます。

f:id:koyama-sharoushi:20190820165001p:plain
【出典:厚生労働省 技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(平成30年) 以下同様】
■主な違反事項は、(1)労働時間(23.3%)、(2)使用する機械に対して講ずべき措置などの安全基準(22.8%)、(3)割増賃金の支払(14.8%)の順に多かった。
<注>違反事項が2つ以上ある場合は、各々に計上しているので、各違反事項の件数の合計と違反事業場数とは一致しない。

f:id:koyama-sharoushi:20190820165259p:plain

■主な業種に対する監督指導の状況は、以下のとおりであった。

主な業種に対する監督指導の状況

<注1>「主な業種」は、技能実習生の受入人数が多い5職種(機械・金属関係職種、食料品製造関係職種、繊維・衣服関係職種、建設関係職種、農業関係職種)に関連する業種について取りまとめたものである。

<注2>業種ごとの内訳は以下のとおり。
機械・金属・・・鉄鋼業、非鉄金属製造業、金属製品製造業、一般機械器具製造業、
電気機械器具製造業、輸送用機械等製造業
食料品製造・・・食料品製造業
繊維・衣服・・・繊維工業、衣服その他の繊維製品製造業
建設・・・土木工事業建築工事業、その他の建設業
農業・・・農業、畜産業


■重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは19件。

 全国の労働局や労働基準監督署は、監理団体および実習実施者に対し、労働基準関係法令などの周知・啓発に努めるとともに、労働基準関係法令違反の疑いがある実習実施者に対しては監督指導を実施し、引き続き、技能実習生の適正な労働条件と安全衛生の確保に重点的に取り組むとのことです。なお、度重なる指導にもかかわらず法令違反を是正しないなど重大・悪質な事案に対しては、送検を行い厳正に対応していくとしています。