日本とルクセンブルクの社会保障協定の発効について

 

5月15日、ルクセンブルクにおいて、「社会保障に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定」(日本・ルクセンブルク社会保障協定:2014年10月10日署名)の効力発生のための外交上の公文の交換が行われました。これにより、本協定は、本年8月1日に効力を生ずることになります。

社会保障に関する日本とルクセンブルクとの協定概要
国際間の人的移動に伴い、外国に派遣される日本人及び外国から日本に派遣される外国人について、次のような問題が生じています。

(1)二重加入
相手国に派遣され就労している人については、派遣中でも自国の年金制度に継続して加入している場合が多く、自国の公的年金制度と相手国の公的年金制度に対して二重に保険料を支払うことを余儀なくされていること。

(2)年金受給資格の問題
日本の公的年金制度に限らず、外国の公的年金制度についても老齢年金の受給資格のひとつとして一定期間の制度への加入を要求している場合がありますが、相手国に短期間派遣され、その期間だけ相手国の公的年金制度に加入したとしても老齢年金の受給資格要件としての一定の加入年数を満たすことができない場合が多いため、相手国で負担した保険料が掛け捨てになること。

上記の問題を解決するために、以下の2つを主な内容とした社会保障協定を締結しています。

(1)適用調整
相手国への派遣の期間が5年を超えない見込みの場合には、当該期間中は相手国の法令の適用を免除し自国の法令のみを適用し、5年を超える見込みの場合には、相手国の法令のみを適用する。

(2)保険期間の通算
両国間の年金制度への加入期間を通算して、年金を受給するために最低必要とされる期間以上であれば、それぞれの国の制度への加入期間に応じた年金がそれぞれの国の制度から受けられるようにする。

日本・ルクセンブルク社会保障協定は、これらの問題を解決することを目的としており、この協定が効力を生ずれば、派遣期間が5年以内の一時派遣被用者等は、原則として、派遣元国の年金制度にのみ加入することとなります。また、両国での保険期間を通算してそれぞれの国における年金の受給権を確立できることとなります。

【参考】在ルクセンブルク邦人数(永住者除く):581名(うち民間企業関係者186名)、平成27年10月時点。

本協定は、既に発効済みのドイツ、英国、韓国、米国、ベルギー、フランス、カナダ、豪州、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー及びインドに続く、わが国にとって17番目の社会保障協定となります。

詳しくは下記参照先をご覧ください。


参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000164472.html

 

データ利活用促進に向けた企業における管理・契約等の実態調査について

 

データの収集・活用や関連技術の開発は、企業の競争力の源泉であり、その重要性がますます高まっていると指摘されていますが、経済産業省は、データ利活用促進に向け、企業における管理・契約等の実態調査を実施し、この程、その結果を公表しました。

■データ利活用促進に向けた企業における管理・契約等の実態調査の概要

◎調査内容
【アンケート調査】
・送付先:東証一部上場企業 2019社
・回答企業:304社(15.1%)
・実施期間:2016年10月17日~11月11日
・調査内容:事業内容、事業におけるデータ利活用の状況(現状・望ましい姿)、データ利活用を今後推進していく上での課題や制約、データ利活用をしていく上での政策的な課題・要請 ほか

【ヒアリング調査】
・対象企業:31社
・調査内容 :アンケートの調査内容の具体的な事例、ニーズ ほか

◎主な調査結果(アンケート調査結果)
(1)企業間におけるデータのやりとりの実態(現状/望ましい姿)
ア.社外からのデータ取得について
・現状では、社外からのデータ取得を行っている企業⇒42.7%(122社)
・将来的に、社外からのデータ取得を行うことが望ましいと考える企業⇒61.5%(176社

イ.社外へのデータ提供について
・現状では、全部/一部を提供している企業⇒24.0%(69社)
・将来的に、全部/一部を提供することが望ましいと考える企業⇒32.3%(93社)

(2)不正利用への対策として実施すべき法整備
・損害賠償基準の明確化を求める企業⇒69.1%(197社)
・罰金・懲役等といった罰則強化を求める企業⇒66.0%(186社)
・差止請求による被害の最小化⇒60.0%(171社)
・データを不正取得したとしても個人・企業にアプローチできないようにする制度を求める企業⇒44.9%(128社)
(※)第三者による不正利用に対しては、厳罰化や損害賠償などによる抑止力を高めることと共に、自社や顧客に対する被害の拡大を止めるため差止めなどを求める声が多い。

(3)データ利活用を推進していく上での課題・政策要請<制度関連の回答>
・基本的にはデータは顧客に帰属するものと考えるが、一方で当社が時間・労力を費やして取得・蓄積・分析しているため、一部は当社に帰属し、他社が不正に取得・利用した際に差し止め請求ができるよう、法的な整備をして欲しい。(製造業)

・当社としても苦労して機器を開発・製造し、取得・蓄積・分析したデータは、著作権や営業秘密に該当するほど重要であると認識している。

・ローデータを保護することは難しいかもしれないが、当社で分析したデータについては他社が不正利用した場合に差し止め請求ができるような法的な裏付けが欲しい。

・利害調整(権利、紛争の事後解決等)の機能を果たすルールがあれば企業はデータ利活用に取り組みやすくなり、その拠り所となる法律が必要である。

・日本ではデータ利活用の相場感(データの利用範囲等)が形成されていないため、データ利活用に積極的ではないと思われる。ただし、相場感を形成するには一定のルールが必要と考える。

・わが国でデータ利活用を推進する上では、当社のような機器メーカが苦労して蓄積したデータについて営業秘密や(著作性はないが)知財としての保護と、不正利用時に賠償・差し止めを可能とする法的な整備が必要である。(製造業)

・営業秘密は個別企業ごとに秘密保持契約を結ぶが、限られた業種内で多数の企業と秘密保持契約を結ぶと実質的には秘密は守られなくなる可能性がある。

【参考】
類型1:顧客による自社商品の利用を通じて発生したデータを、自社で取得して利活用
<データ利活用の構造>
・顧客が自社商品(機械・機器、アプリケーション等)を利用することに伴い発生したデータを取得・蓄積し、分析結果を商品の改良や新商品開発に活用する。
・データの分析結果を活用して改良された商品や開発した新商品は、パッケージ化されたものとして顧客へ提供される。蓄積・分析過程において顧客へ個別にはデータ共有・還元は行わない。
<契約・管理の実態>
・パッケージ化した商品を顧客に提供し、データ利活用に際してはプライバシーポリシーや約款・規約で顧客から同意を得る。
<課題・制約>
・個人顧客からデータを取得する事業を展開している企業では、個人情報漏えい発生のレピュテーションリスクが懸念され、データ利活用推進における制約として捉えている。

類型2:複数企業等がデータを持ち寄りビッグデータ化し、各社での利用やオープンデータとして公開
<データ利活用の構造>
・複数企業等が、各社で取得した特定のデータを持ち寄り、データベースを構築し、参加者間で共有する。
・データベースから、各社が自社商品の改良・新商品開発にと必要な項目を抽出して利用する。データベースそのものをオープンデータとして公開する場合もある。
・各社が提供するデータは、各社の営業秘密に該当しない情報に限定。提供するデータは、業界における安全基準となるベンチマークデータなど、非競争領域のものであり共有・利活用することにより参加者の互いの利益となるデータ。

<契約・管理の実態>
・データ発生元(各社の顧客)からのデータの取得の際の契約と、取得したデータを企業間で共有する際の契約との2つが存在。

<課題・制約>
・広範囲でのデータ共有を実現する上でコンソーシアム形成が考えられるが、一企業での推進は困難であり、政策的な方針提示や関係省庁・外郭団体等による主導が必要。

類型3:特定のデータを大量に蓄積し、他業種の企業も含めた他社に提供
<データ利活用の構造>
・顧客が自社商品(機械・機器、アプリケーション等)を利用することに伴い発生したデータを大量に取得・蓄積し、分析・匿名加工したデータを、各データを必要とするデータ利用企業に対して提供する。
・データ利用企業への提供に際しては、有償/無償での提供がある。
・また、データ提供を受けた事業者が、さらにデータに加工(整理・抽出など)を施し、第三者へ提供することもある。

<契約・管理の実態>
・データ発生元(各社の顧客)からのデータの取得の際の契約と、取得したデータを企業間で共有する際の契約との2つが存在。

<課題・制約>
・自社が蓄積・匿名加工したデータベースが第三者に不正利用された場合の法的な整備が必要と思料される。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[経済産業省]

http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170420003/20170420003.html



事業者における特定個人情報の漏えい事案等が発生した場合の対応について

平成26年12月に策定された「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」の「第3-6特定個人情報の漏えい事案等が発生した場合の対応」において、特定個人情報の漏えい事案等が発生した場合の対応については別に定めることとされていましたが、事業者における特定個人情報の漏えい事案等の違反の事案又は番号法違反のおそれのある事案が発覚した場合の対応について定められました。

1.特定個人情報の漏えい事案等が発覚した場合に講ずべき措置
事業者は、その取り扱う特定個人情報(委託を受けた者が取り扱うものを含む。以下同じ。)について、漏えい事案その他の番号法違反の事案又は番号法違反のおそれのある事案が発覚した場合には、次の事項について必要な措置を講ずることが望ましい。

(1)事業者内部における報告、被害の拡大防止
責任ある立場の者に直ちに報告するとともに、被害の拡大を防止する。

(2)事実関係の調査、原因の究明
事実関係を調査し、番号法違反又は番号法違反のおそれが把握できた場合には、その原因の究明を行う。

(3)影響範囲の特定
(2)で把握した事実関係による影響の範囲を特定する。

(4)再発防止策の検討・実施
(2)で究明した原因を踏まえ、再発防止策を検討し、速やかに実施する。

(5)影響を受ける可能性のある本人への連絡等
事案の内容等に応じて、二次被害の防止、類似事案の発生回避等の観点から、事実関係等について、速やかに、本人へ連絡し、又は本人が容易に知り得る状態に置く。

(6)事実関係、再発防止策等の公表
事案の内容等に応じて、二次被害の防止、類似事案の発生回避等の観点から、事実関係及び再発防止策等について、速やかに公表する。

2.本告示に基づく報告
事業者は、その取り扱う特定個人情報に関する番号法違反の事案又は番号法違反のおそれのある事案を把握した場合には、事実関係及び再発防止策等について、次のとおり報告するよう努める。

(1)報告の方法
ア.個人番号又は特定個人情報の漏えい等の事案の場合
個人情報保護委員会に速やかに報告する。ただし、「個人情報の保護に関する法律」(平成15 年法律第57 号。以下「個人情報保護法」という。)第47 条第1項に規定する認定個人情報保護団体の対象事業者である個人情報取扱事業者は、当該認定個人情報保護団体に報告する。

上記にかかわらず、個人情報保護法第44条第1項に基づき個人情報保護法第40 条第1項に規定する個人情報保護委員会の権限(報告徴収及び立入検査)が事業所管大臣に委任されている分野における事業者又は金融関連分野における個人情報保護に関するガイドライン若しくは医療関連分野における個人情報保護に関するガイダンス等の適用を受ける事業者の報告先等については、別途公表するところによる。これらの場合、報告を受けた報告先は、個人情報保護委員会にその旨通知する。

イ.上記のほか、個人番号の利用制限違反等の番号法固有の規定に関する事案等の場合
個人情報保護委員会に速やかに報告する。

(2)個人情報保護委員会への報告を要しない場合
従業員の数が100人以下の事業者(個人番号利用事務実施者を除く。)にあっては、次の全てに当てはまる場合は、個人情報保護委員会への報告を要しない(2.(1)イの場合を除く。)。

ア.影響を受ける可能性のある本人全てに連絡した場合(本人への連絡が困難な場合には、本人が容易に知り得る状態に置くことを含む。)
イ.実質的に外部に漏えいしていないと判断される場合
ウ.事実関係の調査を了し、再発防止策を決定している場合
エ.「特定個人情報の漏えいその他の特定個人情報の安全の確保に係る重大な事態の報告に関する規則」(平成27年特定個人情報保護委員会規則第5号。以下「規則」という。)第2条に規定する特定個人情報ファイルに記録された特定個人情報の漏えいその他の特定個人情報の安全の確保に係る重大な事態(以下「重大事態」という。)に該当しない場合

3.番号法第29 条の4に規定する重大事態等に関する報告
(1)規則に基づく報告
2の番号法違反の事案又は番号法違反のおそれのある事案のうち、重大事態に該当する事案については、事業者は、番号法第29条の4の規定に基づき、規則の規定に従って個人情報保護委員会に報告する必要がある。

(2)本告示に基づく報告
事業者は、重大事態に該当する事案又はそのおそれのある事案が発覚した時点で、直ちにその旨を個人情報保護委員会に報告するよう努める。なお、複数の事業者から特定個人情報の取扱いの委託を受けた者において、当該複数の事業者の特定個人情報について重大事態に該当する事案又はそのおそれのある事案が発覚した場合は、当該委託を受けた者から直接個人情報保護委員会に報告することを妨げない。

詳しくは下記参照先をご覧ください。


参照ホームページ[個人情報保護委員会]

http://www.ppc.go.jp/legal/policy/rouei/



 

事業者における特定個人情報の漏えい事案等が発生した場合の対応について

平成26年12月に策定された「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」の「第3-6特定個人情報の漏えい事案等が発生した場合の対応」において、特定個人情報の漏えい事案等が発生した場合の対応については別に定めることとされていましたが、事業者における特定個人情報の漏えい事案等の違反の事案又は番号法違反のおそれのある事案が発覚した場合の対応について定められました。

1.特定個人情報の漏えい事案等が発覚した場合に講ずべき措置
事業者は、その取り扱う特定個人情報(委託を受けた者が取り扱うものを含む。以下同じ。)について、漏えい事案その他の番号法違反の事案又は番号法違反のおそれのある事案が発覚した場合には、次の事項について必要な措置を講ずることが望ましい。

(1)事業者内部における報告、被害の拡大防止
責任ある立場の者に直ちに報告するとともに、被害の拡大を防止する。

(2)事実関係の調査、原因の究明
事実関係を調査し、番号法違反又は番号法違反のおそれが把握できた場合には、その原因の究明を行う。

(3)影響範囲の特定
(2)で把握した事実関係による影響の範囲を特定する。

(4)再発防止策の検討・実施
(2)で究明した原因を踏まえ、再発防止策を検討し、速やかに実施する。

(5)影響を受ける可能性のある本人への連絡等
事案の内容等に応じて、二次被害の防止、類似事案の発生回避等の観点から、事実関係等について、速やかに、本人へ連絡し、又は本人が容易に知り得る状態に置く。

(6)事実関係、再発防止策等の公表
事案の内容等に応じて、二次被害の防止、類似事案の発生回避等の観点から、事実関係及び再発防止策等について、速やかに公表する。

2.本告示に基づく報告
事業者は、その取り扱う特定個人情報に関する番号法違反の事案又は番号法違反のおそれのある事案を把握した場合には、事実関係及び再発防止策等について、次のとおり報告するよう努める。

(1)報告の方法
ア.個人番号又は特定個人情報の漏えい等の事案の場合
個人情報保護委員会に速やかに報告する。ただし、「個人情報の保護に関する法律」(平成15 年法律第57 号。以下「個人情報保護法」という。)第47 条第1項に規定する認定個人情報保護団体の対象事業者である個人情報取扱事業者は、当該認定個人情報保護団体に報告する。

上記にかかわらず、個人情報保護法第44条第1項に基づき個人情報保護法第40 条第1項に規定する個人情報保護委員会の権限(報告徴収及び立入検査)が事業所管大臣に委任されている分野における事業者又は金融関連分野における個人情報保護に関するガイドライン若しくは医療関連分野における個人情報保護に関するガイダンス等の適用を受ける事業者の報告先等については、別途公表するところによる。これらの場合、報告を受けた報告先は、個人情報保護委員会にその旨通知する。

イ.上記のほか、個人番号の利用制限違反等の番号法固有の規定に関する事案等の場合
個人情報保護委員会に速やかに報告する。

(2)個人情報保護委員会への報告を要しない場合
従業員の数が100人以下の事業者(個人番号利用事務実施者を除く。)にあっては、次の全てに当てはまる場合は、個人情報保護委員会への報告を要しない(2.(1)イの場合を除く。)。

ア.影響を受ける可能性のある本人全てに連絡した場合(本人への連絡が困難な場合には、本人が容易に知り得る状態に置くことを含む。)
イ.実質的に外部に漏えいしていないと判断される場合
ウ.事実関係の調査を了し、再発防止策を決定している場合
エ.「特定個人情報の漏えいその他の特定個人情報の安全の確保に係る重大な事態の報告に関する規則」(平成27年特定個人情報保護委員会規則第5号。以下「規則」という。)第2条に規定する特定個人情報ファイルに記録された特定個人情報の漏えいその他の特定個人情報の安全の確保に係る重大な事態(以下「重大事態」という。)に該当しない場合

3.番号法第29 条の4に規定する重大事態等に関する報告
(1)規則に基づく報告
2の番号法違反の事案又は番号法違反のおそれのある事案のうち、重大事態に該当する事案については、事業者は、番号法第29条の4の規定に基づき、規則の規定に従って個人情報保護委員会に報告する必要がある。

(2)本告示に基づく報告
事業者は、重大事態に該当する事案又はそのおそれのある事案が発覚した時点で、直ちにその旨を個人情報保護委員会に報告するよう努める。なお、複数の事業者から特定個人情報の取扱いの委託を受けた者において、当該複数の事業者の特定個人情報について重大事態に該当する事案又はそのおそれのある事案が発覚した場合は、当該委託を受けた者から直接個人情報保護委員会に報告することを妨げない。

詳しくは下記参照先をご覧ください。


参照ホームページ[個人情報保護委員会]

http://www.ppc.go.jp/legal/policy/rouei/



【NEW】経産省が「多様で柔軟な働き方」に関する3研究会報告書を公表


   2016年4月に取りまとめられた政府の「新産業構造ビジョン」において、従来の働き方にとらわれない「柔軟な働き方」が検討項目の1つとなっており、経産省では、「兼業・副業」、「雇用関係によらない働き方」及び「生産性の向上により人手不足に対応する働き方」の3つのテーマについての研究会を設置し、それぞれ政策の方向性を検討し、この程、研究会の報告書が公表されました。

■3研究会の報告書概要

Ⅰ.兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会
イノベーションの促進、人材確保、人材育成、創業の促進等様々な効果に繋がりうる、兼業・副業の促進を目的とする
1.兼業・副業の実態把握
・働き手:副業希望者(約368万人(5.7%))、副業者(約234万人(3.6%))
・企業側:兼業・副業を容認・推進している企業は、全体の約22.9%(リクルートキャリアの最新調査結果)

2.兼業・副業に関するメリット・デメリットの整理
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◎今後の政策の方向性
1.ベストプラクティスの発信・表彰の実施
兼業・副業を通じた創業等の担い手及び兼業・副業を促進する事業者の事例等の情報発信、表彰の実施

2.地方におけるリーディングケースの創出
兼業・副業を試行する企業の働き手を支援するパイロット事業を創設(地方を中心に10件程度)

3.制度的課題の打破と実務的な環境整備
モデル就業規則の改正や制度的課題の解決等の方向性を提言、相談体制の充実を検討

Ⅱ.雇用関係によらない働き方に関する研究会
フリーランス・アライアンスといった「雇用関係によらない働き方」を働き方の選択肢として確立させるため、働き手に対するアンケート結果を踏まえながら、現状と課題を整理
1.雇用関係によらない働き方における実態(働き手4,000人へのアンケート)
・最も多い年収層は300~399万円で、全体の約18%(世帯の主たる生計者)、週平均32.4時間労働
・現状の働き方に「満足」「やや満足」が半数、「やや不満」「不満」は2割
⇒【満足の理由】自分のやりたい仕事(約60%)、【不満な理由】収入(昇給なし・不安定)(約80%)

2.雇用関係によらない働き方における課題
(1)教育訓練・スキル形成(約半数がセミナー・講座等を受講せず。企業と働き手のスキルニーズにギャップ。)
(2)働く環境(休業時等のセーフティネットの不足、報酬の額・支払い遅延の問題等)
(3)企業の取組み(企業における認知度や社内体制が不十分、マッチングや取引環境が未整備)

◎今後の政策の方向性
1.働き手が安定した生計が立てられる教育訓練・人材育成システムの構築
企業に所属せずともスキル形成が可能となるよう、中小企業施策等と連携した支援策を検討

2.働く環境(社会システム)の改善
働き手のセーフティネットの在り方を検討。報酬の額・支払いの適切化、担保策を検討

3.企業(発注者)と働き手における取引環境の改善
発注企業側の認知度向上、業務切り出し体制や発注スキルの向上、仲介事業者(プラットフォーマー)のマッチング機能改善・運用ルール整備の慫慂、下請法等遵守すべき法制度の周知徹底等

Ⅲ.中小企業・小規模事業者の人手不足への対応研究会
◎100を超える好事例から人手不足対応の3つのステップを抽出し、ガイドラインとしてとりまとめ
1.人手不足対応への基本的な考え方 ~人手不足を成長のチャンスに~
(1)多様な働き手の立場にたった職場環境整備による人材確保
(2)ITやロボット等の設備導入や業務改善による生産性向上

2.人手不足対応に取り組むための3つのステップ(→ガイドライン)
ステップ1:人手不足の背景にある経営課題や事業戦略を再確認し、業務を見つめ直す(業務の細分化等)
ステップ2:業務について、求人像を見つめ直し(拡げる等)、生産性向上を検討(省力化等)
ステップ3:働き手の立場にたって、職場環境(時短勤務、在宅勤務等)や自社PR・採用手段を改善

◎今後の政策の方向性
1.ガイドラインの普及
(1)厚労省の女性や高齢者の活躍推進に係る啓発事業等との連携や(2)中小企業3団体、労働局と連携し、全国でセミナーを展開、(3)中小企業大学校で人手不足対応に関する研修を充実

2.相談対制の強化
よろず支援拠点に人手不足対応アドバイザー(仮称)を配置

3.関連施策の活用を促進
3つのステップについて、関係省庁の関連施策の活用を促進(例えば、ガイドラインの3つのステップに沿った取組を行う中小企業が参加するマッチングイベントを実施)


詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[経済産業省]
http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170314006/20170314006.html

「転勤に関する雇用管理のポイント(仮称)」の策定に向けて


  厚生労働省は、この程、「転勤に関する雇用管理のポイント(仮称)」の策定に向けた研究会の報告書を取りまとめ公表しました。この報告書は、「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015改訂版)」(平成27年12月24日閣議決定)に基づき、企業の経営判断にも配慮しつつ、労働者の仕事と家庭生活の両立に資する転勤に関する雇用管理の在り方を整理したものです。

■転勤に関する雇用管理のポイント(仮称)の報告書概要

労働者の仕事と家庭生活の両立に資する観点からの転勤に関する雇用管理のポイント

1.転勤に関する雇用管理について踏まえるべき法規範
(1)配転命令権
転勤を含む配置の変更は、労働契約上の職務内容・勤務地の決定権限(配転命令権)に基づき行われている。裁判例では、就業規則に定めがあり、勤務地を限定する旨の合意がない場合には、企業が労働者の同意なしに勤務地の変更を伴う配置転換を命じることが広く認められているのが現状。なお、下級審では、労働者の育児や介護などの事情に対する配慮の状況等を判断に際して考慮する例もみられる。

(2)転勤に関連するその他の法規範
労働関係法令の中で、転勤に言及している規定として、育児・介護休業法第26条は、企業が就業場所の変更を伴う配置の変更をしようとする場合に、これにより育児や介護が困難となる男女労働者がいるときは、その育児や介護の状況に配慮することを規定している。

男女雇用機会均等法第7条は、性別による間接差別を禁止し、間接差別となりうる措置を省令で列挙している。省令では、(ア)募集、採用、昇進又は職種の変更に当たって、転居を伴う配置の変更に応じられることを要件とすること、(イ)昇進に当たって、異なる事業場間の配置の変更の経験があることを要件とすること、が挙げられており、これらの措置は、合理的な理由がない限り、性別による間接差別となる。

2.転勤に関する雇用管理を考える際の基本的な視点
企業と労働者との間の雇用関係が継続的性質を持つことを踏まえれば、転勤については、企業としての成長や競争力の向上も当然念頭に置いた上で、その有無や態様について労働者がある程度の中長期的な見通しを持てること、また他方では、労働者が就業を続ける中で遭遇するライフイベントなどの変化に対応できるものであることが望ましい。

転勤に関する企業内の仕組みの設計や運用は、企業における人的資源管理の一環として集団的・組織的に行うことが要請されるが、同時に、可能な限り、個々の労働者の納得感を得られるようなものであることが望ましい。

3.転勤に関する雇用管理のポイント~現状把握
転勤のあり方の見直し等を行おうとする場合には、その前提として、まず自社における異動(転勤を含む)の現状を確認し検証することが必要であり、以下のような事項が考えられる。

ア.目的の確認
企業が異動を行う目的には、適正配置、人材育成、昇進管理、組織活性化など、様々な要素があり、各要素を峻別することが難しい場合もあると考えられるが、自社の通常の異動の目的が主にどのような要素を含むのか、再確認することが有効と考えられる。

イ.異動の状況
自社における異動の状況について、例えば以下のような事項に着目して把握することが考えられる。
・自社組織における異動の状況:可能であれば異動の目的に含まれる上記アの要素ごとに、異動の規模、異動者の中の転勤者の割合、転勤をする可能性のある者と実際に転勤を経験する者の人数・割合等
・労働者からみた異動の状況:労働者の企業内のキャリアにおける異動の時期(年齢層)・回数・期間・地理的範囲・本拠地の有無、単身赴任その他家族への影響の状況等

ウ.転勤に関する取扱いの状況
自社における転勤の取扱いの状況について、例えば以下のような事項を確認しておくことが考えられる。
・転勤の起案から決定までのプロセス及びその主体、労働者の事情や意向の把握方法
・転勤に付随して自社が負担している費用(赴任旅費、単身赴任手当、社宅費等)
・転勤と処遇(賃金、昇進・昇格)との関係
・転勤についての労働者の仕事と家庭生活の両立等に照らした課題

エ.異動の目的・効果の検証
自社において実際に異動が果たしている機能は上記アのうちいずれであるか、また、異動のうち転勤が果たしている機能はいずれであるかを検証することが有効と考えられる。例えば、上記のうち人材育成の要素については、労働者の職務遂行能力の向上において転勤が実際にどの程度貢献しているのか、客観的に検証することが有効と考えられる。

以上を踏まえ、目的に照らした効果が得られているか、効果に見合った転勤となっているかについて、上記ウで把握したコストも考慮しつつ検証することが有効と考えられる。


詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000158328.html

同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善について


  政府の働き方改革実現会議は、内閣総理大臣が議長となり労働界と産業界のトップと有識者が集り、これまでよりレベルを上げて議論する場として設置され、同一労働同一賃金の実現に向けて有識者の検討報告等を経てガイドライン案を提示し、これを基に法改正の在り方について議論を行ない、先月28日に「働き方改革実行計画」が決定されました。

同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善の概要

1.基本給の均等・均衡待遇の確保
基本給が、職務に応じて支払うもの、職業能力に応じて支払うもの、勤続に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。すなわち、均衡だけでなく、均等にも踏み込んだものとしている。

昇給についても、勤続による職業能力の向上に応じて行おうとする場合には、同様の職業能力の向上には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給を求める。

2.各種手当の均等・均衡待遇の確保
ボーナス(賞与)について、会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。

役職手当についても、役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しようとする場合、同一の役職・責任には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。

そのほか、業務の危険度等に応じて支給される特殊作業手当、交代制勤務などに応じて支給される特殊勤務手当、所定労働時間を超えて同一の時間外労働を行った場合に支給される時間外労働手当の割増率、深夜・休日労働を行った場合に支給される深夜・休日労働手当の割増率、通勤手当・出張旅費、勤務時間内に食事時間が挟まれている際の食事手当、同一の支給要件を満たす場合の単身赴任手当、特定の地域で働くことに対する補償として支給する地域手当等については、同一の支給を求める。

なお、基本給や各種手当といった賃金に差がある場合において、その要因として賃金の決定基準・ルールの違いがあるときは、「無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者又はパートタイム労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という主観的・抽象的説明に終始しがちであるが、これでは足りず、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして、不合理なものであってはならない。

3.福利厚生や教育訓練の均等・均衡待遇の確保
食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設の利用、転勤の有無等の要件が同一の場合の転勤者用社宅、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障については、同一の利用・付与を求める。

病気休職については、無期雇用パートタイム労働者には無期雇用フルタイム労働者と同一の、有期雇用労働者にも労働契約の残存期間については同一の付与を求める。

法定外年休・休暇については、勤続期間に応じて認めている場合には、同一の勤続期間であれば同一の付与を求め、特に有期労働契約を更新している場合には、当初の契約期間から通算した期間を勤続期間として算定することを要することとする。

教育訓練については、現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施しようとする場合、同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施を行わなければならない。

4.派遣労働者の取扱
派遣元事業者は派遣労働者に対し、派遣先の労働者と職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情が同一であれば同一の、違いがあれば違いに応じた賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施が求められる。


◎法改正の方向性
職務内容、職務の成果・能力・経験等に対する正規雇用労働者とパートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者を通じた公正な評価・待遇決定の推進や、そうした公正な待遇の決定が、労働者の能力の有効な発揮等を通じ、経済及び社会の発展に寄与するものである等の大きな理念を明らかにした上で、ガイドライン案の実効性を担保するため、裁判(司法判断)で救済を受けることができるよう、その根拠を整備する法改正を行う。

◎法改正の施行に当たって
・法施行までの準備期間の確保
中小企業を含め、本制度改正は企業活動に与える影響が大きいものとなるため、施行に当たっては、周知を徹底するとともに、十分な法施行までの準備期間を確保する。

・説明会の開催や相談窓口の整備などの支援
同一労働同一賃金の法改正の施行に当たっては、説明会の開催や情報提供・相談窓口の整備等を図り、中小企業等の実情も踏まえ労使双方に丁寧に対応することを求める。

また、不本意非正規労働者の正社員化や賃金引上げを支援するとともに、賃金だけでなく諸手当を含めた待遇制度の正規・非正規共通化などに取り組む企業への支援の仕組みを創設する。


詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ[首相官邸]
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html