平成30年度雇用保険料率の告示案要綱を了承 ~平成29年度の料率を据え置き~

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厚生労働省から平成30年1月12日「平成30年度雇用保険料率の告示案要綱を了承~平成29年度の料率を据え置き~」というお知らせが公表されました。

雇用保険率については、法律に定められた率を、毎年度、積立金の状況などを勘案して弾力的に変更することとされています。そして、変更された雇用保険率(実際に適用される雇用保険率)を告示することとされています。

この度、平成30年度の雇用保険料率を定める告示案について、厚生労働大臣労働政策審議会に諮問し、同審議会が妥当と答申しました。

この答申を踏まえ、平成30年度の雇用保険料率は、平成29年度の料率を据え置き、一般の事業で0.9%、農林水産・清酒製造の事業で1.1%、建設の事業で1.2%とし、平成30年4月1日から適用するとのことです。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000190648.html

平成30年2月18日及び2月25日の日曜日に確定申告の相談を行う税務署

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一部の税務署では、2月18日と2月25日に限り、日曜日も確定申告の相談・申告書の受付を行います。
2月18日と2月25日の日曜日に、確定申告の相談等を行う税務署等については下表をご覧ください。
道府県内の一部の税務署で閉庁日対応を行う場合、確定申告電話相談センターなどで、広く道府県内の納税者の方々からの電話相談にお答えします。

○ 税務署等にお越しの際は、なるべく公共交通機関をご利用ください。
○ 税務署は、通常、土・日・祝日は閉庁しております。
(注1) 合同会場では、( )内の税務署管内の納税者の申告書の収受を行う。
(注2)広域センターでは、( )内の税務署の管内以外の納税者の申告書も仮収受を行う。
(注3)【 】書きの税務署は、署外会場を示す。

参照ホームページ [ 国税庁
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h29/kakushin_kaizyo/index02.htm

マイナンバー法改正による銀行口座の付番制度について(平成30年1月1日施行)

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2015年(平成27年)9月に成立した、個人情報保護法マイナンバー法の改正法が段階的に施行されており、預貯金口座へのマイナンバーの付番が平成30年1月1日に施行となりました。
所得・資産を正確に把握し、社会保障や税務を適正・公平に執行する観点等から、金融機関の預貯金口座をマイナンバーと紐付け、行政機関等が金融機関に対する社会保障の資力調査や税務調査の際にマイナンバーを利用して照会できるようになります。
また、預金保険法又は農水産業協同組合貯金保険法の規定に基づき、預貯金口座の名寄せ(同一預金者の複数の口座の預金額を合算すること)事務にも、マイナンバーを利用できるようになります。
マイナンバー制度の実効性を高めるため、その他関連法令も順次整備されています。

具体的には・・・
~行政機関等・金融機関・預貯金者~

行政機関等は、社会保障給付関係法律・預金保険関係法令改正により、金融機関にマイナンバーが付された預貯金情報の提供を求めることができ、 金融機関は、国税通則法地方税法により、預貯金情報をマイナンバーにより検索可能な状態で管理する義務があります。
預貯金者は銀行等の金融機関からマイナンバーの告知を求められた際は任意で告知することとなります。(法律上、告知義務はありません)


※行政機関等・・・ 預貯金保険機構・農水産業協同組合貯金保険機構地方自治体・年金事務所、税務署等
預金保険機構及び農水産業協同組合貯金保険機構が、マイナンバー法における「個人番号利用事務実施者」として位置付けられ、マイナンバーの利用が可能となりました。

なお、2016年1月以降、所得税法などの定めにもとづき、投資信託をはじめとする証券取引や外国送金(支払い・受取りなど)取引等に関する法定書類(税務署に提出する書類)等に、個人番号(マイナンバー)・法人番号を記載することが義務付けられており、対象となる取引を銀行等とする際にはマイナンバーを登録しなければなりません。(2018年12月31日まで猶予期間あり)


今回の改正では銀行口座へのマイナンバー登録は任意のため銀行への告知は少数にとどまることが予想され、2021年以降は義務化することを目指しているといわれています。

参照ホームページ[内閣府]
http://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/yokin_riyou.pdf

労災保険料算出に用いる労災保険率の改定(平成30年4月1日施行予定)

事業主が支払う労災保険料算出に用いる労災保険率の改定などを主な内容とする省令案要綱(「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」)が、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会で「妥当」となり、平成30年4月1日の施行を目指して省令改正作業が進められています。
労災保険率は、厚生労働大臣が業種ごとに定めており、それぞれの業種の過去3年間の災害発生状況などを考慮し、原則3年ごとに改定されています。
省令改正案のポイントは下記5点です。

1 平成30年4月から適用される新たな労災保険率(54業種)を設定
全業種の平均料率は 4.5/1,000になります。 (平成27年度改正時の平均料率は4.7/1000)
労災保険料 = 全従業員の年度内の賃金総額 ×労災保険料

2 社会復帰促進等事業等に必要な費用の限度額の割合を118分の18から120分の20に引き上げ

3 家事支援業務に従事する方を労災保険の特別加入制度の対象に追加
仕事と家庭の両立支援、女性の活躍を促進する中で、家事、育児等の支援サービスの需要が増大するものと考えられるため、家事支援従事者の就労条件を整備する必要がある等の状況を踏まえ、家事支援従事者が特別加入制度(特定作業従事者)の加入対象となります。

4 時間外労働の上限規制等の円滑な移行のため、中小企業事業主に対して、助成金の内容を拡充
大きく分けると下記3つのコースがあります。
① 時間外労働上限設定コース(時間外労働の上限設定を行う中小企業事業主に対し助成)
② 勤務間インターバル導入コース(新規に9時間以上の勤務間インターバルを導入する中小企業事業主に対し助成)
③ 職場意識改善コース(年次有給休暇の取得促進、所定外労働の削減等を推進する中小企業事業主に対し助成)
また、就業規則等の作成・変更費用、研修費用(業務研修を含む)等労働時間短縮や生産性向上に向けた取組に必要な経費は、3コース共通で助成金の対象となります。
その他、3社以上の中小企業の事業主団体において、傘下企業の時間外労働の上限規制への対応に向けた取組に要した費用が新たに助成金の対象となります。

5 「労働者災害補償保険法」に基づく介護(補償)給付と、「炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法」に基づく介護料の最高限度額及び最低保障額の改定
労働者災害補償保険法に基づく介護(補償)給付の最高限度額が、常時介護を要する者は105,290円(現行105,130円)、随時介護を要する者は52,650円(現行52,570円)になります。最低保証額は、常時介護を要する者が57,190円(現行57,110円)、随時介護を要する者は28,600円(現行28,560円)になります。
炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法に基づく介護料の最高限度額と最低保証額についても見直しがされました。

参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000188909.html

技能実習法による新しい技能実習制度について

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厚生労働省法務省が共管する「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(以下「技能実習法」)が平成29年11月1日施行されました。技能実習法では、技能実習生の受け入れに当たり重要な役割を担う監理団体を許可制としており、平成29年6月1日から外国人技能実習機構(以下「機構」)本部で許可申請の受付を開始し、11月1日付けで一般監理事業または特定監理事業を行う監理団体の許可を行いました。また、平成29年7月3日からは、機構の地方事務所・支所で技能実習計画認定の申請を受け付けており、順次、認定手続が進められます。

技能実習制度は、開発途上地域等への技能等の移転を図り、その経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とする制度として、我が国の国際貢献において重要な役割を果たしています。技能実習法は、技能実習に関し、技能実習計画の認定及び監理団体の許可の制度を設け、これらに関する事務を行う外国人技能実習機構を設けること等により、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るものです。

技能実習の基本理念及び関係者の責務
技能実習の基本理念>
技能実習は、技能等の適正な修得等のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行われなければならない。
技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。

<国の責務>
○この法律の目的を達成するため、基本理念に従って、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進しなければならない。

<実習実施者の責務>
技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護について技能実習を行わせる者としての責任を自覚し、基本理念にのっとり、技能実習を行わせる環境の整備に努めるとともに、国及び地方公共団体が講ずる施策に協力しなければならない。

<監理団体の責務>
技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護について重要な役割を果たすものであることを自覚し、実習監理の責任を適切に果たすとともに、国及び地方公共団体が講ずる施策に協力しなければならない。

技能実習生の責務>
技能実習に専念することにより、技能等の修得等をし、本国への技能等の移転に努めなければならない。

技能実習計画
技能実習計画の認定>
技能実習を行わせようとする方は、技能実習生ごとに、技能実習計画を作成し、その技能実習計画が適当である旨の認定を受けることになりました。
○認定は、新設される外国人技能実習機構が担います。 <認定を受けた技能実習計画の実施>
○実習実施者は、認定を受けた技能実習計画に従って技能実習を行わせなければなりません。
○仮に違反があった場合には、改善命令や認定の取消しの対象になります。

<実習実施者の義務>
○実習実施者は、初めて技能実習を開始したときに、届出が必要になります。
○そのほか、技能実習継続困難時の届出、帳簿の備付け、実施状況報告等を行わなければなりません。

■監理団体
<監理団体の許可>
○監理事業を行おうとする方は、事前に許可を受けることになりました。
○許可の事務は、新設される外国人技能実習機構が担います。

<監理事業の適正な実施>
○監理団体は、監理事業を適正に運営しなければなりません。
○仮に違反があった場合には、改善命令や許可の取消しの対象になります。

<監理団体の義務>
○監理団体は、団体監理型技能実習の実施状況の監査その他の業務を、省令で定める基準に従って実施しなければなりません。
○そのほか、技能実習継続困難時の届出、監理責任者の設置、帳簿の備付け、監査報告、事業報告等を行わなければなりません。

技能実習制度の拡充
○新たに技能実習3号を創設し、所定の技能評価試験の実技試験に合格した技能実習生について、技能実習の最長期間が、現行の3年間から5年間になります。(一旦帰国(原則1か月以上)後、最大2年間の技能実習
これは現在の技能実習生制度を拡張する制度として3年間の満了後にあと2年実習を続けることが可能となる制度です。現在最長3年の実習が認められている71職種130作業に対し、2年間延長可能となります。技能実習3号の対象者は所定の技能評価試験(技能検定3級相当)の実技試験に合格した者となっています。

○適正な技能実習が実施できる範囲で、実習実施者の常勤の職員数に応じた技能実習生の人数枠について、現行の2倍程度まで増加を認められます。

技能実習生の保護等
技能実習生に対する人権侵害行為等について、禁止規定や罰則を設けるほか、技能実習生による申告が可能となります。
○国による技能実習生に対する相談・情報提供体制を強化するとともに、実習実施者・監理団体による技能実習生の転籍の連絡調整等の措置が講じられます。
○事業所管大臣への協力要請や、事業協議会を用いて、政府全体で技能実習の適正な実施及び技能実習生が保護されます。
○地域協議会が設けられ、地域レベルでも関係行政機関が連携します。

■外国人技能実習機構の創設
○外国人技能実習機構は、以下の国の事務を担います。
技能実習計画の認定・実習実施者の届出の受理
・実習実施者・監理団体に報告を求め、実地に検査する事務
・監理団体の許可に関する調査など
○そのほか、技能実習生からの相談への対応・援助や、技能実習に関する調査研究業務も行われます。

■その他の制度改正事項
<政府(当局)間取決め>
技能実習生の送出しを希望する国との間で、政府(当局)間取決めを作成することを通じ、相手国政府(当局)と協力して不適正な送出し機関を排除していくことが目指されます。

<対象職種の拡大>
○対象職種を随時追加するほか、地域限定の職種・企業独自の職種(社内検定の活用)・複数職種の実習の措置が認められていく予定です。

参照ホームページ[法務省]
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri05_00014.html

柔軟な働き方に関する検討会の資料を公表 副業・兼業などのガイドラインの案を示す

厚生労働省から、平成29年11月20日に開催された「第4回柔軟な働き方に関する検討会」の資料が公表されました。今回の議事は、「雇用型テレワーク、自営型(非雇用型)テレワーク、副業・兼業のガイドライン案等について」という内容で、次のようなガイドラインの案などが示されています。

●情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン(案)
●自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン(案)
●副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子(案)

特に注目されているのは、「副業・兼業」です。
副業・兼業については、厚生労働省のモデル就業規則の改定の方向性も示されており、労働者の遵守事項における副業・兼業に関する規定(「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」)を削除の上で、次のような条項を置く案が紹介されています。

・労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
・労働者は、上記の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。


■副業・兼業の現状
(1)副業・兼業を希望する者は年々増加傾向にある。副業・兼業を行う理由は、自分がやりたい仕事であること、スキルアップ、資格の活用、十分な収入確保等さまざまであり、また、副業・兼業の形態も、正社員、パート・アルバイト、自営業等さまざまである。

(2)多くの企業では、副業・兼業を認めていない。企業が副業・兼業を認めるにあたっての課題・懸念としては、自社での業務がおろそかになること、情報漏洩のリスクがあること、競業・利益相反になることなどが挙げられる。また、副業・兼業に係る就業時間や健康管理の取扱いのルールが分かりにくいとの意見がある。

(3)副業・兼業自体への法的な規制はないが、厚生労働省が示しているモデル就業規則では、労働者の遵守事項に「許可なく他の会社等の業務に従事しいこと」いう規定がある。

(4)裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、それが労務提供上の支障となる場合、企業秘密が漏洩するなど企業秩序に影響が生じる場合、信頼関係を破壊する行為がある場合、競業に当たる場合とされている。

なお、副業・兼業時の就業時間の把握については、ガイドラインの骨子案において、「企業が労働者の自己申告に基づいて就業時間を把握し、長時間労働の抑制や健康管理に努める」といった方向性が示されています。

副業・兼業のモデル就業規則の改定の方向性などについては、報道機関も積極的に取り上げており、『検討会から意見を求められた有識者委員から、「企業が労働時間を管理することは不可能だ」などと、ガイドラインの骨子案の問題を指摘する意見が続出しており、労働者の安全確保で、本業と副業のどちらの企業が責任を負うかなど、現在の労働法制では不明瞭な点が多いとの声もあった』などと報じられています。

政府は、人手不足の対応や働き方改革の切り札として、テレワークや副業・兼業を推進したい構えですが、各企業の現場からみれば、いずれも管理が難しい制度で簡単に導入できるものではなさそうです。

参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000185391.html

平成30年度税制改正大綱

平成29年12月14日に、平成30年度与党税制改正大綱が公表されました。大綱で明らかにされた主要な改正・見直し項目の概要をご紹介します。なお、今後の国会における法案審議の過程において、一部項目の修正・削除・追加などが行われる可能性があることにご留意ください。

■個人所得課税
○給与所得控除等の見直し
改正の概要
・給与所得控除の控除額が一律10万円引き下げられます。
・給与収入が850万円を超える場合の給与所得控除については、控除額の上限が195万円となります。
・給与収入が850万円を超える場合であっても、本人が特別障害者に該当する場合や23歳未満の扶養親族や特別障害者控除の対象となる扶養親族等が同一生計内にいる者については、負担増が生じないよう措置がとられます。

適用時期
平成32年分以後の所得税、平成33年度分以後の個人住民税に適用されます。

実務上の留意点
・給与所得控除等の額は10万円引き下げられますが、基礎控除の額は10万円引き上げられるため、給与収入850万円以下の場合は改正後においても税負担は変わりません。
・給与収入850万円超であり、介護・子育て世帯でない場合には、税負担が増加します。

公的年金等控除の見直し
改正の概要
公的年金等控除が一律10万円引き下げられます。
公的年金等の収入額が1,000万円を超える場合の控除額の上限が195.5万円になります。
公的年金等に係る雑所得以外の所得の合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下の場合には、控除額が更に一律10万円引き下げられます。
公的年金等に係る雑所得以外の所得の合計所得金額が2,000万円超の場合には、控除額が更に一律20万円引き下げられます。

適用時期
平成32年分以後の所得税、平成33年度分以後の個人住民税に適用されます。

実務上の留意点
公的年金等控除額は10万円引き下げられますが、基礎控除の額を10万円引き上げるため、公的年金等の収入金額が1,000万円以下の場合かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得の合計所得金額が1,000万円以下の場合には改正後においても税負担は変わりません。
公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合、又は、公的年金等に係る雑所得以外の所得の合計所得金額が1,000万円を超える場合には税負担は増加します。

基礎控除の見直し
改正の概要
基礎控除の控除額が一律10万円引き上げられます。
 ①所得税 38万円→48万円
 ②住民税 33万円→43万円
・合計所得金額が2,400万円を超える個人についてはその合計所得金額に応じて控除額が逓減し、合計所得金額2,500万円を超える個人については基礎控除の適用はできません(個人住民税も同じ)。

適用時期
平成32年分以後の所得税、平成33年度分以後の個人住民税に適用されます。

実務上の留意点
基礎控除の額が引き上げられる一方で、給与所得控除・公的年金等控除の額が引き下げられる改正が行われます。

■資産課税
○事業承継税制の特例の創設等
改正の概要
・事業承継税制は10年間の特例措置として抜本的に拡充されます。
特例後継者(仮称)が、特例認定承継会社(仮称)の代表権を有していた者から、贈与又は相続若しくは遺贈により当該特例認定承継会社の非上場株式を取得した場合には、その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の金額について、その特例後継者の死亡の日等までその納税が猶予されます。
改正のポイント
・納税猶予の対象株式数の制限がなくなります。
・相続においても対象株式に係る相続税の全額が猶予されます。
・雇用確保要件が大幅に緩和されます。
・適用対象者の拡大により、承継パターンが多様化します。
・一定の要件を満たす納税猶予対象株式の譲渡、合併、解散等については納付額の減免措置が講じられます。
・特例後継者が贈与者の推定相続人以外の者であっても相続時精算課税制度の適用が可能となります。

適用時期
平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間に贈与又は相続若しくは遺贈により取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用されます。

実務上の留意点
・10年間に限定した特例制度の創設となります。
・特例制度では、贈与・相続・遺贈により取得した全株式に係る贈与税及び相続税の全額について納税が猶予されます。
・特例制度を適用するためには、特例承継計画を都道府県へ提出する必要があります。
・雇用確保要件が大幅に緩和され、加えて減免措置が拡充されるので、将来の業績悪化を気にせずに納税猶予を受けられます。
・推定相続人以外の特例後継者への贈与についても、相続時精算課税制度が適用できるため、納税猶予が打ち切りになった場合の税負担リスクが軽減され、承継がしやすくなります。(ただし、相続税の納税義務者になります)

■法人課税
○所得拡大促進税制の改組
改正の概要
・所得拡大促進税制とは青色申告書を提出する法人が、国内雇用者に対して支給する給与等を一定額増加した場合等に、その増加額の一定割合を法人税額から控除することができる制度です。
・今年度改正により賃上げ及び人材投資に積極的に取り組む企業に対し、当該税制措置が強化されます。
(1)中小企業者等以外(大企業)における所得拡大促進税制
・適用要件について、「賃上げに関する要件」が簡素化され、新たに「設備投資に関する要件」が追加されました。
・教育訓練費が増加した企業については、税額控除率が上乗せされます。

(2)中小企業者等(適用除外事業者を除く)の所得拡大促進税制
・適用要件について、「賃上げに関する要件」が簡素化されました。(1で追加された「設備投資に関する要件」はありません。)
・教育訓練費が増加した企業については、税額控除率が上乗せされます。
・大企業の所得拡大促進税制の制度との選択適用が可能です。

適用時期
平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます。

実務上の留意点
・「設備投資に関する要件」の判定基準に注意。(設備投資額は当期取得のみを集計、減価償却費は当期の全額を集計)
・「1人当たり平均給与」を計算する際の「継続雇用者」の範囲が、適用年度及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある一定の雇用者に見直される予定です。
・中小企業者等は、(2)の適用要件を満たさない場合でも、(1)の適用要件を満たすことで本税制の適用が可能です。
・中小企業者等は、給与増加額に対して最大22%控除可能だったものが原則15%の控除となります(教育訓練費の増加等、一定の要件を満たせば25%の控除)。
・中小企業者等から除外される適用除外事業者の制度は、平成31年4月1日以後開始事業年度から適用されます。
・法人事業税の計算において、大企業の適用条件を満たすときは、給与等支給増加額(適用年度の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)を付加価値割の課税標準から控除可能です。
・法人住民税の計算において、中小企業者等は、税額控除後の法人税額に法人住民税率を乗じて計算します。

○情報連携投資等の促進に係る税制の創設
改正の概要
青色申告書を提出する法人が、企業内外のデータを連携・高度利活用し生産性の向上を図る等、「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)」の革新的データ活用計画(仮称)に基づき、一定の設備の取得等を行った場合に特別償却又は税額控除ができる制度が創設されます。

適用要件
青色申告書を提出する法人
②「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)」における革新的データ活用計画(仮称)の認定を受けること
③革新的データ活用計画(仮称)に従ってソフトウェアを新設し、又は増設した場合で一定の取得価額(5,000万円以上)の情報連携利活用設備(ソフトウェア、機械装置、器具備品)の取得等をし、事業の用に供すること

特別償却
取得価額×30%

税額控除
平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が3%以上であること、を満たす場合→取得価額5%(当期の法人税額の20%を上限とする)
平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が3%以上であること、を満たさない場合→取得価額×3%(当期の法人税額の15%を上限とする)

適用時期
「生産性向上の実現ための臨時措置法(仮称)」の施行の日から平成33年3月31日までの間に一定の設備の取得等をし、事業供用した資産に適用されます。

実務上の留意点
所得税についても同様の改正が行われます。
地方税について、特別償却を選択した場合は、法人住民税及び法人事業税に適用されますが、税額控除を選択した場合、中小企業者等に係る法人住民税のみに適用されます。
・対象金額が5,000万円以上としていることから、ある程度規模の大きなIoT機器等の設備取得を前提にしています。

○大企業に対する租税特別措置の税額控除適用要件の見直し
改正の概要
次の要件のいずれにも該当しない大企業(※)については、イ:研究開発税制、ロ:地域未来投資促進税制、ハ:情報連携投資等の促進に係る税制(平成30年度税制改正で創設)の適用対象外となります。但し、当期所得が前期所得以下の一定の事業年度については除かれます。
①平均給与要件 平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること
②設備投資要件 国内設備投資額が減価償却費の総額の10%を超えること


※大企業とは、中小企業者又は農業共同組合当以外の法人をいい、中小企業者とは資本金が1億円以下の法人(資本金1億円超の法人に発行済株式の50%以上を所有される一定の法人及び平成31年4月1日以後開始事業年度からは前3年間の年間平均所得金額15億円超の法人を除く)をいう。

適用時期
平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度

実務上の留意点
・平均給与等支給額等の計算の基礎となる継続雇用者がいない場合には①の要件は満たすものとされます。
・設備投資要件の減価償却費の総額には特別償却準備金として積み立てた額が含まれます。
上記の但し書きの中の一定の事業年度からは設立事業年度又は合併等の日を含む事業年度は除かれます。

租税特別措置法の期限延長
改正の概要
下記の制度について、適用期限が延長されます。
(1)交際費等の損金不算入制度
・交際費等の損金不算入制度の適用期限が2年延長(平成32年3月31日まで)されます。
・交際費となる飲食費の50%(中小法人の場合は交際費のうち事業年度800万円までのいずれか)を損金に算入することができる制度も、適用期限が2年延長(平成32年3月31日まで)されます。
(2)大法人の欠損金の繰戻し還付の不適用措置
・中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻し還付の不適用措置の適用期限が2年延長(平成32年3月31日まで)されます。
(3)中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例
・中小企業者等が少額減価償却資産(取得価額30万円未満の減価償却資産)を取得した場合に、事業年度300万円まで取得価額の全額を損金に算入することができる特例の適用期限が2年延長(平成32年3月31日まで)されます。

適用時期
現行制度の延長のため、特にありません。

■その他
○登録免許税、固定資産税、不動産取得税の見直し
改正の概要
(1)登録免許税
被相続人が先の相続時に土地の所有権移転登記をしないまま亡くなっている場合において、その相続人が平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に被相続人名義に所有権移転登記をする場合の登録免許税が免税になります。
・相続登記促進のために法務大臣に指定された土地で価額が10万円以下のものについて、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(仮称)の施行日から平成33年3月31日までの間に所有権移転登記をする場合の登録免許税が免税になります。
・特定認定長期優良住宅と認定低炭素住宅の所有権保存登記等に対する軽減措置が平成32年3月31日まで延長されます。

(2)固定資産税
・新築住宅と新築認定長期優良住宅に係る固定資産税の減額措置が平成32年3月31日まで延長されます。

(3)不動産取得税
・宅地及び宅地比準土地を取得した場合の課税標準を2分の1とする特例措置が平成33年3月31日まで延長されます。
・住宅及び土地を取得した場合の標準税率(本則4%)を3%とする特例措置が平成33年3月31日まで延長されます。
・土地の取得後に特例適用住宅を新築した場合の土地に係る減額措置(床面積の2倍(最大200平方メートルまで)相当額等の減額)について、土地取得後の住宅新築までの経過年数要件緩和の特例措置が平成32年3月31日まで延長されます。
・新築の認定長期優良住宅に係る課税標準の1,300万円の軽減措置が平成32年3月31日まで延長されます。

内容につきましては、「平成30年度税制改正大綱」(平成29年12月14日与党公表)に基づき、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等において、本記事に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますので、ご留意ください。

参照ホームページ[自由民主党]
https://www.jimin.jp/news/policy/136400.html