コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)について

コネクテッド・インダストリーズ税制は、一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携・利活用により、生産性を向上させる取組について、それに必要となるシステムや、センサー・ロボット等の導入を支援する税制措置を平成30年6月に創設しました。

※2019年4月より、認定を受けた中小企業等は、計画に関する設備投資について日本政策金融公庫から特別利率での貸付を受けられるようになりました。詳細は日本政策金融公庫の制度紹介ページをご覧ください。

 

・対象事業者

青色申告事業者(業種・資本規模による制限はなし)

 

・課税の特例の内容

認定事業計画(認定革新的データ産業活用計画)に基づいて行う設備投資について、税額控除3%(賃上げ※1を伴う場合は5%)※2または特別償却30%を措置

 

・対象設備

ソフトウェア、器具・備品※3、機械・装置※3

 

※1継続雇用者給与等支給額が対前年度増加率3%以上を満たした場合に限ります。

※2大企業等は、以下のいずれにも該当しない場合(その事業年度の所得の金額が前事業年度の所得の金額以下である場合等を除く。)には、本税制による税額控除の規定を適用しないこととされています。詳細については、租税特別措置法をご確認ください。

  a)継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額を超えること。

  b)国内設備投資額が当期償却費総額の10%を超えること。

※3ソフトウェアとともに取得等をするものに限ります。

 

・税制適用期間

平成30年6月6日から平成32年度末まで

 

・最低投資合計額

5,000万円

 

・認定事業計画の認定要件

 コネクテッド・インダストリーズ税制の適用を受けるには、所定の要件を満たす事業計画を策定し、主務大臣の認定を受ける必要があります。計画の認定を受けるための要件は下記の3つです。

 

①データ連携・利活用の内容

・社外データやこれまで取得したことのないデータを社内データと連携

・企業の競争力における重要データをグループ企業間や事業所間で連携

 

以下の類型のいずれかに該当するデータ連携・利活用であれば対象になりえます。

【類型1-1】”企業内”での取組(IoT等の活用)

・これまで取得したことのないデータ(センサーデータ等)と、社内の既存データを連携

→例)新たに設置するセンサーからのIoTデータを活用して、生産稼働の効率化や予防保全を実現し、生産性を向上させる取組

 

【類型1-2】”企業内”での取組(事業所・工場間等)

・外部のネットワークを活用して、物理的に離れた事業所や工場間のデータを連携

→例)工場間でのデータ連携により、全社ベースでの生産稼働の最適化による生産性向上の取組事業所間で在庫データ等をリアルタイムで共有し、在庫圧縮など生産性を向上させる取組

 

【類型2】社外データを活用した取組

・他社や一般・公共データ等の社外データと、社内の既存データを連携

→例)サプライチェーン上の他社データ(販売等)と社内のデータ(調達、生産等)を連携させ、地域性に合わせた最適生産等を実現することにより、生産性を向上させる取組社外の公共データ等を活用することで需要分析を高度化し、受給マッチングを向上させることで生産性を向上させる取組

 

【類型3】”他の法人”と連携した取組

・他社との間でネットワークを構築しデータ連携

→例)同業他社とデータ連携することで生産効率を最適化し、生産性を向上させる取組

 

②セキュリティ面

必要なセキュリティ対策が講じられていることをセキュリティの専門家(登録セキスペ等)が担保

 

③生産性向上目標

投資年度から一定期間において、以下のいずれも達成見込みがあること

労働生産性:年平均伸率2%以上

・投資利益率:年平均15%以上



 

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 経済産業省 ]
 

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/data-katsuyo/iot-zeisei/iot-zeisei.html

厚労省、各企業が策定すべき「健康情報等の取扱規程」ひな型の手引きを公表

働き方改革関連法による労働安全衛生法の改正に基づいて、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」が策定されました(2019年4月1日適用)。

 この指針は、労働者の心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにするとともに、事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用などについて、とりまとめたものです。

 

 この度、この指針の中で策定が求められている取扱規程(「事業場における心身の状態の情報指針に基づき事業場ごとに策定された取扱規程」)について、その策定の手引きが公表されました。この手引きでは、取扱規程のひな形(健康情報等の取扱規程)も紹介されています。

 

■策定すべき「健康情報取扱規程」の内容とは?

厚生労働省の指針によると「健康情報取扱規程」内で定めるべき内容は主に以下9点です。これらの内容について、自社の状況に合わせて方針を決めることとなります。

(1)心身の状態の情報を取り扱う目的及び取扱方法

   →心身の状態を取り扱う目的・方法を定めます。目的は従業員の健康保持などが適切です。人事評価や営利目的で使用されないよう、目的を特定しておくことが重要です。取得方法は「健康診断」や「ストレスチェック」「面接指導」などが該当します。

 

(2)心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う心身の状態の情報の範囲

   →「人事」「上長」など、健康情報を取り扱うことのできる人(ポジション)を定めます。それらの人たちそれぞれに対して「どの範囲まで情報を開示し」「どんな権限を与えるのか」を定めます。

 

(3)心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法及び本人同意の取得方法

   →「口頭」や「書面」など通知の方法を定めます。また、本人同意の取得についても「必ず書面でサインをもらう」などの方法を決めます。

 

(4)心身の状態の情報の適正管理の方法

   →取得した情報を、漏洩のリスクがないように、どのように管理するのかを定めます。「健康情報管理責任者の選任」や「健康情報を取り扱う人への教育・研修の実施」「情報はパスワードのかかったサーバーで管理する」など、適正に管理ができるよう具体的に決めておきましょう。

 

(5)心身の状態の情報の開示、訂正等(追加及び削除を含む)及び使用停止等(消去及び第三者への提供の停止を含む)の方法

   →情報の開示請求があった場合の対応方法、および従業員から事実と異なるとの指摘が入った場合の訂正・追加・削除の対応方法、さらに使用停止の請求があった場合の対応方法について定めます。

 

(6)心身の状態の情報の第三者提供の方法

   →第三者へ提供しない場合はその旨を明記します。もし、第三者に情報を提供する場合は、「どのような場合に」「どのような方法」で提供するのかを定めます。

 

(7)事業承継、組織変更に伴う心身の状態の情報の引継ぎに関する事項

   →たとえば「合併などで別の法人に事業が引き継がれる場合」や「組織の大幅な変更がある場合」など、情報の管理者が変わる場合は、どのように情報を引き継ぐのかを決めます。

 

(8)心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理

   →「上司が健康診断の内容を同僚に漏らした」など、健康情報の取扱いについての苦情や相談を受けつける窓口、その後の処理方法を決めます。

 

(9)取扱規程の労働者への周知の方法

   →この「健康情報取扱規定」で定めた内容を、どのようにすべての従業員に周知するのかを決めます。

 

衛生委員会、あるいは労使協議の場で上記について方針が決まれば、文書にまとめ「健康情報取扱規程」を作成します。策定した「健康情報取扱規程」は、必ず従業員全体への周知が必要です。これは就業規則や労使協定などと同様の扱いです。必ず、全員がアクセスできる場所に規程を置き、従業員が常に閲覧できる状態にしておかねばなりません。



 

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/content/000497426.pdf

働き方・休み方改善指標の活用方法などの最新版を公表(働き方・休み方改善ポータルサイト)

 

厚生労働省が運営するサイト「働き方・休み方改善ポータルサイト」に、「働き方・休み方改善指標の活用方法(2018年度版)」および「休み方改善取組事例集(平成2019年3月)」が掲載されました。「働き方・休み方改善指標」とは、自社の現状(実態)を把握するための指標で、これを用いて、実態の「見える化」を図りましょう、というものです。

 

適切な労働時間で働き、きちんと休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。社員の能力がより発揮されやすい環境を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

他方、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性が高くなり、生産性は低下します。また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じさせることになります。社員のために、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が求められています。

 

働き方・休み方を改善するにあたり、まずは自社の労働時間や休暇取得の実態や、どのような課題があるのか、そして働き方・休み方改革を推進するために何に取り組むことが効果的なのかということを把握することが必要です。そこで、企業の皆様が働き方・休み方の改善に向けた検討を行う際にご活用いただくツールとして、新しい「働き方・休み方改善指標」が開発されています。

この指標は社員の労働時間や休暇に関する実態などを「見える化」するとともに、自社において必要な取組内容を多角的な観点から検討いただくためのものであり、パンフレットでは指標の内容や活用方法が紹介されています。

 

調査結果によると、仕事と生活の調和のとれた働き方の実現を経営方針等に掲げている企業では、「労働者の健康の確保・増進」や「労働者の意欲向上」など、社員が健康で意欲的に働けることを重視しています。一方、仕事と生活のバランスに対する社員の認識をみると、仕事と生活のバランスが取れていると感じている人とそうでない人は概ね半々で、バランスが取れていないと感じている人が少なくありません。

仕事と生活のバランスを取ることが難しい背景には、「所定労働時間が長いから」「残業時間が長いから」「年次有給休暇が取りづらいから」など、恒常的な長時間労働年次有給休暇が取りづらい職場環境があることがうかがえます。

 

企業は長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進のために、具体的にどのような取組を行っているのでしょうか。「働き方・休み方改善指標」のチェックリストのうち、「実態把握」や「情報提供・相談」「方針・目標の明確化」については、取り組んでいる企業が比較的多くなっていますが、「意識改善」や「改善促進の制度化」については、全体的に取組が低調となっています。

 

また、「仕事の進め方改善」についても、取り組んでいる企業は少ない傾向にあります。働き方・休み方改善を進めるためには、企業の経営トップや人事担当部門等が主導する取組はもちろんのこと、それぞれの職場において管理職を中心に意識改革や仕事の進め方の見直しに取り組むことが不可欠です。

 

働き方・休み方改善に取り組んでいるが、十分な効果が感じられないという場合は、自社で取り組んでいる内容に偏りがあるかもしれません。働き方・休み方改善を実効性のある取組とするために、「働き方・休み方改善指標」を活用して、自社に必要な取組を多角的な観点で検討してみましょう。

 

パンフレットでは、まず、「Ⅰ働き方・休み方改革の必要性とポイント」にて、本事業で実施した企業アンケート及び労働者アンケートの結果より、働き方・休み方に関する課題と取組状況を紹介しています。次に、「Ⅲ働き方・休み方改善指標を使ってみましょう」では、今回新たに見直しを行った「働き方・休み方改善指標」について解説を行っています。

 

指標には、企業向けと社員向けに、それぞれレーダーチャートとチェックリストがあります。企業向けの指標を活用して、課題分析を行うと、診断結果に基づいて企業として優先的に行うべき取組提案が示されますので、自社の課題や取組内容を分析・検討する際の参考となります。また、社員向けの指標は、社員が自身の働き方・休み方を自己診断するために活用するほか、社員全体を対象としたアンケート調査等により、社員の職場環境に対する認識や、日頃の仕事の進め方等を把握し、職場において改善が必要な取組を検討する際にも活用することができます。

 

参照ホームページ[働き方・休み方改善ポータルサイト]

https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category1/190405_1.pdf

改正労基法に関するQ&Aを公表

厚生労働省から「改正労働基準法に関するQ&A」が公表されています。このQ&Aは、2019年4月1日から順次施行される「働き方改革関連法による労働基準法の改正」について、素朴な疑問から、専門的で細かな内容まで、Q&A形式で重要事項がまとめられています。

取り上げられているのは、次の項目です。項目ごとにQ&Aに一部をご紹介します。

1 フレックスタイム制関係
(Q)フレックスタイム制のもとで休日労働を行った場合、割増賃金の支払いや時間外労働の上限規制との関係はどのようになりますか。

(A)フレックスタイム制のもとで休日労働を行った場合には、その休日労働の時間は清算期間における総労働時間や時間外労働とは別個のものとして取り扱われ、3割5分以上の割増賃金率で計算した賃金の支払いが必要です。なお、時間外労働の上限規制との関係については、時間外労働と休日労働を合計した時間に関して、①単月100時間未満、②複数月平均80時間以内の要件を満たさなければなりません。

2 時間外労働の上限規制関係
(Q)36協定の対象期間と有効期間の違いを教えてください。

(A)36協定における対象期間とは、法第36条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものであり、36協定においてその起算日を定めることによって期間が特定されます。これに対して、36協定の有効期間とは、当該協定が効力を有する期間をいうものであり、対象期間が1年間に限られることから、有効期間は最も短い場合でも原則として1年間となります。また、36協定について定期的に見直しを行う必要があると考えられることから、有効期間は1年間とすることが望ましいです。
※なお、36協定において1年間を超える有効期間を定めた場合の対象期間は、当該有効期間の範囲内において、当該36協定で定める対象期間の起算日から1年ごとに区分した各期間となります。

3 年次有給休暇関係
(Q)使用者による時季指定の対象となる「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」(法第39条第7項)には、法第39条第3項の比例付与の対象となる労働者であって、前年度繰越分の有給休暇と当年度付与分の有給休暇とを合算して初めて10労働日以上となる者も含まれますか。

(A)使用者による時季指定の対象となる「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」(法第39条第7項)は、基準日に付与される年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者が該当するものであり、法第39条第3項の比例付与の対象となる労働者であって、今年度の基準日に付与される年次有給休暇の日数が10労働日未満であるものについては、仮に、前年度繰越分の年次有給休暇も合算すれば10労働日以上となったとしても、「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」には含まれません。

4 労働条件の明示の方法関係
(Q)今回の改正により、電子メール等の送信により労働条件を明示することが可能となりますが、「電子メール等」には具体的にどのような方法が含まれますか。

(A)「電子メール等」とは、以下のものが含まれます。
①パソコン・携帯電話端末によるEメール、Yahoo!メールやGmailといったウェブメールサービス、②+メッセージ等のRCS(リッチ・コミュニケーション・サービス)や、SMS(ショート・メール・サービス)、③LINEやFacebook等のSNSメッセージ機能が含まれます。
なお、上記②のRCSやSMSについては、PDF等の添付ファイルを送付することができないこと、送信できる文字メッセージ数に制限等があり、また、前提である出力による書面作成が念頭に置かれていないサービスであるため、労働条件明示の手段としては例外的なものであり、原則として上記①や③による送信の方法とすることが望ましいです。
また、労働者が開設しているブログ、ホームページ等への書き込みや、SNSの労働者のマイページにコメントを書き込む行為等、特定の個人がその入力する情報を、電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、第三者が特定個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものについては、「電子メール等」には含まれません。

5 過半数代表者関係
(Q)労働者の過半数を代表する者が労使協定等に関する事務を円滑に遂行することができるようにするために、使用者に求められる「必要な配慮」(則第6条第4項)にはどのようなものが含まれますか。

(A)則第6条第4項の「必要な配慮」には、例えば、過半数代表者が労働者の意見集約等を行うに当たって必要となる事務機器(イントラネットや社内メールを含みます。)や事務スペースの提供を行うことが含まれます。

6 その他
(Q)労働者が海外企業に出向する場合や、出向先で役員となる場合の時間外労働の上限規制及び年次有給休暇の時季指定義務の考え方を教えてください。

(A)ご質問については、個別の事情に応じて判断されるものですが、一般的には、いずれの場合も出向先において法が適用されないため、出向している期間については、時間外労働の上限規制及び年次有給休暇の時季指定義務の対象とはなりません。また、労働者が海外企業に出向する場合や、出向先で役員となる場合は、年次有給休暇の時季指定義務については、出向前の期間(すなわち、法が適用される期間)において、労働者に5日の年次有給休暇を取得させる必要があります。(ただし、海外企業に在籍出向する場合においては、出向元、出向先、出向労働者三者間の取り決めにより、出向前の基準日から1年以内の期間において、出向の前後を通算して5日の年次有給休暇の時季指定を行うこととしても差し支えありません。)

これまでに、通達やパンフレットでも紹介されているQ&Aも含まれていますが、全体をとおして確認しておくことをお勧めいたします。




詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/content/000487097.pdf

中小企業・小規模事業者の最低賃金状況について

中小・小規模事業者が賃上げを行いやすい環境を作る等の観点から、平成30年11月13日、首相官邸において、「第6回下請等中小企業の取引条件改善に関するワーキンググループ及び第4回中小企業・小規模事業者の最低賃金引上げ力ワーキンググループ」の合同会合が開催されました。これらのワーキンググループは、必要な対策等について、省庁横断的に検討を行うために開催されているものです。厚生労働省からは、賃金構造基本統計調査の報告などが行われています。

■未満率上位3地域の最低賃金の状況
 神奈川が突出して高く、大阪、北海道も2%を超えています。なお、神奈川、大阪、北海道は平成27、28年の調査でも未満率※が全国上位です。
※「未満率」とは、最低賃金額を改正する前に、最低賃金額を下回っている労働者の割合を指します。
●神奈川県
・産業別 :①宿泊業、飲食サービス業、②卸売業、小売業、③製造業の未満率が高い。
・違反理由:「最賃額の不知」のほか、「売上減・コスト増による不払い」が、比較的多い。
大阪府
・産業別 :①卸売業、小売業、②宿泊業、飲食サービス業、③医療、福祉の未満率が高い。
・違反理由:「最賃額の不知」のほか、「売上減・コスト増による不払い」が、比較的多い。
●北海道
・産業別 :①卸売業、小売業、②宿泊業、飲食サービス業、③製造業の未満率が高い。
・違反理由:「賃金を時間額に換算していない」、「最賃額改定を知っていたが賃金改定していない」が多い。

【賃金構造基本統計調査(平成29年)による都道府県別の未満率】 最低賃金法第4条違反の具体事例
1.行政指導により速やかに法違反が是正される事例
(a). 飲食業(個人経営)
・違反理由:労使間で合意があれば約定賃金を最賃未満としてもよいと誤認
・対策  :労使合意があっても、最賃未満の就労は違法であることを教示
(b). 卸売業・小売業
・違反理由:通勤手当(※)を含めて計算した結果、最低賃金以上の支払をしていると誤認
通勤手当最低賃金の算定に含まれない
・対策  :最低賃金の算定基礎に含める手当や、計算方法を教示
(c). 製造業
・違反理由:障害者には最低賃金の適用がないと誤認
・対策  :障害者でも都道府県労働局長の許可(※)がなければ、最賃未満の就労は違法であることを教示
※障害により労働能力が著しく低い場合は、都道府県労働局長の許可により、最低賃金を減額して適用できる
(d). 製造業・卸売業・小売業
・違反理由:事業主が最低賃金は効力発生日の直後の賃金支払い期間から適用になると誤認
・対策  :最低賃金は効力発生日から適用になる旨を教示

2.行政指導による速やかな法違反の是正が困難な事例
(a). クリーニング業(個人経営)
・是正が困難な理由:経営難を理由に約定賃金を最低賃金額未満としていると同時に、時間外・休日労働の手当なども不払いとなっており、多額の不足額の支払に時間を要する
・対策      :不足額の支払に時間を要するため、支払計画を作成させるなどして、継続的に是正を求める
(b). 製造業
・是正が困難な理由:最低賃金法違反を指導後、事業主が行方不明となっている(連絡が取れない)
・対策      :事業主の所在が明らかになった場合、司法処分を含めた対応を検討

 中小企業・小規模事業者においては、依然として最賃制度や助成制度を知らない企業があるため、引き続き周知が必要である等、今後の課題も挙げられています。



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 首相官邸 ]
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/torihiki_wg/dai6/gijisidai.html

平成30年「高年齢者の雇用状況」が公表されています

 厚生労働省では、高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計した、平成30年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)を取りまとめ公表しています。

 高年齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現に向け、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務付け、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めています。

 今回の集計結果は、この雇用状況を報告した従業員31人以上の企業156,989社の状況をまとめたものです。なお、この集計では、従業員31人~300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」としています。
 今後は、生涯現役で働くことのできる社会の実現に向けたさらなる取組を行うとともに、雇用確保措置を実施していない企業に対して、都道府県労働局、ハローワークによる計画的かつ重点的な個別指導を実施していきます。

【集計結果の主なポイント】

■65歳までの高年齢者雇用確保措置のある企業の状況

1 高年齢者雇用確保措置の実施状況
 65歳までの雇用確保措置のある企業は計156,607社、99.8%[0.1ポイント増加]

2 65歳定年企業の状況
 65歳定年企業は25,217社[1,382社増加]、16.1%[0.8ポイント増加]
 ・中小企業では23,685社[1,229社増加]、16.8%[0.7ポイント増加]
 ・大企業では1,532社[153社増加]、9.4%[0.9ポイント増加]

■66歳以上働ける企業の状況

1 66歳以上働ける制度のある企業の状況
 66歳以上働ける制度のある企業は43,259社、割合は27.6%
 ・中小企業では39,699社、28.2%、
 ・大企業では3,560社、21.8%

2 70歳以上働ける制度のある企業の状況
 70歳以上働ける制度のある企業は40,515社[5,239社増加]、割合は25.8%[3.2ポイント増加]
 ・中小企業では37,232社[4,453社増加]、26.5%[3.1ポイント増加]
 ・大企業では3,283社[786社増加]、20.1%[4.7ポイント増加]

3 定年制廃止企業の状況
 定年制の廃止企業は4,113社[49社増加]、割合は2.6%[変動なし]
 ・中小企業では4,032社[49社増加]、2.9%[0.1ポイント増加]
 ・大企業では81社[変動なし]、0.5%[変動なし]

<集計対象>
○全国の常時雇用する労働者が31人以上の企業156,989社



詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000182200_00002.html

厚労省の賃上げ調査 賃上げを行った企業は89.7% 過去最高を更新

厚生労働省から、「平成30年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」が公表されました。「賃金引上げ等の実態に関する調査」は、全国の民間企業における賃金の改定額、改定率、改定方法などを明らかにすることを目的に、毎年8月に実施されるものです。

 「製造業」及び「卸売業,小売業」については常用労働者30人以上、その他の産業については常用労働者100人以上を雇用する企業から抽出して調査を行い、平成30年は、有効回答を得た企業(1779社)のうち、常用労働者100人以上の1,578社について集計したものです。

 調査結果(2018(平成30)年における状況)のポイントは次のとおりです。

●賃金の改定
・「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は89.7%(前年87.8%)で、前年より上昇(比較可能な1999年以降で最高)。

・1人平均賃金の改定額(予定を含む。)は5,675円(前年5,627円)で、前年より増加(これも比較可能な1999年以降で最高)。
改定率は2.0%で、前年と同水準。

(注)1人平均賃金とは、所定内賃金(諸手当等を含むが、時間外・休日手当や深夜手当等の割増手当、慶弔手当等の特別手当 を含まない)の1人当たりの平均額をいう。

定期昇給等の実施
・賃金改定が未定以外の企業(賃金の改定を実施し又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業)のうち、定期昇給を「行った・行う」企業割合は、管理職69.7%(前年69.0%)、一般職80.1%(同 77.5%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇。

定期昇給制度がある企業のうち、ベースアップを「行った・行う」企業割合は、管理職24.2%(前年22.9%)、一般職29.8%(同 26.8%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇。

●賃金カットの実施状況
 平成30年中に賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業における「賃金カットを実施し又は予定している企業」は6.1%(前年6.3%)となっている。これを賃金カットの対象者別にみると、「管理職のみ」は23.4%(同26.8%)、「一般職のみ」は28.1%(同24.4%)、「一般職一部」と「管理職一部」は46.3%(同47.9%)となっています。

●賃金の改定事情
 平成30年中に賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」の企業割合が50.4%(前年55.0%)と最も多く、次いで「労働力の確保・定着」が9.0%(同8.7%)、「雇用の維持」が7.0%(同3.9%)となっている。企業規模別にみると、すべての規模で「企業の業績」が最も多くなっている。

 統計上は、順調に賃上げが進んでいるようです。厚生労働省では、企業の業績が向上していることや労働力を確保したい狙いが背景にあると分析しています。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/18/dl/09.pdf