マイナンバー制度導入に伴う戸籍法改正の中間試案の意見募集を開始
法務省は、マイナンバーの利用範囲に含まれていない戸籍事務にマイナンバー制度を導入するため戸籍法を改正するため、5月11日から6月11日まで、パブリックコメントによる意見募集をしています。4月20日に戸籍法改正の中間試案を公表し、来年の通常国会への法案提出が目指されています。 ■ 「戸籍法の改正に関する中間試案」の内容 (1) 電算化を原則とする規定振りへの変更について (2) 法務大臣が連携情報を管理することの根拠規定等の整備について (3) 文字の取扱いについて (4) 市区町村における連携情報の参照について (5) 管轄法務局等における連携情報の参照について (6) 届書類の電子化、保存について (7) 市区町村及び法務局の調査権について (8) 戸籍訂正について (9) 死亡届出の届出資格者の拡大について ■ 戸籍制度 戸籍制度は、人の親族的な身分関係を登録・公証することを目的とする制度で、戸籍は、日本国民についてのみ編製され、外国人については編製されません。 マイナンバー制度(マイナンバー法:平成27年10月施行、28年1月運用開始)の導入の段階において、戸籍事務もその利用範囲とすることが検討対象となっていましたが、全市区町村の戸籍事務の電算化が完了していないなどの理由から、マイナンバー法の成立の際には、利用範囲に戸籍事務を含むことは見送られました。 平成30年5月1日現在、全国1,896の市区町村のうち、1,892の市区町村(全体の99.79%)で戸籍事務の電算化が完了していますが、戸籍情報システムはそれぞれ異なるため、市区町村間のネットワーク化はされていません。 そのため、非本籍地の市区町村において、直接戸籍情報の確認又は戸籍謄本等の交付をすることはできず、本籍地の市区町村に電話で問い合わせや戸籍謄本の公用請求を行うなどして、その戸籍情報を照会する必要があります。 例えば、非本籍地の市区町村が、戸籍謄本等の添付のない婚姻届の提出を受けた場合には、夫婦となる者の戸籍を確認し、再婚禁止期間にかからないことなどの婚姻要件の有無を審査するため、本籍地の市区町村に電話で問い合せを行ったり、戸籍謄本等の公用請求を行うなどして対応しているのが実情です。 法務省では、東日本大震災後から戸籍副本データ管理システムにおいて電算化された戸籍の副本を管理していることから、ネットワーク化された「戸籍情報連携システム」(仮称)を使い、戸籍情報とマイナンバーを紐付けしようとしています。 これにより、戸籍情報が連携され、戸籍証明書が不要になります。具体的には、本籍地以外の市区町村での戸籍の届出、また、児童扶養手当事務、年金事務及び旅券事務等で活用することが協議されています。 戸籍謄本等の交付については、平成22年以降、コンビニエンスストアに設置されたマルチコピー機を利用して交付請求者本人の戸籍謄本等を交付する取扱いも一部の市区町村で開始されており、平成30年4月2日現在456の市区町村において実施されています。 また、紙の戸籍を原則とした規定振りを、電算化を原則とする規定振りに変更し、例外として紙の戸籍も残すこととされています。 詳しくは下記参照先をご覧ください。 |
参照ホームページ[ 内閣府 ] |
治療と仕事の両立 企業・医療機関連携のためのマニュアルなどを更新
厚生労働省では、がん、脳卒中などの疾病を抱える方々に対して、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と職業生活が両立できるようにするため、事業場における取組などをまとめた「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を公表しています。これに加え、平成29年度に作成した難病に関する留意事項、企業・医療機関連携のためのマニュアルなどを公表していますが、その一部が、平成30年4月24日付けで更新されています。 ■治療と職業生活の両立支援を巡る状況 (1)疾病を抱える労働者の状況 「治療と職業生活の両立等支援対策事業」(平成25年度厚生労働省委託事業)における企業を対象に実施したアンケート調査によれば、疾病を理由として1か月以上連続して休業している従業員がいる企業の割合は、メンタルヘルスが38%、がんが21%、脳血管疾患が12%と、なっています。また、「平成22年国民生活基礎調査」に基づく推計によれば、仕事を持ちながら、がんで通院している者の数は、32.5万人に上っています。 さらに、労働安全衛生法に基づく一般健康診断において、脳・心臓疾患につながるリスクのある血圧や血中脂質などにおける有所見率は、年々増加を続けており、平成26年は53%に上るなど、疾病のリスクを抱える労働者は増える傾向にあります。 また、これらの疾病の有病率は年齢が上がるほど高くなる状況にあり、高齢化の進行に伴い、今後は職場においても労働力の高齢化が進むことが見込まれる中で、事業場において疾病を抱えた労働者の治療と職業生活の両立への対応が必要となる場面はさらに増えることが予想されています。 (2)疾病を抱える労働者の就業可能性の向上と課題 一方、近年の診断技術や治療方法の進歩により、かつては「不治の病」とされていた疾病においても生存率が向上し、「長く付き合う病気」に変化しつつあり、労働者が病気になったからと言って、すぐに離職しなければならないという状況が必ずしも当てはまらなくなってきています。 しかしながら、疾病や障害を抱える労働者の中には、仕事上の理由で適切な治療を受けることができない場合や、疾病に対する労働者自身の不十分な理解や、職場の理解・支援体制不足により、離職に至ってしまう場合もみられます。 例えば、糖尿病患者の約8%が通院を中断しており、その理由としては「仕事(学業)のため、忙しいから」が最も多くなっています。また、連続1か月以上の療養を必要とする社員が出た場合に「ほとんどが病気休職を申請せず退職する」「一部に病気休職を申請せず退職する者がいる」とした企業は、正社員のメンタルヘルスの不調の場合は18%、その他の身体疾患の場合は15%であり、過去3年間で病気休職制度を新規に利用した労働者のうち、38%が復職せず退職しています (3)事業場等における現状と課題 事業場においては、健康診断に基づく健康管理やメンタルヘルス対策をはじめとして、労働者の健康確保に向けた様々な取組が行われてきたが、近年では、厳しい経営環境の中でも、労働者の健康確保や疾病・障害を抱える労働者の活用に関する取組が、健康経営やワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティ推進、といった観点からも推進されています。 一方で、治療と職業生活の両立支援の取組状況は事業場によって様々であり、支援方法や産業保健スタッフ・医療機関との連携について悩む事業場の担当者も少なくありません。 こうしたことから、労働者の治療と職業生活の両立支援に取り組む企業に対する支援や医療機関等における両立支援対策の強化も必要な状況にあります。 ■治療と職業生活の両立支援を巡る状況 (1)事業者による両立支援の取組の位置づけ 労働安全衛生法では、事業者による労働者の健康確保対策に関する規定が定められており、そのための具体的な措置として、健康診断の実施(既往歴、業務歴、自覚症状及び他覚症状の有無の検査や、血圧等の各種検査の実施)及び医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは就業上の措置(就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等)の実施を義務付けるとともに、日常生活面での指導、受診勧奨等を行うよう努めるものとされています。これは、労働者が、業務に従事することによって、疾病(負傷を含む。以下同じ。)を発症したり、疾病が増悪したりすることを防止するための措置などを事業者に求めているものです。 また、同法及び労働安全衛生規則では、事業者は、「心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれのあるものにかかった者」については、その就業を禁止しなければならないとされているが、この規定は、その労働者の疾病の種類、程度、これについての産業医等の意見を勘案してできるだけ配置転換、作業時間の短縮その他の必要な措置を講ずることによって就業の機会を失わせないようにし、やむを得ない場合に限り禁止する趣旨であり、種々の条件を十分に考慮して慎重に判断すべきものです。 さらに、同法では、事業者は、その就業に当たって、中高年齢者等の特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行うように努めなければならないこととされています。 これらを踏まえれば、事業者が疾病を抱える労働者を就労させると判断した場合は、業務により疾病が増悪しないよう、治療と職業生活の両立のために必要となる一定の就業上の措置や治療に対する配慮を行うことは、労働者の健康確保対策等として位置づけられます。 (2)事業者による両立支援の意義 労働者が業務によって疾病を増悪させることなく治療と職業生活の両立を図るための事業者による取組は、労働者の健康確保という意義とともに、継続的な人材の確保、労働者の安心感やモチベーションの向上による人材の定着・生産性の向上、健康経営の実現、多様な人材の活用による組織や事業の活性化、組織としての社会的責任の実現、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現といった意義もあると考えられます。 (3)ガイドラインの位置づけ ア ガイドラインの内容とねらい ガイドラインは、治療が必要な疾病を抱える労働者が、業務によって疾病を増悪させることなどがないよう、事業場において適切な就業上の措置を行いつつ、治療に対する配慮が行われるようにするため、関係者の役割、事業場における環境整備、個別の労働者への支援の進め方を含めた、事業場における取組をまとめたものです。 イ ガイドラインの対象 ガイドラインは主に、事業者、人事労務担当者及び産業医や保健師、看護師等の産業保健スタッフを対象としているが、労働者本人や、家族、医療機関の関係者などの支援に関わる方にも活用可能なものです。 ガイドラインが対象とする疾病は、がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎、その他難病など、反復・継続して治療が必要となる疾病であり、短期で治癒する疾病は対象としていません。 また、ガイドラインはすでに雇用している労働者への対応を念頭に置いていますが、治療が必要な者を新たに採用し、職場で受け入れる際には、ガイドラインに規定する留意事項、環境整備及び進め方を参考として取り組むことが可能なものです。 さらに、ガイドラインは、雇用形態に関わらず、全ての労働者を対象とするものです。 詳しくは下記参照先をご覧ください。 |
参照ホームページ[ 厚生労働省 ] |
平成29年度の労働基準関係法令違反は全体の65.9%(重点監督実施結果)
厚生労働省は、平成29年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果を、平成30年4月23日に公表しました。 今回の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の「使い捨て」が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる7,635事業場に対して集中的に実施されました。 その結果、5,029事業場(全体の65.9%)で労働基準関係法令違反が確認され、そのうち 2,848 事業場(37.3%)で違法な時間外労働が認められたため、それらの事業場に対して、是正に向けた指導が行われました。 ■ 重点監督結果のポイント (1) 監督指導の実施事業場: 7,635 事業場 このうち、5,029事業場(全体の65.9%)で労働基準関係法令違反あり。 (2) 主な違反内容 [(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場] (ア) 違法な時間外労働があったもの: 2,848 事業場(37.3% ) 時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が 月80時間を超えるもの :1,694事業場( 59.5% ) 上記の事業場のうち、 月100時間を超えるもの :1,102事業場( 38.7% ) 月150時間を超えるもの : 222事業場( 7.8% ) 月200時間を超えるもの : 45事業場( 1.6% ) (イ) 賃金不払残業があったもの : 536 事業場( 7.0% ) (ウ) 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:778 事業場( 10.2% ) (3) 主な健康障害防止に係る指導の状況 [(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場] (ア) 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの: 5,504 事業場( 72.1% ) 上記のうち、 時間外・休日労働を月80時間※以内に削減するよう指導したもの: 3,075事業場( 55.9% ) (イ) 労働時間の把握が不適正なため指導したもの: 1,232 事業場( 16.1 % ) ※脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外・休日労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があるため。 詳しくは下記参照先をご覧ください。 |
参照ホームページ[ 厚生労働省 ] |
平成29年6月分の所定内賃金は363.0千円、所定外賃金は62.9千円
中央労働委員会は、平成30年4月27日、「平成29年賃金事情等総合調査(確報)」を公表しました。 この調査は、資本金5億円以上、かつ労働者1000人以上の企業を対象に実施(有効回答企業数230社)されたもので、調査産業計の男女計の平均年齢は40.4歳、平均勤続年数は17.0年、製造業ではそれぞれ39.8歳、16.8年です。平成29年6月分の所定内賃金は363.0千円、所定外賃金は62.9千円、製造業ではそれぞれ354.3千円、62.0千円となっています。 ■平均賃金 調査産業計の平成29年6月分の所定内賃金は363.0千円、所定外賃金は62.9千円、製造業ではそれぞれ354.3千円、62.0千円となっています。 ■賃金構成比 平成29年6月分の所定内賃金を構成する各賃金の構成比をみると、調査産業計では、「基本給」89.6%、「奨励給」1.2%、「職務関連手当」3.3%、「生活関連手当」5.5%、「その他の手当」0.4%となっています。 製造業の賃金構成比は、「基本給」92.6%、「奨励給」0.0%、「職務関連手当」2.9%、「生活関連手当」4.2%、「その他の手当」0.3%となっています。 ■地域(都市)手当制度 地域(都市)手当制度を採用している企業は、調査産業計では36.5%(集計219社のうち80社)、製造業では35.2%(同122社のうち43社)となっています。 支給額の決め方をみると、定額としている企業は29社、支給額に幅がある企業は39社、率で定めている企業は18社で、製造業では定額としている企業が12社、支給額に幅がある企業が21社、率で定めている企業が15社となっています。また、無支給地域を含む地域区分の平均は3.6区分、製造業で3.5区分となっています。 ■一時金支給額 平成28年年末一時金の一人平均支給額は、調査産業計では832.5千円、月収換算2.4か月分、製造業では813.3千円、月収換算2.5か月分となっています。 平成29年夏季一時金の一人平均支給額は、調査産業計では911.7千円、月収換算2.5か月分、製造業では844.0千円、月収換算2.6か月分となっています。 詳しくは下記参照先をご覧ください。 |
参照ホームページ[ 中央労働委員会 ] |
2018年版中小企業白書・小規模企業白書が公表されました
2018年版の中小企業白書並びに小規模企業白書が、平成30年4月20日に閣議決定されました。これを受けて、中小企業庁から、これらの白書が公表されました。2018年版中小企業白書・小規模企業白書では、平成29年度の動向や平成30年度の施策の分析がまとめられています。 中小企業については、景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大しているとして、「生産性の向上が急務」と指摘しています。中小企業の生産性を引き上げるために、白書は「前向きな投資が重要」などと示しています。小規模企業については、経営者に業務が集中しているという問題もあり、「IT導入等による経営者の業務効率化が急務」と指摘しています。 ■2018年版中小企業白書・小規模企業白書の特色 2018年版白書では、アンケート調査結果に併せて、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の事例を豊富に紹介しています(昨年の倍以上となる113の事例を紹介)。下記のポイントを中心に、中小企業・小規模事業者に生産性向上に向けたヒントを提供することを目指す実践的な白書とされています。 ・2018年版中小企業白書のポイント 第1部では、最近の中小企業の動向について、中小企業の経常利益は過去最高水準にあり、景況感も改善傾向であること等を示しました。また、中小企業の労働生産性や経営の在り方等について分析が行われています。 第2部では、人手不足の現状を分析した上で、中小企業の生産性向上に向けた取組について分析が行われています。具体的には、業務プロセスの見直し、人材活用面の工夫、IT利活用、設備投資、M&Aを中心とする事業再編・統合について取り上げています。 1.中小企業が生産性向上に向けた取組を進めていくためには、自社の経営課題を見つめ直すとともに、既存の業務プロセスを見直すことが肝要であることを示しました。 2.限られた人手で業務を回すための人材活用面での工夫については、近年非製造業でも取組が進みつつある多能工化・兼任化を中心に紹介しました。 3.IT利活用については、コストと効果を具体的に示した事例を豊富に紹介するとともに、日頃の相談相手である地元のITベンダー等がIT導入を働きかけていく必要性等を示しました。更にIT利活用の効果を高めていく上で、業務領域間のデータ連携(財務会計と給与管理間のデータ連携等)や企業間のデータ連携を行っていく重要性を確認しました。 4.中小企業の設備投資については、緩やかな増加基調にありますが、足下では設備老朽化を背景とした維持更新投資が中心であり、省力化投資等の生産性向上に繋がる投資をより一層促進していく必要性について示しました。 5.事業承継等を背景に、中小企業のM&Aは増加傾向にあり、M&Aは買い手側の中小企業にとっても、相手先の企業との間でシナジーを発揮することで生産性を高める契機となっていることを分析しました。 ・2018年版小規模企業白書のポイント 第1部では、最近の小規模事業者の動向について、経常利益が回復基調にあるなど、改善傾向にある小規模事業者の景況等を示しました。 第2部では、人手不足の現状を分析した上で、小規模事業者の生産性向上に向けた取組について分析が行われています。具体的には、業務の見直し、IT利活用、設備投資、企業間連携等について分析されています。 人手不足を背景に、小規模事業者では経営者に業務が集中しており、未だに紙ベースでの処理が多い間接業務のIT化を進めること等を通じて、経営者が付加価値向上に資する業務に集中する必要性等について分析しました。 また、小規模事業者においては、ちょっとした工夫によって大幅な売上向上につながること等を取組事例によって紹介しています。 第3部では、地域課題に対応しながら成長する小規模事業者やいわゆるフリーランス等の「新しい働き方」としての小規模事業者について事例を取り上げました。また、小規模事業者が生産性向上を図る上で、支援機関による伴走型支援や支援機関間の連携が重要であり、そうした動きについても事例を紹介しました。 詳しくは下記参照先をご覧ください。 |
参照ホームページ[ 経済産業省 ] |
セクハラの防止措置などを再確認しましょう
セクハラを問題に辞任のニュースが記憶に新しい現在、被害者への配慮(プライバシーの保護など)が必要とされることなどを再認識された方も多いのではないでしょうか。厚生労働省の「事業主向けのセクシュアルハラスメント対策」のパンフレットでも、対策の一つとして「当事者等のプライバシー保護のための措置の実施と周知」が必要としており、これを機に、今一度、どのような行為がセクハラに該当するのか、どのようなセクハラ防止措置を講ずる必要があるのかなど、セクハラに関する基本事項を確認しておきましょう。 職場におけるセクシュアルハラスメントについて必要な対策をとることは事業主の義務です。必要な措置は10項目あります。 ■事業主が雇用管理上講ずべき措置とは 職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するために、事業主が雇用管理上講ずべき措置として、厚生労働大臣の指針により10項目が定められており、事業主は、これらを必ず実施しなければなりません。企業の規模や職場の状況に応じて適切な実施方法を選択できるよう、具体例を示しますので、これを参考に10項目を実施してください。 なお、派遣労働者に対しては、派遣元のみならず、派遣先事業主も措置を講じなければならないことにご注意ください。 また、職場におけるセクシュアルハラスメントの防止の効果を高めるためには、発生の原因や背景について労働者の理解を深めることが重要です。 セクシュアルハラスメントの発生の原因や背景には、性別役割分担意識に基づく言動もあると考えられ、こうした言動をなくしていくことがセクシュアルハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意しましょう。 会社は、日頃から労働者の意識啓発など、周知徹底を図るとともに、相談しやすい相談窓口となっているかを点検するなど普段から職場環境に対するチェックを行い、特に、未然の防止対策を十分講じるようにしましょう。 まず、10項目のポイントは以下の通りです。 1 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発 (1)職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。 (2)セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。 2 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 (3)相談窓口をあらかじめ定めること。 (4)相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。 3 職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応 (5)事実関係を迅速かつ正確に確認すること。 (6)事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。 (7)事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。 (8)再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様) 4 1から3までの措置と併せて講ずべき措置 (9)相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。 (10)相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。 詳しくは下記参照先をご覧ください。 |
参照ホームページ[ 厚生労働省 ] |
パワハラの要件とは?
厚生労働省が実施した「平成28年度職場のパワーハラスメント(以下パワハラという)に関する実態調査」の結果によれば、従業員向けの相談窓口で従業員から相談されたテーマのうちパワハラが32.4%で最も多く、過去3年間に1件以上パワハラに該当する相談を受けたと回答した企業は36.3%、過去3年間にパワハラを受けたことがあると回答した従業員は32.5%になります。 平成30年3月30日、厚生労働省は「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書」を公表し、パワハラ行為の定義、要件等を提示しました。 この検討会は、実効性のある職場のパワーハラスメント防止対策について検討するため、平成29年5月から10回にわたり開催されたものです。 ■ パワハラとは?職場のパワハラとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内優性(※1)を背景に、業務の適正な範囲(※2)を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。 ■ パワハラの要件 |
参照ホームページ[ 厚生労働省 ] |