令和元年度「全国労働衛生週間」を10月に実施

厚生労働省から、令和元年度「全国労働衛生週間」の案内がありました。今年のスローガンは、「健康づくりは人づくりみんなでつくる健康職場」です。実施期間は、10月1日(土)から7日(金)までです。全国労働衛生週間は、昭和25年から毎年実施されているもので、今年で70回目になります。毎年10月1日から7日までを本週間、9月1日から30日までを準備期間とし、各職場で職場巡視やスローガン掲示、労働衛生に関する講習会・見学会の開催など、さまざまな取組みが展開されます。

 労働衛生分野では、過重労働等により労働者の命が失われることや健康障害、職場における労働者のメンタルヘルス不調、病気を抱えた労働者に対する治療と仕事の両立支援、化学物質による重篤な健康障害などが重要な課題となっています。
 このような状況を踏まえて、改正労働安全衛生法平成31年4月1日施行)に基づく、労働時間の状況の把握や長時間労働者に対する医師の面接指導等の実施の徹底、病気を抱えた労働者の治療と仕事の両立支援を社会的にサポートする仕組みの整備、化学物質対策については、ラベル表示・安全データシート(SDS)の交付・入手の徹底に取り組むこととしています。

■主唱者(厚生労働省中央労働災害防止協会)、協賛者の実施事項
(1)労働衛生広報資料等の作成、配布を行う。
(2)雑誌等を通じて広報を行う。
(3)労働衛生講習会、事業者間で意見交換・好事例の情報交換を行うワークショップ等を開催する。
(4)事業場の実施事項について指導援助する。
(5)その他「全国労働衛生週間」にふさわしい行事等を行う。

■各事業場の実施事項(一部抜粋)
 労働衛生水準のより一層の向上及び労働衛生意識の高揚を図るとともに、自主的な労働衛生管理活動の定着を目指して、各事業場においては、事業者及び労働者が連携・協力しつつ、次の事項を実施する。
(1)全国労働衛生週間中に実施する事項
 ア 事業者又は総括安全衛生管理者による職場巡視
 イ 労働衛生旗の掲揚及びスローガン等の掲示
 ウ 労働衛生に関する優良職場、功績者等の表彰
 エ 有害物の漏えい事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害を想定した実地訓練等の実施
 オ 労働衛生に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の掲示、その他労働衛生の意識高揚のための行事等の実施

(2)準備期間中に実施する事項
 下記の事項について、日常の労働衛生活動の総点検を行う。
 重点事項
(ア)過重労働による健康障害防止のための総合対策の推進
 a時間外・休日労働の削減、年次有給休暇の取得促進及び労働時間等の設定の改善による仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進
 b事業者による仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進や過重労働対策を積極的に推進する旨の表明
 c改正労働安全衛生法平成31年4月1日施行)に基づく、労働時間の状況の把握や長時間労働者に対する医師の面接指導等の実施の徹底
 d健康診断の適切な実施、異常所見者の業務内容に関する医師への適切な情報提供、医師からの意見聴取及び事後措置の徹底
 e小規模事業場における産業保健総合支援センターの地域窓口の活用

(イ)労働者の心の健康の保持増進のための指針等に基づくメンタルヘルス対策の推進
 a事業者によるメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明
 b衛生委員会等における調査審議を踏まえた「心の健康づくり計画」の策定、実施状況の評価及び改善
 c4つのメンタルヘルスケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)の推進に関する教育研修・情報提供
 d労働者が産業医や産業保健スタッフに直接相談できる仕組みなど、労働者が安心して健康相談を受けられる環境整備
 eストレスチェック制度の適切な実施、ストレスチェック結果の集団分析及びこれを活用した職場環境改善の取組
 f職場環境等の評価と改善等を通じたメンタルヘルス不調の予防から早期発見・早期対応、職場復帰における支援までの総合的な取組の実施
 g自殺予防週間(9月10日~9月16日)等をとらえた職場におけるメンタルヘルス対策への積極的な取組の実施
 h産業保健総合支援センターにおけるメンタルヘルス対策に関する支援の活用



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05680.html

大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策を策定

厚生労働省は、本日、中小企業庁公正取引委員会とともに、『大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策』(しわ寄せ防止総合対策)を策定・公表しています。
 厚労省・中企庁・公取委では、令和2年4月からの中小企業への時間外労働の上限規制の適用に向け、緊密な連携を図りながら以下の取組を実施していきます。

○「働き方改革の推進」と「取引適正化」は車の両輪であり、大企業等の働き方改革による下請等中小事業者への「しわ寄せ」の防止は、親事業者と下請等中小事業者の双方が生産性の向上・成長と分配の好循環を実現する上で共通の課題
○このため、厚生労働省公正取引委員会中小企業庁が一層の連携を図り、「働き方改革の推進」と「取引適正化」を一体的に推進するため「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者へのしわ寄せ防止のための総合対策」を策定

<「しわ寄せ防止総合対策」の4つの柱>
1関係法令等の周知広報
都道府県労働局・労働基準監督署が、あらゆる機会を通じて、労働時間等設定改善法に加え、下請中小企業振興法に基づく「振興基準」等についてもリーフレット等を活用して周知
・「しわ寄せ防止キャンペーン月間」の設定による経営トップセミナーの開催等の集中的な取組
○上限規制適用による中小企業への「しわ寄せ」防止に向けた社会的機運の醸成を図るため、11月を「しわ寄せ防止キャンペーン月間」(※)と位置づけ、集中的な取組を実施
※11月は「下請取引適正化推進月間」でもある。

<主な実施事項>
「しわ寄せ」防止に向けた大企業・中小企業経営トップセミナーの開催

〇大企業・中小企業の経営トップに対して、①行ってはいけない短納期発注等の行為(=「しわ寄せ」行為)、②「しわ寄せ」改善事例(好事例)の周知等を行う。

厚労省、労働局及び労基署において、上限規制の適用を受ける大企業等に対して、企業訪問による「しわ寄せ」防止に向けた働きかけ等を集中的に実施
厚労省幹部は、大企業等を訪問し、経営トップに対して要請書を渡すなどにより、「しわ寄せ」防止に向けた働きかけを行う。
〇労働局幹部は、管内の大企業等を訪問し、経営トップに対して要請書を渡すなどにより、「しわ寄せ」防止に向けた働きかけを行うとともに、職員は、管内の大企業等を訪問し、「しわ寄せ」防止に向けたリーフレット等を用いて助言等を行う。
〇労基署においては、監督指導及び労働時間・相談支援班が実施する訪問支援の機会を活用し、「しわ寄せ」防止に向けた周知を行う。
・地域の労使の代表が参加した協議会等における課題の共有と地域での取組の推進

2労働局・労基署等の窓口等における「しわ寄せ」情報の提供
・労働局・労基署・働き方改革推進支援センターの窓口や監督指導・個別訪問において、下請等中小事業者から、大企業・親事業者の働き方改革による「しわ寄せ」に関する相談情報が寄せられた場合には、リーフレット等を活用して「振興基準」等の説明を行うとともに、相談情報を地方経済産業局に情報提供する

3労働局・労基署による「しわ寄せ」防止に向けた要請等・通報
・労働局においては、管内の大企業等に対して、個別に訪ね、リーフレット等を用いて労働時間等設定改善法第2条第4項の取引上必要な配慮をするよう努めなければならないとする規定に関する要請等を重点的に実施する。
・下請等中小事業者に対する監督指導において、労働基準法第24条、第32条違反等の労働基準関係法令違反が認められ、その背景に親事業者による下請法等違反行為の存在が疑われる場合には、公取委・中企庁に通報する

公取委・中企庁による指導及び不当な行為事例の周知・広報
・大企業等の働き方改革に伴う下請等中小事業者へのコスト負担を伴わない短納期発注等の下請法等違反の疑いのある「しわ寄せ」事案の情報に接した場合、公取委・中企庁は下請法等に基づき、厳正に対応する。
・「しわ寄せ」に関して実際に行った指導事例や不当な行為の事例(べからず集)について、働き方改革に関する政府広報HPや業所管省庁を通じて、業界団体・個別企業へ広く周知・広報を行う



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05446.html

「いじめ・嫌がらせ」に関する民事上の個別労働紛争の相談件数が過去最高

厚生労働省は、このたび、「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」をまとめ、公表しています。「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度で、「総合労働相談※1」、労働局長による「助言・指導※2」、紛争調整委員会による「あっせん※3」の3つの方法があります。厚生労働省では、今回の施行状況を受けて、総合労働相談コーナーに寄せられる労働相談への適切な対応に努めるとともに、助言・指導及びあっせんの運用を的確に行うなど、引き続き、個別労働紛争の未然防止と迅速な解決に向けて取り組んでいくとしています。
 

【ポイント】
1総合労働相談件数、助言・指導申出の件数、あっせん申請の件数いずれも前年度より増加。
総合労働相談件数は111万7,983件で、11年連続で100万件を超え、高止まり
・総合労働相談件数 111万7,983件(前年度比1.2% 増)
 →うち民事上の個別労働紛争※4相談件数26万6,535件( 同 5.3% 増)
・助言・指導申出件数 9,835件( 同 7.1% 増)
・あっせん申請件数 5,201件( 同 3.6% 増)

2民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全てで、「いじめ・嫌がらせ」が過去最高
・民事上の個別労働紛争の相談件数では、82,797件(同14.9%増)で過去最高。
・助言・指導の申出では、2,599件(同15.6%増)で過去最高。
・あっせんの申請では、1,808件(同18.2%増)で過去最高。
f:id:koyama-sharoushi:20190806163625p:plain 【出典:平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況より】
※1「総合労働相談」:都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など380か所(平成31年4月1日現在)に、あらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナーを設置し、専門の相談員が対応。なお、平成28年度から、都道府県労働局の組織見直しにより「雇用環境・均等(部)室」が設置され、これまで「雇用均等室」で対応していた男女雇用機会均等法等に関しても一体的に労働相談として対応することになったため、それらの相談件数も計上されている。

※2「助言・指導」:民事上の個別労働紛争について、都道府県労働局長が、紛争当事者に対して解決の方向を示すことにより、紛争当事者の自主的な解決を促進する制度。助言は、当事者の話し合いを促進するよう口頭又は文書で行うものであり、指導は、当事者のいずれかに問題がある場合に問題点を指摘し、解決の方向性を文書で示すもの。

※3「あっせん」:都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会のあっせん委員(弁護士や大学教授など労働問題の専門家)が紛争当事者の間に入って話し合いを促進することにより、紛争の解決を図る制度。

※4「民事上の個別労働紛争」:労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働基準法等の違反に係るものを除く)。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000213219_00001.html

パワーハラスメント対策が事業主の義務となります

パワーハラスメント防止対策の法制化」を盛り込んだ「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が、令和元年(2019年)5月29日に成立し、同年6月5日の官報に公布されたことは以前にも、取り上げましたが、注目は、「パワーハラスメント防止対策の法制化」です。その概要を紹介するリーフレットが、一部の都道府県労働局などから公表されておりますので、今一度ご確認ください。

■改正ポイント1
パワーハラスメント対策の法制化
~労働施策総合推進法の改正~

施行時期

公布後1年以内の政令で定める日
パワーハラスメントの措置義務については、中小企業は、公布後3年以内の政令で定める日までの間は、努力義務となります。
中小企業の定義:https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
※改正法は令和元年6月5日に公布。

○職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります(適切な措置を講じていない場合には是正指導の対象となります)。
パワーハラスメントに関する紛争が生じた場合、調停など個別紛争解決援助の申出を行うことができるようになります。
※企業規模等によって義務化の時期が異なりますのでご注意ください。

職場におけるパワーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすものです
①優越的な関係を背景とした
②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
③就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)
※適正な範囲の業務指示や指導についてはパワハラに当たりません

○職場のパワーハラスメントの定義や事業主が講ずべき措置の具体的内容等については、今後指針において示す予定です。
○雇用管理上の措置の具体的内容(現行のセクハラ防止の措置義務の内容を踏まえて今後検討)
・事業主によるパワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発
・苦情などに対する相談体制の整備
・被害を受けた労働者へのケアや再発防止等

パワハラに関するQ&A
職場とはどこまでを含みますか?
労働政策審議会建議」においては、「職場」とは、業務を遂行する場所を指しますが、通常就業している場所以外の場所であっても、業務を遂行する場所については「職場」に含むことを指針で示すことが適当とされています。

・優越的な関係とはどのような関係を指しますか?
「職場のパワーハラスメント防止対策に関する検討会報告書」においては、パワハラを受ける労働者が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係に基づいて行われることで、例えば、以下の場合も含むとされています。
・職務上の地位が上位の者による行為
・同僚又は部下による行為で、当該行為を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
※いずれも、詳細については、指針において示される予定です。

■改正ポイント2
セクシュアルハラスメント等防止対策の実効性の向上
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法の改正~


1 セクハラ等の防止に関する国・事業主・労働者の責務が明確化※されます
パワハラ、いわゆるマタハラも同様(2、4も同じ。))
※セクハラ等は行ってはならないものであり、事業主・労働者の責務として、他の労働者に対する言動に注意を払うよう努めるものとされています。

2 事業主にセクハラ等に関して相談した労働者に対して事業主が不利益な取扱いを行うことが禁止されます

3 事業主は、自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行い、他社が実施する雇用管理上の措置(事実確認等)への協力を求められた場合にこれに応じるよう努めることとされます
※あわせて、自社の労働者が他社の労働者等からセクハラを受けた場合も、相談に応じる等の措置義務の対象となることを指針で明確化します。

4 調停の出頭・意見聴取の対象者が拡大※されます
※セクハラ等の調停制度について、紛争調整委員会が必要を認めた場合には、関係当事者の同意の有無に関わらず、職場の同僚等も参考人として出頭の求めや意見聴取が行えるようになります。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ ○○ ]
https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/content/contents/R10605harasument-leaf_.pdf

 

災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準を一部改正

厚生労働省から、「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の一部改正について(最終改正:令和元年基発0607第1号)」および「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の解釈に当たっての留意点について(令和元年基監発0607第1号)」という通達が公表されました。

 労働基準法33条1項では、『災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合』には、行政官庁の許可を受けることを原則的な要件として、36協定の締結・届出をしなくても、時間外・休日労働が認められることになっています。

 この際の許可の基準は通達で定められていますが、その一部が改正されました。今回の改正は、「災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合」について、現代的な事象等を踏まえて解釈の明確化を図ったものです。

<災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の一部改正について(最終改正:令和元年基発0607第1号)>
 今回の改正は、労働基準法第33条第1項の「災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合」について、現代的な事象等を踏まえて解釈の明確化を図るものであること。また、旧許可基準及び関連通達で示している基本的な考え方に変更はないこと。

 第1項は、災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合の規定であるからその臨時の必要の限度において厳格に運用すべきものであって、その許可又は事後の承認は、概ね次の基準によって取り扱うこと。

(1)単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めないこと。

(2)地震津波、風水害、雪害、爆発、火災等の災害への対応(差し迫った恐れがある場合における事前の対応を含む。)、急病への対応その他の人命又は公益を保護するための必要は認めること。例えば、災害その他避けることのできない事由により被害を受けた電気、ガス、水道等のライフラインや安全な道路交通の早期復旧のための対応、大規模なリコール対応は含まれること。

(3)事業の運営を不可能ならしめるような突発的な機械・設備の故障の修理、保安やシステム障害の復旧は認めるが、通常予見される部分的な修理、定期的な保安は認めないこと。例えば、サーバーへの攻撃によるシステムダウンへの対応は含まれること。

(4)上記(2)及び(3)の基準については、他の事業場からの協力要請に応じる場合においても、人命又は公益の確保のために協力要請に応じる場合や協力要請に応じないことで事業運営が不可能となる場合には、認めること。


<災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の解釈に当たっての留意点について(令和元年基監発0607第1号)>
 労働基準法(昭和22年法律第49号)第33条第1項の運用については、令和元年6月7日付け基発0607第1号「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に係る許可基準の一部改正について」により許可基準を改正したところであるが、当該通達により改正した許可基準(以下「新許可基準」という。)の解釈に当たっては下記に留意の上、適切な対応に遺憾なきを期されたい。

1:新許可基準による許可の対象には、災害その他避けることのできない事由に直接対応する場合に加えて、当該事由に対応するに当たり、必要不可欠に付随する業務を行う場合が含まれること。
具体的には、例えば、事業場の総務部門において、当該事由に対応する労働者の利用に供するための食事や寝具の準備をする場合や、当該事由の対応のために必要な事業場の体制の構築に対応する場合等が含まれること。

2:新許可基準(2)の「雪害」については、道路交通の確保等人命又は公益を保護するために除雪作業を行う臨時の必要がある場合が該当すること。
具体的には、例えば、安全で円滑な道路交通の確保ができないことにより通常の社会生活の停滞を招くおそれがあり、国や地方公共団体等からの要請やあらかじめ定められた条件を満たした場合に除雪を行うこととした契約等に基づき除雪作業を行う場合や、人命への危険がある場合に住宅等の除雪を行う場合のほか、降雪により交通等の社会生活への重大な影響が予測される状況において、予防的に対応する場合も含まれるものであること。

3:新許可基準(2)の「ライフライン」には、電話回線やインターネット回線等の通信手段が含まれること。

4:新許可基準に定めた事項はあくまでも例示であり、限定列挙ではなく、これら以外の事案についても「災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合」となることもあり得ること。
例えば、新許可基準(4)においては、「他の事業場からの協力要請に応じる場合」について規定しているところであるが、これは、国や地方公共団体からの要請が含まれないことを意味するものではない。
そのため、例えば、災害発生時において、国の依頼を受けて避難所避難者へ物資を緊急輸送する業務は対象となるものであること。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T190613K0010.pdf

ストレスチェック制度に関するページに「令和元年度産業保健関係助成金」の情報を追加

 厚生労働省が運営するサイト「こころの耳」から、ストレスチェック制度に関するページに「令和元年度産業保健関係助成金」の情報を追加したとのお知らせがありました。具体的には、心の健康づくり計画助成金、「ストレスチェック」実施促進のための助成金、小規模事業場産業医活動助成金産業医コース・保健師コース、小規模事業場産業医活動助成金・直接健康相談環境整備コース、職場環境改善計画助成金、について令和元年度版の手引きが公表されています。


1 心の健康づくり計画助成金
「心の健康づくり計画助成金」は、事業主の方が各都道府県にある産業保健総合支援センターのメンタルヘルス対策促進員の助言・支援に基づき心の健康づくり計画を作成し、計画を踏まえメンタルヘルス対策を実施した場合に助成を受けることができる制度です。メンタルヘルス対策促進員の助言・支援(訪問3回まで)を受け、心の健康づくり計画(ストレスチェック実施計画を含む。)を作成し、計画に基づきメンタルヘルス対策を実施した場合に支給(一律10万円)されます。※一企業につき将来にわたって1回の支給に限ります。

2 「ストレスチェック」実施促進のための助成金(労働者数50人未満の事業場対象)
派遣労働者を含めて従業員50人未満の事業場が、ストレスチェックを実施し、また、産業医からストレスチェック後の面接指導等の産業医活動の提供を受けた場合に、費用の助成を受けられる制度です。
 1.ストレスチェック(年1回)を行った場合1労働者につき500円を上限として、その実費額を支給
 2.ストレスチェック後の面接指導などの産業医活動を受けた場合1事業場あたり産業医1回の活動につき21,500円を上限として、その実費額を支給(一事業場につき年3回を限度

3 小規模事業場産業医活動助成金産業医コース(労働者数50人未満の事業場対象)
「小規模事業場産業医活動助成金産業医コース」は、労働者数50人未満の小規模事業場が産業医の要件を備えた医師と産業医活動の全部又は一部を実施する契約を締結し、実際に産業医活動が行われた場合に実費を助成するものです。一事業場につき、6か月当たり10万円を上限とし、将来にわたって2回を支給されます。

4 小規模事業場産業医活動助成金保健師コース(労働者数50人未満の事業場対象)
「小規模事業場産業医活動助成金保健師コース」は、労働者数50人未満の小規模事業場が保健師と産業保健活動の全部又は一部を実施する契約を締結し、実際に産業保健活動が行われた場合に実費を助成するものです。一事業場につき、6か月当たり10万円を上限とし、将来にわたって2回を支給されます。

5 小規模事業場産業医活動助成金・直接健康相談環境整備コース(労働者数50人未満の事業場対象)
「小規模事業場産業医活動助成金・直接健康相談環境整備コース」は、労働者数50人未満の小規模事業場が産業医と締結する産業医活動契約、又は保健師と締結する産業保健活動契約のいずれかに、契約した産業医又は保健師に労働者が直接健康相談できる環境を整備した条項を含めた場合に助成するものです。一事業場につき、6か月当たり一律10万円を将来にわたって2回に限り支給されます。

6 職場環境改善計画助成金(Aコース)
※本助成金の現行制度(平成30年度と同要件)の運用は令和元年6月30日をもって終了します。新制度の運用は令和元年7月を予定しています。
「職場環境改善計画助成金(Aコース)」は、事業主の方が専門家による指導に基づき、ストレスチェック実施後の集団分析結果を踏まえて職場環境改善計画書を作成し、計画に基づき職場環境の改善を実施した場合に負担した指導費用及び機器・設備購入費用の助成を受けることができる制度です。専門家の指導に基づき、職場環境改善計画を作成・実施した場合に、指導費用及び機器・設備購入費の実費を支給されます(10万円を上限、うち機器・設備購入費は5万円を上限かつ単価5万円以内のもので将来にわたり1回限り)。

7 職場環境改善計画助成金(Bコース)
※本助成金の現行制度(平成30年度と同要件)の運用は令和元年6月30日をもって終了します。新制度の運用は令和元年7月を予定しています。
「職場環境改善計画助成金(Bコース)」は、事業主の方が各都道府県にある産業保健総合支援センターのメンタルヘルス対策促進員の助言・支援に基づき、ストレスチェック実施後の集団分析結果を踏まえて職場環境改善計画書を作成し、計画に基づき職場環境の改善を実施した場合に負担した機器・設備購入費用の助成を受けることができる制度です。メンタルヘルス対策促進員の助言・支援(訪問3回まで)を受け、職場環境改善計画を作成・実施した場合に、機器・設備購入費の実費を支給されます(5万円を上限かつ単価5万円以内のもので将来にわたり1回限り)。

8 職場環境改善計画助成金(建設現場コース)
※本助成金の現行制度(平成30年度と同要件)の運用は令和元年6月30日をもって終了します。新制度の運用は令和元年7月を予定しています。
「職場環境改善計画助成金(建設現場コース)」は、建設業の元請事業者の方が、ストレスチェック実施後の集団分析結果を踏まえて、各都道府県産業保健総合支援センターのメンタルヘルス対策促進員の助言・支援に基づき、職場環境改善計画を作成し、計画に基づき職場環境改善を実施した場合に負担した機器・設備購入(リースやレンタルを含む。)費用の助成を受けることができる制度です。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ メンタルヘルスポータルサイト「こころの耳」 ]
https://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou/#head-4

女性活躍推進とハラスメント対策を強化する法案可決・成立

令和元年(2019年)5月29日、参議院本会議で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が、与党などの賛成多数により可決・成立しました。この改正法は、女性の活躍推進に関する一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大やパワーハラスメント防止対策の法制化などの措置を講ずるものです。

■改正の趣旨
女性をはじめとする多様な労働者が活躍できる就業環境を整備するため、女性の職業生活における活躍の推進に関する一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大、情報公表の強化、パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務等の新設、セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化等の措置を講ずる。

■改正の概要
1.女性活躍の推進【女性活躍推進法】
(1)一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大
 一般事業主行動計画の策定義務の対象を、常用労働者301人以上から101人以上の事業主に拡大する。

(2)女性の職業生活における活躍に関する情報公表の強化及びその履行確保
 情報公表義務の対象を101人以上の事業主に拡大する。また、301人以上の事業主については、現在1項目以上の公表を求めている情報公表項目を「①職業生活に関する機会の提供に関する実績」、「②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」に関する項目に区分し、各区分から1項目以上公表することとする。
 あわせて、情報公表に関する勧告に従わなかった場合に企業名公表ができることとする。

(3)女性活躍に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度(プラチナえるぼし(仮称))の創設


2.ハラスメント対策の強化
(1)国の施策に「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決の促進」(ハラスメント対策)を明記【労働施策総合推進法】

(2)パワーハラスメント防止対策の法制化【労働施策総合推進法】
① 事業主に対して、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務(相談体制の整備等)を新設
あわせて、措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備

② パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による調停の対象とするとともに、措置義務等について履行確保のための規定を整備

(3)セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化【男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法】
セクシュアルハラスメント等に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務の明確化
②労働者が事業主にセクシュアルハラスメント等の相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益取扱いを禁止
パワーハラスメント及びいわゆるマタニティハラスメントについても同様の規定を整備

■施行期日
 公布日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日(ただし、1(1)(2)の対象拡大は3年、2(1)は公布日。また、2(2)①について、中小事業主は公布日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日までは努力義務)




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/000486034.pdf